ドクト級ドック型揚陸艦(LPX)


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▼1番艦「独島」(LPH-6111)

性能緒元
満載排水量 18,850t
全長 200.0m
全幅 30.2m
主機 CODAD 2軸
  SEMT-PIELSTICK 16PC2-5ディーゼル 4基
速力 23kts
航続距離 10,000nm/18kts
乗員 330名

【搭載部隊】
搭載機   10機搭載可能
搭載艇 LSF-II型エアクッション揚陸艇 2隻
搭載車輌 装甲車 28輌
揚陸要員 海兵1個大隊 700名

【兵装】
近接防御 RIM-116B RAM Block1 / Mk49 21連装発射機 1基
  ゴールキーパー30mmCIWS 2基

【電子兵装】
3次元対空レーダー SMART-L 1基
3次元多目的レーダー MW-08 1基
航海レーダー AN/SPS-95K 1基
光学捜索追跡システム VAMPIR-MB  
電子戦システム SLQ-200(v)5K SONATA  
チャフ・フレア    
戦闘システム    
データ・リンク・システム KNTDS LINK11  
ソナー    

アジア最大のドック型揚陸艦。設計ではタレス・ネーデルラント社が協力したものと思われる。1番艦の「独島(ドクト)」は2002年10月から韓進重工業で建造が進められ、2005年7月12日に進水式をした後、2007年7月3日に海軍に引き渡された。1番艦の名は「独島(ドクト)」。日本が領有権を主張する竹島の韓国名を命名したことについて、韓国海軍は「国民の独島に対する親しみを増し、領海防衛の精神を鼓舞するため」と強調している。価格は1隻約4,700億ウォンといわれる。

韓国海軍は同型を3隻保有してKD-2KD-3などと共に3個機動艦隊を編成することを構想していた。建造されれば2番艦は韓国領最南端の馬羅島、3番艦は最西端の白翎島と命名される予定(独島/竹島は韓国最東端)ことも考えられていた。しかし、2007年に策定された中期防衛力整備計画「国防改革2020」では、機動艦隊は一個艦隊のみの編成と計画縮小が行われ、それに伴って独島級の建造数も1隻に留められた。韓国海軍では少なくとも2隻の独島級の配備を希望しているが、2009年に行われた「国防改革2020」計画の見直しにおいても、独島級2番艦の調達は当面見送られ、先に1番艦に搭載する艦載ヘリコプターを調達することとなった。

韓国はマレーシア海軍に対してドクト級の購入を提案しているという(ドクト級ではなく韓国がインドネシアに輸出した輸送揚陸艦の可能性もある)。

海軍当局によれば本級は揚陸任務に使用するだけでなく、機動艦隊指揮艦として、また国際平和維持活動や災害救助などにも活用されるという。そのために揚陸艦としてはかなり高度なレーダー類を有していて、アイランド後部に蘭タレス社(旧シグナール社)製のSMART-L長距離3次元対空レーダーを装備している。SMART-Lはドイツの最新鋭フリゲートであるザクセン(Sachsen)級やオランダのデ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン(De Zeven Provincien)級フリゲートも搭載しているD(L)バンドの3次元レーダーで、アンテナは毎分12回転でしビームを仰角70度まで振る事ができる。その性能は大型航空機を最大400kmで、戦闘機などの小型航空機を220kmで、小型ミサイルを65kmで探知可能。自動探知・追尾できる目標数は空中目標で1,000、水上目標で100といわれる。また最大32のジャミング電波源を追跡する事ができる。SMART-Lはステルス機の探知能力もあるとされており、実験ではマッハ2で飛行するRCS(Radar Cross-Section:レーダー反射断面積)0.01㎡の目標を65kmの距離で探知・追尾する事に成功したという。

ドクト級はそれまで韓国が保有してきた揚陸艦艇とは全く異なるタイプで、空母型の船型に全通の甲板とウェル・ドックを有し、右舷には車輌用のサイド・ランプを装備している。ヘリコプターの発着スポットは全5箇所。現在は、必要に応じて海軍の保有するUH-60PUH-1Hスーパーリンクスなどを搭載する形を取っている。ただし、UH-60Pは陸上型のため十分な防錆処理が施されておらず、格納庫の搭載に必要なローターの折畳み機構も備えられていないため、通常は陸上での訓練を行い海上演習の時だけ「ドクト」で運用される[8]。「ドクト」の艦載輸送ヘリコプターとしては、ローターが2枚式で格納の邪魔にならないUH-1Hが多用されているが、旧式化が進んでいるため新型の艦載輸送ヘリの導入が求められている[8]。一時、露カモフ社製のKa-32を調達する構想もあったが、実現には至らなかった。その後、ユーロコプターと共同開発中の中型汎用ヘリコプター「スリヨン」をベースにした艦載汎用ヘリを開発して、ドクトの艦載機とする案が採用される事となった[7]。

ヘリコプターは前部の大型エレベータ(最大積載量19トン)から艦内の格納庫に収容可能。ヘリコプター格納庫は狭いため、恐らく2~3機しか収容できず、大規模な整備も行なえないだろう。公式にはドクト級のヘリ搭載数は10機と発表されているが、これは飛行甲板の露駐係留を含めるか、若しくは車輌甲板にヘリを移動させて収容した場合の最大数だと思われる。

