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<p>707 名前:<strong><font color= "#009900">投下します</font></strong><font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font> [] 投稿日:2005/11/02(水)23:14:49 ID:ie33FbaMO</p> <p>漆黒の夜空から無数に降り続く雨…<br> 山々に囲まれた周りの景色はまさに黒一色、数少ない外灯の明かりに照らされた雨は光輝く無数の線になっていた<br> 俺の名前は荒巻スカルチノフ、大学四年生<br> 平穏な大学生活を送っていたある日、かろうじて聞き覚えのある程度の母方の従姉妹から手紙が来た<br> 祖父が危篤なので親戚に集まって欲しいとの事らしい<br> 祖父にあったことすらなかった…<br> 俺には母も父もいない…母は俺が産まれてすぐ自殺し、父は行方すら知らない<br> 親戚は誰一人俺を助けることなく、俺は施設で育った<br> 今まで放っておいた俺に今更何の用があるのか…釈然とはしなかったが、祖父の住む片田舎まで一張羅のスーツを着込み、スクーターに乗りやって来た<br> 「全く…雨といいじいさんといい…いい迷惑だぜ、ったく…」<br> やっとみつけた自販機でお茶を買う、そして自販機に寄りかかり、懐からたばこを取りだし火を点ける<br> 自販機は雨に濡れていたけれど、自分の体もびしょ濡れだったので気にならなかった<br> むしろずっと背筋を伸ばして運転してきたのでその感触が心地良かった<br> 「このへんのはずなんだけどな…」<br> 雨に濡れ、インクがにじんだ地図を取り出す<br> 「あ、明かり…」周りを見回すとかすかに集まっている小さな光の群れが見えた<br> 「あと…少しか、やれやれ…」<br> 短くなった煙草を側溝に捨て、再びバイクのステアリングを握る</p> <p>708 名前: <font color="#009900">◆iQO/KNrhZ.</font> []投稿日:2005/11/02(水) 23:31:20 ID:ie33FbaMO</p> <p> その集落はほんとうに小さな集落だった、外灯もほとんどない、暗い街並み<br> あと少しで目的の家まで着く、夜も遅かったし、飛び出してくる人間などいないだろう<br> そう思い知らずとスロットルを握る手に力が入っていた<br> その時だった、目の前をとっさに横切る影<br> 女の子「?!」<br> 「!!??」<br> キキキ~ドガン</p> <p><br> 気が付くと顔に無数の雨が降り注いでいた…何が…起こった?<br> ふと頭から液体の垂れる感触が伝わってくる、掌で押さえてみるとぬるっとした感触…赤い液体、同時に頭に走る激しい痛み<br> 「い…痛ぇ…」<br> それでも立ち上がり、周りの状況を把握しようとする<br> 女の子「…痛い…痛いよぅ…」<br> 苦痛に震える弱々しい声…俺はまさか<br> 「うがぁ…」<br> 再び頭に襲いかかる激痛、俺は立っていられずにその場に再び倒れ込む<br> そして俺の意識は黒い巨大な闇に飲み込まれていった…</p> <p><br> 715 名前: <font color="#009900">◆iQO/KNrhZ.</font> []投稿日:2005/11/02(水) 23:58:44 ID:ie33FbaMO</p> <p>ざぁ……<br> 降り頻る雨の音に目を覚ます<br> 「ここ…は?いてっ…」<br> 再び目覚めた時、俺は畳の和室にひかれた布団の中にいた、かすかに残る頭の鈍い痛み<br> 頭には包帯が巻かれていた、腕にも包帯が巻かれていたけれどこっちはあまり痛みが気にならなかった<br> 「俺は…なんで…ここに?」<br> 頭を整理してもう一度思い出してみる<br> 俺の名前は?荒巻スカルチノフ22才<br> どうしてここに?じいさんに会いに<br> 何で寝てる?…事故…ったから?<br> そのとき、廊下を歩く足音が聞こえてきた<br> 部屋に入ってくるその足音、そして俺の枕元に座る<br> きれいな女の人だった、高い背、長い髪、年は俺と同じか少し上くらいだろうか?憂いを帯びた表情で俺を見つめていた<br> 「?!」突如その女の人の瞼から流れる涙<br> 「あ…あの?」不安になり問掛けてみる俺<br> 女の人「あ、は、はい。き、気付かれたんですか?」