F-16C > D戦闘機「ファイティングファルコン」(KF-16)

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▼KF-16C

■''F-16C Block30性能緒元''
重量 8,580kg
全長 15.03m
全幅 9.45m
全高 5.09m
エンジン PW F100-PW-220(A/B13,420kg)×1
最大速度 M2.0
戦闘行動半径 1,250km
上昇限度 15,240m
武装 M61A1 20mm機関砲×1(515発)
  AIM-120アクティブ・レーダー誘導空対空ミサイル「AMRAAM」
  AIM-7セミアクティブ・レーダー誘導空対空ミサイル「スパロー」
  AIM-9サイドワインダー赤外線誘導空対空ミサイル
  AGM-65マーベリック空対地ミサイル
  AGM-142ポップアイ空対地ミサイル
  AGM-88 HARM 対レーダーミサイル
  各種爆弾/誘導爆弾
乗員 1名

F-16はアメリカ空軍の軽量戦闘機(LWF:Low Weight Fighter)計画により1975年1月に選定された。これは当時の主力戦闘機であるF-15があまりにも高価であるために、もっと安価な小型格闘戦用戦闘機を多数装備してハイ・ロー・ミックスとして運用しようという考えに基くものである。F-16に採用された当時最新の技術は、CCV(Control Configured Vehicle:運動性優先形態)/RSS(Relaxed Static Stability:静安定緩和)を採りいれた機体デザインとフライ・バイ・ワイヤを組み合わせ、鋭い操舵反応と加速性を得た事、ブレンデッド・ウィング・ボディにより構造重量の低減、機内容積増大、抗力減少を達成した事、ストレーキ付きクリップドデルタ翼に前縁フラップ/フラッペロン自動制御式可変キャンバー機構を組み合わせて高い機動性を確保し、高迎え角や横滑りに強い胴体下面のインテークを装備した事、一体型の広い視野キャノピーと耐G性の高い傾斜座席、サイドスティク・コントロールを採用した事、などが挙げられる。

韓国空軍は1986年12月までにピースブリッジ1計画でF-16C Block30 30機とF-16D Block32 6機をFMSで導入し(調達価格が予定より下回ったため1988年にF-16Dを4機追加し最終的には40機)、第20戦闘航空団の第161、162戦闘飛行隊に配備した。F-16C/Dがアメリカ以外の国に配備されるのは韓国が最初だった。

その後韓国は北朝鮮がMiG-29の導入を進めている事に衝撃を受け、KFP(Korean Fighter Program)としてさらに攻撃能力の高いF/A-18A/B 120機の採用を1989年12月に決定し(他に候補としてトーネードIDSやミラージュ2000があがっていた)た。F/A-18はサムソン(現KAI)でライセンス生産される事になったが、1990年に行われたアメリカとの詳細交渉で、価格が当初予定されていた3兆2,000億ウォンより大幅に上回る4兆7,000億ウォンにもなる事が判明し、1991年3月にF-18の導入をキャンセルし替わりにF-16を追加導入する事を決定した。この追加のF-16(F-16C/D Block50/52に相当)導入計画はピースブリッジ2計画と呼ばれ、完全輸入ではなく段階的に韓国で生産を行う事になった。国内生産は3段階に別れ、第1段階は韓国でのFMSでパーツを購入してのノックダウン生産(最終組立)、第2段階はサムソンで更に広範囲の組立作業を行い、最終段階は韓国国内で生産された部品を多用して国産率を高める事と決定された。これに従って第1段階として1994年に単座型2機、複座型10機分のパーツが韓国に送られ組み立てられた。続いて第2段階として1995年に単座型26機、複座型10機が組み立てられ、最終段階では1997年から1999年にかけて単座型52機、複座型20機が生産された。このピースブリッジ2計画で生産されたF-16はKF-16と呼ばれている。

2003年から2004年には更にピースブリッジ3計画としてF-16C Block50を14機とF-16D Block52を6機追加生産している。この最後に導入された20機のKF-16はレーダーはAN/APG-68(v)7を装備している。最終的に全140機が導入されたKF-16は、第19戦闘航空団(120、121、123、157戦闘飛行隊)と第20戦闘航空団(155、159戦闘飛行隊)に集中配備された。KF-16の1機あたりの年間運用・維持費は6億8,300万ウォンといわれる。

