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<p><br> 888 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[長編投下してもよろしいでしょうか?]投稿日:2005/10/12(水)20:41:42 ID:K3IttJIJO<br> 私の名前はツン<br> しとしとと小雨が降り続くうっとうしい昼下がり、私は学校を早退して少し早い家路に着いていた。<br> 「お腹が痛い」<br> そう言うと担任はいつものように<br> 「お大事に」と一言だけ声をかけ早退届けに判を押し私に渡す。<br> お腹なんて別に痛くない、ただつまらない学校にいるのが耐えられなかった。<br> いつからだろうか、他人と自分との間に壁を感じるようになったのは…<br> きっと、小さな頃大好きだった隣の男の子が急に引っ越してしまったあの時からだと思う。<br> 大好きだった。毎日日が暮れるまで一緒に遊んでた。<br> 幼な心ながら結婚の約束もしていた、おもちゃのリングをもらって左手の薬指にはめてもらってすごく嬉しかったの覚えてる。<br> …それがある日急に、いなくなった。私に一言も言わずに…<br> 親からは父親の仕事の都合で急に引っ越すことになったって聞かされたけど、幼かった私の心はひどく傷付いた。大好きだったあの男の子が急に目の前からいなくなったこと、そして何も私に伝えずに去っていったこと。<br> 私は、部屋にとじこもり毎日泣いていた。<br> 誰の説得も聞こえなかった。<br> <br> そして時は流れ、活発だった私はいつのまにか人との付き合いを拒む人間になっていた。<br> いつものように学校を早退し、家の近くの道路を横断しようとしていたその時だった<br> <br> ( ^ω^)「ブーーーン!?」<br> 「え!?」<br> 傘のせいで視界が悪かったのもあったけど、よく左右の確認をしないで飛び出してしまった<br> 「きゃーっ」<br> ききききききーっっ<br> どかんっ<br> ぼふっ<br> ( ^ω^)「い、痛いお…」<br> <br> 私を避けようとして急にハンドルを切り、横転するスクーター。<br> しかし運良くその先にあるゴミ収集所に頭から突っ込む運転手<br> <br> <br> 894 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/12(水) 21:14:55 ID:K3IttJIJO<br> 漫画にでてくる一コマのような風景だった、頭がゴミに埋もれ足がゴミから生えている。<br> 笑ってははいけないと思ったけど、つい体が反応してしまった。<br> あ、私笑ったのいつ以来だろうと思いながら<br> その笑い声に反応するようにもぞもぞと運転手が体を動かす<br> (#^ω^)「わ、笑ってないで手伝って欲しいお~」<br> ゴミの下からかすかに声が聞こえる、私は我に帰り、周りのゴミをどけるのを手伝う<br> 全身びしょびしょになった状態で運転手が私に謝罪と感謝をのべる<br> (^ω^)「助けてくれてありがとうだお。その前にひきそうになってごめんだお…怪我はなかったかお?」<br> 急に飛び出したのは私なのに謝られる<br> 「え、えぇ大丈夫です、飛び出してごめんなさい。怪我はなかったですか?」<br> と言うつもりだったのに声がでない、普段あまりしゃべらないからなのかもしれない<br> その沈黙に耐えかねるかのように運転手が言葉を重ねる<br> (^ω^)「…許して欲しいお、いいわけになるかもしれないんだけど久々にこの町帰ってきて周りの景色に気をとられてたお…ほんとにごめんだお」<br> ふと感じる懐かしい雰囲気、言葉遣い、慌てて運転手の顏を見上げてみる<br> ある一人の小さな男の子と顏がだぶる、引っ越してしまったあのブーンに<br> 「ブ、ブーン……なの?」<br> ( ^ω^)「え?何でブーンの名前知ってるお?」<br> <br> <br> <br> 900 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/12(水) 21:23:39 ID:K3IttJIJO<br> もしかしたら板違いかなっていつも思ってます、<br> お気に召されない方はNG登録お願いします。<br> 続きは明日うpします<br> <br> 920 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[ちょい早めに出来たので投下します]投稿日:2005/10/13(木)00:29:12 ID:+yjioRjeO<br> 「………」<br> 懐かしさと何とも言えない胸を締め付けるような感触に言葉が詰まる。<br> (^ω^)「ブーンの事知ってるのかお?でもごめんだお…君の事、思い出せないお…この辺りに住んでるのかお?」<br> 「!!!」<br> 今になって冷静に考えれば事故のすぐ後だったから混乱していただろうし、唐突の九年振りの再会だったから忘れていてもしかたないのだけど…<br> その時の私はそんな事考えている余裕はなかった、忘れられていた事がどうしても許せなかった<br> 「…知らない。ゴミ臭いから近寄らないで、制服が汚れる」<br> そう吐き捨てて逃げるようにその場を立ち去った<br> (;^ω^)「……」<br> <br> 私は知らないうちに泣いていた。素直になれなかった自分に対しての後悔、こんなに想っていた私を忘れていたブーンへの怒りと悲しみ。複雑な気持ちが入り乱れ涙となって私の頬を濡らしていた<br> <br> <br> <br> <br> 983 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/13(木) 19:45:35 ID:+yjioRjeO<br> 傘もささず走って帰って来たからだろうか<br> 家に着く頃にはひどい頭痛に襲われた<br> 家に着くと何故か弟が一人出迎えてくれた。<br> ツ弟「ねぇちゃん何でびしょ濡れなの~?あ、もしかしてふられたの~?」<br> 明るい弟の声も今の私には鬱陶しいだけだった<br> 「黙れ」<br> キッとにらむとびくっとなるが更に言葉を続ける弟<br> ツ弟「今日ねぇ、懐かしい人が後でうちにくるんだって~、ねぇちゃんも知ってる人って母さんいってたよ」<br> にやにやとしつこく私につきまとう弟<br> 頭痛のせいもあり何もかも無気力になっていた私には、弟の声は届かなかった<br> ツ弟「ちょwwwねぇちゃん聞いてよ、来るのブ…兄…」その言葉を無視するように、自分の部屋に急ぐ。今は何も考えずただ横になりたかった<br> <br> <br> 雨はさらに強くなっていた、屋根を叩く雨音の大きさに目を覚ます<br> 時計を見ると五時を少し過ぎたところを指していた、三時間ほど眠ってしまっていたみたい<br> 下からは楽しげな笑い声がかすかに聞こえる、弟の言っていたお客さんがきているようだ。<br> 楽しげな声も今の私には雑音にしか聞こえない、頭が少しすっきりしていたので昼のことを思い出す。<br> <br> 私はブーンに会った。ずっと会いたいと思ってた人。でもブーンは私の事おぼえてなかった<br> 忘れられて悔しい気持ちと、会いたいという気持ちがぐしゃぐしゃになり私の頭をかきみだす<br> 私の八歳の誕生日にブーンにもらった蛙の縫いぐるみを抱き締め不意に私の口から言葉が漏れる<br> 「ブーン…私のこと…忘れちゃったの?」<br> 言葉と一緒に私の瞼から一筋の涙がこぼれる<br> <br> そのとき<br> がらっ<br> 不意に私の部屋のドアが開く<br> <br> 997 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/13(木) 20:46:10 ID:+yjioRjeO<br> ツ弟「ねぇ~ちゃん」<br> びくっとなる私、とっさに腫れた目をかえるで隠す、そして消え入るような声で呟く<br> 「出ていけ、それとノックしないで入るなッ…」<br> 私の言葉を無視するようにまくしたてる弟<br> ツ弟「お客さんくるっていったじゃん?ねぇちゃんに会いたいんだって」<br> 「知るか、私は…忙し、い…出ていけ」<br> ツ弟「どうみても寝起きじゃん(笑)髪ボサボサだしぃ」<br> 「あ…」<br> 慌てて鏡をのぞく、雨に濡れてろくに拭かずに横になったためかところどころ外に跳ねている。<br> 「う、うるさい、い、いいから出ていけ」<br> ツ弟「わかったよ、俺は下戻るね~、じゃごゆっくり~」<br> 手を振って出て行く弟<br> 「な…ま、待ってだ、誰…」<br> 私が言い終わる前にその客は部屋の中に入ってきた<br> (^ω^)「昼間はごめんだお…とっさの事でツンの顏思い出せなかったぉ、ほんとに久しぶりだお」<br> 「……?!」<br> 突然のことに状況が把握できなくなる、どうしてブーンが目の前に?<br> 目を見開いて驚く私に優しく語りかけるブーン<br> (^ω^)「今日、またこの近くに越してきたお。昔みたいになかよくしてくれるとほんと嬉しいお」<br> 「……」<br> 私はまだ黙っていた、と言うか何を話していいのかわからずに唇をぎゅっと噛んでうつむいていた<br> (^ω^)「そのぬいぐるみ懐かしいお…まだ使っててくれたなんて感激だお」<br> <br> ブーンの昔と変わらない優しい語りかけに、確かに少しずつ私の凍っていた心が溶けていくのを感じていた<br> だけど私の口から出るのは違う言葉…<br> 「…ていけ…」<br> (;^ω^)「え?」<br> 「…出ていけ…」<br> <br> <br> 19 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/13(木) 22:44:50 ID:+yjioRjeO<br> (;^ω^)「ツ、ツン…」<br> 感情のたかぶりが一気に私を襲う<br> 「気安く名前呼ばないでッ!ブーンなんて…ブーンなんて…」<br> 大粒の涙とともに、ブーンをなじる言葉が濁流となって溢れ出る<br> 「お嫁さんにしてくれるって約束したのに…何も言わないでいなくなってッ…<br> あの時私がどれだけ泣いたか、どれだけ悲しい思いしたか…ブーンにはわかんないっ…<br> …帰って…出てって…顏、みたくないっ!ひっく、ぐす…」<br> <br> 何も言わずじっと私を見つめるブーン、そしてゆっくりと私に向かって手を伸ばす<br> 「あっ…」<br> わたしの頭に優しく触れる、暖かくて大きな手<br> よくつないでいたあの小さかった掌が、今はすっかり大人の手になっていた<br> ( ^ω^)「ごめんだお、ツン…」<br> ブーンが優しく呟く。その暖かい体温に私の心は少しずつ平静を取り戻していった<br> そして、私の頭に手をおいたままゆっくりと語り出す<br> (^ω^)「引っ越す二日前に両親からその事聞いたお…ブーンはこの町から絶対離れたくなかったお。<br>  だからブーン引っ越す前の日に家出したお、子ども心に一人でこの町で生きるんだって決心したお。<br> 今日みたく雨の強い日だったお、さんざん走り回って結局近所の公園で隠れてたら頭がふらふらして意識がなくなったお…<br> 気付いたら、もう引っ越し終ってたお…知らないうちに連れてかれてしまったお<br> ブーン寂しくて、悲しくてずっとずっと泣いてたお…<br>  一月くらいツンに会いたい、ツンに会いたい、それしか言わなかったらしいお…」<br> <br> <br> <br> 77 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/15(土) 01:39:47 ID:wlf6uecPO<br> (^ω^)「でもブーン思ったお。泣いて家にとじこもってばかりいたらきっとツンに嫌われる<br> そう思ってブーン泣くの止めたお。いつかツンに会えるその時まで、泣かないで頑張るって決めたお<br>  あれから九年も経ってしまったけど、ブーン頑張って生きてきたお。そうしてやっと、この町に帰ってくる事できたお<br> 別れたあの日から、ツンの事忘れたこと、なかったお。<br> またツンと会えてブーンとっても嬉しいお…だから、だから泣かないで欲しいお…」<br> <br> 新しい土地で前向きに生きてきたブーン。<br> 寂しさに負けて自分の殻に閉じ籠もり、人との関わりを拒む嫌な女になってしまった私…<br> ブーンの暖かい言葉も、今の私には素直に喜ぶ事が出来なかった。今までの私がみじめで…仕方なかった<br> 私の心は、また暗く沈んでしまった<br> 「別にもう…いいよ、今は彼氏がいて幸せに暮らしてるし。ただ、黙っていなくなられたのがショックだっただけだから。<br>  泣いたの、気にしないで…寝起きで少し混乱してただけ、ごめんね。彼氏がやきもちやくから、もう帰って。わざわざ来てくれてありがとう…」<br> 口から出るでまかせ…<br> (^ω^)「え?そ、そうなのかお?彼氏いるの知らずに部屋にあがってごめんだお…<br> じ、じゃブーンもう帰るお。ほんとに今日は危険な目に遭わせてわるかったお…<br>  そうだお、明日からブーンもツンと同じ〇〇高校に転校する事になってるお、じゃまた学校で。」