韓国ブラックアウト爆弾計画


▼アメリカ軍のBLU-114電力施設攻撃用特殊子弾。電線に絡みつくカーボンファイバーが内臓されている。

韓国ADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)は2009年からブラックアウト爆弾(停電爆弾/Black Out Bomb)の試作を開始すると2006年7月27日に発表した。

ブラックアウト爆弾はショート・サーキット(回路)爆弾とも呼ばれ、爆弾内部にテープ・スプール状のカーボン・ファイバー(炭素繊維)が巻き込まれており、変電所や高圧送電線などの電力施設上空でカーボン・ファイバーを投網のようにばら撒く事で電線をショートさせ、広域を停電させる特殊兵器である。1999年5月にアメリカ軍は多数のBLU-114/B電力施設攻撃用特殊子弾(Special-purpose Submunition for Attack Electrical Power Infrasyructure)を内蔵したCBU-94クラスター爆弾をコソボ紛争に投入した。また湾岸戦争ではAGM-86トマホークの弾頭にカーボンファイバーを内蔵し、電力施設を実験的に攻撃したという。これらの攻撃は極めて効果的で、前述のF-117Aによる1999年の攻撃ではユーゴスラビア全土の実に70%が停電するという被害を与えた。これによりブラックアウト爆弾はノンリーサル・ウェポン(非殺傷兵器)として高い評価を得たという。

北朝鮮や日本のような山岳部の多い地域では、大規模送電設備は鉄塔に張られた空中線として存在しているケースが多く、地中に埋設されている箇所は少ない。特に大規模な地下基地を多数建設している北朝鮮に対しては、その電力を奪う攻撃が効果的とADDは説明しており、ブラックアウト爆弾を使用すればその大部分を無力化できるとしている。またカーボン・ファイバーの除去と電力の復旧は極めて時間が掛かる為(ユーゴスラビアの場合は3日以上掛かった)、北朝鮮の基幹産業停止にも有効だろう。

【参考資料】
軍事研究(株ジャパン・ミリタリー・レビュー)
連合ニュース
Military Analysis Network(Federation of American Sientists)
PowerCorea


2007-07-29 00:50:25 (Sun)

最終更新:2007年07月29日 00:50