もうじき僕は歌わない。@Wiki blog > 2006年06月11日 > 感想(10)

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横から失礼。
Qに、スペースを埋め込むと表示環境によって見にくくなりますので、避けてください>ヒナタ氏。勝手に修正しました。

カオさんの小説が「救いを設けたという点ではよかった」とヒナタ氏は書いているけれど、僕はあの終わり方は救いじゃないんじゃないか、と思っています。
以下、カオさんが書きたいものが「世の中は自分の知らないところで動いている」という感覚であるのなら、という前提に基づいて勝手に書きます。

たとえば、こんな終わり方はいかがでしょうか。
寺田さんと別れたシーンの続きです。



 家に帰ると母と弟がリビングにいて今日の夕食のメニューについて話していた。
 僕は「ただいま」とだけ声をかけて、2階の部屋にトントンと駆け上がった。後ろで母と弟の話し声が、別の世界のことのように僕の耳に届いた。
 僕は窓を開けると大きく息を吸い込んだ。日が沈み小さな星がチカチカ光っていた。
 寺田さんは、「キミは道を反れたりしない。大丈夫だ。安心してやっていけばいい」 と言った。
 でも、本当にそうだろうか。
 母と弟の声を聞きながら、僕には居場所がある、と思った。一人じゃないと思った。歌だって大きな声で歌える、と。
「その自由ってのが落とし穴なんだ」
「道から外れることなんか一瞬なんだよ」
「人生っていうのは、道に反れようと思ったらいくらでも反れるけど、反れまいと思っていても知らず知らずのうちに反れてしまうもんなんだ」
 でも、僕の耳には寺田さんの言葉が棘のように残っていた。
 寺田さんの話を聞くまでは、僕はきっと道に反れたりしないと思っていた。バイト中、スコップを動かしながら持っていた不思議な確信を、もう今は持てなかった。
 寺田さんの人生は、自分に置き換えられないくらい遠い話に思えた。それは変わらなかった。今の僕からは想像できない世界だ。
 リビングからは、夕飯の相談をする母と弟の声が、ずっと聞こえていた。僕は机の引出しからアルバイト代の入った封筒を取り出した。
 夏休みの僕のバイト代で、今夜はみんなでご飯を食べに行こうよ。
 バイトを始める前に約束をしたことだった。普段なら簡単に言えそうなことが、今日は言えそうになかった。家族の会話に参加したかった。僕の世界に戻りたかった。でも、僕は動けなかった。
「こんなに若いうちから社会勉強なんてしなくていい。そんなことをしていたら罠に落ちるぞ」
 僕は封筒をつかんだまま、一人で部屋の中で立ちつくしていた。



 書きたいことが全然書けないままに、二時間くらい書いたり消したりしたんですけど、もう無理そうなので投げ出します。書きたかったのは、つまり、成長・変化があった方が救いじゃないか、ということです。カオさんは、バイト前と同じところに戻ってくるけど、違う場所に戻ってくるのはどうだろうか、と。
寺田さんの存在が、そうしないと無意味に語っただけになってしまいませんか? 僕が社会勉強をして何かに気づいた、という形で終わった方が、寺田さんの存在に意味があるじゃないかって思うのです。
(もっとポジティブ色を出すなら、僕が部屋で不安になっていると、母と弟が呼びに来て「僕には居場所がある」、というパターンも考えました。きちんと書くなら、そっちの方が素敵かもしれません。)


カテゴリ: [io] - &trackback- 2006年06月11日 02:42:39

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