<br> 慌てて部屋から出ていくブーン、扉ががちゃりと閉まる…<br> ブーンが出ていった扉を見つめる…<br> 私の嘘をなんの疑いもなく信じるブーン<br> もう自分が情けなくて、切なくて、涙が止まらなくなる<br> <br> <br> <br> 107 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[回想編]投稿日:2005/10/15(土) 20:40:36 ID:wlf6uecPO<br> 知らない間に眠っていたみたいだった<br> 窓からはまぶしい朝日が私の顏を照らす<br> 窓を開けると雲ひとつない一面の青空、ここちよいそよ風が私のほほをなでる<br> 「気持いい…」<br> お日様に向かってゆっくり大きくのびをする(「・ω・)「がおー<br> すると下から元気な顏が聞こえる<br> ( ^ω^)「ツーン、あ~そ~ぼ~」<br> 「ブーンおはよ~、今行くからちょっと待ってて」<br> (^ω^)「じゃ10数えるお~、それまで出てこなかったら今日はブーンがお母さん役やるお~」<br> 「だめ~、お母さんは私がやるんだからぁ、意地悪しないでまっててよぉ!!」<br> 私の声を無視して数え出すブーン、でも私は知っていた。ブーンは5までしかかぞえられない事<br> (^ω^)「いーち、にー、さーん、よ~ん、ごー…えぇと次は…さ~ん、あれ?」<br> ブーンがもたもたしている間に外に飛び出す私<br> 「わたしの勝ちだねー(*´▽`*)ムフー」<br> (;^ω^)「残念だお…まぁいいお、今日はおままごとじゃなくて結婚式ごっこするお~」<br> 「結婚式ごっこ?!やりたいやりたい~、きゃー」<br> ( ^ω^)「ツン顏真っ赤だおー、ぷにぷに」<br> からかうように私のほっぺをつっつくブーン「やめてよ~も~」<br> 言葉では嫌がりながらも私はブーンにほっぺたをさわってもらうのが大好きだった。<br> (^ω^)「じゃー、南の島で二人きりで結婚式あげるお~」<br> 「あ、でも結婚式には神父さんがいるんじゃない?」<br> ちょうど玄関のドアが開き弟が出てくる<br> ツ弟「ねぇ~ちゃん、ブーンにいちゃ~ん、ぼくもなかまにい~れ~て~」<br> (^ω^)「ちょうどよかったお、じゃツ弟に神父さん役やってもらうお」<br> ツ弟「ちんぷさん?やったー、ぼくちんぷさ~ん」<br> <br> <br> 111 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/15(土) 20:59:43 ID:wlf6uecPO<br> 弟はわかっているのかいないのか、一緒に遊んでもらえるのが嬉しいらしく大はしゃぎだった<br> ( ^ω^)「じゃ公園行くお~」<br> 「うんっ、いこいこ」<br> ツ弟「ちんぷさん~」<br> 三人で仲良く手を繋いで近所の公園に向かう<br> <br> 「じゃあいい?神父さんは二人が入ってくるのを優しく見守って、二人がきたら~『なんじブーンは新婦ツンに永遠の愛を誓いますか』って聞くのよ?」<br> ツ弟「うー、むずしいよ~」<br> ぷーっとほっぺをふくらます弟<br> (^ω^)「そんな難しいこと四歳の子にはおぼえらんないお…」<br> 今度は私がほっぺをふくらます<br> 「こういうのはりありてぃーが大事なのよ?しっかり覚えてよ」<br> ツ弟「わかんないよー、え~ん」<br> 「泣かないのっ!男でしょ?」<br> ツ弟「だってー、ねぇちゃん怖い~、え~ん」<br> さらにふくれる私と泣いている弟に優しく語りかけるブーン<br> (^ω^)「じゃあ、神父さんには立っててもらうだけでいいお、ツ弟、ここに立って待っててくれお?」<br> ツ弟「うんっ、ちんぷさんここで立ってる」<br> ( ^ω^)「じゃツン、バージンロード歩くお、いこ」<br> 私の手を取り公園の入り口まで走る<br> ( ^ω^)「行くお、ツン?」<br> 「う、うん…」<br> 恥ずかしさと嬉しさに顏が真っ赤になりうつむく私、そしてブーンの腕をぎゅっとつかむ(^ω^)「新郎新婦入場だお」<br> 二人でゆっくりと公園の鋪道を歩く、弟が待つその前まで<br> ほんの短い距離なのに、永遠に感じる幼い二人の時間<br> <br> 114 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/15(土) 21:12:32 ID:wlf6uecPO<br> ブーンが私の指におもちゃの指輪をつけてくれる<br> 「…あ」<br> (^ω^)「おこづかい、こつこつ貯めて買ったお、大事にして欲しいお」<br> 「嬉しい、ありがとうブーン↑大切にするっ、大好きだよブーン」<br> ブーンに抱きつく私、優しいブーンの顏<br> 少しずつぼやけていく…<br> <br> ざー…<br> 雨は相変わらず降り続いていた、時計を見ると朝の六時。<br> 夢を見ていた、8歳の頃、幸せだったあの頃の夢<br> 否応なく引き戻される現実、私の体は18歳の体。<br> 切なくて悲しくて眠りに入った昨日の夕方の続きの朝、何ひとつ変わらない現実…<br> <br> <br> 117 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/15(土) 22:06:29 ID:wlf6uecPO<br> 素直にブーンを好きだったあの頃…<br> 私の心はもうぐにゃぐにゃにねじ曲がってしまってきっともう、元には戻らない…<br> 今の私にブーンは眩しすぎる…<br> <br> いつものように朝御飯を食べ、学校に向かう。毎日この時間が一番憂鬱だった、長い、つまらない一日が今日もはじまる。<br> 酒屋の角を曲がると後ろからとんとんと肩を叩かれる、そんな友達はいないはずだった。怪訝そうに振り返る私<br> 「…?」ぷに。ほっぺたに指がささる<br> (^ω^)「あいかわらず柔らかいほっぺだお&amp;eおはようだお」<br> ばこん<br> 鞄の一撃をブーンの頭に炸裂させる<br> ( ^ω^)「い、痛いお…」<br> 「あ、朝から何すんのさっ!!この馬鹿男っ!ほ、ほっぺ…さ、触るな…」<br> 最後は消え入りそうな小さな声になる。朝の夢のせいだろうか、私のほっぺは真っ赤になり体温がかぁーっと上がるのを感じた。<br> その表情をみられないように早歩きでブーンを置き去りにする。<br> ( ^ω^)「ま、待って、ブーンも一緒に学校いくお~」<br> 「嫌。一人で行け」<br> (^ω^)「ひ、ひどいお~もうほっぺ触らないから許してお」<br> <br> 「次したら傘で刺すからね」<br> ( ^ω^)「しないお~、ごめんだお」<br> そうこうするうちに学校に到着する。<br> こんなに学校までの距離を近く感じたのは初めてだった<br> <br> <br> <br> 127 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/15(土) 23:43:38 ID:wlf6uecPO<br> ( ^ω^)「ツンと同じクラスになれるといいお~」<br> 学校に着くと手続きのため職員室に向かおうとするブーン<br> 「絶対嫌。とっとと職員室行け馬鹿」<br> ( ;ω;)「……」<br> あからさまに肩を落とすブーン。<br> ブーンと同じクラスなら嬉しいかもと思いつつ、すぐに暗い気分になる…<br> 私にはクラスに友達と呼べる人間が…たぶん、いない。たまに普通に話したりはするけれど、教室で一人でいることが圧倒的に多い。<br> そんな所を…ブーンにみられたくない。明るいブーンはきっと、すぐクラスに打ち解ける、私は一人…<br> 泣きそうになる、そんな空気の中、私はどう生活していけばいいのだろう…<br> もう下駄箱まで来てしまっている、今更家に引き返すわけにもいかないので、仕方なく教室に向かう。ブーンが違うクラスになるよう祈りながら<br> 教室に入ると案の定、転校生の話で盛り上がっていた。耳に入ってくる話をまとめると<br> 「うちのクラスに転校生がくる」<br> それは確からしかった。<br> 私は頭を抱えた<br> <br> き~んこ~んか~んこ~ん<br> 時間に律儀な担任のモナー先生がチャイムと同時に入ってくる、案の上後ろにはブーンがいた。<br> モナTが紹介しようとしたその時<br> (^ω^)「ツン~!やったお~一緒のクラスになれたお↑↑」<br> 「……!!?」<br> クラスの視線が一斉に私に集まる<br> びゅっ、ぼこっ<br> ( ^ω^)「ぐぇっ…」<br> 私の投げたバレーボールがブーンの顏に寸分たがわずめり込む<br> 「だ、黙れこ、この馬鹿」<br> 恥ずかしさのため真っ赤になっている私とスローモーションで後ろに倒れるブーン<br> 一瞬の間をおいて、教室中が大爆笑につつまれる<br> <br> 131 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/16(日) 00:50:11 ID:1qEyNlmFO<br> 「なにこのびっくりするほど夫婦漫才www」<br> 「お前もううちの生徒に手ぇ出したのかよwwwそれもツンさんとはwww許せんww」<br> 「ツンって意外と笑いのツボわかってるのね、見直したわ~」<br> 好き勝手に喋るクラスメート達を制すようにモナTが話を始める<br> (´∀`)「え~、つかみはだいぶよかったみたいだな?ブーン君」<br> ( ^ω^)「はい…ちょっと鼻血出て痛いですけど」<br> (´∀`)「まぁ、テイッシュでもつっこんどきゃ治るよな。<br>  そうそう言い忘れた、彼の名前はブーン君、〇〇県から越してきたそうだ。昔はこの町に住んでたからツンみたく知ってる奴もいるかもしれないな<br>  こらツン、面白かったけど痴話喧嘩はいかんぞ。」<br> 「な、せ、先生、痴話喧嘩じゃdrftgytふじこ┃」<br> (´∀`)「まぁみてわかるとおりこいつらはちっちゃい頃からの、イイナヅケらしいぞ(笑)」<br> <br> ( ^ω^)「実はそうなんです」<br> 「!!!!!11!!」<br> ぶん、めりっ<br> ( ☆ω☆)「ぎゃあああああ」<br> 今度はバスケットボールがブーンの顔面にめりこみ鼻血がつつーと糸を引く<br> 「次はこれ投げるわよ?」<br> 机を撫でる私<br> ( ;ω;)「ご、ごめんなさいだお」<br> 「わかればいいのよ」<br> (;´∀`)「つ、机はやめようね、ツン?」<br> 再びつつまれる笑いの渦。今までクラスが笑いに包まれることはたくさんあったけど、自分が中心になったことはなかった<br> 恥ずかしさで真っ赤になりながら、私は心地よい一体感を感じていた<br> <br> <br> <br> 158 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/16(日) 17:29:16 ID:1qEyNlmFO<br> お昼休み。私の周りには何人かのクラスメイト達が私を囲んでごはんを食べていた。私とブーンの事を知りたいみたいだった<br> A「ツンとブーン君って幼馴染みなんだ~」<br> B「ねぇねぇwww先生が言ってた許婚ってマジ~?」<br> おもいっきり慌てる私<br> 「そ、そ、そんなことな…いgぃ…そぐぶv…」<br> 最後はしどろもどろで下を向いてしまう私<br> C「へー違うの~?でもブーン君って明るくて優しそうだしなんか好感度高いよね~、あたしねらっちゃおうかなっ、ツンい~い?」<br> 「な、なんで私に聞くのっ?そ…そんなのいいに決ってる…」<br> 真っ赤になりうつむく私、ニヤニヤする三人<br> C「嘘よー(*^▽^)だってブーン君ツンにベタボレっぽいもん(笑)」<br> 「え、え、そんな事な…いajmdfふじこ」顏をあげられない、きっと耳まで真っ赤っ赤になってるっぽい<br> A「ツンってこんなに可愛い女の子だったんだね。いつも端っこで外ばっかみてるから暗い人だと思ってたぁ」<br> B「うん、話しかけるなオーラでまくってたよね(笑)」<br> C「あたしたちツンを応援するから、頑張ってブーン君落としちゃおうね」<br> AB「お前はそればっかかい(笑)」<br> C「えへへ~」<br> 顏を見合わせる三人<br> 「ぐすっ…ひくっ」<br> ABC「??!!」<br> おそるおそる私に尋ねるC<br> C「ご、ごめん汗わたし調子乗りすぎた?」<br> 必死に首をぶんぶんふる私<br> 「ううん…違うの…<br>  私今までずっと自分でみんなとの関わり避けてたの…それでいいって思ってたから。そんな私にこんなに仲良くしてくれて…」<br> ABC「…………」<br> ABC「かわいー(はぁと)!!!」<br> C「あたしらを萌え死にさせる気かぁ爆」<br> B「じゃあこれから私たち、親友だよっ」<br> A「そんなこと気にしないでいいから、これから楽しくやってこo(^-^)oね、ツン?」