急に問掛けられて驚いた様子<br> 「は、はい、はじめまして…」何言ってんだ俺(笑)<br> 女の人「あ、ごていねいにどうも…はじめまして、わたし…ハルカと申します…」<br> 「申し遅れてすみません荒巻です…って一つ聞いてもいいですか?」<br> きょとんとして俺をみるハルカさん<br> ハルカ「は、はいどうぞ…」<br> 「俺を見て泣いていたみたいなんですけど…俺、そんなに悪いんですか?」<br> ハルカ「い、いえ傷事態はそんなに深くないってお医者様が言っていました…<br>  荒巻さんが運ばれた時、頭からひどく血が出てたの思い出してしまって…私すぐ泣いてしまうんです…」</p> <br> <p>736 名前: <font color="#009900">◆iQO/KNrhZ.</font> []投稿日:2005/11/03(木) 20:48:06 ID:gCbgXcSVO</p> <p> 泣き虫なのか…でも見知らぬ俺が事故ったくらいで何故泣くのだろう?頭に浮かぶ疑問<br> 「そうなんですか…所で一つ聞いてもいいですか?」<br> 遥「はい…どうぞ」<br> 「俺を助けてくれたという事なんですか?それとここはどこなんですか?」<br> 遥「昨夜、音に気付いた近所の方がお医者様に知らせてくださったそうです、それほどひどい怪我という事でこちらに運びました<br>  そしてここは、私の実家です…そして荒巻さんの実家…でもあります」<br> ということは…ここはじいさんの家か、そして実家が同じと言うことは…<br> 遥…あ、思い出す手紙の差出人、確か遥って書いてあった<br> 「従姉妹…の?」<br> 遥「そうです。思い出していただけましたか?初めましてではないんですよ」<br> 嬉しそうに声を弾ませる遥さん<br> 頭の中で探してみる記憶…遥…う~ん…見付からない…<br> 「ごめん、頭打ったからかもしれないけど記憶にあまり…」<br> 遥「酷い…」じわっと溢れる涙、焦る俺<br> 「お、思い出しました…え、と…ちっちゃいころよく遊びましたよね?」じっと俺をみる遥さん<br> 遥「優しいんですね(笑)」<br> 「あははは…」<br> 俺達はしばらく他愛のない話をしていた</p> <p> 「そう言えば、爺さんの容態って…どうなんですか?あんまり良くないんですか?てかここにいるんですか?」<br> 一瞬曇る遥さんの表情遥「おじいさんは…」<br> 次の瞬間優しい微笑みを俺に向けてくれる<br> 遥「今のところ、大丈夫です…だいぶ落ち着いているってお医者さんもおっしゃっていました。ここにおじいさんはいません…私の家に来ています。<br> 私は荒巻さんのお世話をするためにしばらくこちらにいますのでよろしくお願いします」</p> <br> <p>737 名前: <font color="#009900">◆iQO/KNrhZ.</font> []投稿日:2005/11/03(木) 21:12:35 ID:gCbgXcSVO</p> <p>「世話だなんてわざわざ悪いです」<br> 遥「おじいさんここで一人暮らしをしていました…病気になって看病するときに一人だと何かと都合が悪いので私の家にくることになりました<br>  おじいさんからも言われていますので何なりと言って下さいね、私料理は得意ですよ(笑)」<br> くすりと笑う遥さん<br> まぁきれいな従姉妹がご飯つくってくれるのだから断る理由は何もない<br> 「じゃあ…よろしくお願いします」<br> 遥「こちらこそ。じゃあ私、これから買い物に行きます。夕食までゆっくり休んでいてください」<br> ぺこりと頭を下げて部屋から出ていく遥さん</p> <p>部屋の周りを見渡すと、スーツがかけてあった<br> その中から煙草を取りだし火をつける<br> 「ふぅ~…」<br> 頭の中を整理してみる。俺は昨日の夜事故った、そしてここに運ばれた…あの時確かに聞こえた女の子の泣き声…どうなったんだろうあの子、てか俺ひき逃げ?<br> でもおかしい…激突の音を聞いた近所の人が俺を助けてくれたと遥さんは言っていた<br> ならひかれた女の子もその場にいたはず…何故何も遥さんはその子の話をしないのだろうか?幻だった…?<br> 「あ、灰が落ちる…灰皿灰皿」きょろきょろあたりを見回す、しかしそれらしきものはなかった…<br> 仕方なく縁側から庭に灰を落とす<br> 「ジュース買ってきて、そんなかでも灰ためるか…」<br> 喉も乾いていたので外に出てみることにする<br> 雨はまだぱらぱらと降り続いていたけど構わずに外に出てみる<br> 「気持ちいいな…雨」<br> しばらく歩くとバス停と隣り合うように自販機を見つける<br> 「バス…あるんだ」これに乗ってくれば事故らなかったわけだ…あの子にも痛い思いさせずにすんだのに<br> そのとき前方から明かりの線が迫ってきた、バスがちょうど来たらしい</p> <br> <p>738 名前: <font color="#009900">◆iQO/KNrhZ.