F-86D戦闘機「セイバードッグ」(韓国)



F-86は米ノースアメリカン社が開発したジェット戦闘機。第二次大戦後にドイツから得た大量の先進的技術資料を元に、開発中だったXP-86に設計変更を加えて完成された。初飛行は1947年10月。朝鮮戦争では中国軍が使用する旧ソ連製のMiG-15(NATOコード:Fagot/ファゴット)ジェット戦闘機に対抗するため、急遽F-86が投入され以後空戦を優位に進めた。F-86D(F-95A)はF-86の全天候要撃型で、外見は他のF-86シリーズと大きく異なる。特に目立つのは機首に装備されたレドームで、それが犬の鼻のように見えることから「セイバードッグ」と呼ばれた。旧ソ連の爆撃機のインターセプトを目的に開発されたため、アフターバーナーを装備しており、主武装は無誘導の空対空ロケット24発のみだった。韓国空軍は1960年2月と1961年12月の二度に渡ってF-86Dを導入し、計24機を装備した。F-86Dは韓国空軍初の全天候戦闘機で、北朝鮮空軍がIL-28(NATOコード:Bergle/ビーグル)を大量に取得している事が判明したため急遽導入された。しかし搭載電子機器の故障頻発や武装の「マイティマウス」空対空ロケットの威力の低さなど、運用上の問題が多数あったため、より高性能なF-4Dの導入開始を受け1971年には早々に全機退役した。

【関連項目】
F-86F戦闘機「セイバー」


2007-09-30 17:08:30 (Sun)

最終更新:2007年09月30日 17:08
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