<br> <br> <br> <br> 172 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/16(日) 20:25:23 ID:1qEyNlmFO<br> 私がずっと避けていた人との関わり、信じられないと思っていた人間<br> だけれども、私がいつもの場所からほんの少しだけ、みんなに近付けば良かったんだ…<br> 言葉を交す人間は、こんなにも優しく、暖かい…<br> 「あ…ありがとう、朱音ちゃん(A)、真由ちゃん(B)ちょちゃん(C)…」<br> 三人「呼び捨てでいいから(笑)」<br> 「うん…」<br> <br> き~(ry<br> 予鈴がなり、午後の授業が始まる<br> <br> <br> <br> 授業が終り、帰ろうとすると教卓の前でブーンが男子達と騒いでいた<br> (´・ω・`)「おいブーン、ほんとに行くのか?ショボーン」<br> (^ω^)「行くお、せっかく誘ってもらったのにほんと悪いお」<br> (゚Д゚)「とっとと行きやがれゴルァ、死んでしまえ(笑)」<br> &lt; `∀´&gt;「気にするなニダ、また明日ニダ~」<br> もうクラスに馴染んでいるブーンを見て微笑ましくなる<br> でもブーンはどこかに行くらしい、なんとなくブーンと一緒に帰りたかったのに…残念<br> 少し口をとがらせ、後ろのドアから出ていこうとする私<br> 朱音「あ、ツン一緒に…」<br> ( ^ω^)「待つお~ツ~ン!!一緒に帰るおっ」<br> 全く同じタイミングで声をかけたため、ふたりの声がハモる<br> <br> 朱音「(笑)」<br> (^ω^)「ぬぉっ朱音ちんっ、ここはブーンにツンを譲って欲しいお」<br> <br> <br> <br> 175 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/16(日) 20:58:50 ID:1qEyNlmFO<br> 朱音「いいわよ~。ただし~ブーン君今度なんかおごってくれる?」<br> (^ω^)「う~ん…じゃ学食の焼きそばパンおごるお↑今日初めて食ってめっちゃうまかったお」<br> 朱音「交渉成立ね♪じゃ楽しみにしてるわ、焼きそばパン」<br> (^ω^)「じゃツン行くお~」私の腕をひっぱり教室から出ていくブーン<br> 「ちょwww私の意思はどこに???ブーン離してよ~」<br> 朱音「ツン、ブーン君またね~」<br> ( ゚Д゚)「ブーンに氏を」<br> (´・ω・`)「詩を」<br> <br> <br> 「ちょっと…学校の中で手つなぐのよしてよ」<br> ブーンの大きな手に安らぎを感じながらも、恥ずかしさに抗議の声をあげる私<br> (^ω^)「まぁ固いこと言わないお、ブーンツンと一緒に帰りたかったお」<br> 「だからって…私、朱音と帰りたかったのに…ひどい」<br> ほっぺたをぷーと膨らます<br> (^ω^)「なんとなく、ツンがブーンと帰りたがってるように思ったお」<br> どきっ<br> 心を読まれた気がして鼓動が急に早くなる、しかしその前に体が動く<br> ぶんっ<br> ( ^ω^)「うぉうっ??!」<br> 殺気を感じ寸出の所で私の鞄攻撃を避けるブーン<br> ( ^ω^)「一日に何度も何度も同じ手は食らわない…」<br> がんっ<br> ( ^ω^)「ぐぇっ…」<br> 目の前の下駄箱に思いっきり顔面を強打するブーン<br> 得意になるからだ、思いっ切り笑ってやる<br> 「馬鹿ね、自業自得よ(笑)」<br> ( TωT)「…今日は厄日だお…」<br> 「何か言った?仕方ないから一緒に帰ってあげるわ。行くわよ」<br> ( ^ω^)「ま、待ってお」<br> <br> <br> <br> 183 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/16(日) 23:12:20 ID:1qEyNlmFO<br> 校門を出ると、穏やかな秋の青空が私たちを出迎えてくれた<br> 朝降っていた雨は止み、心地よい風が一秒毎に青空の面積を広げていた<br> ( ^ω^)「風、気持ちいいお…」<br> 「うん。空、綺麗…」私も素直にうなずく<br> しばらくお互い無言で優しい風の感触を楽しんでいた<br> しばらく歩き、酒屋の前まで来ると自販機の前でお金を入れながら私に話しかける<br> (^ω^)「こんなにいい天気だからどっか寄り道していかないかお?」<br> ほいっと私にスプライトの缶を放る<br> ジュースはスプライトが一番好きなのをブーンはまだ覚えていてくれたんだ…<br> 「あ、ありがと。そうね、海、行きたい…」<br> 私はよく近くの海に行く。泳ぎに行ったりするのではなく、ただ海を見ているのが好きだった。<br> これだけ空が綺麗な日、きっと江ノ島も富士山の陵線もよく見える。<br> ( ^ω^)「わかったお、おいちゃ~ん、こんにちは」<br> 中からたばこを口にくわえたままのそっと出てくるおいちゃん。<br> 昔からよくこの酒屋でお菓子を買ったりしてたからおいちゃんとは顔馴染みだった<br> おいちゃん「おうブーン、お?ツンも一緒か。いい天気だな」<br> 「こ、こんにちは」慌ててあいさつする私<br> ( ^ω^)「おいちゃん、バイク出来た?」<br> おいちゃん「あたりめぇよ、完璧だっての」<br> (^ω^)「さすがおいちゃん仕事が早いお♪これ例のブツですぜ、お納めくださいませ」<br> 鞄の中から小さな紙袋を取りだし、おいちゃんに渡すブーン<br> おいちゃん「うほっ♪いいお…ゲフンゲフン…いいって事よ。ほら鍵、バイクは裏に置いてあるからな」<br> 私の視線に気付き慌てて紙袋を後ろに隠すおいちゃん<br> ( ^ω^)「ほいっ」<br> 裏からバイクを引いてきてヘルメットを私に渡すブーン<br> 「え?」状況がつかめずヘルメットとブーンを交互に見比べる私<br> <br> <br> 190 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/16(日) 23:46:37 ID:1qEyNlmFO<br> (^ω^)「昨日転んでバイク壊しちゃったから…昔からおいちゃんバイクとか車いじるのすごい好きなの覚えてて。たからあのあとすぐ修理お願いしたお」<br> 昨日の事を思い出す、私が急に飛び出してブーンは急ハンドル切って転倒したんだった。<br> すぐ走り去ってしまったのでバイクがどれだけ壊れたか確認してなかったけど、豪快に転倒してたので擦り傷程度ではすまなかったと思う<br> 「ごめんね…」うつむいて小さな声で謝る私<br> (^ω^)「ツンが謝ることないお、ブーンがよそ見してたからいけないんだお。それにバイクは壊れても直せばいいけど、ツンは壊れたら治るの大変だお」<br> おいちゃん「そうだ、こいつが200%悪い」<br> ( ^ω^)「ちょwwおいちゃん200%は多すぎwww」<br> おいちゃん「まぁ二人とも怪我なくてよかったじゃねぇか、なあ。次は気を付けて運転しろよブーン?ツン怪我させたら俺がお前を殺す、いいな?」<br> (;^ω^)「もちろんだお、さ、ツン行くお?おいちゃんほんとありがとだお」<br> 「う、うん」<br> 慌ててヘルメットをかぶり後ろにちょこんと乗る<br> おいちゃんが手をふる、私も小さく手を振り返す<br> ( ^ω^)「しっかりつかまってるお、ぶーん」<br> 「絶対嫌」<br> くっつくのが恥ずかしいのでその言葉を無視し、軽く肩に手をそえていた。<br> しかしその時横のトラックの追い越しの風圧で強烈な風が私に向かって吹き付ける<br> 「きゃっ」思わずブーンの背中にしがみつくようにくっつく格好になってしまった私<br> ( ^ω^)「危ないから素直にそうしてるお」<br> 「わ、私が危なくならないように安全運転さえすればいいのよ。わかったブーン?」<br> ( ^ω^)「任せておくお、ブーン」<br> <br> ブーンのおなかにまで改めてしっかりと手を回す。温かくて大きな背中、海辺の心地よい風、微かに漂う塩の香り…<br> ずっとこのままでいたい、素直にそう思えた<br> <br> <br> <br> 227 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/17(月) 19:48:28 ID:3Rs4odO0O<br> その頃おいちゃん酒屋にて<br> <br> <br> おいちゃん「つ、ついに手に入ったぜ↑ブーンgjうはwww」<br> 紙袋からついにそれをとりだす<br> ??「モ、モルスァ」<br> おいちゃん「キタコレ━━(゚∀゚)━━!!」<br> ??「ナデナデシテー」<br> おいちゃん「うはwwwテラカワイスwww」<br> ぐりぐりなでるおいちゃん<br> ??「イテーヨコノクソオヤジ」<br> おいちゃん「??」<br> ??「サワンナオヤジクセーンダヨコノハゲ、モルスァ」<br> バチコーン<br> ??「グエッー」<br> おいちゃん「あ、つい…やべ、壊れたコレ?」<br> ??「ミジカイイッショウダッタナリ…ファー…ブル…ス…コ」パタ<br> おいちゃん「またブーンにもらうか…」<br> <br> <br> <br> 238 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[sage]投稿日:2005/10/18(火) 00:07:43 ID:hG9ZlntkO<br> 江ノ島に着いた頃には日が少し傾き、平日ということもあり人影もまばらで、あたりはのどかな空気が流れていた<br> 海から優しく吹く風が二人を包む。<br> 私たちは手を繋ぐでもなく、離れるでもなく微妙な距離を保ちながら無言で歩いていた。<br> 二人に言葉はいらなかった<br> しばらく歩くとふとブーンが私を振り返り何か言おうとした<br> ( ^ω^)「ほんといいてん…うほっ??」<br> 「きゃっっ!!」ブーンが振り向くのとほぼ同時に私は道のちょっとした段差につまづいて豪快にバランスを崩す<br> ( ^ω^)「あ、危ないお!」<br> あわてて私が転ばないように両手で受け止めるブーン<br> 図らずもブーンの胸に抱き締められる形になってしまう<br> 相手の吐息が感じられるほどの距離、自然に合ってしまう目と目<br> 「あ…」<br> ( ^ω^)「…」流れる沈黙…<br> <br> しかしその時<br> たけし「ねーかーちゃん、あのひとたちなにひるまっからいちゃいちゃしちゃってるの?」<br> J(´ー`)し「たけしごめんね、かーちゃんばかだからよくわからなくてごめんね」<br> たけし「あぁいうのをやけぼっくいにひがついたっていうんだよね?かあちゃん」<br> J(´ー`)し「たけしむずかしいことばしっててえらいわ、かあちゃん(ry」<br> 「……」ふと我に帰る私<br> 「ち、ちょっと!な、なに掴んでるのよ!は、離してっ…(は、恥ずかしい(////)…)」<br> ( ^ω^)「あ…ご、ごめんだお」<br> ブーンから離れると恥ずかしさのあまりブーンを置き去りにして一人先にスタスタ歩く<br> (^ω^)「あ、待つおツン。展望台そっちじゃないお…って聞こえてねぇ」<br> <br> 245 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[sage]投稿日:2005/10/18(火) 01:09:38 ID:hG9ZlntkO<br> 少しブーンに意地悪をしてみたくなった、先に行ったふりをして木の陰に隠れブーンが通りすぎるのを待つ<br> ( ^ω^)「あれ?ツーン、どこ行ったお~?あれ?」<br> ブーンの困った顔を見て、なんとなく優越感に浸る。何か昨日からしっかりしたブーンばっかり見てたので、昔みたく少しいじめてみたくなってしまった。ごめんねブーン<br> ブーンが辺りで私を探してる間に私は目的の場所を目指す。江ノ島の東側、伊豆の山々に一秒毎に沈んでいく太陽が見える絶景ポイントがある、これだけ綺麗に晴れていると富士山や丹沢の山々の陵線も鮮やかに見える。まさに自然の芸術とも言って良い場所だった。<br> 小さい頃、ブーンの家族と一緒に連れてきてもらってからこの景色の虜になった。一人でもよく、ここに来て景色を見ていた。<br> ブーンならきっと私がここに来たがってることわかるはず<br> そういえばブーンに家族の事聞いてなかったな、モルスァちゃん(妹)もお父さんもお母さんも元気かな…会いたいな<br> <br> しばらくしてブーン息を切らせてやってくる<br> (;^ω^)「はぁはぁ…ここにいるって事は、途中隠れてたのかお…意地悪だお」<br> 「あら、ブーンなら私が行きたいところ分かってくれてると思ってたんだけどな?」<br> (^ω^)「まぁ、そうだお。ブーンもここに来たかったお…」<br> 「昔一度、ブーンの家族にこの場所、連れてきてもらったね。そういえばみんな元気なの?モルスァちゃん今年高校受験よね?」<br> 急にブーンの表情が険しく厳しいものにかわる、唇を間一文字に強く噛み締めるように強く結び答える<br> ( |||ω)「し………だお」<br> 「え…?今何、何…て言った…の?」<br> 沈痛な面持ちで絞り出すように小さな声で呟く<br> ( |||ω)「半月前に、三人とも…亡くなった…お」<br> 「え?…嘘…だよね?」