</font> []投稿日:2005/11/03(木) 21:32:03 ID:gCbgXcSVO</p> <p> ほどなくバス停の前でバスが停車した、誰か降りるらしかった<br> バスから開く傘の花<br> 「あ…」俺は見覚えのある顔を見つける<br> 頬に大きな絆創膏、右手にギプス、右足に包帯が巻かれていたけれど…昨日の夜、バイクから見た女の子に違いなかった<br> 「あ、あの…」俺はどうしていいのかわからずにとりあえずその子に語りかけようとする<br> こちらをきっとにらむ女の子、意思の強そうな瞳、整った顔立ち、長い髪を二つに束ねていた<br> 女の子「……ろし…」<br> 「え?今なんて…?」女の子「人殺し…」<br> 衝撃を受けるその言葉、と同時に認識されるあの事実<br> 「俺…昨日の夜、バイクで君を…?」<br> 女の子「うるさい…しゃべるな…死ね!」<br> 「な…」<br> たたたた<br> 走り去る女の子<br> 確かな事がある、俺は昨日あの子をバイクではねた…そしてあの怪我を負わせてしまったらしい…<br> 胸に迫り来る罪悪間とともにむくむくと沸き上がる怒りの感情<br> 「てか、死ねとか人殺しとか…確かに俺が悪いけど初対面の人間に言うことじゃないよな…」<br> ここで降りたと言うことはこの集落の人間なんだろうか…<br> 加害者は俺なわけだから、また、顔をあわせたりしなきゃいけないだろう<br> いずれ警察に出頭していろいろ事情聞かれたり、慰謝料出したりしなきゃいけないんだろうな…<br> 自分の不注意が悔やまれた<br> 「でも…『死ね』はないよな…」<br> 当初の予定を忘れ、とぼとぼとじいさんの家に戻る俺</p>
<p>707 名前:<strong><font color= "#009900">投下します</font></strong><font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font> [] 投稿日:2005/11/02(水)23:14:49ID:ie33FbaMO</p> <p>漆黒の夜空から無数に降り続く雨…<br> 山々に囲まれた周りの景色はまさに黒一色、数少ない外灯の明かりに照らされた雨は光輝く無数の線になっていた<br> 俺の名前は荒巻スカルチノフ、大学四年生<br> 平穏な大学生活を送っていたある日、かろうじて聞き覚えのある程度の母方の従姉妹から手紙が来た<br> 祖父が危篤なので親戚に集まって欲しいとの事らしい<br> 祖父にあったことすらなかった…<br> 俺には母も父もいない…母は俺が産まれてすぐ自殺し、父は行方すら知らない<br> 親戚は誰一人俺を助けることなく、俺は施設で育った<br> 今まで放っておいた俺に今更何の用があるのか…釈然とはしなかったが、祖父の住む片田舎まで一張羅のスーツを着込み、スクーターに乗りやって来た<br> 「全く…雨といいじいさんといい…いい迷惑だぜ、ったく…」<br> やっとみつけた自販機でお茶を買う、そして自販機に寄りかかり、懐からたばこを取りだし火を点ける<br> 自販機は雨に濡れていたけれど、自分の体もびしょ濡れだったので気にならなかった<br> むしろずっと背筋を伸ばして運転してきたのでその感触が心地良かった<br> 「このへんのはずなんだけどな…」<br> 雨に濡れ、インクがにじんだ地図を取り出す<br> 「あ、明かり…」周りを見回すとかすかに集まっている小さな光の群れが見えた<br> 「あと…少しか、やれやれ…」<br> 短くなった煙草を側溝に捨て、再びバイクのステアリングを握る</p> <p>708 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/11/02(水) 23:31:20 ID:ie33FbaMO</p> <p> その集落はほんとうに小さな集落だった、外灯もほとんどない、暗い街並み<br> あと少しで目的の家まで着く、夜も遅かったし、飛び出してくる人間などいないだろう<br> そう思い知らずとスロットルを握る手に力が入っていた<br> その時だった、目の前をとっさに横切る影<br> 女の子「?!」