T-38練習機「タロン」(韓国)



T-38A性能緒元
重量 5,360kg
全長 14.14m
全幅 7.70m
全高 3.92m
エンジン ジェネラル・エレクトリック J85-5A(17.1kN)×2
最大速度 M1.3
巡航速度 930km/h
航続距離 1,835km
上昇限度 15,240m
乗員 2名

T-38「タロン」高等練習機はアメリカのノースロップ社(現ノースロップ・グラマン)が開発した世界初の超音速練習機であり、1961年にアメリカ空軍への配備が開始され1,000機以上が生産され、現在に至るまで運用が継続されている。また、T-38をベースにしてF-5A/B「フリーダムファイター」戦闘機が開発され、西側各国に輸出されている。

韓国空軍ではアメリカから購入したF-5Bを搭乗員の飛行訓練に充てていたが、1990年代後半には老朽化に伴って代替機が必要となった。1996年、韓国空軍では、アメリカで余剰となっていたT-38練習機をリースしてF-5Bを更新することを決定した。韓国軍が調達する事になったT-38は米空軍を退役後、アリゾナ州の砂漠の航空機保管施設AMARC(Aerospace Maintenance And Regeneration Center)に保存されていた機体であり、平均飛行時間1万6000時間を経ており製造から約40年が経った機体であった。韓国空軍は専門家をアメリカに派遣して、航空機保管施設に保存されていたT-38の中から状態の良い30機を選択した。1999年3月25日に最初の6機が韓国空軍に受領され、2000年から運用が開始された。

30機のT-38は、第16戦闘機飛行団第89戦闘機飛行隊と第115戦闘機飛行隊に配属され、2000年から2009年までの間に940名のパイロット候補生がT-38による高等飛行訓練を受けた。T-38は、製造されてから平均40年を経た機体であったが、約10年間の運用において一件の事故も発生する事はなく、合計8万時間の無事故飛行記録を樹立した。

T-38は、T-50練習機「ゴールデンイーグル」の実用化に伴って第一線を退く事が決定され、2008年に15機がアメリカに返却され、残りの機体も2009年11月16日までに全ての任務を終えて12月にはアメリカに送られる事となっている。返却された機体は再びAMARCで保管されているとの事。

【参考資料】
アジア経済(オンライン版)「歴史の中に消えるT-38高等練習機」(양낙규/2009年11月16日)
ソウル新聞(オンライン版)「美(アメリカ)高等練習機、10年の任務を終えて帰還」(안동환/2009年11月17日)


2009-11-19 23:47:32 (Thu)

最終更新:2009年11月19日 23:47
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