K1戦車(88戦車 > ROKIT)

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性能緒元
重量 51.1t
全長 9.67m
車体長 7.47m
全幅 3.59m
全高 2.25m
エンジン MTU MB871Ka-501ディーゼル 1,200hp
最高速度 65km/h
航続距離 437km
渡渉水深 2.1m(渡渉装備を付けた場合)
武装 KM68A1 51口径105mmライフル砲×1(47発)
  12.7mm重機関銃×1(2,000発)
  7.62mm機関銃×2(8,600発)
装甲 複合装甲(車体前面及び砲塔前面)、空間装甲(車体、砲塔側面)
乗員 4名(車長、砲手、装填手、操縦手)

K1は自国のみで戦車を開発するには経験不足であった韓国が、1980年からクライスラー・ディフェンス社(ジェネラル・ダイナミックス・ランド・システムズ社)と共同開発した戦車である。1983年にデトロイトで第1次試作車及び第二2次試作車が完成し、アバディーン試験場で各種試験が行われた。1984年中には現代精工(現在の現代ロテム社)で早くも生産が開始され、1985年に量産第1号車が完成している。しかし公式に一般公開されたのは1987年9月になってからであった。公開当初は88(パルパル)戦車やROKIT(Republic of Korea Indigenous Tank)などと呼ばれた。

K1が開発されたのは韓国の経済発展が著しい1980年代で、1988年のソウル・オリンピックを契機に平野部の都市化が急速に進んだ時期でもあった。北朝鮮との国内戦闘が予想される韓国軍は、都市化の進んだ平野部と朝鮮半島の大部分を占める険しい山岳地帯が主戦場と想定しており、そのために側面の装甲と大口径砲を犠牲にしても軽量化を図り、機動性を最も重視してK1を設計した。これによりK1は極めて軽快な機動力を有し、米韓合同演習でも重量級の米軍M1A1戦車を翻弄して撃破するなど戦果を挙げているという。このようにK1戦車は朝鮮半島に合致した韓国に相応しい歩兵支援用戦車と言えるだろう。

車体は複合装甲を一部に使用した溶接構造で、前部右側に操縦手席がある。砲塔も同じく溶接構造で複合装甲と空間装甲が採用されており、右側前方に砲手席、その後に車長席があり、左側には装填手席が位置する。複合装甲はアメリカで開発されたもので、中期生産型以降(第2ロット以降?)のK1にアメリカから直接輸入した装甲板が使われた(初期型は複合装甲が使われておらず、アルミ製フレームを基本とした空間装甲が多用されていたようだ)。複合装甲は恐らくM1戦車と同じか若干劣るものが使われていると思われる。M1の複合装甲は2枚の防弾鋼板(表は硬度の高い高硬度装甲鋼板、裏は延性に富んだ均質圧延装甲鋼板)の間にアルミナ系の無拘束セラミック装甲材を挟み込んだもので、日本の90式戦車やドイツのレオパルド2戦車の拘束セラミックを使用した複合装甲と比べて、KE弾(高速徹甲弾などの運動エネルギー弾)に対する防御力が著しく劣るとされている。M1の前面装甲はKE弾に対してRHA(Rolled Homogeneous Armor:均質圧延装甲)換算で400mm、CE弾(成形炸薬弾などの化学エネルギー弾)に対して1,000mmの防御力を持つと言われており、K1もこれに類似するか若干劣る防御力を持っているだろう。複合装甲以外の部分にはCE弾に対してそこそこ有効な空間装甲が多用されている。特に砲塔側面は備え付けられた工具箱が空間装甲の役割も果たしており、2重の空間装甲になっている。車体側面のサイド・スカートは最後部の1枚を除く4枚に装甲材が充填されており、複合装甲になっているようだ。K1はこのような各種装甲とM1より一回り以上小さい被弾面積により、総合的に比較的良好な防御力を持つと思われる。1996年には国産開発の爆発反応装甲も公開されたが(M48戦車と共用)、費用の面から装備は行われなかった。装甲車内には韓国の厳しい冬に対応するためのヒーターや自動消火装置、NBC防護システムなどを完備している。冷房は装備されていない。

主砲はイギリスで開発されたL7系の105mmライフル砲にアメリカが小改良を加えてライセンス生産したM68A1を、さらに韓国でライセンス生産したKM64A1で、携行弾数は47発となっている。K1の開発が始まった頃、西側各国では第3世代の戦車が登場し始め、主砲は105mmライフル砲から120mm滑腔砲へと移行する時期にあったが、それでも韓国はK1にあえて105mm砲を採用した。なぜ105mm砲を選んだかは諸説あるが、ヨーロッパの平原と違い朝鮮半島の山がちな地形では交戦距離が短いため、主敵である北朝鮮の装備する戦車(T-55など)には105mm砲で十分なため、欧米人と比べて小柄な朝鮮人には120mm砲弾の連続手動装填が厳しいため、などの理由が推測されている。K1の主砲の俯仰や砲塔の旋回は電動式(非常時には手動旋回も可能)で、水平・垂直方向ともに安定化されている。主砲の即応弾は装填手の足元に置かれており、M1や90式戦車のように砲塔後部のバスル(張出部)には搭載していない。装填動作の楽なバスル部に砲弾を置かなかったのは、敵弾が命中する可能性が最も高い砲塔を極力小型化し、砲弾を砲塔リングより下に配置して被弾時の誘爆の可能性を局限しようとしたためと思われる。副武装は主砲同軸と装填手用ハッチに7.62mm機銃が、車長用ハッチには12.7mm機銃が装備されている。