<br> <br> <br> 253 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[sage]投稿日:2005/10/18(火) 02:03:30 ID:hG9ZlntkO<br> 重い重い沈黙が辺りを支配する…<br> その沈黙に耐えかねるようにブーンに問い詰める<br> 「う、嘘って言って!ねぇブーンっ、嘘って…言っ…て」<br> 最後は涙で声がかすれて出なくなる、私にとってその衝撃は測り知れなく大きかった…<br> ( |||ω)「……嘘じゃ、ないお…」<br> 消え入るような声で呟くブーン<br> 「どうして…」<br> (|||ω)「三人で旅行の帰り、高速道路で…事故に巻き込まれたお…たまたまブーンは体調崩して家で休んでたから行かなかったお…」<br> 頭を抱え首を振るブーン<br> 「どうして?どうしてブーンなの…そんなひどい運命をブーンに与えなくたって…ひっく…ひ、ひどいよ」<br> 不公平な人生に納得がいかなかった、今目の前に神様がいたら、絶対にひっぱたいてしまう自信があった<br> (TωT)「…あぐっえぐっ…」いつのまにかブーンも泣いていた…むせび泣くように涙を流していた<br> 「ブーン…」私はブーンを抱いて一緒に泣いてあげることしか出来なかった、日が暮れるまで…悲しみを分かち合うように、ただ涙を流していた<br> <br> 日が傾き、東の空から半月がおぼろげに現れる。私たちは岩場に座っていた<br> ( ^ω^)「落ち着いてきたお…ツン、ありがとだお」<br> 「ううん、私…何も出来なくて、ごめんね…」<br> 慰める言葉一つ言えず一緒に泣くことしか出来なかった私…<br> (^ω^)「父さん、母さん、モルスァの分まで強く生きようって思ったお…でも、寂しくて、悲しくて駄目だったお、何度も三人の後追おうとしたお…」<br> <br> <br> <br> 284 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/18(火) 21:35:16 ID:hG9ZlntkO<br> ( ^ω^)「だけど、ブーンにそんな勇気なかったお…<br>  打ちひしがれて、思い出したのはツンとの楽しい思いでだったお<br> あっちの友達も毎日ブーンのこと、たくさんたくさんなぐさめてくれたお…でも、ツンにどうしても会いたくて、それでこの町帰ってきたお…」<br> 「……」<br> (^ω^)「ツンに会えて…すごく元気出たお、こうして悲しみも寂しさも分けあってもらった、ほんとにありがとう」<br> どくんと私の胸の奥に込み上げる感情のかたまり…今わかった、私やっぱりブーンが好き<br> しかし次のブーンの言葉に、私は固まってしまう<br> (^ω^)「ツンは彼氏いるって言ってたお。それなのにこんな風に二人きりでバイクででかける事になってしまってほんとに申し訳ないお…もし彼氏に何か言われたらブーン直接謝るお、ごめんだお」<br> 完全に忘れていた。悔し紛れについた私の他愛のない嘘が、ブーンを縛りつけていた<br> 胸が痛かった…<br> 「あのね、ブーン…」ほんとの事を言おうと口を開き書けたその時<br> ?「ベビベビベイベベイベベイベベイベ~♪俺の全ては~お前のものさ~」<br> 「江頭…?」<br> (^ω^)「ぬぉっ…電話だお、この着うたはおいちゃん…?ツン、ちょっとごめんだお<br> 『もしもし?え?マジかお?そんなはずは…う~ん、わかったお、代わりの品持ってくお。ブルスコしかないけどいいかお?了解だお。あ~い』ふ~…」ピッ<br> 電話を切るブーン<br> (^ω^)「マナーにしとけばよかったお…勢いで電話でちゃったお↓ごめん、ツン何か言いかけてたお、どうしたお?」<br> 「え?あ…何でもないわよ、気にしないで」<br> 何でもなくないのに言いづらくなってしまった…<br> これだけ私を思ってくれていたブーンに一時の感情の高まりだけで嘘をついてしまった、罪悪感でいっぱいだった<br> <br> <br> 287 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/18(火) 23:18:49 ID:hG9ZlntkO<br> 時計は七時を回っていた、初秋とはいえ夜の風はもうだいぶ冷たかった<br> ( ^ω^)「だいぶ寒くなってきたし、もう帰るお」<br> 「うん…」<br> 二人過ごした時間を惜しむかのように私たちは来た道をゆっくりと戻って行った<br> 先導するように、私の前を歩いていくブーン、少し後ろを離れて歩く私<br> 私の目はブーンの手を見ていた。大きくて温かいその手。すぐにでも私の小さな手を包み込んで欲しかった<br> そんな事を考えていたとき、ふと歩きながらブーンが私に言う<br> ( ^ω^)「お願いが…あるお」<br> 「え?な、何よ?き、急にどうしたのよ?」少し慌てて答える私<br> (^ω^)「駐輪場に…着くまでだけでいいお…手、つながせてもらってもいいかお?」<br> 内心ドキリとした。心の中を読まれてしまったのかと思った<br> しばらく下を向いてもじもじしていた<br> 手をつないで欲しくて仕方なかったのに素直になれない私、強がってこう言う<br> 「家に帰るまで、私モルスァちゃんの代わりになる。」<br> ( ^ω^)「え?」<br> 「なるったらなるのっ、だからお兄ちゃん…私、手つないで欲しい…」<br> 私、最低だ。素直に嘘だったって言えないからって何を言ってるんだろう…<br> 自己嫌悪に顔をうつむける。<br> ( ^ω^)「ツン…いやモルスァ、ありがとう」<br> <br> <br> 289 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/18(火) 23:50:32 ID:hG9ZlntkO<br> 顔を上げるとブーンは優しく微笑んでいた<br> そして私の手を包み込むようにやさしくぎゅっと握る<br> 私もぎゅっと握り返す<br> <br> 駐輪場に着くと、ブーンは鞄の中からジャージを取り出し私に差し出す<br> (^ω^)「ツ…モルスァ、帰りのバイクきっと風がかなり冷たいお。これしかないけど上に羽織れば少しは違うと思うお。ボソ(ちょっと汗臭いのは許して欲しいお)」<br> 少し肌寒さを感じていたので、ブーンの言葉に素直に甘えることにした。<br> 制服の上からジャージに袖を通す。すると不思議なことに先ほどまで誰か着ていたかのような温もりがあった<br> 「ありがと、とっても暖かいよ、お兄ちゃん…」<br> ( ^ω^)「よかったお。じゃしっかりつかまってるお?」<br> 「うん…」今度は素直にブーンの大きな背中にしっかりとしがみつく<br> ( ^ω^)「じゃあいくお。ブ――ン!」<br> <br> 思っていたよりも風は冷たくなかった、貸してもらったジャージが風を遮断し、何よりもブーンの背中がとてもあたたかかった<br> 「お兄ちゃんの背中…とってもあたたかい、ずっとこのままでいたい、一緒に…いたいよ」<br> 小さな小さな声だった、私の声を借りるかのように自然と口からこぼれた言葉<br> 私は一人で顔を真っ赤にしていた。幸いバイクのエンジン音にかき消されブーンには聞こえなかったようだ<br> 無言でスロットルをひねり続けるブーン、私はブーンのお腹に回した手にぎゅっと力を加えた<br> 二人の距離がさらに縮まるように…<br> <br> <br> 313 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>投稿日:2005/10/19(水) 21:28:36 ID:oNv9aOcBO<br> 海辺の国道を走る車はまばらで、すぐに見慣れた景色が私の視界に入ってくる、気が付くともう私の家のすぐ近くだった<br> …帰りたくない、回した手に力をこめ、頬を背中に押し付ける<br> ( ^ω^)「い、痛いお…ツンどしたお?」<br> 私は口を尖らす<br> 「ツン姉ちゃんじゃないもん」<br> ( ^ω^)「あ、モルスァ…どうしたお」<br> 「私のおうちこっちじゃないもん、おにいちゃんと一緒のおうちに帰るんだよ」<br> ブーンは困ったように言う<br> (^ω^)「駄目だお、ツン。ちゃんとツンのおうち帰らないとお母さん心配するお…」<br> 真面目なブーン。私の事ばかり心配してくれる<br> 「……うん」それ以上何も言えなくなってしまった<br> バイクから降りる、そしてジャージを脱いでブーンに渡す<br> 「あ、ありがと…すごくあったかかった…そ、それとね…」<br> 嘘をついていたことを謝ろうと思った<br> 「あのねブー…!?」<br> 一瞬何が起こったのか分からなかった、私の唇はブーンの唇に塞がれていた<br> ほんの一瞬だけのくちづけだった。柔らかくて、優しい感触…<br> 気が付くともう離れているブーン<br> 恥ずかしさと嬉しさと戸惑いに、私の顔は真っ赤になり顔をあげる事が出来なくなる<br> (^ω^)「ごめんだお…最後に、昔からの夢だった、ツンとのキス…させてもらったお」<br> 「え…さ、最後?な、何で?これから学校で会えるじゃない?」<br> ブーンは優しく、そして申し訳なさそうに微笑んでいた<br> ( ^ω^)「ブーン…ツンに嘘ついてたこと、あるお…」<br> 「嘘なんて別に大丈夫っ、だから…だから最後なんて言わないでっ…」<br> 半分私は泣いていたと思う、必死に訴えていた<br> <br> <br> 316 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>投稿日:2005/10/19(水) 22:11:19 ID:oNv9aOcBO<br> ( ^ω^)「もう…かえらなくちゃいけないお」<br> 「ど、どこに?〇〇県のおうちに?今日転校してきたばっかりなのに?!」<br> 申し訳なさそうな顔で言葉を続けるブーン<br> (^ω^)「ブーン、家族で旅行行った時…家で寝てなかったお、みんなと一緒だったお…」<br> 「え…どういうこと?」私はブーンの言っている言葉の意味が分からなかった<br> それはもしかして…しかし、実際にブーンは目の前にいる<br> 私は次のブーンの言葉を待った<br> (^ω^)「ブーン…事故に巻き込まれて…今、〇〇県の病院にいるお」<br> からかわれているんだと思った、少し頭に来た<br> 「お、面白くないわよ?ブーンは今、実際私の目の前にいるじゃないっ!!不謹慎な冗談やめて?」<br> 沈痛な面持ちで首を横に振るブーン<br> (^ω^)「こんな事って信じられないと思うけど、たぶんもうすぐブーン死ぬお…自分でわかるお」<br> 「意味分かんないッッ!!!」本気で怒り始める私、しかしブーンは語り続ける<br> (^ω^)「ブーン事故にあってからずっと意識不明の状態続いてたお…だけど、心の奥でずっとツンに会いたいツンに会いたいって思ってたお…<br>  そうしたら、昨日の朝…あの近所の公園に立っていたお、バイク片手に」<br> 「………」私は無言だった、ブーンの言っていることが現実離れしすぎていて全く理解出来なかった<br> (^ω^)「こんなアニメみたいな展開、ほんとにあるとは思ってなかったお…この体はきっと幻かなにかだと思うお…でも、でも…ウッ最後に…ツンに会えて、よかった、お…」<br> 最後には大粒の涙を溢していた<br> 「え、な、何?う、嘘…でしょ?ねぇブーン嘘でしょ?!嘘って言って…嫌よ、せっかく、せっかくまた会えたのに…」<br> (TωT)「お迎えがきたみたいだお…ツン、幸せになって欲しいお…それだけがブーンの心残りだ…お」<br> 信じられない事に、ブーンの体が少しずつ薄くなって後ろの景色が透けて見えるようになっていた<br> <br> <br> 320 名前: <font color="#009900">◆iQO/KNrhZ.</font> [sage]投稿日:2005/10/19(水) 22:34:55 ID:oNv9aOcBO<br> 私は必死に叫ぶ<br> 「嫌、嫌っ、嫌っっ、私ブーンが好きなの!!大好きなのっ!!!<br>  前からずっと…お嫁さんにしてくれるって言ったでしょっ?私その言葉だけ頼りに今までずっと、ずっと生きてきたのよ?<br>  ブーンと会えなくなって私の人生変わっちゃったわ…人との関わり拒む嫌な女になっちゃったの…<br>  だけどまたブーンと会えて、私また変われそうだった、ブーンのおかけで今日初めて高校で友達出来たの…<br>  私、ブーンがいないと何も出来ない弱い女なのっ、だから、だからお願いっ…行かないでブーン…」<br> 目の前が涙で何も見えなかった、少しずつ消えていくブーンに必死で抱きつく<br> ブーンは私の髪を優しくなで、諭すように言う<br> 「ツン…ブーンもツンの事、大好きだったお、幸せにしてあげたかったお…。でもブーンのこと考えてたらきっと辛いお…<br>  早くブーンの事忘れて、彼氏に幸せにしてもらうんだお…たくさんの思い出ありがとう<br>  ブーンいつまでもツンの事、見守ってるお、バイバイ…」<br> ふっとブーンが消える<br> 「えっ…」必死にあたりを見回す私<br> 「何で…どうして…?ブーン、ブーンっ、お願いいるんでしょ?返事して…?嘘…だよね?」<br> しかし返事は帰ってこなかった<br> 「嫌ぁぁぁぁぁぁぁ…」<br> 私の叫び声が虚しく辺りに響きわたる…<br> <br> <a href="http://www6.atwiki.jp/naito-tun/pages/5.html"><font color= "#FF6633">続き</font></a></p>
