ナジン級フリゲイト


▼1993年に海上自衛隊のP-3Cが撮影したナジン級

性能緒元
満載排水量 1,500t
全長 102m
全幅 10m
喫水 2.7m
主機 ディーゼル
速力 24.3kts
航続距離 14kts/4000nm
乗員 180名

【兵装】
対艦ミサイル SY-1(CSS-N-1 Scrubbrush) / 単装発射筒 2基
対空ミサイル HN-5 / 単装発射機  
B-34 56口径100mm単装砲 2基
近接防御 69式 30mmCIWS 2基
  66式 77口径57mm連装機関砲 2基
  61式 25mm連装機関砲 6基
爆雷 投下軌条2列 20発

【電子兵装】
2次元対空レーダー FUT-N(Slim Net) 1基
対水上レーダー 351型(Pod Head) 1基
航海レーダー Baklan(Pot Drum) 1基
火器管制レーダー(SY-1対艦ミサイル用) 352型(Square Tie) 1基
(69式30mmCIWS用) MR-104(Drum Tilt) 1基
ECMシステム RW-23  
チャフ 3連装発射機 6基
ソナー    

北朝鮮が建造した国産フリゲイト。羅津(ナジン)の造船所で1972~1973年に2隻が建造された。北朝鮮内の呼称は不明だが、西側諸国では造船所の名前を採って「ナジン級」と呼ばれている。ナジン級は北朝鮮海軍が保有する数少ない排水量1,000トン以上の艦艇で、東海艦隊(日本海)と西海艦隊(黄海)に1隻ずつが配備されている。

ナジン級は旧ソ連が1950年代に建造した42号警備艦(NATOコード:Kola/コラ)に似た平甲板型の艦形で、韓国海軍のウルサン級フリゲイトとほぼ同じ大きさだが、排水量はナジン級が500トンほど小さい。主兵装は1980年代に魚雷発射管を下ろして搭載したSY-1(NATOコード:CSS-N-1 Scrubbrush/スクラブブラッシュ)対艦ミサイル。前後煙突の間の両舷に単装発射筒を前向き固定で装備している。SY-1は中国が旧ソ連製のP-15「Termit」(NATOコード:SS-N-2 Styx/スティックス)をコピーした対艦ミサイルで、射程距離50km、高度100~300mを亜音速で巡航し、終末期には装備しているアクティブ・レーダーで目標を捕捉、急降下して突入する。SY-1管制用レーダーである352型(NATOコード:Square Tie)はIバンドのパラボラ型レーダーで、捜索距離は約130km。SY-1は現在では極めて旧式な対艦ミサイルで、迎撃もECMなどによる撹乱も比較的容易だが、仮に命中した場合その巨大な弾頭(ハープーンの約2倍)は目標に致命的なダメージを与えるだろう。また、射程距離や命中精度が向上した中国製の改良型(HY-1など)や北朝鮮独自の改良型ミサイルを装備している可能性もある。艦の前後に装備されている旧ソ連製のB-34 100mm単装砲も旧式で、人力装填のため発射速度は遅く(毎分15発程度)、射撃管制もレーダーと連動しておらず、ジェット機やミサイルなどの迎撃は困難だ。ただし2002年の西海交戦のように近距離で不意急襲的に使用する場合は、韓国の小型戦闘艇にとってその威力は脅威となるだろう。近接防御火器として中国製の69式30mmCIWSを前部及び後部煙突のそれぞれ後端に1基ずつ、合計2基装備している。69式30mmCIWSは旧ソ連製のAK-230と同型で、小型の砲塔に2門の30mm機関砲を装備しており、発射速度は毎分2,000発(2門)にも及ぶ。最大射程は4,000m。

ナジン級は北朝鮮海軍にとって最も強力な艦艇の1つであり、建造時から持続的に改良が行なわれているが、周辺諸国の近代的海軍から見れば時代遅れの旧式艦に過ぎず、今後も大きな脅威となる事はないだろう。

1993年5月のノドン発射の際に、艦番号531のナジン級が日本海で観測任務を行なっており、海上自衛隊のP-3Cに発見され撮影された。

▼ナジン級を視察する金正日総書記。ナジン級の煙突後端に装備された30mmCIWSが明瞭に確認できる。金正日が乗っている艦はソホ級フリゲイトだろうか。

【参考資料】
Grobal Security
Jane's Infomation Group
北朝鮮軍の全貌(光人社)
最新朝鮮半島軍事情報(講談社)


2009-05-31 21:42:35 (Sun)

最終更新:2009年05月31日 21:42