KFX(韓国国産戦闘機計画)

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▼2005年に公開されたKFXの模型

KFXは限定的なステルス性能を持ち、精密攻撃能力を有する戦闘機として、2017年の完成を目標にADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)を中心に計画が進められている。KFX計画は2000年7月の韓国軍長期戦略大綱に初めて掲載され、2001年3月には大統領が公式に開発計画を明らかにし、2002年5月に空軍政策会議で作戦運用要求性能が出された。これによって2002年6月に韓国国防省はF-15Kの契約項目に技術移転に関する条項を盛り込み、2002年12月には04~08年度の中期計画にKFXの初期研究予算を確保した。2017年までに開発を完了し、2020年には部隊配備を行いたい考え。

性能的にはF-16とF-35の間に位置する戦闘機を目指しており、16,000-20,000lbs級ターボファン・エンジン2基を積み、F-16と同程度の兵装を搭載して朝鮮半島全域を戦闘行動半径に収める航続距離を持った戦闘機として開発される。また電波吸収材や機体形状など一部にステルス性を付与し、RSCを低減する事も行われる。

ADDが示したイメージではラファールとF-22ラプターを合わせたような機体や、F-16とF-35の合いの子のような機体など様々なモデルがある。特に模型で展示されていたものはF-22を寸詰まりに縮小したような外見で、ウェポンベイやカナードが付いており、ベビーラプターとも言えるような機体である。ADDは既に幾つかの模型を使って風洞実験を行っているという。戦闘機開発において最も重要な要素となる搭載エンジンは、国内開発ではなく外国製のものを導入する可能性が高い。候補となるのはラファールが搭載している仏SNECMA社製のM-88(50.0kN)、F/A-18が装備する米ジェネラル・エレクトリック社製のF-404(53.2kN)、タイフーンが装備する欧ユーロジェット社製のEJ-200(60.0kN)といったエンジンだろう。模型を見たところでは推力可変ノズルは装備されないようだ。ステルス性を得るために機体内に兵器倉が設けられ、そこに1,000lbs級の爆弾2発と空対空ミサイル2発を搭載する。しかしKFXはF-22やF-35と比べて機体が小さいため、スペース的にかなり苦しいと思われる。

KFXに必要な飛行制御や武器システム、航空電子機器等の重要技術を国産開発するには4兆5,000億ウォンの予算が必要とされると考えられていたが、KT-1やT-50などの国産機開発事業を通じて獲得した技術と基盤設備、F-15Kの導入による技術移転を考慮すれば、2兆6,000億ウォン程度まで下がるだろうといわれる。

ただ韓国国内でもこのような巨大プロジェクトが果たしてうまく進むのかどうか、開発コストや技術的問題に対して疑問に思う声もあるようだ。KAIの技術者達はKFXの前にまずA-50を発展改修した戦闘機型F-50を製作して、段階的に戦闘機開発の経験値を高めたいという。だが国内防衛技術の維持育成や自立的国防の確立等の見地から、KFX計画は韓国としてはぜひとも成功させたいプロジェクトであるだろう。

【2006.01.11追記】
年明け早々DAPA(Defense Acquisition Program Agency:防衛事業庁)のミスにより流出した情報によると、韓国空軍は2018年までにKFX40機を12兆ウォン投じて開発する計画だという。KFXはKF-16とF-15Kの中間位の性能を狙って開発され、超音速巡航、ステルス性能、巡航ミサイル運用能力などを有する予定。

【2006.10.31追記】
2006年10月末日に行われた韓国国会国防委員会での監査質疑で、空軍の金銀基(キム・ウンギ)参謀次長は「次期主力戦闘機として米ロッキード・マーチン社のステルス戦闘機F-35が有力候補になっている」と発言した。

【2006.02.21追記】
DAPA(Defense Acquisition Program Agency:防衛事業庁)の発表によれば、KFXの国内開発が妥当かどうか2007年末までかけて検討を行うという。国産戦闘機の開発は金大中元大統領の時代から必要性が認められており、現在政府と軍が推進中の”国防改革2020”計画内にも含まれている。同庁関係者は別の席で「新型戦闘機は輸出も考慮しており、最新鋭戦闘機を費用面等から購入できない国々への販売を期待している」と発言した。また同関係者は「韓国はKF-16のライセンス生産、T-50の開発、F-15Kの運用などでノウハウを蓄積しており、新型戦闘機を国内開発する事に大きな難問は無い」という強気のコメントもしているが、現実はそううまく運ばないだろう。

