K21歩兵戦闘車(NIFV)


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性能緒元
重量 25.0t
全長 6.9m
全幅 3.4m
全高 2.6m
エンジン D2848LXE ディーゼル 750hp
最高速度 76km/h(浮航時7.8km/h)
航続距離 450km
武装 XK40 70口径40mm機関砲×1
  7.62mm機関銃×1
  国産対戦車ミサイル(開発中)×2
装甲 アルミニウム装甲+積層複合装甲
乗員 3名(車長、砲手、操縦手)+9名

従来の装甲車よりも火力などが改善された次世代歩兵戦闘装甲車(NIFV:Next Infantry Fighting Vehicle)。開発はADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)と斗山インフラコア社で1999年から行われ、2005年5月19日に斗山インフラコア昌原工場で試作車3輌の出庫式が行われた。その後、試作車によって各種試験が行なわれたが、幾つかの不具合によって計画は遅れ、また当初1輌25億ウォンの予定だった価格が40億ウォンまで上昇するなど様々な壁にぶつかり、NIFVの将来は一時極めて不透明だった。しかし2007年6月29日にADDは忠清南道泰安郡の安興試験場でNIFVの完成(ミサイルは未完)を正式に発表し、K21という制式名称も同時に発表された。K21は2008年から本格的量産が開始される予定で、K200装甲兵員輸送車を代替する形で、約900輌が生産される。部隊配備は2009年11月に開始された[3]。K21はまず陸軍最精鋭部隊である第7軍団の第20機械化歩兵師団に配備され、将来的には新型MBTであるK2戦車と共に行動する事になるだろう。K21の開発に投じられた費用は約910億ウォンといわれる。試作車での問題を解決するための費用約200億ウォン(国防省の計上は300億ウォン)が2008年度予算に組み込まれた。

K21の固有の乗員は、車長、砲手、操縦手の3名で、兵員9名を車内に乗車させる事ができる。K21の車体と砲塔はアルミニウム装甲の全溶接構造で、前面には積層複合装甲が施されており30mmAPDS弾(Armor Piercing Discarding Sabot:装弾筒付徹甲弾)に耐える事が出来る。また側面装甲は14.5mm徹甲弾に、上面は155mm砲弾断片に耐えられる。そのほかNBC(Nuclear,Biological,Biological:核・生物・化学)防護システム、レーザー警報装置、自動消火装置も装備している。エンジンは750hpの8気筒水冷ディーゼルで、出力重量比は28hp/tと高く最大路面速度は70km/h(不整地では40km/h)に達する。K21は更新対象のK200(KIFV)と同じく自力での渡河を可能とする浮航性能が求められていた。ただし、重装備の歩兵戦闘車であるK21の重量は25トンに達しており、そのままでは浮上航行に必要な浮力を確保するのは困難であった。そのため、車体側面のサイド・スカート内部にエアーバッグ式の水上浮揚装置を内蔵して、渡河時にはこれを膨らませることで浮上航行に必要とされる浮力を確保するという方式が採用された。水上での推進力は履帯の回転によって確保し、最大6km/hの速度での浮航が可能となった。ただし、2009年12月9日と2010年7月29日の二回に渡って浮航中に浸水沈没する事故が発生しており、2010年の事故では死者1名を出している[1]。元来、予備浮力に乏しいAFVの浮遊航行には危険が伴うことが多く、水上でバランスを崩したり、車体上部に波が来た場合、急な浸水によって沈没することは稀ではない。特に車体重量が重く浮航時の予備浮力が少ないK21では、渡河前に十分な河川の状態の事前調査を行った上で、車輌の特性を踏まえた操縦が求められるとのこと[2]。一度目の事故を受けて、エンジンの吸気を外気吸入からエンジンルーム内の空気吸入に変更、水上航行中に展開するエンジングリル周囲を覆う波除けカンバスの高さを20cmから30cmに高くする等の改良が施された[4]。しかし、二度目の事故が発生したことを受けて、軍、ADD、防衛事業庁、メーカーなどによる合同調査団が編成されて調査が行われており、事故原因の究明と今後の対策が検討される[3]。