<p><br> 888 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[長編投下してもよろしいでしょうか?]投稿日:2005/10/12(水)20:41:42ID:K3IttJIJO<br> 私の名前はツン<br> しとしとと小雨が降り続くうっとうしい昼下がり、私は学校を早退して少し早い家路に着いていた。<br> 「お腹が痛い」<br> そう言うと担任はいつものように<br> 「お大事に」と一言だけ声をかけ早退届けに判を押し私に渡す。<br> お腹なんて別に痛くない、ただつまらない学校にいるのが耐えられなかった。<br> いつからだろうか、他人と自分との間に壁を感じるようになったのは…<br> きっと、小さな頃大好きだった隣の男の子が急に引っ越してしまったあの時からだと思う。<br> 大好きだった。毎日日が暮れるまで一緒に遊んでた。<br> 幼な心ながら結婚の約束もしていた、おもちゃのリングをもらって左手の薬指にはめてもらってすごく嬉しかったの覚えてる。<br> …それがある日急に、いなくなった。私に一言も言わずに…<br> 親からは父親の仕事の都合で急に引っ越すことになったって聞かされたけど、幼かった私の心はひどく傷付いた。大好きだったあの男の子が急に目の前からいなくなったこと、そして何も私に伝えずに去っていったこと。<br> 私は、部屋にとじこもり毎日泣いていた。<br> 誰の説得も聞こえなかった。<br> <br> そして時は流れ、活発だった私はいつのまにか人との付き合いを拒む人間になっていた。<br> いつものように学校を早退し、家の近くの道路を横断しようとしていたその時だった<br> <br> ( ^ω^)「ブーーーン!?」<br> 「え!?」<br> 傘のせいで視界が悪かったのもあったけど、よく左右の確認をしないで飛び出してしまった<br> 「きゃーっ」<br> ききききききーっっ<br> どかんっ<br> ぼふっ<br> ( ^ω^)「い、痛いお…」<br> <br> 私を避けようとして急にハンドルを切り、横転するスクーター。<br> しかし運良くその先にあるゴミ収集所に頭から突っ込む運転手<br> <br> 894 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/12(水) 21:14:55ID:K3IttJIJO<br> 漫画にでてくる一コマのような風景だった、頭がゴミに埋もれ足がゴミから生えている。<br> 笑ってははいけないと思ったけど、つい体が反応してしまった。<br> あ、私笑ったのいつ以来だろうと思いながら<br> その笑い声に反応するようにもぞもぞと運転手が体を動かす<br> (#^ω^)「わ、笑ってないで手伝って欲しいお~」<br> ゴミの下からかすかに声が聞こえる、私は我に帰り、周りのゴミをどけるのを手伝う<br> 全身びしょびしょになった状態で運転手が私に謝罪と感謝をのべる<br> (^ω^)「助けてくれてありがとうだお。その前にひきそうになってごめんだお…怪我はなかったかお?」<br> 急に飛び出したのは私なのに謝られる<br> 「え、えぇ大丈夫です、飛び出してごめんなさい。怪我はなかったですか?」<br> と言うつもりだったのに声がでない、普段あまりしゃべらないからなのかもしれない<br> その沈黙に耐えかねるかのように運転手が言葉を重ねる<br> (^ω^)「…許して欲しいお、いいわけになるかもしれないんだけど久々にこの町帰ってきて周りの景色に気をとられてたお…ほんとにごめんだお」<br> ふと感じる懐かしい雰囲気、言葉遣い、慌てて運転手の顏を見上げてみる<br> ある一人の小さな男の子と顏がだぶる、引っ越してしまったあのブーンに<br> 「ブ、ブーン……なの?」<br> ( ^ω^)「え?何でブーンの名前知ってるお?」<br> <br> 900 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/12(水) 21:23:39ID:K3IttJIJO<br> もしかしたら板違いかなっていつも思ってます、<br> お気に召されない方はNG登録お願いします。<br> 続きは明日うpします<br> <br> 920 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[ちょい早めに出来たので投下します]投稿日:2005/10/13(木)00:29:12ID:+yjioRjeO<br> 「………」<br> 懐かしさと何とも言えない胸を締め付けるような感触に言葉が詰まる。<br> (^ω^)「ブーンの事知ってるのかお?でもごめんだお…君の事、思い出せないお…この辺りに住んでるのかお?」<br> 「!!!」<br> 今になって冷静に考えれば事故のすぐ後だったから混乱していただろうし、唐突の九年振りの再会だったから忘れていてもしかたないのだけど…<br> その時の私はそんな事考えている余裕はなかった、忘れられていた事がどうしても許せなかった<br> 「…知らない。ゴミ臭いから近寄らないで、制服が汚れる」<br> そう吐き捨てて逃げるようにその場を立ち去った<br> (;^ω^)「……」<br> <br> 私は知らないうちに泣いていた。素直になれなかった自分に対しての後悔、こんなに想っていた私を忘れていたブーンへの怒りと悲しみ。複雑な気持ちが入り乱れ涙となって私の頬を濡らしていた<br> <br> 983 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/13(木) 19:45:35ID:+yjioRjeO<br> 傘もささず走って帰って来たからだろうか<br> 家に着く頃にはひどい頭痛に襲われた<br> 家に着くと何故か弟が一人出迎えてくれた。<br> ツ弟「ねぇちゃん何でびしょ濡れなの~?あ、もしかしてふられたの~?」<br> 明るい弟の声も今の私には鬱陶しいだけだった<br> 「黙れ」<br> キッとにらむとびくっとなるが更に言葉を続ける弟<br> ツ弟「今日ねぇ、懐かしい人が後でうちにくるんだって~、ねぇちゃんも知ってる人って母さんいってたよ」<br> にやにやとしつこく私につきまとう弟<br> 頭痛のせいもあり何もかも無気力になっていた私には、弟の声は届かなかった<br> ツ弟「ちょwwwねぇちゃん聞いてよ、来るのブ…兄…」その言葉を無視するように、自分の部屋に急ぐ。今は何も考えずただ横になりたかった<br> <br> <br> 雨はさらに強くなっていた、屋根を叩く雨音の大きさに目を覚ます<br> 時計を見ると五時を少し過ぎたところを指していた、三時間ほど眠ってしまっていたみたい<br> 下からは楽しげな笑い声がかすかに聞こえる、弟の言っていたお客さんがきているようだ。<br> 楽しげな声も今の私には雑音にしか聞こえない、頭が少しすっきりしていたので昼のことを思い出す。<br> <br> 私はブーンに会った。ずっと会いたいと思ってた人。でもブーンは私の事おぼえてなかった<br> 忘れられて悔しい気持ちと、会いたいという気持ちがぐしゃぐしゃになり私の頭をかきみだす<br> 私の八歳の誕生日にブーンにもらった蛙の縫いぐるみを抱き締め不意に私の口から言葉が漏れる<br> 「ブーン…私のこと…忘れちゃったの?」<br> 言葉と一緒に私の瞼から一筋の涙がこぼれる<br> <br> そのとき<br> がらっ<br> 不意に私の部屋のドアが開く<br> <br> 997 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/13(木) 20:46:10ID:+yjioRjeO<br> ツ弟「ねぇ~ちゃん」<br> びくっとなる私、とっさに腫れた目をかえるで隠す、そして消え入るような声で呟く<br> 「出ていけ、それとノックしないで入るなッ…」<br> 私の言葉を無視するようにまくしたてる弟<br> ツ弟「お客さんくるっていったじゃん?ねぇちゃんに会いたいんだって」<br> 「知るか、私は…忙し、い…出ていけ」<br> ツ弟「どうみても寝起きじゃん(笑)髪ボサボサだしぃ」<br> 「あ…」<br> 慌てて鏡をのぞく、雨に濡れてろくに拭かずに横になったためかところどころ外に跳ねている。<br> 「う、うるさい、い、いいから出ていけ」<br> ツ弟「わかったよ、俺は下戻るね~、じゃごゆっくり~」<br> 手を振って出て行く弟<br> 「な…ま、待ってだ、誰…」<br> 私が言い終わる前にその客は部屋の中に入ってきた<br> (^ω^)「昼間はごめんだお…とっさの事でツンの顏思い出せなかったぉ、ほんとに久しぶりだお」<br> 「……?!」<br> 突然のことに状況が把握できなくなる、どうしてブーンが目の前に?<br> 目を見開いて驚く私に優しく語りかけるブーン<br> (^ω^)「今日、またこの近くに越してきたお。昔みたいになかよくしてくれるとほんと嬉しいお」<br> 「……」<br> 私はまだ黙っていた、と言うか何を話していいのかわからずに唇をぎゅっと噛んでうつむいていた<br> (^ω^)「そのぬいぐるみ懐かしいお…まだ使っててくれたなんて感激だお」<br> <br> ブーンの昔と変わらない優しい語りかけに、確かに少しずつ私の凍っていた心が溶けていくのを感じていた<br> だけど私の口から出るのは違う言葉…<br> 「…ていけ…」<br> (;^ω^)「え?」<br> 「…出ていけ…」<br> <br> 19 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/13(木) 22:44:50ID:+yjioRjeO<br> (;^ω^)「ツ、ツン…」<br> 感情のたかぶりが一気に私を襲う<br> 「気安く名前呼ばないでッ!ブーンなんて…ブーンなんて…」<br> 大粒の涙とともに、ブーンをなじる言葉が濁流となって溢れ出る<br> 「お嫁さんにしてくれるって約束したのに…何も言わないでいなくなってッ…<br> あの時私がどれだけ泣いたか、どれだけ悲しい思いしたか…ブーンにはわかんないっ…<br> …帰って…出てって…顏、みたくないっ!ひっく、ぐす…」<br> <br> 何も言わずじっと私を見つめるブーン、そしてゆっくりと私に向かって手を伸ばす<br> 「あっ…」<br> わたしの頭に優しく触れる、暖かくて大きな手<br> よくつないでいたあの小さかった掌が、今はすっかり大人の手になっていた<br> ( ^ω^)「ごめんだお、ツン…」<br> ブーンが優しく呟く。その暖かい体温に私の心は少しずつ平静を取り戻していった<br> そして、私の頭に手をおいたままゆっくりと語り出す<br> (^ω^)「引っ越す二日前に両親からその事聞いたお…ブーンはこの町から絶対離れたくなかったお。<br>  だからブーン引っ越す前の日に家出したお、子ども心に一人でこの町で生きるんだって決心したお。<br> 今日みたく雨の強い日だったお、さんざん走り回って結局近所の公園で隠れてたら頭がふらふらして意識がなくなったお…<br> 気付いたら、もう引っ越し終ってたお…知らないうちに連れてかれてしまったお<br> ブーン寂しくて、悲しくてずっとずっと泣いてたお…<br>  一月くらいツンに会いたい、ツンに会いたい、それしか言わなかったらしいお…」<br> <br> 77 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/15(土) 01:39:47ID:wlf6uecPO<br> (^ω^)「でもブーン思ったお。泣いて家にとじこもってばかりいたらきっとツンに嫌われる<br> そう思ってブーン泣くの止めたお。いつかツンに会えるその時まで、泣かないで頑張るって決めたお<br>  あれから九年も経ってしまったけど、ブーン頑張って生きてきたお。そうしてやっと、この町に帰ってくる事できたお<br> 別れたあの日から、ツンの事忘れたこと、なかったお。<br> またツンと会えてブーンとっても嬉しいお…だから、だから泣かないで欲しいお…」<br> <br> 新しい土地で前向きに生きてきたブーン。<br> 寂しさに負けて自分の殻に閉じ籠もり、人との関わりを拒む嫌な女になってしまった私…<br> ブーンの暖かい言葉も、今の私には素直に喜ぶ事が出来なかった。今までの私がみじめで…仕方なかった<br> 私の心は、また暗く沈んでしまった<br> 「別にもう…いいよ、今は彼氏がいて幸せに暮らしてるし。ただ、黙っていなくなられたのがショックだっただけだから。<br>  泣いたの、気にしないで…寝起きで少し混乱してただけ、ごめんね。彼氏がやきもちやくから、もう帰って。わざわざ来てくれてありがとう…」<br> 口から出るでまかせ…<br> (^ω^)「え?そ、そうなのかお?彼氏いるの知らずに部屋にあがってごめんだお…<br> じ、じゃブーンもう帰るお。ほんとに今日は危険な目に遭わせてわるかったお…<br>  そうだお、明日からブーンもツンと同じ〇〇高校に転校する事になってるお、じゃまた学校で。」