その他の衛星(韓国)


ムグンファ5号(COMS1号/KOREASAT-5)

▼COMS1号を載せたZenit-3SLロケットの発射シーン

韓国初の軍民共用通信衛星。2006年8月22日に米シー・ランチ社の海上発射船オデッセイ号からウクライナ製のZenit-3SLロケットで打ち上げられた。衛星は無事高度35,700kmの静止軌道に到達し、管制センターからの無線交信にも成功した。ムグンファ2号(KOREASAT-2)の代替として韓国通信社と国防省が協同開発し仏アルカテル社が製作したもので、商業用中継器24機を搭載し、アジア地域に衛星通信サービスや船舶用インターネット・サービスを提供する。軍用中継器は12機搭載されており、盗聴防止機能や対通信妨害機能を持つ。ムグンファ5号は2007年4月から直接軍が運用する事になったが、韓国軍が衛星を自ら運用するのはこれが初との由。

現在韓国軍には光ケーブルによる固定通信網と地上中継器による無線通信網があるが、これ等は敵の攻撃に対し脆弱で、特に無線通信網は100km程度の通信距離しかなく、最近増加している韓国軍の海外展開においては他国の通信衛星を使用する状況が続いていた。この状況を打破するため、ADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)を中心にムングファ5号を使用する衛星通信網が開発された。これは1996年から開発が行なわれていた事業で、開発費は2,640億ウォン。通信範囲は東西はマーシャル諸島からマラッカ海峡まで、南北はシベリア半島からオーストラリアまで、直径距離にすると1万2,000kmに達する。これにより韓国軍は陸海空軍の統合指揮通信網を持つ事になり、太平洋地域の広い範囲でリアルタイム且つ効率的に部隊運用が可能になる。韓国軍は2011年までに8,000億ウォンを投じてこの衛星通信端末を500セット導入する予定だ。


ムグンファ3号(KOREASAT-3)


商業通信衛星。1999年9月4日にアリアン42Pロケットで打ち上げられた。開発はロッキード・マーチン社。静止位置は東経116度、周波数は11GHz帯と12GHz帯でSkyLifeという有料衛星放送と一部無料放送を流している。


ムグンファ2号(KOREASAT-2)


商業通信衛星(国際標識番号1996003A)。1996年1月14日にアメリカの東部宇宙ミサイルセンターからデルタII型ロケットで打ち上げられた。開発は米ロッキード・マーチン社。すでに運用寿命に達しておりムグンファ5号で代替された。


ムグンファ1号(KOREASAT-1)

商業通信衛星(国際標識番号1995041A)。1995年8月5日にアメリカの東部宇宙ミサイルセンターからデルタII型ロケットで打ち上げられた。開発は米ロッキード・マーチン社。すでに運用寿命に達している。


エスサット2号(SSAT-2)



エスサット1号(SSAT-1)



ウリ4号(KITSAT-4)


2003年9月28日にコスモス3Mロケット(ロシア)で打ち上げられたが・・・。全長83.0cm、幅55.1cm、奥行66.5cm、重量106kg。


ウリ3号(KITSAT-3)


技術開発衛星。1999年5月26日にPSLV C2ロケット(インド)で打ち上げられた。全長85.2cm、幅60.4cm、奥行49.5cm、重量110kg。小型衛星の3軸安定姿勢制御、太陽電池パドルの展開、高速データ転送及び大容量データ記録装置などの実証実験の為に打ち上げられた。電子走査式マルチスペクトルカメラを搭載しており、このカメラは地表分解能15m、観測幅51.8kmの性能を有している。通信周波数はアップリンク148MHz、ダウンリク401MHz、2.2GHz、8GHz。


ウリ2号(KITSAT-2)


技術開発衛星(国際識別番号1993061H)。1993年9月26日にギアナ宇宙センターからアリアンⅣ号ロケットで打ち上げられた。全長67.0cm、幅35.2cm、奥行35.6cm、重量487.5kg。KITSAT-1の技術を実証し、発展させる為に開発された。太陽同期円軌道を周回しており、周期は100.8分、高度は800~823km、傾斜角は98.57度である。観測機器として地表分解能200mのカメラを搭載している。


ウリ1号(KITSAT-1)


韓国の衛星技術者の育成、及び開発技術の取得の為に打ち上げられた韓国初の衛星(国際識別番号1992052B)。イギリスのUoSAT-5(デジタル通信・観測衛星)を元に開発され、通信、地球観測衛星の基盤として使用された。1992年8月10日にギアナ宇宙センターからアリアンⅣ号ロケットで打ち上げられた。高度は1,304~1,325kmで、軌道周期は111.9分。傾斜角は66.08度である。全長67.0cm、幅35.2cm、奥行35.6cm、重量48.6kg。電子走査式地球撮像カメラ(広角CCDカメラと狭角CCD)を搭載しており、最小350mの地表分解能を有している。また宇宙線観測用の測定装置も装備している。衛星の姿勢制御は3軸制御方式で、通信周波数はアップリンクが14.5850MHz、145.900MHz、ダウンリンクは435.175MHz。データ転送能力は最大16MB、9.6Kbpsである。

【参考資料】
総覧 世界の地球観測衛星
朝鮮日報
Kojii.net
Defense-Aerospace


2007-12-09 10:54:44 (Sun)

最終更新:2007年12月09日 10:54