セジョン・デワン級イージス駆逐艦(KDX-III)


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▼1番艦「セジョン・デワン」(DDG-991)
▼2番艦「ユルゴク・イ・イ」(DDG-992)

性能緒元
排水量 7,700t
全長 165.9m
全幅 21.0m
喫水 6.25m
主機 COGAG 2軸
  GE LM2500ガスタービン 4基(105,000馬力)
速力 30kts
航続距離 5,500nm/20kts
乗員 300名

【兵装】
対空ミサイル RIM-66スタンダードSM-2 BlockⅢB / Mk41 VLS(80セル)  
対艦ミサイル SSM-700K「海星」 / 4連装発射筒 4基
対潜ミサイル K-ASROC「赤鮫」 / 専用VLS(16セル)  
巡航ミサイル 「天龍」(開発中) / 専用VLS(32セル)  
Mk45 mod4 62口径127mm単装砲 1基
魚雷 K745「青鮫」324mm短魚雷 / Mk32 3連装発射管 2基
近接防御 RIM-116B RAM Block1 / Mk49 21連装発射機 1基
  ゴールキーパー30mmCIWS 1基
  12.7mm機関銃 2基
搭載機 スーパーリンクス哨戒ヘリコプター 2機

【電子兵装】
3次元対空レーダー AN/SPY-1D(v5) 4面
火器管制レーダー AN/SPG-62 3基
光学捜索追跡システム VAMPIR-MB 2基
戦闘システム イージス・システム Baseline7 PhaseI  
AEWシステム ASWCS-K(開発中)  
電子戦システム SLQ-32(v)  
チャフ・フレア KDAGAIE Mk2 4基
データ・リンク・システム Link-16 JTIDS  
バウ・ソナー DSQS-21 BZ-M  
曳航ソナー CAPTAS Mk2v1(?)  
魚雷デコイ SLQ-261K  

KDX計画の第3段階(KDX-III)として開発中のイージス・ウェポン・システム搭載艦。排水量約7,000トン。アメリカのイージス駆逐艦アーレイ・バーク級フライトIIAをベースに設計される。1985年から研究が始まり、1995年の国防要綱で正式に将来取得兵器として認められた。1番艦「セジョン・デワン」は2004年11月11日から現代重工業で建造を開始し、2007年5月25日に進水、2008年12月22に就役した。建造期間は49ヶ月で、現代重工業特殊船事業部の林常務によれば、これはアメリカのイージス艦建造平均期間(62~64ヶ月)より大幅に短いという。2012年まで計3兆1361億ウォンが投入され、3隻が国内建造される。2005年末に発表された中期防衛整備計画「国防計画2020」では建造は3番艦までとされたが、2007年3月の朝鮮日報の報道によれば、海軍は北朝鮮の弾道ミサイル防衛のため、2020年までにイージス駆逐艦3隻を追加建造して計6隻を揃える計画を積極的に推進中で、2008年上半期のうちに合同参謀本部に正式に要請する予定。2番艦は2010年、3番艦は2012年にそれぞれ実戦配備される予定で、韓国海軍の持つ3個艦隊にそれぞれ1隻ずつ配備される。

搭載システムは蘭タレス社のAPARと米ロッキード・マーチン社のイージス・システムが最後まで性能試験で争われたが、韓国海軍は2002年にイージス・システムを選択した。核となるイージス・システム関係のソフト開発やインテグレーションは米Lockheed Martin Naval Electronics and Surveillancce社に$267,447,827で発注されている。使用されるイージス・システムはベースライン7・フェーズI。スタンダードSM-2 BlockⅣ対空ミサイルも一緒に供給される。そのほかAN/UPX-29(v)航空機識別追跡システム、J-TIDS(米四軍統合戦術情報分配システム/Link-16)、艦載グリッドロック・システム、航法センサーシステム・インターフェイス等も一緒に供給される。また2006年7月5日、英ロールス・ロイス社はKDX-III型用のAG9140RFガスタービン発電機の初号機を韓国に納入した。今後は韓サムスン・テックウィン社がロールス・ロイス社のから部品の供給を受けて6基(3隻分)を組み立てるほか、現代重工がライセンス生産を行う計画も進んでいる。

