KOMPSAT-5多目的偵察衛星「アリラン5号」



夜間や地上の気象条件が悪い時にも偵察が可能な多目的衛星「アリラン5号」の2008年打ち上げが検討されている。2005年4月3日に行われたKAIST(Korea Institute of Science and Technology:韓国科学技術院)の発表によると、高度685kmで地球を24時間にわたり精密観測することのできる「アリラン5号」の開発事業を、当初予定されていた2010年から2年前倒しして、2008年に発射することを検討中という。アリラン5号は地球に向けてレーダーを発射して映像を得るSAR(Synthetic Aperture Radar:合成開口レーダー)を装着して、悪天候時や夜間でも地球を観測することが可能な全天候偵察衛星。地上の農産物作況、海洋資源、地下資源などを調査把握する産業的用途以外に、軍事的用途でも活用される見込み。

2006年に偵察衛星の役割を兼ねた「アリラン2号」が発射されたが、これは偵察用としては不十分な衛星。可視光線を利用するため、雲があったり暗い時には必要とする情報を得ることができない。しかし雲が無い昼間ならイスラエルのELOP社とKARI(Korea Aerospace Research Institute:韓国航空宇宙研究院)が共同開発した高解像度カメラ(観測幅15km、解像度1m、白黒1ch、カラー4ch)を使い、上空685kmから車輌の種別を判断する事ができる。SARはイタリアのAlcatel Alenia Space社が開発し、同社はデータリンク・システムや地上装置の開発も一部手掛けるといわれている。

また韓国は2012年に「アリラン3号」の改良型、「アリラン3号A」の打ち上げを予定しているという。上記のレーダー偵察衛星「アリラン5号」を補完するためのもので、「アリラン3号」は超高解像度(解像度70cm)の偵察カメラを搭載し、「アリラン3号A」は赤外線偵察カメラを搭載する。上空450~890kmから周辺諸国の車輌や設備を監視する予定。

【参考資料】
総覧 世界の地球観測衛星
News from Daedeok Valley KOREA
PowerCorea
Kojii.net
Defense-Aerospace


2008-02-03 09:32:20 (Sun)

最終更新:2008年02月03日 09:32
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