0.プロローグ

    

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0.プロローグ
ペナントレースが終了してから一週間近くがたったある日の早朝
選手たちを乗せた二台のバスは、とある場所へと向かっていた。

「新監督ってどんな人なんでしょう」
「お前に言われんでも会えばわかるじゃろ」
「それにしても昨日の夜いきなり連絡が来た時は焦ったな」
「『明日の朝6時、ユニフォームを持って市民球場前に集合、その他持ち物は特に制限無し』」
「本当は今度の秋季練習の日に初顔合わせのはずだったのに」
「監督も色々忙しいんだよ、しょうがないね」

期待と一抹の不安を抱えながらも選手たちの表情は思いのほか明るかった。
05年、広島東洋カープは最下位という不本意な成績のままシーズンを終えた
それでも今回新たな監督を迎え、彼らは、前向きな気持ちを持って来季を見据えようとしていたからだ。

この道中の果てに、今車内に響いている笑い声や楽しそうに喋るその顔が
苦痛、絶望、恐怖、一筋の希望、裏切り、虚構の中の真実、狂気と正気の境界線
断末魔の悲鳴、届かない叫び、止め処ない憎悪、言い様のない悲しみを知って
どう変わっていくのか、それはまだ誰にもわからない。

自分たちは広島東洋カープ新監督、マーティ・ブラウンに会いに行くのだと
自分たちは大野屋内総合練習所へ向かっているのだと
そう信じて疑わない選手たちを乗せたバスは、無情にもその速度を早めた。
悪趣味極まりない殺戮ゲームのバトルフィールドへと……
広島東洋カープの選手としての、最後の試合の舞台へと続く道をただひたすらに彼らを乗せたバスは進んでいた。

「いい人だといいな」

これから自分の身に降りかかる
身の毛のよだつ悪夢のような現実を、彼らはまだ知らない。彼らはまだ、知らない。



Written by 301 ◆CChv1OaOeU
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