【2007.03.31追記】
上記のKFX開発妥当性の検討はADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)などの韓国国内機関だけでなく、海外の研究企業であるSTEAL社も参加しているという。またKAIのキム常務は「F-15K級の国産戦闘機を120機生産する計画。この機体はステルス性を重視した設計になる」と述べた。ただしKAIは依然としてKFX開発の前にT-50の戦闘機型F-50を開発し、戦闘機開発の経験を蓄積した意向のようだ。これまでの報道を見ると、空軍はF-35を望み、ADDはKFXの即時開発を、KAIはF-50開発を前提としたKFXの開発を望むというように、新型機開発の主要3部門がそれぞれが違う方向を向いているように思える。

【2007.04.27追記】
韓国の金章洙国防相(当時)は、日本の航空自衛隊が次期戦闘機(F-X)の候補としてF-22を挙げている事に対し不快感を示した。金国防相は日本がF-22の導入を希望している事について「隣国として注視しなければならない」と発言し、また「もし日本がF-22を導入するならば、韓国もF-22かF-35などのステルス戦闘機を導入しなければならない」という考えを表明した。

【2007.05.30追記】
「韓国は2012年以降、ステルス性能が高い第5世代戦闘機を60機導入する」と韓国の京郷新聞が報じた。国防省関係者によれば、現在進められている第二次FX事業の後の第三次FX事業で、3個飛行隊を構成できる数のステルス戦闘機の導入を決定したという。現在のところ候補機は米ロッキード・マーチン社のF-35と、韓国で現在採用妥当性の検討が行なわれているKFXで、F-22は高価過ぎるため候補に入っていないという。

【2007.10.30追記】
ADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)は2007年10月30日、忠清南道瑞山に超大型航空機試験施設を完成させたと発表した。この施設は戦闘機やヘリコプター、UAVなどの航空機のほか、ミサイルなどの誘導兵器や艦載戦闘システムなどの試験を、実際の作戦に即した状況で行なう事ができる大型複合試験施設。韓国が米国製のF-15Kを採用した見返りとして各種技術を提供し、韓国資本500億ウォンを投入して建設された。各種環境試験(高低温、氷結、降雪、降雨、湿度、太陽熱ふく射など)を行なう「環境試験棟」と電波関係の試験(電磁波適合性・耐性・干渉、間接落雷、静電気、電磁波パルス、アンテナ特性など)を行なう「電波試験棟」の2棟で構成されており、2013年までに超音速エンジン用の試験棟も建設される予定。KFXの機体及びエンジンの開発・テストも、この新しい試験施設で行なわれるものと思われる。

【2007.11.15追記】
ADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)はKFXの開発に欧米の航空機メーカーが参入する見通しだと発表した。2007年11月15日に開催された第10回空軍国際学術会議で、ADD航空システム開発団長のイ・デヨル氏がFKXの開発状況と今後の見通しについて発表し、開発コストの低減(海外分担)と海外への輸出を目的に、KFXの多国籍共同開発を目論んでいると明らかにした。ADDは必要とする開発費用の30%を海外メーカーの投資で賄う腹積もり。現在のところイギリスのBAEシステムス社、イタリアのアレーニア・アエロナウティカ社、ヨーロッパのEADS(European Aeronautic Defence and Space Company)などの企業がKFX事業への参入を希望しており、アメリカのボーイング社、ゼネラル・エレクトリック社、スウェーデンのサーブ社、フランスのSNECMA社なども参入を検討中だという。イ・デヨル氏はステルス技術など第5世代戦闘機に必要な重要技術は海外からの導入と並行して国内開発も進めるとしている。

【2008.01.01追記】
韓国のミリタリー情報誌「DEFENSE TIMES」によれば、KFX事業が白紙に戻される可能性が大きくなったという。これは2007年末にKDI(韓国開発研究院)によって、KFX事業計画にかかる費用が得られる利益を大きく上回ってしまうと判断されたためで、もしこの記事が事実ならば韓国による次世代戦闘機の国内開発は頓挫する事になる。