<br> 「!!??」<br> キキキ~ドガン</p> <p><br> 気が付くと顔に無数の雨が降り注いでいた…何が…起こった?<br> ふと頭から液体の垂れる感触が伝わってくる、掌で押さえてみるとぬるっとした感触…赤い液体、同時に頭に走る激しい痛み<br> 「い…痛ぇ…」<br> それでも立ち上がり、周りの状況を把握しようとする<br> 女の子「…痛い…痛いよぅ…」<br> 苦痛に震える弱々しい声…俺はまさか<br> 「うがぁ…」<br> 再び頭に襲いかかる激痛、俺は立っていられずにその場に再び倒れ込む<br> そして俺の意識は黒い巨大な闇に飲み込まれていった…</p> <p><br> 715 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/11/02(水) 23:58:44 ID:ie33FbaMO</p> <p>ざぁ……<br> 降り頻る雨の音に目を覚ます<br> 「ここ…は?いてっ…」<br> 再び目覚めた時、俺は畳の和室にひかれた布団の中にいた、かすかに残る頭の鈍い痛み<br> 頭には包帯が巻かれていた、腕にも包帯が巻かれていたけれどこっちはあまり痛みが気にならなかった<br> 「俺は…なんで…ここに?」<br> 頭を整理してもう一度思い出してみる<br> 俺の名前は?荒巻スカルチノフ22才<br> どうしてここに?じいさんに会いに<br> 何で寝てる?…事故…ったから?<br> そのとき、廊下を歩く足音が聞こえてきた<br> 部屋に入ってくるその足音、そして俺の枕元に座る<br> きれいな女の人だった、高い背、長い髪、年は俺と同じか少し上くらいだろうか?憂いを帯びた表情で俺を見つめていた<br> 「?!」突如その女の人の瞼から流れる涙<br> 「あ…あの?」不安になり問掛けてみる俺<br> 女の人「あ、は、はい。き、気付かれたんですか?」急に問掛けられて驚いた様子<br> 「は、はい、はじめまして…」何言ってんだ俺(笑)<br> 女の人「あ、ごていねいにどうも…はじめまして、わたし…ハルカと申します…」<br> 「申し遅れてすみません荒巻です…って一つ聞いてもいいですか?」<br> きょとんとして俺をみるハルカさん<br> ハルカ「は、はいどうぞ…」<br> 「俺を見て泣いていたみたいなんですけど…俺、そんなに悪いんですか?」<br> ハルカ「い、いえ傷事態はそんなに深くないってお医者様が言っていました…<br>  荒巻さんが運ばれた時、頭からひどく血が出てたの思い出してしまって…私すぐ泣いてしまうんです…」</p> <br> <p>736 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/11/03(木) 20:48:06 ID:gCbgXcSVO</p> <p> 泣き虫なのか…でも見知らぬ俺が事故ったくらいで何故泣くのだろう?頭に浮かぶ疑問<br> 「そうなんですか…所で一つ聞いてもいいですか?」<br> 遥「はい…どうぞ」<br> 「俺を助けてくれたという事なんですか?それとここはどこなんですか?」<br> 遥「昨夜、音に気付いた近所の方がお医者様に知らせてくださったそうです、それほどひどい怪我という事でこちらに運びました<br>  そしてここは、私の実家です…そして荒巻さんの実家…でもあります」<br> ということは…ここはじいさんの家か、そして実家が同じと言うことは…<br> 遥…あ、思い出す手紙の差出人、確か遥って書いてあった<br> 「従姉妹…の?」<br> 遥「そうです。思い出していただけましたか?初めましてではないんですよ」<br> 嬉しそうに声を弾ませる遥さん<br> 頭の中で探してみる記憶…遥…う~ん…見付からない…<br> 「ごめん、頭打ったからかもしれないけど記憶にあまり…」<br> 遥「酷い…」じわっと溢れる涙、焦る俺<br> 「お、思い出しました…え、と…ちっちゃいころよく遊びましたよね?」じっと俺をみる遥さん<br> 遥「優しいんですね(笑)」<br> 「あははは…」<br> 俺達はしばらく他愛のない話をしていた</p> <p> 「そう言えば、爺さんの容態って…どうなんですか?あんまり良くないんですか?てかここにいるんですか?」<br> 一瞬曇る遥さんの表情遥「おじいさんは…」<br> 次の瞬間優しい微笑みを俺に向けてくれる<br> 遥「今のところ、大丈夫です…だいぶ落ち着いているってお医者さんもおっしゃっていました。ここにおじいさんはいません…私の家に来ています。