韓国空軍が採用したF-16C/DはA/Bの発展型で、MSIP(Multi Stage Improvement Program:多段階能力向上改修計画)により能力向上を行ったものだ。ピースブリッジ1計画で導入したBlock30/32は共通エンジン・ベイが採用され、F100-PW-220エンジンを装備した。またコンピューターの記憶容量の拡大、燃料タンクのシール・ボンド化が行われている。またAIM-120 AMRAAMの運用能力も与えられ、完全なLvel-IV多目標処理能力、音声メッセージ・ユニット、HARM対レーダーミサイルの携行能力などが加えられ、モジュラー共通エア・インテイクの採用によって低速度域で最大推力を使用できるようになった。

KF-16はF100-PW-229(若しくはF100-SSA-229)エンジンを装備して推力が増強されている。韓国空軍はアメリカとのFMSでF100-PW-229の整備支援及び技術サポートの契約を結んでいる(2002年に50億ドル)。2007年2月にKF-16が起こした墜落事故により、エンジンの開発元である米プラット&ホイットニー社が、一部のエンジン部品に問題があるため交換するよう韓国側に伝えていたにも関わらず、韓国軍はこれを行わなかった事が判明した。これは1993~1994年に製造されたシャフトが熱処理の不良により強度に問題があったため、その部品を使用していた韓国空軍のKF-16 27機(疑いがあるのは60機)が部品交換の対象となっていたが、現場で交換作業が行われた形跡がなかったという。事故機は2004年6月29日にエンジンを分解整備した事になっているが、整備記録には「異常なし」と記載されており、現場の作業怠慢が問題となった。整備そのものが行われなかった可能性もある。その後の調査では事故機以外にも整備記録が捏造されていた機体が発見されており、韓国空軍全体に広がる慢性的な整備不良が深刻な問題となっている。韓国は今回の事件を受けて、慢性的なエンジン部品不足を解決するため、高価になるFMSによる輸入ではなく通常の商業取引で入手できないか検討している。現在生産ペースが下がっている事によりF-16のスペアパーツの値段は上昇傾向にあり、またFMSで導入するとなると韓国はアメリカの対FMS相手国ランクが低いため通常の調達価格より1.7%高くなってしまう。予算不足に喘ぐ韓国空軍としては商業取引にする事で、少しでも安価にF-16のスペアパーツを入手したい考え。

KF-16はHARM対レーダーミサイルを搭載してSEAD(Suppression of Enemy Air Defence:敵防空網制圧)任務が行えるほか、ハープーン対艦ミサイルの運用も可能。またF-16CG/DG(block40/42)のようにAN/AAQ-13/14 LANTIRN(Low Altitude Navigation and Targeting Infrared for Night:夜間低高度赤外線航法及び目標指示)システムの運用も可能というCCIP(Common Configuration Implementation Program:共通仕様実行計画)を先取りしたような機体である。LANTIRNの運用によってKF-16は全天候下での精密対地攻撃が可能になり、複数のAGM-65マーベリック対地ミサイル発射やレーザー誘導爆弾の投下を行う事が出来る。KF-16は重いLANTIRNを装備するために降着装置が強化されている。搭載レーダーはAN/APG-66からAN/APG-68(v)5になっており(最後に導入された20機はAN/APG-68(v)7)、高繰り返し周波数モードにより複数目標を追跡しながらミサイル誘導の為のパルス照射が可能になった。1997年からはAN/ALQ-165 ASPJ(Airborne Self-Protection Jammer:空中自己防御用妨害装置)を追加装備する改修が行われた。ただしKF-16が装備している戦術データ・リンク・システムはIDM(Improved Data Modem:改善型データ・モデム)を使用しているため、米空軍や米海軍が使用しているTADIL(Tactical Digital Information Link:戦術デジタル情報リンク)に接続できないという問題を抱えている。IDMは音声通信用無線機を使用してデータの送受信を行う低価格を売りとした旧式データ・リンク・システム。

