17.違和感

    
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「俺と組まんか?出口を出て西の方向に歩いてるからな」

すぐには無理だろうと思われていた合流は、意外にもあっさりできた。
急いでいる様子は全く無く、のんびりと歩くその後姿は、デイバッグを
担いでいなければ球場にいる時と何ら変わりない。
夜という事と自身が近視という事から、かなり近付かなければ背番号の
数字もよく判らなかった。
しかしその数字を確認すると共に、自然と緊張は解け、自分だと安心させる為に
高橋建(22)は小走りで近付きながら声を掛けた。
「佐々岡さん!」
名前を呼ばれた佐々岡真司(18)は歩みを止め、ゆっくり振り返った。
手に持っている懐中電灯を照らしながら高橋だと確認する。
「おう」
短くそう返しただけで、佐々岡は歩き始めた。
それに遅れを取らない様に高橋も慌てて追う。
肩を並べようと歩調を早くするが、それを拒む様にずんずん先を行く佐々岡。
すると小道を逸れ、森の茂みへと方向を変えた。
がさがさと大きな音を立てながら突き進む。

「あの……他の人は?」
他にも誰か誘われたと思っていたが、どうやら佐々岡と自分の二人だけらしい。
「おらん」
振り返りもせずそれだけ答える。
「……」

妙な不安を感じたものの、それ以上喋る気にもならず黙り込んだ。

―――――どれぐらい歩いただろう。
腕時計に目をやるとかれこれ30分は経っていた。歩いても歩いても同じ景色しか見えてこない。
夜の暗さに目は慣れたはずだったが、佐々岡の前方に見える覆い繁った無数の木々達が行き先を邪魔する。
それでもどちらとも歩くのを止めない。しかしずっとこのままでいるわけにもいかない。
そもそも佐々岡の目的はなんだろう。誰かを探している風でもなく、
ただ闇雲に歩き続けているだけの気がする。
何故他の人間はいないのか。何故自分だけが誘われたのか。
「佐々岡さん」
1人で考え込むより明確な答えが欲しくて、久々に口を開いた。
佐々岡は振り返らない。それでも今度は続けて話しかけた。
「やっぱり……他の人も探しませんか」
「……」
「二人だけだと心細いというか。ほら、誰か俺達と行動したいと思ってるかも知れな」
最後まで言い切る前に、佐々岡は立ち止まった。つられて高橋も歩みを止める。
「本当にそう思うか……?」
ゆっくりこちらを振り返った佐々岡の顔はどこか強張っていた。
「え……?」
視線をすぐ下に向けると、発射口が当然とばかりにこちらに向けられている拳銃。
「何を……!」
驚きと共に二、三歩後退り、できるだけ佐々岡から距離を置こうとする。それを
逃さないかの様に佐々岡も合わせて右手を伸ばした。
「お前の選択は二択だ」
ゆっくりと指が引き金にかかる。
「俺と組むか。それとも今、俺に殺されるか」
涙もろいことが自分の代名詞の様になっている高橋だったが、その場も例外では
なかったらしく、すでに溢れんばかりに両目には涙が溜まっている。
自分の思惑通りになったようで、佐々岡は口端を吊上げると右手を下ろして再び歩き始めた。
高橋は何も言えず、先ほどよりも距離を開けて佐々岡の後ろを付いて行くしかなかった。

【生存者残り40人】


リレー版 Written by ◆9LMK673B2E
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