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雨音がうるさくて眠れない、というのはたぶん嘘だ。
この興奮が抑えきれないだけだと思う。
今の自分の心情を文章で残しておきたいという欲求に駆られて書いている。
まだ少し酒が残っているので、次に確認したときに恥ずかしくて削除するかもしれないが、まぁ、それはそのとき考えよう。
元元彼女と直接会ってまともに話したのは何年ぶりだろうか。
電話で話すことはよくあった。酔うと電話をするのは我が家の家系(母方)の悪い癖ではある。
毎年この季節になると大学関係のイベントがあって、俺は毎年その行事に参加している。
実家付近で就職した彼女も、毎年わざわざ駆けつけることを俺は知っていた。
俺は近くまで行っては顔だけ見て帰ってくる、なんてことを数年繰り返していた。なんか話づらかった。お互い妙な照れがあったと思う。
二人が付き合いだしたのは5年前の6月、別れたのは9月。たった三ヶ月という短い夏だったが、あの頃が一番楽しかった。
俺の人生初めての彼女であり、浮かれてたあの夏。
思い出されるのは、5年前の同じ行事の後、俺は当時の親友に「俺彼女ができたんだ」と酔っ払いながら告白したことである。
それは深い深い事情があって、二人の仲は周りには秘密だった。
そして秘密のまま終わった。
さて、ずっとまともに話せないでいた俺は、なぜか彼女を電話で呼び出すことに成功した。1度目の電話には出なかったが、懲りずにもう1度かけたのが幸いしたのだと思う。
ずっとまともに話せないでいたわけだが、ずっとまともに話したかった。いろいろ話したいことが山盛りだった。たとえ今の彼女には関係ないとしても。
今年たまたまそうなったのは、彼女が俺の次に付き合った彼氏と別れたから、というのは一因として当然あるだろうが、俺が大学を卒業して働き始めたから(フリーターだが)ということや、二人の気まぐれなどが偶然重なって実現したのだと思う。
話の中身は全然大したことない(笑)
行事に即した世間話を少々と、俺の今の生活ぶりについて少々。
印象に残っている点は、煙草を変えたことを指摘されたことだ。
マイセン・ライトからフィリップモリス・ライトへ変えたわけだが、軽薄な感じの煙草の包装紙が俺に似合う、と俺は茶化して言った。
彼女は煙草は吸わない(はず)。
当時、彼女は体が弱かったので、俺は最初は控えていた。
すぐに普通に吸うようになったけど(笑)
彼女が当時俺に言った台詞が思い出される。
この煙草の匂いが俺の匂いだ、と。
そんな回想を交えつつ、魔法の時間を過ごした。
時間にしてわずか10分ほどだった。
俺はその魔法が切れないでほしかった。
もっともっと話したいことがある。
くだらない話かもしれないが、もっともっと聞いてほしかった。
しかし現実は甘くない。
彼女は友達と約束があると言って話を打ち切った。
俺はいつものように「えー」と言って、一瞬だけ駄々をこねたが、すぐに「じゃ、戻ろう」と素直に聞き入れた。
「こんなに聞き分けのいい俺は気持ち悪いな」
俺はそう言いながら彼女とほんの数十m歩いた。
彼女も笑ってうなずいていた。
そして、彼女が友達と合流する手前で、俺は立ち止まった。
二人の間に、またいつもの距離ができる。
彼女が振り向いたので、俺は彼女のカバンを「ポンッ」と叩いて、そのまますれ違った。
そして魔法はその効力を失った。
シンデレラの魔法は、切れるとまたいつもの現実に戻ってしまう。
シンデレラの場合はハッピーエンドだが、俺の場合はバッドでしかもエンドじゃない。
人生は長い(ぁ
ひとしきり飲んで、家路についた。
その間、友達のカップルのいざこざを仲裁(?)してやったりしてた。
相変らずのお人よしっぷりである。
ほんまに、早く俺に心配かけないようになってください。頼みますよ。
家に着いたのは22時半頃だと思う。
そのまま寝た。
途中、宴会の誘いがあったが、その電話には全く気づかなかった。
そして今に至るわけだが、、、
明日もバイトなのでもう寝ます。
そうそう、肝心なことをまだ書いてなかったや。
俺は今でも彼女のことを好きなんだと思う。
別にどうこうしようというわけではないのだけれども。
どうか彼女がいつまでも笑顔を絶やしませんように。
(この物語はフィクションです)
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