韓国空軍はF-15Kを40機採用し、追加導入も検討しているが、既存のKF-16を近代化改修して補完する事も検討している。近代化改修は空対空戦闘能力の強化に重点が置かれ、JHMCS(Joint Helmet Mounted Cueing System:ヘルメット装着キューイング・システム)を採用してAIM-9X運用能力を持たせる事、そしてLINK-16/MIDS(多機能情報分配システム)を搭載し目標情報を共有する事などが計画されている。またF-16Block30/32はレーダーやIFF、航法装置の近代化が計画されているがまだ予算はついていない。

【2009.05.05追記】
朝鮮日報によると、韓国空軍はピースブリッジ2及び3で導入したKF-16C/Dを2010~2014年にかけてレーダー等の近代化改修を行なう計画との事。現在KF-16に装備されているAN/APG-68をAESAレーダーに換装することが検討されており、アメリカやイスラエルの企業が名乗りを上げている。他にもアビオニクスの更新、MIL-STD-1760データバスの導入と配線変更、AIM-9Xの運用能力付与などが予定されている。ピースブリッジ3で導入された20機のKF-16には、2009年中に試験の後JDAMの運用能力も追加する。

【2009.05.28追記】
アメリカのDSCA(Defense Security Cooperation Agency)は議会に対し、韓国へFMS(対外有償軍事援助:Foreign Military Sales)経由で、F-16C block30/D block32を対象とするアップグレード用装備を輸出すると報告した。全てのオプションを含めた契約額は2億5,000万ドル。この契約額にはKF-16C/D 35機分のアップグレード改修費、テスト用器材、サポート器材、スペアパーツ、訓練費と訓練用器材、文書類、技術データ、要員の派遣費用、その他の兵站支援が含まれる。この改修によりJDAM、AIM-120「AMRAAM」、向上型モデム、秘話通信機能といった機能が加わる。担当メーカーはロッキード・マーチン社。
(Kojii.net/Defense-Aerospace.com)

1993年4月8日、忠清北道中原郡で第19戦闘航空団所属のF-16C(#87-655)が墜落し、パイロット1名が死亡した。
1997年8月6日、京畿道驪州で第20戦闘航空団所属のKF-16Cがエンジン故障で墜落し、パイロットは脱出した。
1997年9月18日、忠清南道瑞山市で第20戦闘航空団所属のKF-16Cがエンジン故障で墜落し、パイロットは脱出した。
2001年6月8日、慶尚北道安東市で第19戦闘航空団所属のF-16D(#84-372)がエンジン故障で墜落し、パイロットは脱出した。
2002年2月26日、忠清南道瑞山市で第20戦闘航空団所属のKF-16C(#93-087)がエンジン故障で墜落し、パイロットは脱出した。
2002年9月18日、慶尚北道尚州市で第19戦闘航空団所属のF-16D(#90-938)がエンジン故障で墜落し、パイロットは脱出した。
2006年1月27日、忠清北道忠州市で第19戦闘航空団所属のF-16がエンジン故障で墜落し、パイロットは脱出した。
2007年2月13日、忠清南道保寧市で第19戦闘航空団所属のKF-16Cがエンジンの整備不良で墜落し、パイロットは脱出した。
2007年7月20日、西海(黄海)上で第20戦闘航空団所属のKF-16Dが夜間要撃訓練中に空間識失調で墜落し、パイロット2名が死亡した。
2008年2月4日、忠清南道で離陸態勢にあったKF-16がエンジン火災を起こした。冷却装置が作動しなかったものと思われる。
2009年3月31日、忠南泰安半島沖40kmの西海(黄海)上で第20戦闘航空団所属のKF-16Dが墜落した。パイロット2名は脱出した。原因は失速警告を無視したためと思われる。

▼KF-16D
▼F-16C Block30。LANTIRNポッドを装備している。

▼中国海軍のY-8哨戒機(Y-8MPA)をインターセプトする韓国空軍のF-16D
▼フレアを撒きつつ爆弾を投下するF-16

▼整備を受けるF-16C Block30
▼KF-16Dの後席

【参考資料】
月刊航空ファン(文林堂)
Jウィングス特別編集 戦闘機年鑑2005-2006(青木謙知/イカロス出版)
別冊航空情報 世界航空機年鑑2005(酣燈社)
朝鮮日報
中央日報
PowerCorea
Kojii.net
DefenseNews


2009-11-17 19:41:08 (Tue)