<br> 慌てて部屋から出ていくブーン、扉ががちゃりと閉まる…<br> ブーンが出ていった扉を見つめる…<br> 私の嘘をなんの疑いもなく信じるブーン<br> もう自分が情けなくて、切なくて、涙が止まらなくなる<br> <br> 107 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[回想編]投稿日:2005/10/15(土) 20:40:36ID:wlf6uecPO<br> 知らない間に眠っていたみたいだった<br> 窓からはまぶしい朝日が私の顏を照らす<br> 窓を開けると雲ひとつない一面の青空、ここちよいそよ風が私のほほをなでる<br> 「気持いい…」<br> お日様に向かってゆっくり大きくのびをする(「・ω・)「がおー<br> すると下から元気な顏が聞こえる<br> ( ^ω^)「ツーン、あ~そ~ぼ~」<br> 「ブーンおはよ~、今行くからちょっと待ってて」<br> (^ω^)「じゃ10数えるお~、それまで出てこなかったら今日はブーンがお母さん役やるお~」<br> 「だめ~、お母さんは私がやるんだからぁ、意地悪しないでまっててよぉ!!」<br> 私の声を無視して数え出すブーン、でも私は知っていた。ブーンは5までしかかぞえられない事<br> (^ω^)「いーち、にー、さーん、よ~ん、ごー…えぇと次は…さ~ん、あれ?」<br> ブーンがもたもたしている間に外に飛び出す私<br> 「わたしの勝ちだねー(*´▽`*)ムフー」<br> (;^ω^)「残念だお…まぁいいお、今日はおままごとじゃなくて結婚式ごっこするお~」<br> 「結婚式ごっこ?!やりたいやりたい~、きゃー」<br> ( ^ω^)「ツン顏真っ赤だおー、ぷにぷに」<br> からかうように私のほっぺをつっつくブーン「やめてよ~も~」<br> 言葉では嫌がりながらも私はブーンにほっぺたをさわってもらうのが大好きだった。<br> (^ω^)「じゃー、南の島で二人きりで結婚式あげるお~」<br> 「あ、でも結婚式には神父さんがいるんじゃない?」<br> ちょうど玄関のドアが開き弟が出てくる<br> ツ弟「ねぇ~ちゃん、ブーンにいちゃ~ん、ぼくもなかまにい~れ~て~」<br> (^ω^)「ちょうどよかったお、じゃツ弟に神父さん役やってもらうお」<br> ツ弟「ちんぷさん?やったー、ぼくちんぷさ~ん」<br> <br> 111 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/15(土) 20:59:43ID:wlf6uecPO<br> 弟はわかっているのかいないのか、一緒に遊んでもらえるのが嬉しいらしく大はしゃぎだった<br> ( ^ω^)「じゃ公園行くお~」<br> 「うんっ、いこいこ」<br> ツ弟「ちんぷさん~」<br> 三人で仲良く手を繋いで近所の公園に向かう<br> <br> 「じゃあいい?神父さんは二人が入ってくるのを優しく見守って、二人がきたら~『なんじブーンは新婦ツンに永遠の愛を誓いますか』って聞くのよ?」<br> ツ弟「うー、むずしいよ~」<br> ぷーっとほっぺをふくらます弟<br> (^ω^)「そんな難しいこと四歳の子にはおぼえらんないお…」<br> 今度は私がほっぺをふくらます<br> 「こういうのはりありてぃーが大事なのよ?しっかり覚えてよ」<br> ツ弟「わかんないよー、え~ん」<br> 「泣かないのっ!男でしょ?」<br> ツ弟「だってー、ねぇちゃん怖い~、え~ん」<br> さらにふくれる私と泣いている弟に優しく語りかけるブーン<br> (^ω^)「じゃあ、神父さんには立っててもらうだけでいいお、ツ弟、ここに立って待っててくれお?」<br> ツ弟「うんっ、ちんぷさんここで立ってる」<br> ( ^ω^)「じゃツン、バージンロード歩くお、いこ」<br> 私の手を取り公園の入り口まで走る<br> ( ^ω^)「行くお、ツン?」<br> 「う、うん…」<br> 恥ずかしさと嬉しさに顏が真っ赤になりうつむく私、そしてブーンの腕をぎゅっとつかむ(^ω^)「新郎新婦入場だお」<br> 二人でゆっくりと公園の鋪道を歩く、弟が待つその前まで<br> ほんの短い距離なのに、永遠に感じる幼い二人の時間<br> <br> 114 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/15(土) 21:12:32ID:wlf6uecPO<br> ブーンが私の指におもちゃの指輪をつけてくれる<br> 「…あ」<br> (^ω^)「おこづかい、こつこつ貯めて買ったお、大事にして欲しいお」<br> 「嬉しい、ありがとうブーン↑大切にするっ、大好きだよブーン」<br> ブーンに抱きつく私、優しいブーンの顏<br> 少しずつぼやけていく…<br> <br> ざー…<br> 雨は相変わらず降り続いていた、時計を見ると朝の六時。<br> 夢を見ていた、8歳の頃、幸せだったあの頃の夢<br> 否応なく引き戻される現実、私の体は18歳の体。<br> 切なくて悲しくて眠りに入った昨日の夕方の続きの朝、何ひとつ変わらない現実…<br> <br> 117 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/15(土) 22:06:29ID:wlf6uecPO<br> 素直にブーンを好きだったあの頃…<br> 私の心はもうぐにゃぐにゃにねじ曲がってしまってきっともう、元には戻らない…<br> 今の私にブーンは眩しすぎる…<br> <br> いつものように朝御飯を食べ、学校に向かう。毎日この時間が一番憂鬱だった、長い、つまらない一日が今日もはじまる。<br> 酒屋の角を曲がると後ろからとんとんと肩を叩かれる、そんな友達はいないはずだった。怪訝そうに振り返る私<br> 「…?」ぷに。ほっぺたに指がささる<br> (^ω^)「あいかわらず柔らかいほっぺだお&amp;eおはようだお」<br> ばこん<br> 鞄の一撃をブーンの頭に炸裂させる<br> ( ^ω^)「い、痛いお…」<br> 「あ、朝から何すんのさっ!!この馬鹿男っ!ほ、ほっぺ…さ、触るな…」<br> 最後は消え入りそうな小さな声になる。朝の夢のせいだろうか、私のほっぺは真っ赤になり体温がかぁーっと上がるのを感じた。<br> その表情をみられないように早歩きでブーンを置き去りにする。<br> ( ^ω^)「ま、待って、ブーンも一緒に学校いくお~」<br> 「嫌。一人で行け」<br> (^ω^)「ひ、ひどいお~もうほっぺ触らないから許してお」<br> <br> 「次したら傘で刺すからね」<br> ( ^ω^)「しないお~、ごめんだお」<br> そうこうするうちに学校に到着する。<br> こんなに学校までの距離を近く感じたのは初めてだった<br> <br> 127 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/15(土) 23:43:38ID:wlf6uecPO<br> ( ^ω^)「ツンと同じクラスになれるといいお~」<br> 学校に着くと手続きのため職員室に向かおうとするブーン<br> 「絶対嫌。とっとと職員室行け馬鹿」<br> ( ;ω;)「……」<br> あからさまに肩を落とすブーン。<br> ブーンと同じクラスなら嬉しいかもと思いつつ、すぐに暗い気分になる…<br> 私にはクラスに友達と呼べる人間が…たぶん、いない。たまに普通に話したりはするけれど、教室で一人でいることが圧倒的に多い。<br> そんな所を…ブーンにみられたくない。明るいブーンはきっと、すぐクラスに打ち解ける、私は一人…<br> 泣きそうになる、そんな空気の中、私はどう生活していけばいいのだろう…<br> もう下駄箱まで来てしまっている、今更家に引き返すわけにもいかないので、仕方なく教室に向かう。ブーンが違うクラスになるよう祈りながら<br> 教室に入ると案の定、転校生の話で盛り上がっていた。耳に入ってくる話をまとめると<br> 「うちのクラスに転校生がくる」<br> それは確からしかった。<br> 私は頭を抱えた<br> <br> き~んこ~んか~んこ~ん<br> 時間に律儀な担任のモナー先生がチャイムと同時に入ってくる、案の上後ろにはブーンがいた。<br> モナTが紹介しようとしたその時<br> (^ω^)「ツン~!やったお~一緒のクラスになれたお↑↑」<br> 「……!!?」<br> クラスの視線が一斉に私に集まる<br> びゅっ、ぼこっ<br> ( ^ω^)「ぐぇっ…」<br> 私の投げたバレーボールがブーンの顏に寸分たがわずめり込む<br> 「だ、黙れこ、この馬鹿」<br> 恥ずかしさのため真っ赤になっている私とスローモーションで後ろに倒れるブーン<br> 一瞬の間をおいて、教室中が大爆笑につつまれる<br> <br> 131 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/16(日) 00:50:11ID:1qEyNlmFO<br> 「なにこのびっくりするほど夫婦漫才www」<br> 「お前もううちの生徒に手ぇ出したのかよwwwそれもツンさんとはwww許せんww」<br> 「ツンって意外と笑いのツボわかってるのね、見直したわ~」<br> 好き勝手に喋るクラスメート達を制すようにモナTが話を始める<br> (´∀`)「え~、つかみはだいぶよかったみたいだな?ブーン君」<br> ( ^ω^)「はい…ちょっと鼻血出て痛いですけど」<br> (´∀`)「まぁ、テイッシュでもつっこんどきゃ治るよな。<br>  そうそう言い忘れた、彼の名前はブーン君、〇〇県から越してきたそうだ。昔はこの町に住んでたからツンみたく知ってる奴もいるかもしれないな<br>  こらツン、面白かったけど痴話喧嘩はいかんぞ。」<br> 「な、せ、先生、痴話喧嘩じゃdrftgytふじこ┃」<br> (´∀`)「まぁみてわかるとおりこいつらはちっちゃい頃からの、イイナヅケらしいぞ(笑)」<br> <br> ( ^ω^)「実はそうなんです」<br> 「!!!!!11!!」<br> ぶん、めりっ<br> ( ☆ω☆)「ぎゃあああああ」<br> 今度はバスケットボールがブーンの顔面にめりこみ鼻血がつつーと糸を引く<br> 「次はこれ投げるわよ?」<br> 机を撫でる私<br> ( ;ω;)「ご、ごめんなさいだお」<br> 「わかればいいのよ」<br> (;´∀`)「つ、机はやめようね、ツン?」<br> 再びつつまれる笑いの渦。今までクラスが笑いに包まれることはたくさんあったけど、自分が中心になったことはなかった<br> 恥ずかしさで真っ赤になりながら、私は心地よい一体感を感じていた<br> <br> 158 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/16(日) 17:29:16ID:1qEyNlmFO<br> お昼休み。私の周りには何人かのクラスメイト達が私を囲んでごはんを食べていた。私とブーンの事を知りたいみたいだった<br> A「ツンとブーン君って幼馴染みなんだ~」<br> B「ねぇねぇwww先生が言ってた許婚ってマジ~?」<br> おもいっきり慌てる私<br> 「そ、そ、そんなことな…いgぃ…そぐぶv…」<br> 最後はしどろもどろで下を向いてしまう私<br> C「へー違うの~?でもブーン君って明るくて優しそうだしなんか好感度高いよね~、あたしねらっちゃおうかなっ、ツンい~い?」<br> 「な、なんで私に聞くのっ?そ…そんなのいいに決ってる…」<br> 真っ赤になりうつむく私、ニヤニヤする三人<br> C「嘘よー(*^▽^)だってブーン君ツンにベタボレっぽいもん(笑)」<br> 「え、え、そんな事な…いajmdfふじこ」顏をあげられない、きっと耳まで真っ赤っ赤になってるっぽい<br> A「ツンってこんなに可愛い女の子だったんだね。いつも端っこで外ばっかみてるから暗い人だと思ってたぁ」<br> B「うん、話しかけるなオーラでまくってたよね(笑)」<br> C「あたしたちツンを応援するから、頑張ってブーン君落としちゃおうね」<br> AB「お前はそればっかかい(笑)」<br> C「えへへ~」<br> 顏を見合わせる三人<br> 「ぐすっ…ひくっ」<br> ABC「??!!」<br> おそるおそる私に尋ねるC<br> C「ご、ごめん汗わたし調子乗りすぎた?」<br> 必死に首をぶんぶんふる私<br> 「ううん…違うの…<br>  私今までずっと自分でみんなとの関わり避けてたの…それでいいって思ってたから。そんな私にこんなに仲良くしてくれて…」<br> ABC「…………」<br> ABC「かわいー(はぁと)!!!」<br> C「あたしらを萌え死にさせる気かぁ爆」<br> B「じゃあこれから私たち、親友だよっ」<br> A「そんなこと気にしないでいいから、これから楽しくやってこo(^-^)oね、ツン?」