▼2番艦「京城」(FFK-952)。30mm連装機関砲を4基装備した前期型。
▼3番艦「忠南」(FFK-953)
▼7番艦「済州」(FFK-958)。40mm連装機関砲を3基装備した後期型。
▼8番艦「釜山」(FFK-959)。後期型は上部構造物が増えたことで、よりトップヘビーになっている。
▼9番艦「全州」(FFK-961)。2007年12月の重油流出事故出動時の画像。
■性能緒元
満載排水量 |
2,180t |
全長 |
102.0m |
全幅 |
11.5m |
主機 |
CODOG |
|
GE LM2500ガスタービン 2基(58,200馬力) |
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MTU ディーゼル 2基(5,940馬力) |
速力 |
34kts |
航続距離 |
34kts/900nm 15kts/4000nm |
乗員 |
150名 |
【兵装】
【電子兵装】
2次元対空レーダー |
ZW-06 |
1基 |
対水上レーダー |
DA-05 |
1基 |
航海レーダー |
AN/SPS-10C |
1基 |
火器管制レーダー |
WM-28 |
1基(1~5番艦) |
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ST-1802 |
1基(6番艦以降) |
ECMシステム |
AN/ULQ-11K |
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データ・リンク・システム |
KNTDS(韓国型Link-4/11/14) |
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ソナー |
PHS-32 |
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魚雷デコイ |
AN/SLQ-261K |
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韓国海軍初の本格的国産戦闘艦。北朝鮮艦艇との交戦に備え、このクラスの小型艦としては異様に強力な砲填兵装を有しているが、対潜戦や対空戦などにも対応できる多目的艦として設計された。1980年から現代重工で建造が始まり、大宇造船海洋や韓国タコマ造船所でも建造され、1981から93年までに同型9隻が就役した。韓国型護衛艦、HDF2000型フリゲートとも呼ばれる。
ウルサン級は前期型(FFK-951~956の5隻)と後期型(FFK-957~961の4隻)に分かれている。前期型はエリコン社の
30mm機関砲を連装で搭載した米エマーレック社の有人砲塔を4基装備しているが、後期型はこれを伊ブレダ社(現在はオットー・メララ社が販売を担当)の
40mm連装機関砲(コンパクト40型)3基に変えている。搭載武器の変更に合わせて後期型はレーダーもST-1802に換え、レーダーやソナーから得た目標情報を集約管制する自動戦闘データ管制システムと武器管制システム、他の艦艇と情報を準リアルタイムで共有するデータリンクシステム(韓国型Link-11)等も搭載(未搭載の艦に対しても搭載工事を進めている)。ウルサン級は潜水艦を攻撃するために短魚雷の3連装発射管を装備しているが、その他にも浅海を行動する北朝鮮の小型潜水艦に備え、対潜爆雷を12発搭載している。最近、一部のウルサン級(FFK-951ほか数隻)は
新型国産魚雷「青鮫」の運用を開始したようだ。
小さな船体に強力な武装を装備するために、主船体のスペース不足を上構の大型化で補っている点は
クァンゲト・デワン級駆逐艦と同じで、トップヘビー化を避けるため上構にはアルミ合金を用いている。内装には木材を多用するなど商船的な艤装が施されており、当時の韓国海軍の軍艦建造に関わる技術水準が窺える。ウルサン級はスタビライザを装備してはいるが、船体の問題により波高が4.1~4.5m以上の場合は港に避難しなければならない。バラストとして船底にセメントを流し込んだりもしたという。2004年には船体上部構造物の亀裂が深刻な状態である事が判明したため、1隻あたり17億~24億ウォンをかけて上部構造物に伸縮性の連結材を設置し、主甲板と船体の横に厚さ12~24mmの補強板を張るなどして船体補強作業を行った(全艦行ったわけではないようだ)。NBC防護装置は装備していない。
ウルサン級は構造上の問題や過酷な運用(無理にリムパック参加などの遠洋航海を行った)などから、老朽化が急速に進んでいるという。初期に建造された艦は既に第一線を離れ、練習艦として使用されているといわれている。韓国海軍が2006年9月15日に発表した内容によれば、1億5,600万ドルの予算を投じ5年をかけて、ウルサン級前期型の旧式化したレーダーと戦闘指揮システムを代替するための新規機材を開発するという。開発業者は2006年中に選定される予定。またウルサン級の後継として
FFX(韓国次期フリゲート)を国内建造し、2011年以降から代替を開始する計画だ。
なお7番艦の「済州」(FFK-958)は2003年9月航海中に火災事故を起こしている。第2艦隊所属の「全南」(FFK-957)は、2006年の艦砲射撃最優秀艦に選ばれた。
1番艦 |
蔚山(ウルサン) |
ROK Ulsan |
FFK-951 |
1981年1月就役 |
2番艦 |
京城(ソウル) |
ROK Seoul |
FFK-952 |
1985年6月就役 |
3番艦 |
忠南(チュンナム) |
ROK Chungnam |
FFK-953 |
1986年6月就役 |
4番艦 |
馬山(マサン) |
ROK Masan |
FFK-955 |
1985年7月就役 |
5番艦 |
慶北(キョンブク) |
ROK Kyongbuk |
FFK-956 |
1986年5月就役 |
6番艦 |
全南(チョンナム) |
ROK Chonnam |
FFK-957 |
1989年6月就役 |
7番艦 |
済州(チェジュ) |
ROK Cheju |
FFK-958 |
1990年1月就役 |
8番艦 |
釜山(プサン) |
ROK Pusan |
FFK-959 |
1993年1月就役 |
9番艦 |
全州(チョンジュ) |
ROK Chongju |
FFK-961 |
1993年6月就役 |
▼リムパックで単縦陣を組むウルサン級。手前のアイオワ級戦艦と比べると、本級の小ささが際立って見える。
▼ウルサン級の前部。艦橋上のカバーをかけられているものは光学追尾システムのカメラ類。
▼2基(1基に付き6発)装備されているチャフ・ランチャー。
▼艦尾。2列に並んだ爆雷投下軌条が確認できる。
▼ウルサン級の兵員室。チュンムゴン・イ・スンシン級などの新型艦の兵員室と比べるといかにも旧態然としている。
【参考資料】
世界の艦船(海人社)
艦載兵器ハンドブック改訂第2版(海人社)
朝鮮日報
Grobal Security
Kojii.net
Defense-Aerospace
bdmilitary.com
Bharat-Rakshak.com
2010-02-27 10:56:44 (Sat)
最終更新:2010年02月27日 10:56