K11は5.56mmのアサルトライフルと20mmの炸裂弾ランチャーを組み合わせた、新型の個人携行武器。ADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)が2000年から開発を始めた、185億ウォンの予算を投じて、ADDを中心にHANWHA(韓国火薬)社、S&T大宇社などの国防企業が開発に参加し、2006年10月に試作型が完成した。2008年に試作型を用いて実戦に即した各種試験が行なわれ、良好な成績を収めた。国防省は2009年度予算案に、この新型複合ライフルの量産費用を計上しており、2009年末には部隊配備を行なう予定。韓国はこの新型ライフルの輸出にも力をいれる計画で、2008年12月12日にADD大田研究所で行なわれた完成披露会にはアメリカ、フランス、スウェーデン、メキシコなど各国の駐在武官や防衛企業関係者などが招かれ、ADDの朴所長が「K11は価格競争面でも優れており、輸出に期待を抱いている」とスピーチした。価格は1丁当たり1,600万ウォン。
K11は全体的に、アメリカ軍が試作したXM29 OWIC(Objective Individual Combat Weapon:個人主体戦闘武器)に似ている。5.56mmアサルトライフルと20mm炸裂弾ランチャーが上下に組み合わされており(上が20mmランチャー、下が5.56mmライフル)、レシーバー上部には巨大な射撃管制・照準システムが載っている。ライフル部はK2アサルトライフルと同じガス圧利用式で、マガジンもK2と同じアルミ製のもの(M16と同じ)。ブルバップタイプの20mm炸裂弾ランチャーは、ガス圧利用式、セミ・オートマチックで、既存のグレネード弾と違い高速且つ直線的に炸裂弾を発射する新しいタイプの兵器。これまでの40mmグレネード弾は着発信管しか無かったが、K11が使用する炸裂弾には回転数計算型信管が内蔵されており、射手は射撃管制システムを通じて、炸裂する距離や高度を自由に調整できる。この新型炸裂弾は遮蔽物に隠れた敵や、密集している敵の上空で炸裂し破片を撒き散らす事で、効果的に制圧する事ができる。20mm炸裂弾は40mmグレネード弾と比べて威力が小さいが、弾片の飛散範囲を広くする為に特殊な構造が用いられており、運用上は問題ないとされている(アメリカのXM29は20mmでは低威力と判断されて開発中止になった)。20mm炸裂弾は透明の巨大なマガジンに装填される。K11はこれまでのアドオン型グレネードランチャーのように、ライフルとランチャーのトリガーが2つに分かれておらず、グリップ前に設けられたトリガー1つでライフル弾と炸裂弾を打ち分ける事ができる(セレクターで切り替える)。レシーバー上の射撃管制・照準システムは、赤外線暗視装置を内蔵した倍率2倍固定のスコープとレーザー測距器、弾道計算を行う超小型FCS(Fire Control System:火器管制装置)を装備している。これにより昼夜を問わず正確な射撃が可能。レーザー測距器のデータは20mm炸裂弾の信管に自動的にインプットされる。これらの情報は、現在開発中の新型ヘルメットのディスプレイに表示される予定。K11の全長は860mmで、軽量化のためにポリマーを多用して作られているが、重量は6.1kg(弾薬未装填時?)とかなり重い。ハンドガードの前に簡素なバイポッドを装備する事ができる。近年の個人携行武器によく見られる、ミルスペック準拠のレイルシステムは装備されておらず、拡張性は全く無いようだ。