<br> <br> 172 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/16(日) 20:25:23ID:1qEyNlmFO<br> 私がずっと避けていた人との関わり、信じられないと思っていた人間<br> だけれども、私がいつもの場所からほんの少しだけ、みんなに近付けば良かったんだ…<br> 言葉を交す人間は、こんなにも優しく、暖かい…<br> 「あ…ありがとう、朱音ちゃん(A)、真由ちゃん(B)ちょちゃん(C)…」<br> 三人「呼び捨てでいいから(笑)」<br> 「うん…」<br> <br> き~(ry<br> 予鈴がなり、午後の授業が始まる<br> <br> <br> <br> 授業が終り、帰ろうとすると教卓の前でブーンが男子達と騒いでいた<br> (´・ω・`)「おいブーン、ほんとに行くのか?ショボーン」<br> (^ω^)「行くお、せっかく誘ってもらったのにほんと悪いお」<br> (゚Д゚)「とっとと行きやがれゴルァ、死んでしまえ(笑)」<br> &lt; `∀´&gt;「気にするなニダ、また明日ニダ~」<br> もうクラスに馴染んでいるブーンを見て微笑ましくなる<br> でもブーンはどこかに行くらしい、なんとなくブーンと一緒に帰りたかったのに…残念<br> 少し口をとがらせ、後ろのドアから出ていこうとする私<br> 朱音「あ、ツン一緒に…」<br> ( ^ω^)「待つお~ツ~ン!!一緒に帰るおっ」<br> 全く同じタイミングで声をかけたため、ふたりの声がハモる<br> <br> 朱音「(笑)」<br> (^ω^)「ぬぉっ朱音ちんっ、ここはブーンにツンを譲って欲しいお」<br> <br> 175 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/16(日) 20:58:50ID:1qEyNlmFO<br> 朱音「いいわよ~。ただし~ブーン君今度なんかおごってくれる?」<br> (^ω^)「う~ん…じゃ学食の焼きそばパンおごるお↑今日初めて食ってめっちゃうまかったお」<br> 朱音「交渉成立ね♪じゃ楽しみにしてるわ、焼きそばパン」<br> (^ω^)「じゃツン行くお~」私の腕をひっぱり教室から出ていくブーン<br> 「ちょwww私の意思はどこに???ブーン離してよ~」<br> 朱音「ツン、ブーン君またね~」<br> ( ゚Д゚)「ブーンに氏を」<br> (´・ω・`)「詩を」<br> <br> <br> 「ちょっと…学校の中で手つなぐのよしてよ」<br> ブーンの大きな手に安らぎを感じながらも、恥ずかしさに抗議の声をあげる私<br> (^ω^)「まぁ固いこと言わないお、ブーンツンと一緒に帰りたかったお」<br> 「だからって…私、朱音と帰りたかったのに…ひどい」<br> ほっぺたをぷーと膨らます<br> (^ω^)「なんとなく、ツンがブーンと帰りたがってるように思ったお」<br> どきっ<br> 心を読まれた気がして鼓動が急に早くなる、しかしその前に体が動く<br> ぶんっ<br> ( ^ω^)「うぉうっ??!」<br> 殺気を感じ寸出の所で私の鞄攻撃を避けるブーン<br> ( ^ω^)「一日に何度も何度も同じ手は食らわない…」<br> がんっ<br> ( ^ω^)「ぐぇっ…」<br> 目の前の下駄箱に思いっきり顔面を強打するブーン<br> 得意になるからだ、思いっ切り笑ってやる<br> 「馬鹿ね、自業自得よ(笑)」<br> ( TωT)「…今日は厄日だお…」<br> 「何か言った?仕方ないから一緒に帰ってあげるわ。行くわよ」<br> ( ^ω^)「ま、待ってお」<br> <br> 183 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/16(日) 23:12:20ID:1qEyNlmFO<br> 校門を出ると、穏やかな秋の青空が私たちを出迎えてくれた<br> 朝降っていた雨は止み、心地よい風が一秒毎に青空の面積を広げていた<br> ( ^ω^)「風、気持ちいいお…」<br> 「うん。空、綺麗…」私も素直にうなずく<br> しばらくお互い無言で優しい風の感触を楽しんでいた<br> しばらく歩き、酒屋の前まで来ると自販機の前でお金を入れながら私に話しかける<br> (^ω^)「こんなにいい天気だからどっか寄り道していかないかお?」<br> ほいっと私にスプライトの缶を放る<br> ジュースはスプライトが一番好きなのをブーンはまだ覚えていてくれたんだ…<br> 「あ、ありがと。そうね、海、行きたい…」<br> 私はよく近くの海に行く。泳ぎに行ったりするのではなく、ただ海を見ているのが好きだった。<br> これだけ空が綺麗な日、きっと江ノ島も富士山の陵線もよく見える。<br> ( ^ω^)「わかったお、おいちゃ~ん、こんにちは」<br> 中からたばこを口にくわえたままのそっと出てくるおいちゃん。<br> 昔からよくこの酒屋でお菓子を買ったりしてたからおいちゃんとは顔馴染みだった<br> おいちゃん「おうブーン、お?ツンも一緒か。いい天気だな」<br> 「こ、こんにちは」慌ててあいさつする私<br> ( ^ω^)「おいちゃん、バイク出来た?」<br> おいちゃん「あたりめぇよ、完璧だっての」<br> (^ω^)「さすがおいちゃん仕事が早いお♪これ例のブツですぜ、お納めくださいませ」<br> 鞄の中から小さな紙袋を取りだし、おいちゃんに渡すブーン<br> おいちゃん「うほっ♪いいお…ゲフンゲフン…いいって事よ。ほら鍵、バイクは裏に置いてあるからな」<br> 私の視線に気付き慌てて紙袋を後ろに隠すおいちゃん<br> ( ^ω^)「ほいっ」<br> 裏からバイクを引いてきてヘルメットを私に渡すブーン<br> 「え?」状況がつかめずヘルメットとブーンを交互に見比べる私<br> <br> 190 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/16(日) 23:46:37ID:1qEyNlmFO<br> (^ω^)「昨日転んでバイク壊しちゃったから…昔からおいちゃんバイクとか車いじるのすごい好きなの覚えてて。たからあのあとすぐ修理お願いしたお」<br> 昨日の事を思い出す、私が急に飛び出してブーンは急ハンドル切って転倒したんだった。<br> すぐ走り去ってしまったのでバイクがどれだけ壊れたか確認してなかったけど、豪快に転倒してたので擦り傷程度ではすまなかったと思う<br> 「ごめんね…」うつむいて小さな声で謝る私<br> (^ω^)「ツンが謝ることないお、ブーンがよそ見してたからいけないんだお。それにバイクは壊れても直せばいいけど、ツンは壊れたら治るの大変だお」<br> おいちゃん「そうだ、こいつが200%悪い」<br> ( ^ω^)「ちょwwおいちゃん200%は多すぎwww」<br> おいちゃん「まぁ二人とも怪我なくてよかったじゃねぇか、なあ。次は気を付けて運転しろよブーン?ツン怪我させたら俺がお前を殺す、いいな?」<br> (;^ω^)「もちろんだお、さ、ツン行くお?おいちゃんほんとありがとだお」<br> 「う、うん」<br> 慌ててヘルメットをかぶり後ろにちょこんと乗る<br> おいちゃんが手をふる、私も小さく手を振り返す<br> ( ^ω^)「しっかりつかまってるお、ぶーん」<br> 「絶対嫌」<br> くっつくのが恥ずかしいのでその言葉を無視し、軽く肩に手をそえていた。<br> しかしその時横のトラックの追い越しの風圧で強烈な風が私に向かって吹き付ける<br> 「きゃっ」思わずブーンの背中にしがみつくようにくっつく格好になってしまった私<br> ( ^ω^)「危ないから素直にそうしてるお」<br> 「わ、私が危なくならないように安全運転さえすればいいのよ。わかったブーン?」<br> ( ^ω^)「任せておくお、ブーン」<br> <br> ブーンのおなかにまで改めてしっかりと手を回す。温かくて大きな背中、海辺の心地よい風、微かに漂う塩の香り…<br> ずっとこのままでいたい、素直にそう思えた<br> <br> 227 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/17(月) 19:48:28ID:3Rs4odO0O<br> その頃おいちゃん酒屋にて<br> <br> <br> おいちゃん「つ、ついに手に入ったぜ↑ブーンgjうはwww」<br> 紙袋からついにそれをとりだす<br> ??「モ、モルスァ」<br> おいちゃん「キタコレ━━(゚∀゚)━━!!」<br> ??「ナデナデシテー」<br> おいちゃん「うはwwwテラカワイスwww」<br> ぐりぐりなでるおいちゃん<br> ??「イテーヨコノクソオヤジ」<br> おいちゃん「??」<br> ??「サワンナオヤジクセーンダヨコノハゲ、モルスァ」<br> バチコーン<br> ??「グエッー」<br> おいちゃん「あ、つい…やべ、壊れたコレ?」<br> ??「ミジカイイッショウダッタナリ…ファー…ブル…ス…コ」パタ<br> おいちゃん「またブーンにもらうか…」<br> <br> 238 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[sage]投稿日:2005/10/18(火) 00:07:43ID:hG9ZlntkO<br> 江ノ島に着いた頃には日が少し傾き、平日ということもあり人影もまばらで、あたりはのどかな空気が流れていた<br> 海から優しく吹く風が二人を包む。<br> 私たちは手を繋ぐでもなく、離れるでもなく微妙な距離を保ちながら無言で歩いていた。<br> 二人に言葉はいらなかった<br> しばらく歩くとふとブーンが私を振り返り何か言おうとした<br> ( ^ω^)「ほんといいてん…うほっ??」<br> 「きゃっっ!!」ブーンが振り向くのとほぼ同時に私は道のちょっとした段差につまづいて豪快にバランスを崩す<br> ( ^ω^)「あ、危ないお!」<br> あわてて私が転ばないように両手で受け止めるブーン<br> 図らずもブーンの胸に抱き締められる形になってしまう<br> 相手の吐息が感じられるほどの距離、自然に合ってしまう目と目<br> 「あ…」<br> ( ^ω^)「…」流れる沈黙…<br> <br> しかしその時<br> たけし「ねーかーちゃん、あのひとたちなにひるまっからいちゃいちゃしちゃってるの?」<br> J(´ー`)し「たけしごめんね、かーちゃんばかだからよくわからなくてごめんね」<br> たけし「あぁいうのをやけぼっくいにひがついたっていうんだよね?かあちゃん」<br> J(´ー`)し「たけしむずかしいことばしっててえらいわ、かあちゃん(ry」<br> 「……」ふと我に帰る私<br> 「ち、ちょっと!な、なに掴んでるのよ!は、離してっ…(は、恥ずかしい(////)…)」<br> ( ^ω^)「あ…ご、ごめんだお」<br> ブーンから離れると恥ずかしさのあまりブーンを置き去りにして一人先にスタスタ歩く<br> (^ω^)「あ、待つおツン。展望台そっちじゃないお…って聞こえてねぇ」<br> <br> 245 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[sage]投稿日:2005/10/18(火) 01:09:38ID:hG9ZlntkO<br> 少しブーンに意地悪をしてみたくなった、先に行ったふりをして木の陰に隠れブーンが通りすぎるのを待つ<br> ( ^ω^)「あれ?ツーン、どこ行ったお~?あれ?」<br> ブーンの困った顔を見て、なんとなく優越感に浸る。何か昨日からしっかりしたブーンばっかり見てたので、昔みたく少しいじめてみたくなってしまった。ごめんねブーン<br> ブーンが辺りで私を探してる間に私は目的の場所を目指す。江ノ島の東側、伊豆の山々に一秒毎に沈んでいく太陽が見える絶景ポイントがある、これだけ綺麗に晴れていると富士山や丹沢の山々の陵線も鮮やかに見える。まさに自然の芸術とも言って良い場所だった。<br> 小さい頃、ブーンの家族と一緒に連れてきてもらってからこの景色の虜になった。一人でもよく、ここに来て景色を見ていた。<br> ブーンならきっと私がここに来たがってることわかるはず<br> そういえばブーンに家族の事聞いてなかったな、モルスァちゃん(妹)もお父さんもお母さんも元気かな…会いたいな<br> <br> しばらくしてブーン息を切らせてやってくる<br> (;^ω^)「はぁはぁ…ここにいるって事は、途中隠れてたのかお…意地悪だお」<br> 「あら、ブーンなら私が行きたいところ分かってくれてると思ってたんだけどな?」<br> (^ω^)「まぁ、そうだお。ブーンもここに来たかったお…」<br> 「昔一度、ブーンの家族にこの場所、連れてきてもらったね。そういえばみんな元気なの?モルスァちゃん今年高校受験よね?」<br> 急にブーンの表情が険しく厳しいものにかわる、唇を間一文字に強く噛み締めるように強く結び答える<br> ( |||ω)「し………だお」<br> 「え…?今何、何…て言った…の?」<br> 沈痛な面持ちで絞り出すように小さな声で呟く<br> ( |||ω)「半月前に、三人とも…亡くなった…お」<br> 「え?…嘘…だよね?」<br> <br> 253 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[sage]投稿日:2005/10/18(火) 02:03:30ID:hG9ZlntkO<br> 重い重い沈黙が辺りを支配する…<br> その沈黙に耐えかねるようにブーンに問い詰める<br> 「う、嘘って言って!