BTR-60装輪装甲車(北朝鮮)


▼北朝鮮のBTR-60P

BTR-60PB性能緒元
重量 10.3トン
全長 7.56m
全幅 2.825m
全高 2.42m
エンジン GAZ-49B 6気筒液冷ガソリン(90hp)×2
最高速度 80km/h
浮航速度 10km/h
航続距離 500km
武装 KPVT 14.5mm重機関銃×1(500発)
  PKT 7.62mm機関銃×1(2,000発)
装甲 5~9mm
乗員 3名(車長、銃手、操縦手)+8名

BTR-60は旧ソ連で開発された8輪装甲車。それまで使用されてきたBTR-152の後継として1950年代後期にゴーリキー自動車工場で開発され、1959年11月に正式採用された。BTR-60は歩兵1個分隊を輸送する8輪駆動の荒地踏破装甲車で、ウォーター・ジェットを装備しており約10km/hのスピードで浮航する事ができる。タイヤの空気圧は車内から調整が可能。BTR-60は操縦手用と車長用の赤外線暗視装置が備えられており、夜間も行動する事ができた。GAZ-49B 6気筒水冷式ガソリン・エンジンを2基搭載しており、各々のエンジンが第1・第3車軸と第2・第4車軸を駆動させた。この独特の方式はどちらか一方が損傷しても走行可能という利点もあるが、反面整備が複雑で2つのエンジンの同調が難しいという欠点もある。またガソリン・エンジンであるため敵の攻撃で炎上し易く、アフガニスタンでは「燃える車輪付き墓標」と酷評された。初期生産型であるBTR-60Pはオープントップ式で、操縦手と車長の他に14名の兵員を載せる事が出来た。搭乗歩兵の乗降はこの車体上面の開口部から行い、専用のハッチなどは無かった。車体前部中央に7.62mm機関銃1挺を装備し、車体両側面には搭乗した歩兵が車内から射撃する事ができたるガンポートがそれぞれ3つずつ備えられていた。その後開発されたBTR-60PAは密閉車体となってNBC戦対応可能となり、1966年に登場したBTR-60PBはKPVT 14.5mm重機関銃とPKT 7.62mm機関銃を装備した砲塔が車体上部に付けられ(その分搭載兵員数が8名に減った)、最も幅広く普及した。BTR-60PBには車体上面の2つのハッチと左右両側面のハッチがあり、搭乗歩兵はこれらのハッチから乗降したが、ハッチの大きさが充分ではなく機敏に下車戦闘を行なう事が出来なかった。BTR-60は1961年から1976年までの間に約25,000輌が生産され、ソ連軍や東ドイツ、モンゴル、キューバ、北ベトナムなどの東側諸国で幅広く使用された。

北朝鮮は1973年から77年にかけてソ連から250輌のBTR-60PBを導入しており[4]、機械化歩兵師師団/旅団に配備されているものと思われる。

▼【参考】フィンランド軍のBTR-60PB

【参考資料】
[1]戦車名鑑-現用編-(後藤仁、伊吹竜太郎、真出好一/株式会社コーエー)
[2]Grobal Security
[3]Military Analysis Network(Federation of American Sientists)
[4]SIPRI Arms Transfers Database


2013-04-28 03:57:45 (Sun)

最終更新:2013年04月28日 03:57
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