車輌甲板は艦後部のLCAC(Landing Craft Air Cushion:エアクッション型揚陸艇)を搭載するウェル・ドックに続いており、KAAV7水陸両用装甲車なら16輌を搭載する事ができる。また車輌甲板は前部のヘリコプター格納庫と連接しており、防火シャッターを開ければスムースに車輌などを移動する事ができる。ウェル・ドックはLCAC 2隻またはLCU(Landing Craft Utility:汎用揚陸艇) 2隻を収容可能。揚陸艇を搭載しない場合はKAAV7 12輌をウェル・ドック内に搭載し直接発進させる事もできる(車両甲板と合わせて最大28輌搭載)。後部エレベータの影響で実際はLCACを1隻しか収容できないのではないかと推測されていたが、エレベータのレールはLCACに干渉しない用に設計されている事が判明した。但しLCACを2隻搭載した場合(または車輌をウェル・ドック一杯に搭載した場合)エレベータをウェル・ドックに下ろす事ができない。また後部エレベータはウェル・ドックの構造上、下ろした時にウェル・ドックの床と面一にはできなため、エレベータで運ばれてきた車輌は車輌甲板に移動してからスロープを使ってウェル・ドックに降りる事になる。ドクト級に搭乗可能な揚陸兵員数は400名だが、短期間ならば最大700名を搭乗させる事ができる。

ドクト級には女性兵士専用の区画があり、計28名が使用できるベッド、シャワールーム、トイレ、洗濯機などが設けられている。同区画の入口には電子ロック付きの二重ドアがあり、男性兵士がむやみに入れないようになっている。食堂は男女共用だが、約1,000人が1時間以内に食事できるほど規模が大きい。調理場には250人分のご飯を炊ける大型炊飯釜9基と食器洗い機、アイスクリーム製造機などがある。食堂の隅にはゲーム機が4台設置されているという。他にも身体を鍛えるためのトレーニングルーム、コインランドリー、衣類滅菌システムなども備え付けられている。また緊急時には被災民1,100人を乗せる事ができ、緊急手術室やレントゲン室のほか歯科、薬局、隔離病室など医療施設も充実しているため、大規模災害にも対応する事が可能だ。

ドクト級は揚陸艦というより、艦隊の中心として機能する旗艦にウェル・ドックを付加し、ヘリ空母としても運用できる一種の多目的艦といえるだろう。本来ならそれぞれ専用艦を建造したいところだが(海上自衛隊のおおすみ級と16DDHのように)、予算が限られているために1隻に各種艦艇の要素を盛り込まざるを得なかった韓国海軍の苦慮の結果、ドクト級が生まれたものと思われる。

韓国はドクト級を日本に近い済州島南部の新設基地に、潜水艦などと共に配備する計画だという。

1番艦 独島(ドクト) ROK Dokdo LPH-6111 2007年7月就役
2番艦 馬羅島(マラト) ROK Marado LPH-6112 建造予定(建造時期は未確定)
3番艦 白翎島(ペンリョンド) - LPH-6113 調達中止

▼米韓合同演習でアメリカ海軍のLCACを発進させる「独島」(2007年11月14日)
▼上記の演習でKAAV7をウェル・ドックから直接発進させる「独島」

▼ほぼ真上から見た「独島」。飛行甲板上に5つの発着スポットがある。エレベータは前部と後部に1基ずつ。(建軍61周年記念時の画像)
▼「独島」の右舷。車輌用ランプが1箇所、高速艇を格納したレセスが2箇所ある。
▼「独島」後部のランプ・ドア。
▼艦橋構造物の後部には作業車の格納庫がある(ヘリコプターの整備は出来ない)。格納庫左上の半球状のものは電子戦システムのアンテナ。
▼飛行甲板に駐機するUH-60PとUH-1H。発着スポットは5箇所あるが、前後のエレベーターが大きく場所を取る為、駐機スポットは少ない。
▼車輌甲板に通じる右舷のランプ。かなり幅が狭い。

▼「独島」のウェル・ドックを車輌甲板から艦尾に向かって望む。LCACを2隻収容する。左端の上下に延びるレールは後部エレベータ用。
▼同じく車輌甲板から艦尾に向かって望んだウェル・ドック内部。LCACの換わりにKAAV7をギリギリまで搭載している(12輌)
▼問題の後部エレベータ。飛行甲板まで上がった状態。
▼後部エレベータが一番下まで降りた状態。ウェル・ドックの床と面一にはならず、その奥の車輌甲板と繋がる構造。
▼艦尾側から艦首方向に見た車輌甲板。最大16輌のKAAV7を搭載できる。車輌甲板の奥はヘリコプター格納庫で車輌やヘリを移動できる。
▼艦尾側から見たヘリコプター格納庫。前部エレベータは後部エレベータと違い、一番下まで下ろすと床と面一になる。
▼ヘリ格納庫はエレベータがあるため、使用できるスペースはかなり狭い。恐らく2~3機しか収容できないと思われる。画像のすぐ左は車輌甲板と隔てるための壁がある。

▼LPXの図面(実際の艦と細部が異なるためLPX案のひとつと思われる)

【参考資料】
[1]軍事研究2006年10月号(株ジャパン・ミリタリー・レビュー)
[2]世界の艦船2003年2月号(海人社)
[3]世界の艦船2006年3月号(海人社)
[4]世界の艦船2009年4月号(海人社)
[5]Global Security「LP-X Dokdo (Landing Platform Experimental)Amphibious Ship」
[6]新東亜「暗礁に乗り上げた大洋海軍建設」(2009年6月1日)
[7]防衛事業庁公式サイト「回答:KF-16の性能改良事業について」(2010年3月4日)
[8]동아누리「헬기모함(?) 독도함의 위용 」(2010年7月30日)
ROK Navy HP
朝鮮日報
Kojii.net
Defense-Aerospace


2010-11-13 00:26:10 (Sat)