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「皆、突然の集合ご苦労じゃった。驚かせてすまんかったのぉ」 画面の中には笑みを浮かべた「元監督」の山本浩二がいた。 「さて、具体的な説明の前に今回集まってもらった理由から話そうかの」 室内に緊張の糸が張り巡らされたかのように、誰もが身動き一つせず画面に集中している。 「…これから『選抜』を始めようと思ってな。真の赤ヘル戦士の選抜を」 「皆も分かっていると思うが…今季のチーム成績はお世辞にも良いとは言えん。むしろ最悪といってもいいくらいじゃ」 「あまりの腑甲斐なさに球場からファンは離れ、買収っちゅう不愉快な話題まで出てくる始末だしのぅ」 「…ワシはもう一度強いチームに戻ってほしいんじゃ。もう一度、強い赤ヘル軍団にの」 「その為には少々の犠牲を払っても、一度壊さんと」 「つまり皆には新生カープの礎となってもらいたいんよ。闘志と実力無き者は新生カープは必要ないけん」 「じゃけぇ『選抜』から漏れた闘志と実力無き者にゃぁ…残念じゃが死んでもらう」 死ぬ?戦力外の喩だろうか?つまり試合で判断すると?ではその試合とは? 多くの選手がこの時点で元監督の意を理解した。 しかし理解はしても納得はできない。できるはずもなかった。 そして画面の中の「元監督」は笑顔のまま最終通告をした。 「皆にゃぁこれから殺し合いをしてもらうけぇ」 「な、何かの冗談だろ?」 誰ともなく呟きが漏れた。張り詰めていた緊張の糸は切れ、ざわめきが広がる。 「静かに」 松本が再度ざわめきを制した。田村が素早くリモコンを操作する。 画面の元監督が笑顔のままで静止し、映像はビデオ録画されたものだと分かった。 「…まだ信じられないんですか」 やれやれ、といった口調で松本が話し始めた。 「僕らも最初半信半疑でしたけど、球団は本気ですよ」 その証拠をお見せします、そう言って松本が田村に目配せする。 軽く頷いた田村はまたビデオを再生させた。 「…とは言っても、やっぱり皆いきなりは信じられんと思うけぇ…」 「木村一喜」 名前を呼ばれた木村一喜(27)の肩が揺れた。 「…お前にゃぁ借りがあったのう」 「森伊蔵の借り、返してもらわんと」 田村がビデオを一時停止すると、どこからともなく電子音が聞こえてきた。 ピッ、ピッ、ピッ 木村一喜は立ち上がったままポカン、としている。どうやら電子音は木村の首輪から発せられているらしい。 ピッピッピッ 段々と音の間隔が狭くなってきて、新井はその音に何かぞっとする響きを感じた。 ピピピピピピピピピピ 突然音が止んだ。次の瞬間、選手達は目を見張ることになる。 閃光。爆発音。 赤い。 首が、首から上が、ない。 木村一喜の体は糸が切れたように、膝を折って前のめりに倒れた。 そこら中に脳しょうと頭蓋の欠片と血をばらまいて。 「う、うわあああああ!」 部屋の中で誰かが嘔吐する水音と、叫び声とが混ざり合う。 松本が制止するが、その声ももはや届かない。 そんな松本をよそに、田村が機関銃を「木村一喜だったもの」に向けた。 「やめろ!!」 誰かの叫び声の後、強い雨の音と共に赤い飛沫が周りの選手にかかった。 木村の血を浴びた選手の顔や、ユニフォームに赤の斑点ができた。 …もう誰も言葉を発しようとはしなかった。室内に血の臭いが立ちこめる中、沈黙がその場を支配していた。 【木村一喜(27)死亡 生存者残り41人】 ---- リレー版 Written by リレー開始 ◆WX10dB5Sm2
「皆、突然の集合ご苦労じゃった。驚かせてすまんかったのぉ」 画面の中には笑みを浮かべた「元監督」の山本浩二がいた。 「さて、具体的な説明の前に今回集まってもらった理由から話そうかの」 室内に緊張の糸が張り巡らされたかのように、誰もが身動き一つせず画面に集中している。 「…これから『選抜』を始めようと思ってな。真の赤ヘル戦士の選抜を」 「皆も分かっていると思うが…今季のチーム成績はお世辞にも良いとは言えん。むしろ最悪といってもいいくらいじゃ」 「あまりの腑甲斐なさに球場からファンは離れ、買収っちゅう不愉快な話題まで出てくる始末だしのぅ」 「…ワシはもう一度強いチームに戻ってほしいんじゃ。もう一度、強い赤ヘル軍団にの」 「その為には少々の犠牲を払っても、一度壊さんと」 「つまり皆には新生カープの礎となってもらいたいんよ。闘志と実力無き者は新生カープは必要ないけん」 「じゃけぇ『選抜』から漏れた闘志と実力無き者にゃぁ…残念じゃが死んでもらう」 死ぬ?戦力外の喩だろうか?つまり試合で判断すると?ではその試合とは? 多くの選手がこの時点で元監督の意を理解した。 しかし理解はしても納得はできない。できるはずもなかった。 そして画面の中の「元監督」は笑顔のまま最終通告をした。 「皆にゃぁこれから殺し合いをしてもらうけぇ」 「な、何かの冗談だろ?」 誰ともなく呟きが漏れた。張り詰めていた緊張の糸は切れ、ざわめきが広がる。 「静かに」 松本が再度ざわめきを制した。田村が素早くリモコンを操作する。 画面の元監督が笑顔のままで静止し、映像はビデオ録画されたものだと分かった。 「…まだ信じられないんですか」 やれやれ、といった口調で松本が話し始めた。 「僕らも最初半信半疑でしたけど、球団は本気ですよ」 その証拠をお見せします、そう言って松本が田村に目配せする。 軽く頷いた田村はまたビデオを再生させた。 「…とは言っても、やっぱり皆いきなりは信じられんと思うけぇ…」 「木村一喜」 名前を呼ばれた木村一喜(27)の肩が揺れた。 「…お前にゃぁ借りがあったのう」 「森伊蔵の借り、返してもらわんと」 田村がビデオを一時停止すると、どこからともなく電子音が聞こえてきた。 ピッ、ピッ、ピッ 木村一喜は立ち上がったままポカン、としている。どうやら電子音は木村の首輪から発せられているらしい。 ピッピッピッ 段々と音の間隔が狭くなってきて、新井はその音に何かぞっとする響きを感じた。 ピピピピピピピピピピ 突然音が止んだ。次の瞬間、選手達は目を見張ることになる。 閃光。爆発音。 赤い。 首が、首から上が、ない。 木村一喜の体は糸が切れたように、膝を折って前のめりに倒れた。 そこら中に脳しょうと頭蓋の欠片と血をばらまいて。 「う、うわあああああ!」 部屋の中で誰かが嘔吐する水音と、叫び声とが混ざり合う。 松本が制止するが、その声ももはや届かない。 そんな松本をよそに、田村が機関銃を「木村一喜だったもの」に向けた。 「やめろ!!」 誰かの叫び声の後、強い雨の音と共に赤い飛沫が周りの選手にかかった。 木村の血を浴びた選手の顔や、ユニフォームに赤の斑点ができた。 …もう誰も言葉を発しようとはしなかった。室内に血の臭いが立ちこめる中、沈黙がその場を支配していた。 【木村一喜(27)死亡 生存者残り41人】 ---- prev [[1.目覚め]] next [[3.ルール説明]] ---- リレー版 Written by リレー開始 ◆WX10dB5Sm2

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