従来の韓国軍の主力装甲車K200(KIFV)の兵装は12.7mm及び7.62mmの機関銃だけであり、敵装甲車や戦車への攻撃力は無かった。しかしK21は大幅に火力が強化され、韓国S&T重工業製の70口径40mm機関砲(ボフォース社製のコピー?)1門と同軸の7.62mm機関銃を装備しており、装甲車はもちろん低空のヘリコプターへの攻撃も可能になっている。40mm機関砲はスタビライザが備えられ昼夜間射撃管制システムと連動し、APFSDS(Armor Piercing Fin Stabilized Discarding Sabot:装弾筒付翼安定徹甲弾)のほかPFHE弾(Pre-Fragmented High Explosive:近接信管付高性能榴弾)など各種弾薬を発射できる。この機関砲の最大射程は4,000mで砲口初速はHE弾の場合1,005m/s、APFSDS弾の場合1,400m/sに達し、アメリカや中国、日本の歩兵戦闘車が装備する機関砲よりも威力が大きい。APFSDS弾は射程1、000mで100mmの装甲RHA換算を撃ち抜く事ができる。発射速度は毎分300発。車長は砲手とはそれぞれ別に捜索・照準装置を砲塔天井部に持っており、これによりハンター・キラー能力を有しているようだ。砲塔左側面には対戦車ミサイルの連装発射器が装備されている。この対戦車ミサイルは韓国国産で性能の詳細は不明だが、イスラエル製のスパイク対戦車ミサイルをベースに開発されており、タンデム式成形炸薬徹甲弾頭を持つ射程4,000m級の光学有線誘導型ミサイルになるという。

K21には高度なベトロニクス(Vetronics:車輌用電子機器)が搭載される予定。多数の多用途情報ディスプレイが車内に装備され、LRF(Laser Range Finder:レーザー測距器)やデジタル弾道計算機からなるFCS(Fire Control System:火器管制装置)やGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)、INS(Inertial Navigation System:慣性航法装置)、自動故障診断装置、味方の車輌間や指揮所との間でリアルタイムに情報をやり取りするIVIS(Inter-Vehicular Information System:車輌間情報システム)などと連動する。また内蔵型の訓練シミュレーターが装備され、実弾射撃を行わずに訓練する事が出来るという。

北朝鮮軍は73mm低圧砲と9M14対戦車ミサイル「マリュートカ」(NATOコード:AT-3 Sagger/サガー)などで武装したBMP-1歩兵戦闘車など多数のIFV(Infantry Fighting Vehicle:歩兵戦闘車)を装備しており、これまで同分野の兵力では韓国陸軍が大幅に劣っている事が指摘されていたが、K21の装備により北朝鮮軍を圧倒する事ができるようになるだろう。また本車が完成した暁には、韓国は積極的に海外(特にトルコ)への輸出を図るものと思われる。

▼K21の後部。油圧式乗降用ランプにはハッチが設けられている
▼耐寒試験中のK21
▼フロートを展開したK21。フロートはサイドスカート内に収納されている。
▼フロートを展開した状態を後部から見る。開かれたランプ上に見える箱状のものは後部視察用カメラ
▼試作車2輌による対空射撃展示
▼浮航状態で射撃するK21
▼発煙弾を射出したK21。川から揚がった直後でフロートは展開したままだ。
▼K21の砲塔部。右側の円筒状のものが車長用サイト、左側の箱状のものが砲手用サイト
▼車長用サイトのアップ
▼操縦手用ハッチが開かれている。砲塔の発煙弾発射機の箱状のものはレーザー検知機
▼車体前部の水上浮航用トリムベーン
▼砲塔左側面に装備されている対戦車ミサイルの2連装ランチャー。ミサイルの詳細は不明

▼K21に装備される韓国S&T社製K40 40mm/L70機関砲
▼砲主用コンソールと40mm機関砲弾(左がAPFSDS弾、右がPFHE弾)
▼APFSDS弾による貫徹試験の結果
▼砲塔前面の装甲板
▼主要部分には積層型複合装甲が用いられているという
▼K21搭載の斗山社製750hpディーゼル・エンジン
▼S&T社製トランスミッション
▼ドンミョン機電社製のサスペンション
▼砲塔内部の車長席(左)と砲手席(右)
▼操縦手席
▼K21の兵員室。座席は向い合せ式で、前方(砲塔バスケット後部)に大型の情報表示パネルがある。

▼K21試作車輌の動画(APFSDS弾、水上浮航、40mm機関砲による対空射撃など)
▼K21試作車輌の動画(不整地機動、登坂、水上浮航、同軸機銃による射撃、ミサイルランチャーなど)

【参考資料】
軍事研究(株ジャパン・ミリタリー・レビュー)
朝鮮日報
Kojii.net
Jane's Defence Weekly
PowerCorea
朝鮮日報(日本語電子版)「韓国軍:K21装甲車、訓練中にまたも浸水事故」(張一鉉/2010年7月30日)[1]
韓国防衛事業庁公式サイト「답변: K21 침수사고에 대하여」(2010年2月26日)[2]
ソウル経済(電子版)「軍 “조사단 구성, K-21 침몰원인 규명”」(이기주/2010年7月29日)[3]
朝鮮日報(韓国語電子版)「'침수사고' K-21장갑차 수상운행능력 입증」(2010年2月23日)[4]


2010-08-02 21:49:24 (Mon)