イージス兵器システムMk7(AWS:Aegeis Weapon System)はAN/SPY-1多機能フェーズドアレイ・レーダーを中心に、Mk8火器管制システムやMk2意志決定システムなどで構成される総合戦闘システムで、レーダーが探知した目標を自動的に脅威度の高い順に選別し、最も効率的な攻撃方法を迅速に選択する事ができる。KDX-IIIが導入するイージス・システムのベースライン7は、弾道ミサイル対処能力を強化しCOTS(Commercial Off-The-Shelf:開発済み市販製品)の導入によりコストを抑えた最新型。AN/SPY-1は500km以内の360度全周を走査することができ、200以上の目標を同時に探知・追跡する事が可能。また従来型のレーダーに比べてシー・クラッターの影響が少なく、電子妨害にも強いといわれている。KDX-IIIに装備されるAN/SPY-1D(v)は米海軍アーレイバーク級イージス駆逐艦DDG-91「ピンクニィ」以降に装備されている最新型で、天頂方向の探知距離が増大してミサイルや航空機への対処能力が向上しているほか独立信号処理して高速目標捜索が可能になっている。光学捜索システムのVAMPIR-MBは仏SAGEM社製でLPX(独島級揚陸艦)やフランスの空母シャルル・ド・ゴール(Charles de Gaulle)にも搭載されている。3~5mmの中波赤外線センサーと8~12mm遠波赤外線センサーを搭載しており、昼夜に関わらず超音速ミサイルは27km、戦闘機なら18kmの距離で探知・追跡可能。パッシブ・センサーなのでECM(Electronic Counter Measures:電子妨害手段)下でも妨害される事なく捜索できる。

なおイージス・システムに組み込まれているAN/SQQ-89(v)対潜戦システムはKDX-IIIには装備されず、KDX-III用にロッキード・マーチン社が新たに開発しているASWCS-K(Anti Submarine Weapon Control System-Korea)を搭載する予定。ソナーも廉価なDSQS-21 BZ-Mを搭載する。これは韓国海軍が活動する海域は浅海が多く、AN/SQQ-89は浅海域には不向きなためだという。DSQS-21Bは独アトラス・エレクトロニック社製で、ブランデンブルグ級(123型)に装備されている中周波ソナーである。探知距離は約45kmで同時に32目標を追尾可能(対潜システムにもよる)といわれており、KDX-IIIに装備されるDSQS-21 BZ-Mはその改良型なので更に性能が向上していると思われる。ASWCS-KのベースになっているというMSI 2005F対潜システムはノルウェーのフリチョフ・ナンセン(Fritjof Nansen)級フリゲートに搭載されている。KDX-IIIが装備する曳航ソナーはまだ不明だが、ナンセン級と同じものを装備するならCAPTAS(Combined Active Passive Towed Array Soner)Mk2になるだろう。CAPTAS Mk2は低周波アクティブ/パッシブ兼用曳航ソナーで、対潜戦・魚雷警戒・機雷探知に使用される最新型(但しアーレイ・バーク級フライトIIAでは曳航ソナーは廃止されている)

イージス・システムと共にアメリカから購入するRIM-66スタンダードSM-2 BlocKⅢBは、イージス艦とVLS(Vertical Launching System:垂直発射システム)に適応した長距離対空ミサイル。中間期はBlockⅡと同じように慣性航法と母艦からのアップデートにより誘導されるが、終末期はセミアクティブ・レーダー誘導に加えて赤外線シーカーが追加されており、2種類の誘導システムを併用する事で厳しい電子戦環境下でも確実に撃墜できるよう改良されている。射程距離は約140km。ミサイル管制は艦前部に1基、後部に2基装備されているAN/SPG-62レーダーで行われる。韓国は当初KDX-IIIにはRIM-156スタンダードSM-2 BlockⅣAを搭載する予定だったがアメリカでの開発が2001年にキャンセルされてしまったため、BlockⅢBの搭載を決定した。アメリカからSM-2 BlockⅢBを48発とスペアパーツ、中間整備、人員の訓練費用などを総額1億1,100万ドル(オプション込みの場合)で契約する予定になっている(SM-2 BlockⅡBとする資料もある?)

KDX-III型には国内開発の巡航ミサイル「天龍」対潜ミサイル「赤鮫」(K-ASROC)が搭載される予定。「天龍」は射程約500kmの対地精密誘導巡航ミサイル。「赤鮫」はK745「青鮫」短魚雷にロケット・ブースターを装着したもので、投射距離は約10km。どちらもMk41VLS(垂直発射機)ではなく、新たに国内開発されるコールド・ランチ型専用VLSから発射される。対艦ミサイルはハープーンか国産のSSM-700K「海星」を装備する予定。西側諸国の駆逐艦は対艦ミサイル8発を搭載している事が多いが、KDX-IIIはその倍の16発を搭載する。これはアメリカ空母機動部隊を撃破するために大量の対艦ミサイルを装備しているロシアや中国などの艦艇に近い。Mk45 mod4 127mm速射砲は、それまで54口径だったMk45の砲身長を62口径まで延長し、陸上への艦砲射撃を重視した新型砲である。この砲は通常砲弾を使用しても38kmという在来127mm砲の倍近い射程距離を有している。韓国海軍では北朝鮮の沿岸砲を遠距離から無効化するためアメリカが開発中だった127mm砲用の射程117kmに達する長射程誘導砲弾ERGMの採用を希望していたが、ERGMが2008年3月に開発が中止された事によりその目論見は頓挫する事になってしまった。またMk45 mod4はアメリカ海軍でも数年前から装備が始まったばかり(DDG-81以降)で、強大な北朝鮮陸軍と対峙する韓国ならではの装備といえよう。