<br> 私は荒巻さんのお世話をするためにしばらくこちらにいますのでよろしくお願いします」</p> <br> <p>737 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/11/03(木) 21:12:35 ID:gCbgXcSVO</p> <p>「世話だなんてわざわざ悪いです」<br> 遥「おじいさんここで一人暮らしをしていました…病気になって看病するときに一人だと何かと都合が悪いので私の家にくることになりました<br>  おじいさんからも言われていますので何なりと言って下さいね、私料理は得意ですよ(笑)」<br> くすりと笑う遥さん<br> まぁきれいな従姉妹がご飯つくってくれるのだから断る理由は何もない<br> 「じゃあ…よろしくお願いします」<br> 遥「こちらこそ。じゃあ私、これから買い物に行きます。夕食までゆっくり休んでいてください」<br> ぺこりと頭を下げて部屋から出ていく遥さん</p> <p>部屋の周りを見渡すと、スーツがかけてあった<br> その中から煙草を取りだし火をつける<br> 「ふぅ~…」<br> 頭の中を整理してみる。俺は昨日の夜事故った、そしてここに運ばれた…あの時確かに聞こえた女の子の泣き声…どうなったんだろうあの子、てか俺ひき逃げ?<br> でもおかしい…激突の音を聞いた近所の人が俺を助けてくれたと遥さんは言っていた<br> ならひかれた女の子もその場にいたはず…何故何も遥さんはその子の話をしないのだろうか?幻だった…?<br> 「あ、灰が落ちる…灰皿灰皿」きょろきょろあたりを見回す、しかしそれらしきものはなかった…<br> 仕方なく縁側から庭に灰を落とす<br> 「ジュース買ってきて、そんなかでも灰ためるか…」<br> 喉も乾いていたので外に出てみることにする<br> 雨はまだぱらぱらと降り続いていたけど構わずに外に出てみる<br> 「気持ちいいな…雨」<br> しばらく歩くとバス停と隣り合うように自販機を見つける<br> 「バス…あるんだ」これに乗ってくれば事故らなかったわけだ…あの子にも痛い思いさせずにすんだのに<br> そのとき前方から明かりの線が迫ってきた、バスがちょうど来たらしい</p> <br> <p>738 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/11/03(木) 21:32:03 ID:gCbgXcSVO</p> <p> ほどなくバス停の前でバスが停車した、誰か降りるらしかった<br> バスから開く傘の花<br> 「あ…」俺は見覚えのある顔を見つける<br> 頬に大きな絆創膏、右手にギプス、右足に包帯が巻かれていたけれど…昨日の夜、バイクから見た女の子に違いなかった<br> 「あ、あの…」俺はどうしていいのかわからずにとりあえずその子に語りかけようとする<br> こちらをきっとにらむ女の子、意思の強そうな瞳、整った顔立ち、長い髪を二つに束ねていた<br> 女の子「……ろし…」<br> 「え?今なんて…?」女の子「人殺し…」<br> 衝撃を受けるその言葉、と同時に認識されるあの事実<br> 「俺…昨日の夜、バイクで君を…?」<br> 女の子「うるさい…しゃべるな…死ね!」<br> 「な…」<br> たたたた<br> 走り去る女の子<br> 確かな事がある、俺は昨日あの子をバイクではねた…そしてあの怪我を負わせてしまったらしい…<br> 胸に迫り来る罪悪間とともにむくむくと沸き上がる怒りの感情<br> 「てか、死ねとか人殺しとか…確かに俺が悪いけど初対面の人間に言うことじゃないよな…」<br> ここで降りたと言うことはこの集落の人間なんだろうか…<br> 加害者は俺なわけだから、また、顔をあわせたりしなきゃいけないだろう<br> いずれ警察に出頭していろいろ事情聞かれたり、慰謝料出したりしなきゃいけないんだろうな…<br> 自分の不注意が悔やまれた<br> 「でも…『死ね』はないよな…」<br> 当初の予定を忘れ、とぼとぼとじいさんの家に戻る俺</p> <br> <p>740 名前: <font color="#009900">◆iQO/KNrhZ.</font> [] 投稿日:2005/11/03(木) 22:03:27 ID:gCbgXcSVO<br> やっぱ今回のなかったことにしてくだされ…<br> インスパイヤはやっぱ難しい…しばらくROMります<br> ◆Qvzaeu.IrQさん後は任せた</p>

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