42.仕掛ける男

    
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「トモ、元気でやっとるか」
前田智徳(1)にとっては、それは突然のことであり、予想もしていなかった事だった。
ストラップをつけて首からぶらさげていた携帯電話が鳴ったのだ。
確か主催者の皆さんがなんたらやって、電話は使えないとか言っていたはずだが──
「その声は…監督ですか?」
「そうじゃ。お前にちょっと言っておきたい事があっての」
「…何ですか?」
「メグはこのゲームに乗っとるぞ。問答無用で井生を撃ち殺したけぇのぉ…。じゃけぇ、メグを見たら逃げろ」
「孝市さんが!?」
「まぁ、お前にはいい武器がいくようにしといたけぇ、自分の身はなんとか守れるじゃろ」
「…」
「わしもなぁ、鬼にはなりきれんかったわ。メグとお前だけは…どうしても謙二郎を胴上げさせてやりたくてのぉ。
 まぁ確実に生き残るようにはできんが、…お前らならきっと生き残ってくれるじゃろ。生き残って…
 強いカープを作ってくれるじゃろ。…まぁ、そういう点じゃぁササや浅井はもう力不足じゃけぇ、特別扱いはしてないんじゃが」
「…」
「じゃが…まさかメグがこのゲームに乗るとはのぉ…。人間、追い込まれると分からんもんじゃのぉ」
電話越しに聞こえる苦笑い。それが前田の神経を逆撫でしている事は明らかだった。
「監督、…ちゃんと監督の考えを聞かせてくださいよ!なんで、こんなゲームをやる必要があるんですか!?」
尊敬する前監督に対し、これほどまでに怒りを露わにする前田は珍しかった。

「…それは学校で教えた通りじゃよ。それ以外に理由なんぞないわ」
「監督!!」
懸命に電話の先の山本浩二を呼ぶが、その声は届かない。
──その時、山本浩二の声が突如小さくなった。現地の誰かに話しかけられたのだろう、と察した。
「…末永と…栗原…  Fの…  …メグに見つかったか。そうか、わかった」
(!?)
「監督!監督!!聞いてますか、監督!!」
「…じゃぁな、トモ。メグに気をつけろ。…死ぬなよ」
_プツッ ツー  ツー
結局自分の言葉などもう皆には届かないのか──。
そのままあっさりと電話は途切れた。

前田は少し考えた後、意を決して立ち上がった。
(監督、孝市さん、…みんな一体どうしてしまったんじゃ──?)
─ 末永と栗原… ─
─ メグに見つかったか… ─
何かとんでもなく嫌な予感がした。それが現実ではない事を確かめたいがために、前田は歩き出した。

「そう、トモ、それでええ…」
そして、正面に位置する最も大きなモニターに写った(1)という光が動き出したのを見て、山本浩二はほくそ笑んだ。

【生存者残り35名】



リレー版 Written by ◇富山
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