ねぇブーンっ、嘘って…言っ…て」<br> 最後は涙で声がかすれて出なくなる、私にとってその衝撃は測り知れなく大きかった…<br> ( |||ω)「……嘘じゃ、ないお…」<br> 消え入るような声で呟くブーン<br> 「どうして…」<br> (|||ω)「三人で旅行の帰り、高速道路で…事故に巻き込まれたお…たまたまブーンは体調崩して家で休んでたから行かなかったお…」<br> 頭を抱え首を振るブーン<br> 「どうして?どうしてブーンなの…そんなひどい運命をブーンに与えなくたって…ひっく…ひ、ひどいよ」<br> 不公平な人生に納得がいかなかった、今目の前に神様がいたら、絶対にひっぱたいてしまう自信があった<br> (TωT)「…あぐっえぐっ…」いつのまにかブーンも泣いていた…むせび泣くように涙を流していた<br> 「ブーン…」私はブーンを抱いて一緒に泣いてあげることしか出来なかった、日が暮れるまで…悲しみを分かち合うように、ただ涙を流していた<br> <br> 日が傾き、東の空から半月がおぼろげに現れる。私たちは岩場に座っていた<br> ( ^ω^)「落ち着いてきたお…ツン、ありがとだお」<br> 「ううん、私…何も出来なくて、ごめんね…」<br> 慰める言葉一つ言えず一緒に泣くことしか出来なかった私…<br> (^ω^)「父さん、母さん、モルスァの分まで強く生きようって思ったお…でも、寂しくて、悲しくて駄目だったお、何度も三人の後追おうとしたお…」<br> <br> 284 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/18(火) 21:35:16ID:hG9ZlntkO<br> ( ^ω^)「だけど、ブーンにそんな勇気なかったお…<br>  打ちひしがれて、思い出したのはツンとの楽しい思いでだったお<br> あっちの友達も毎日ブーンのこと、たくさんたくさんなぐさめてくれたお…でも、ツンにどうしても会いたくて、それでこの町帰ってきたお…」<br> 「……」<br> (^ω^)「ツンに会えて…すごく元気出たお、こうして悲しみも寂しさも分けあってもらった、ほんとにありがとう」<br> どくんと私の胸の奥に込み上げる感情のかたまり…今わかった、私やっぱりブーンが好き<br> しかし次のブーンの言葉に、私は固まってしまう<br> (^ω^)「ツンは彼氏いるって言ってたお。それなのにこんな風に二人きりでバイクででかける事になってしまってほんとに申し訳ないお…もし彼氏に何か言われたらブーン直接謝るお、ごめんだお」<br> 完全に忘れていた。悔し紛れについた私の他愛のない嘘が、ブーンを縛りつけていた<br> 胸が痛かった…<br> 「あのね、ブーン…」ほんとの事を言おうと口を開き書けたその時<br> ?「ベビベビベイベベイベベイベベイベ~♪俺の全ては~お前のものさ~」<br> 「江頭…?」<br> (^ω^)「ぬぉっ…電話だお、この着うたはおいちゃん…?ツン、ちょっとごめんだお<br> 『もしもし?え?マジかお?そんなはずは…う~ん、わかったお、代わりの品持ってくお。ブルスコしかないけどいいかお?了解だお。あ~い』ふ~…」ピッ<br> 電話を切るブーン<br> (^ω^)「マナーにしとけばよかったお…勢いで電話でちゃったお↓ごめん、ツン何か言いかけてたお、どうしたお?」<br> 「え?あ…何でもないわよ、気にしないで」<br> 何でもなくないのに言いづらくなってしまった…<br> これだけ私を思ってくれていたブーンに一時の感情の高まりだけで嘘をついてしまった、罪悪感でいっぱいだった<br> <br> 287 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/18(火) 23:18:49ID:hG9ZlntkO<br> 時計は七時を回っていた、初秋とはいえ夜の風はもうだいぶ冷たかった<br> ( ^ω^)「だいぶ寒くなってきたし、もう帰るお」<br> 「うん…」<br> 二人過ごした時間を惜しむかのように私たちは来た道をゆっくりと戻って行った<br> 先導するように、私の前を歩いていくブーン、少し後ろを離れて歩く私<br> 私の目はブーンの手を見ていた。大きくて温かいその手。すぐにでも私の小さな手を包み込んで欲しかった<br> そんな事を考えていたとき、ふと歩きながらブーンが私に言う<br> ( ^ω^)「お願いが…あるお」<br> 「え?な、何よ?き、急にどうしたのよ?」少し慌てて答える私<br> (^ω^)「駐輪場に…着くまでだけでいいお…手、つながせてもらってもいいかお?」<br> 内心ドキリとした。心の中を読まれてしまったのかと思った<br> しばらく下を向いてもじもじしていた<br> 手をつないで欲しくて仕方なかったのに素直になれない私、強がってこう言う<br> 「家に帰るまで、私モルスァちゃんの代わりになる。」<br> ( ^ω^)「え?」<br> 「なるったらなるのっ、だからお兄ちゃん…私、手つないで欲しい…」<br> 私、最低だ。素直に嘘だったって言えないからって何を言ってるんだろう…<br> 自己嫌悪に顔をうつむける。<br> ( ^ω^)「ツン…いやモルスァ、ありがとう」<br> <br> 289 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[]投稿日:2005/10/18(火) 23:50:32ID:hG9ZlntkO<br> 顔を上げるとブーンは優しく微笑んでいた<br> そして私の手を包み込むようにやさしくぎゅっと握る<br> 私もぎゅっと握り返す<br> <br> 駐輪場に着くと、ブーンは鞄の中からジャージを取り出し私に差し出す<br> (^ω^)「ツ…モルスァ、帰りのバイクきっと風がかなり冷たいお。これしかないけど上に羽織れば少しは違うと思うお。ボソ(ちょっと汗臭いのは許して欲しいお)」<br> 少し肌寒さを感じていたので、ブーンの言葉に素直に甘えることにした。<br> 制服の上からジャージに袖を通す。すると不思議なことに先ほどまで誰か着ていたかのような温もりがあった<br> 「ありがと、とっても暖かいよ、お兄ちゃん…」<br> ( ^ω^)「よかったお。じゃしっかりつかまってるお?」<br> 「うん…」今度は素直にブーンの大きな背中にしっかりとしがみつく<br> ( ^ω^)「じゃあいくお。ブ――ン!」<br> <br> 思っていたよりも風は冷たくなかった、貸してもらったジャージが風を遮断し、何よりもブーンの背中がとてもあたたかかった<br> 「お兄ちゃんの背中…とってもあたたかい、ずっとこのままでいたい、一緒に…いたいよ」<br> 小さな小さな声だった、私の声を借りるかのように自然と口からこぼれた言葉<br> 私は一人で顔を真っ赤にしていた。幸いバイクのエンジン音にかき消されブーンには聞こえなかったようだ<br> 無言でスロットルをひねり続けるブーン、私はブーンのお腹に回した手にぎゅっと力を加えた<br> 二人の距離がさらに縮まるように…<br> <br> 313 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>投稿日:2005/10/19(水) 21:28:36ID:oNv9aOcBO<br> 海辺の国道を走る車はまばらで、すぐに見慣れた景色が私の視界に入ってくる、気が付くともう私の家のすぐ近くだった<br> …帰りたくない、回した手に力をこめ、頬を背中に押し付ける<br> ( ^ω^)「い、痛いお…ツンどしたお?」<br> 私は口を尖らす<br> 「ツン姉ちゃんじゃないもん」<br> ( ^ω^)「あ、モルスァ…どうしたお」<br> 「私のおうちこっちじゃないもん、おにいちゃんと一緒のおうちに帰るんだよ」<br> ブーンは困ったように言う<br> (^ω^)「駄目だお、ツン。ちゃんとツンのおうち帰らないとお母さん心配するお…」<br> 真面目なブーン。私の事ばかり心配してくれる<br> 「……うん」それ以上何も言えなくなってしまった<br> バイクから降りる、そしてジャージを脱いでブーンに渡す<br> 「あ、ありがと…すごくあったかかった…そ、それとね…」<br> 嘘をついていたことを謝ろうと思った<br> 「あのねブー…!?」<br> 一瞬何が起こったのか分からなかった、私の唇はブーンの唇に塞がれていた<br> ほんの一瞬だけのくちづけだった。柔らかくて、優しい感触…<br> 気が付くともう離れているブーン<br> 恥ずかしさと嬉しさと戸惑いに、私の顔は真っ赤になり顔をあげる事が出来なくなる<br> (^ω^)「ごめんだお…最後に、昔からの夢だった、ツンとのキス…させてもらったお」<br> 「え…さ、最後?な、何で?これから学校で会えるじゃない?」<br> ブーンは優しく、そして申し訳なさそうに微笑んでいた<br> ( ^ω^)「ブーン…ツンに嘘ついてたこと、あるお…」<br> 「嘘なんて別に大丈夫っ、だから…だから最後なんて言わないでっ…」<br> 半分私は泣いていたと思う、必死に訴えていた<br> <br> 316 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>投稿日:2005/10/19(水) 22:11:19ID:oNv9aOcBO<br> ( ^ω^)「もう…かえらなくちゃいけないお」<br> 「ど、どこに?〇〇県のおうちに?今日転校してきたばっかりなのに?!」<br> 申し訳なさそうな顔で言葉を続けるブーン<br> (^ω^)「ブーン、家族で旅行行った時…家で寝てなかったお、みんなと一緒だったお…」<br> 「え…どういうこと?」私はブーンの言っている言葉の意味が分からなかった<br> それはもしかして…しかし、実際にブーンは目の前にいる<br> 私は次のブーンの言葉を待った<br> (^ω^)「ブーン…事故に巻き込まれて…今、〇〇県の病院にいるお」<br> からかわれているんだと思った、少し頭に来た<br> 「お、面白くないわよ?ブーンは今、実際私の目の前にいるじゃないっ!!不謹慎な冗談やめて?」<br> 沈痛な面持ちで首を横に振るブーン<br> (^ω^)「こんな事って信じられないと思うけど、たぶんもうすぐブーン死ぬお…自分でわかるお」<br> 「意味分かんないッッ!!!」本気で怒り始める私、しかしブーンは語り続ける<br> (^ω^)「ブーン事故にあってからずっと意識不明の状態続いてたお…だけど、心の奥でずっとツンに会いたいツンに会いたいって思ってたお…<br>  そうしたら、昨日の朝…あの近所の公園に立っていたお、バイク片手に」<br> 「………」私は無言だった、ブーンの言っていることが現実離れしすぎていて全く理解出来なかった<br> (^ω^)「こんなアニメみたいな展開、ほんとにあるとは思ってなかったお…この体はきっと幻かなにかだと思うお…でも、でも…ウッ最後に…ツンに会えて、よかった、お…」<br> 最後には大粒の涙を溢していた<br> 「え、な、何?う、嘘…でしょ?ねぇブーン嘘でしょ?!嘘って言って…嫌よ、せっかく、せっかくまた会えたのに…」<br> (TωT)「お迎えがきたみたいだお…ツン、幸せになって欲しいお…それだけがブーンの心残りだ…お」<br> 信じられない事に、ブーンの体が少しずつ薄くなって後ろの景色が透けて見えるようになっていた<br> <br> 320 名前: <font color= "#009900">◆iQO/KNrhZ.</font>[sage]投稿日:2005/10/19(水) 22:34:55 ID:oNv9aOcBO<br> 私は必死に叫ぶ<br> 「嫌、嫌っ、嫌っっ、私ブーンが好きなの!!大好きなのっ!!!<br>  前からずっと…お嫁さんにしてくれるって言ったでしょっ?私その言葉だけ頼りに今までずっと、ずっと生きてきたのよ?<br>  ブーンと会えなくなって私の人生変わっちゃったわ…人との関わり拒む嫌な女になっちゃったの…<br>  だけどまたブーンと会えて、私また変われそうだった、ブーンのおかけで今日初めて高校で友達出来たの…<br>  私、ブーンがいないと何も出来ない弱い女なのっ、だから、だからお願いっ…行かないでブーン…」<br> 目の前が涙で何も見えなかった、少しずつ消えていくブーンに必死で抱きつく<br> ブーンは私の髪を優しくなで、諭すように言う<br> 「ツン…ブーンもツンの事、大好きだったお、幸せにしてあげたかったお…。でもブーンのこと考えてたらきっと辛いお…<br>  早くブーンの事忘れて、彼氏に幸せにしてもらうんだお…たくさんの思い出ありがとう<br>  ブーンいつまでもツンの事、見守ってるお、バイバイ…」<br> ふっとブーンが消える<br> 「えっ…」必死にあたりを見回す私<br> 「何で…どうして…?ブーン、ブーンっ、お願いいるんでしょ?返事して…?嘘…だよね?」<br> しかし返事は帰ってこなかった<br> 「嫌ぁぁぁぁぁぁぁ…」<br> 私の叫び声が虚しく辺りに響きわたる…<br> <br> <a href="http://www6.atwiki.jp/naito-tun/pages/5.html"><font color= "#FF6633">続き</font></a></p>

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