【2010年9月2日追記】
上記のKDIの提言を受けて防衛事業庁ではKFX事業の妥当性に関する再検討作業を実施していたが、2009年11月13日、「この事業の経済性は高く、技術の波及効果と輸出の可能性が大きく、事業を推進するのが妥当である。」と結論づけた報告書を国会に提出した[1]。

KDIの分析では、F-35相当の第五世代戦闘機を開発した場合、必要とされる費用は10兆3000億~10兆9000億ウォンに達し、量産価格は一機当たり704億ウォンとなると試算された。これにより、KDIでは戦闘機の自主開発は費用対効果に乏しいとして、外国製戦闘機の導入が妥当であると結論付けていた[1]。

これに対して建国大学などによる再検討が行われ、戦闘機のサイズや重量を小型化、武装や能力を簡素化(KF-16より若干優れる程度の能力とする[5])、要求されるステルス性の水準を下げるなどの調整を行う事で、開発費用を5兆1000億ウォンにまで節約でき、量産機の単価も502億ウォンにまで抑える事が出来るとの試算結果が提示された。これを元に、120機の戦闘機を生産すると、F/A-18クラスの同数の戦闘機を輸入するよりも2兆5500億ウォン以上の利益が生じ、これらの機体を30年以上運用した場合、9兆ウォン程度の維持費用節約効果が得られるとされた。このほか、雇用や技術の波及効果、輸出の可能性、航空産業の育成や自主国防への寄与などもKFX事業のメリットとして防衛事業庁の報告書に盛り込まれた[1]。

国防部では、防衛事業庁の報告を受けて、KFX事業の再検討を決定し、開発に関する経費概要を今年度後半にも国会に提出する事となった[2]。韓国政府では、2011年から2年間を開発準備段階として、2012年末に開発妥当性の再評価を行い、実際に開発に着手するか否を最終決定するとしている[4]。開発準備段階では、開発総経費(5兆ウォン)の2~5%程度を使用して、機体形状の確定、開発コストと所用人員数の再算定、部品メーカーの確定、技術成熟度の確認、コア設計などが行われる予定[4]。

2010年7月15日、韓国とインドネシアはKFX事業に関してインドネシアが5兆ウォンの開発費の20%を負担する覚え書きに調印した事を明らかにした。両国はKFXの生産と販売で協力し、インドネシアはKFX量産開始後に約50機を調達する事でも合意した[3]。インドネシアでは、設計、試験評価、試作機製作などの分野に参加する予定[4]。

今回の覚書締結は、2009年3月に李明博大統領がインドネシアを訪問した際に、両国間での戦闘機の共同開発に関する意向書に署名した事がきっかけとなった。これ以降、両国当事者間での論議が開始され、今回の合意に到った[4]。

【参考資料】
[1]국민일보 쿠키뉴스「‘한국형 전투기’ 개발 다시 추진… 방사청 “경제성 높아 사업 타당” 국회 보고」(2009年11月13日)
[2]The Korean Times「Fighter, Helicopter Plans to Start in 2011」(Jung Sung-ki /2010年1月21日)
[3]DefenseNwes「Indonesia Joins South Korean Fighter Effort」(2010年7月15日)
[4]국방일보「한국형 전투기 국제 공동개발」(김병륜/2010年7月16日)
[5]유용원의 군사세계「기사회생한 한국형 전투기 사업」(김재한/2010年3月8日)

▼KFX模型の機体下部。機内兵器倉がエンジンのスペースを圧迫しているように見える。
▼機首部分。枠無しのキャノピーとカナード翼を装備している。
▼機体後部。推力偏向ノズルでは無い。

▼2006年に公開されたKFXの模型による風洞実験の様子。F-22に似た「KFX-101」と、カナード翼を持つ「KFX-201」の2機種が検証されているようだ。

▼後部から見たKFX。エンジンと機内兵器倉の位置関係が分かる。
▼KFXの操縦席。

【参考資料】
朝鮮日報
連合ニュース
YTNニュース
HelloDD
PowerCorea
Kojii.net
Defense-Aerospace
Yonhap News Agency


2010-09-02 20:57:13 (Thu)