M1992 30mm自走機関砲



性能緒元
重量 19トン
全長 7m
全幅 2.78m
全高 4.35m
エンジン ディーゼル 300hp
最高速度
航続距離
武装 30mm機関砲×2
砲口初速 800m/s
俯仰角 -5~85度
装甲 防弾鋼板
レーダー 目標捜索/追尾用レーダー×1
乗員 4名

西側コードネームM1992 30mm自走機関砲は、ソ連のZSU-23-4「シルカ」対空機関砲をベースに開発された北朝鮮国産の自走対空砲であり、北朝鮮製対空自走砲の中で唯一全天候性能を有する車両でもある。北朝鮮軍での制式名称は不明であり、M1992はアメリカ軍が付けた仮称。M1992の機関砲に関しては、Jane's Land-Based Air Defence 2006-2007では23mm機関砲としているが、本稿ではNorth Korea Country HandbookやGlobal Securityの記述により30mm機関砲とする。

M1992の起源となったのは、ソ連から輸入されたZSU-23-4自走機関砲であると見られている。ただし北朝鮮は、ZSU-23-4をそのままコピーしたのではなく、ATS-59砲兵トラクターを元にした北朝鮮製のシャーシに30mm連装機関砲をマウントした砲塔(これも細部はZSU-23-4とはかなり異なっている)を搭載しており、見た目はZSU-23-4と似ているが中身は別の車輌となっている。

主なスペックは以下の通り。重量19トン、全長7m、全幅2.78m、全高4.35m。300hpのディーゼルエンジンを搭載。原型のZSU-23-4では、AZP-23 23mm4連装機関砲を搭載していたが、M1992ではこれが30mm連装機関砲に変更されており、ZSU-23-4との識別点になっている。30mm機関砲の有効射程は約3,000mであり、連装になったこともあり最大発射速度に関してはZSU-23-4に劣るが、射程や弾薬の威力においてはZSU-23-4の23mm機関砲弾に比べて向上している。

搭乗員は、車長、砲手2名、操縦手の4名であり、操縦手以外は砲塔に搭乗する。砲塔後部にはZSU-23-4のB-76「ガン・ディッシュ」レーダーに似たレーダーが装備されている。ZSU-23-4は、目標発見から射撃までのリアクションタイムが20~30秒ほどかかることが問題とされていたが、M1992では反応時間が7~10秒に短縮されている。ただし、目標の捜索と追尾を1つのレーダーで行っているため目標追尾時には他の目標を捜索できないのはZSU-23-4と同じであると思われる。電子妨害などによりレーダーが使用できない場合は、光学照準装置を使用して射撃を行う。行進間射撃能力を有しているかどうかは不明。

M1992は、ソ連から導入した約100両のZSU-23-4と共に北朝鮮軍で最も有力な自走対空砲である。現代の技術水準からすると旧式であることは否めないが、中~低高度を飛行する目標に対しては侮りがたい能力を有しているのも事実である。

JED The Military Equipment Directoryによると、M1992の派生型として、砲塔に地対空ミサイルを搭載したガン・ミサイルコンプレックス型が開発されているとの事。これは、地対空ミサイルと30mm機関砲を組み合わせることにより、相互の弱点(機関砲の射程の短かさ+ミサイルの反応時間の遅さ)を補い合い、より効果的な防空能力を発揮する事を目指した改装であると見られる。

【参考資料】
Jane's Land-Based Air Defence 2006-2007(Jane's Information Group)
North Korea Country Handbook(MARINE CORPS INTELLIGENCE ACTIVITY/1997年)

Global Security
JED The Military Equipment Directory


2008-09-13 23:17:40 (Sat)

最終更新:2008年09月13日 23:17