KDX-IIIは韓国海軍にとって、海軍力増強を図る中国や強大な海軍力を擁する日本に対抗するための象徴的な艦だ。北朝鮮が配備を進めている弾道ミサイルへの対抗手段として期待する向きもある。しかし韓国がイージス艦を効果的に運用するには、克服すべき課題も多い。1隻あたり年間300億ウォンにものぼるといわれる維持費を搾り出すのも財政の厳しい韓国海軍にとっては頭の痛い問題で、さらにイージス艦を運用するための高度な専門技術者も育成しなければならない(1,2番艦の要員はアメリカで、3番艦の要員は国内に設けた専用施設で教育を受ける予定)。またイージス艦を効率的に運用するには東海、南海、西海の各艦隊に2隻ずつ、合計6隻の配備が必要で、それには約6兆ウォンもの莫大な建造費がかかる。これらの問題をいかに克服していくかが、今後韓国海軍が外洋海軍へと発展する鍵のひとつとなるだろう。朝鮮日報の記事(2007年5月25日付)によれば、現代重工はイージス・システムの提供元である米ロッキード・マーチン社から共同輸出計画を持ちかけられており(現代が船体を、ロ社がシステム・インテグレートを担当するという)、具体的な検討が開始されているという。

【2009.05.09追記】
韓国海軍は鎮海(チンヘ)の海軍訓練司令部にイージスシステム要員を養成するための訓練施設、AOMTC(Aegis Operation Management Training Center)を開設した。米海軍の同種施設、ATRC(Aegis Training and Readiness Center)に次いで世界で二番目だとの事。自国でイージス整備を行なえるようにして経費を削減する。
(DefenseNews/Kojii.net)

【2009.06.07追記】
韓国紙が報じたところによると、1番艦「セジョン・デワン」のソフトウェアに不具合があり、同艦は鎮海の海軍基地で補修工事を受けているという。レーダーが捕捉したデータを転送するシステムに問題があり、これまでフルパワーでテストする機会が全く無かった為、不具合が露呈しなかったとの事。
(Kojii.net/DID)

1番艦 世宗大王(セジョン・デワン) ROK Sejong the Great DDG-991 2007年5月進水 / 2008年12月就役
2番艦 栗谷李珥(ユルゴク・イ・イ) ROK Yulgok Yi I DDG-992 2008年11月14日進水 / 2010年8月31日就役
3番艦 西厓柳成龍(ソエ ユ・ソンリョン) ROK Seoae Yu Seong ryong DDG-993 2011年3月24日進水 / 2012年就役予定

▼1番艦「セジョン・デワン」の就役式の画像(2008年12月22日釜山)
▼同じく「セジョン・デワン」の就役式の画像。RAMの前に並んでいるのはMk41 VLS
▼艦橋構造物に装備されたAN/SPY-1Dフェーズドアレイ・レーダーのアンテナ
▼マストの形状は日米のイージス艦と違い、4面が艦主尾両舷に正対している
▼前部煙突両舷にあるRIB(複合艇)格納庫。側面は布状の幕で覆われている
▼後部煙突構造の両舷に1基ずつ装備されているチャフ発射機
▼船体中央両舷に各1基ずつある機関銃架台と防弾版
▼進水式直前の「セジョン・デワン」の画像。
▼長大なビルジキールが目を惹く。KDX-IIに装備されていたフィン・スタビライザーをKDX-IIIは装備していない。
▼艦橋部。「センジョン・デワン」進水式の画像だがSPY-1のアンテナはまだ取り付けられておらず、ダミー。
▼煙突後部に雛壇式に装備されている2基のAN/SPG-62。ゴールキーパー30mmCIWSも見える。
▼艦首部。主錨は民間規格のACアンカー
▼DSQS-21バウソナーを収めたバルバスバウ
▼ハルソナー?(詳細不明)

▼2008年10月に行なわれた建国60周年記念国際観艦式の「セジョン・デワン」動画
▼KDX-III建造動画

【参考資料】
軍事研究(株ジャパン・ミリタリー・レビュー)
世界の艦船(海人社)
Powercorea
Kojii.net
Jane's Defence Weekly
Global Security
世界日報「2隻目のイージス艦「栗谷李珥」進水式」(2008年11月14日)
NavWeaps「United States of America 5"/62 (12.7 cm) Mark 45 Mod 4 」(2008年4月7日)
朝鮮日報「韓国軍:イージス艦「栗谷李珥」が就役」(2010年9月1日)


2011-10-24 06:04:39 (Mon)