車長用には2軸がスタビライズされた倍率3/10倍切替式の独立型パノラマ・サイトが装備されている。これにより砲手が目標を照準中に車長が次の目標を捜索、照準するハンター・キラー能力を有している。これは当時のアメリカMBTであるM1戦車でさえ持っていなかった機能だ。砲手用にはレーザー・レンジファインダー、熱線暗視装置が組み込まれた昼/夜間兼用サイトが装備されている。このサイトも2軸が安定化されており、昼間用は等倍と10倍の切替式、夜間用が3倍と10倍の切替式になっている。弾道計算機はデジタル式で、風向センサーと連動する高度なものだ。最近のMBTに必須のレーザー検知装置は、K1にもK1A1にも装備されていない。K1及びK1A1が砲塔側面に6発ずつ装備している国産のK415煙幕弾は可視光だけでなく、赤外線領域も妨害する効果を持っている。ただK415はエアロゾル散布形式なので風に流されやすく、45秒程度の有効妨害時間でしかない。

エンジンは独MTU社製のMB871Ka-501 4ストロークV型8気筒液冷ディーゼル・エンジン(1,200hp)が搭載されており、2基のインタークーラー付きターボ・チャージャを備える。このエンジンは独レオパルド2戦車に搭載されているMB873Ka-501の8気筒版で、韓国双龍(サンヨン)自動車社の昌原工場でライセンス生産されている。変速機は同じくドイツのZF社製LSG3000が搭載されている。これはトルクコンバータ式の自動変速機で、前進4段/後進2段である。K1の戦闘重量は51トンなので出力重量比(パワー・ウェイト・レシオ)は23.48hp/tとなる。日本の90式戦車の出力重量比は29.88hp/tなので、K1の機動性は90式戦車に若干劣る事になる。サスペンションはハイブリッド式で、6個ある転輪のうち、前2個と一番後ろの転輪が油気圧式、残りの3個の転輪がトーションバーで懸架されている。これによって、+3~-7度の前後姿勢制御ができ、低い砲塔に起因する仰角の不足をカバーできるようになっている。K1には渡河用の潜水装備が用意されており、これを装着する事で2.1mまでの深さの河川を自力で渡ることができる。但しこの潜水装備の装着には約2時間かかるという。

K1戦車は第1ロット(1986~88年)として205輌が17億7,300万ウォンで生産され、以降1989~91年に18億900万ウォンで310輌、1992~94年に21億4,200万ウォンで305輌、1995~97年に28億3,100万ウォンで207輌が生産された。合計生産数は1,027輌(派生型が含まれるかどうかは不明)。K1の生産は第4ロットで終了し、以後は改良型のK1A1の生産に移行した。K1戦車は陸軍の第1歩兵師団、第3歩兵師団、第11機械化歩兵師団、第17歩兵師団、第26機甲師団、第30機甲師団、第50歩兵師団、第2機甲旅団、第5機甲旅団の各戦車大隊や機甲捜索大隊、第1海兵師団の戦車大隊に配備されている。2線級の予備役師団にはM48戦車が配備されており、K1は配備されていない。

K1をベースに派生型が各種作られている。K1ARVはK1の車体にクレーンや燃料供給装置などを装備した装甲回収型で、各戦車大隊の整備中隊に数輌が配備されている。またK1の車体に橋梁を装備したK1AVLBは小川や地隙などに迅速に架橋し、戦車などを通過させるための特殊車輌で、工兵部隊に配備されている。また砲を大口径の120mm滑腔砲に換装したK1A1も開発されている。1997年、韓国はマレーシアに対して210輌のK1(K1M)の購入を提案したが、結局マレーシアは韓国の提案を高価過ぎるとして蹴り、より安価なポーランドのPT-91(T-72の改良型)を採用した。

K1 韓国初の国産主力戦車
K1A1戦車 K1に120mm滑腔砲を搭載した発展型
K1ARV装甲回収車 K1の装甲回収車型
K1AVLB戦車橋 K1の自走架橋型
K1M マレーシアへの輸出型(プランのみ)

▼射撃訓練を行うK1戦車。K1戦車の行進間射撃訓練は、車体前方に向けたものがほとんどだ。
▼米海軍のLCUから上陸する海兵隊のK1戦車

▼K1戦車の後部
▼油気圧サスペンションで前傾姿勢を取るK1戦車
▼渡渉試験を行なうK1戦車。防水カバーで防盾を覆っている。
▼K1戦車の砲手席

▼生産ライン上のK1戦車
▼取り外されたK1戦車の砲塔
▼K415煙幕弾による赤外線領域の妨害の様子

【参考資料】
月刊グランド・パワー 2004年9月号(ガリレオ出版)
Jグランド(イカロス出版)
戦車名鑑-現用編-(後藤仁、伊吹竜太郎、真出好一/株式会社コーエー)
戦車研究室



2009-03-04 00:31:44 (Wed)