AN? > TPQ-37対砲レーダー(韓国)


▼【参考】アメリカ軍のAN/TPQ-37

性能緒元
探知距離 3~50km
同時追跡数 2目標
周波数 S-band
操作員 12名

AN/TPQ-37「ファイアー・ファインダー」は敵が発射したミサイルや砲弾を探知し、発射位置を評定する対砲レーダーである。TPQ-37は米レイセオン社の製品で、周波数Sバンドのレーダー波を使用しており最大探知距離は約50km。捜索範囲を狭めれば更に探知距離を延ばす事が出来る。探知した目標は自動的に追跡され、その軌跡を逆算して発射した敵部隊を割り出し、味方砲兵部隊にデータを送信する。データは予めメモリーに登録しておいたGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)マップや地形図と連動しており、視覚的にも分かり易い。自軍火砲が発射した砲弾を追跡し、着弾地点を評定する事にも使用される。目標追跡中も捜索は継続可能で、複数の目標を同時追跡する事も出来る。鳥や航空機などは自動的に目標から除外される。最新型の(v)7 BlockⅡでは故障箇所の自己診断機能が追加されており、冷却機が強化され、ECCM(Electric Counter Counter Measure:対電子妨害手段)能力も向上している。システムはレーダーと管制車、電源車から構成される。TPQ-37アメリカ軍、韓国軍をはじめ世界10ヶ国以上で使用されている。

1994年3月の南北実務者級会談で北朝鮮側主席代表が「ソウルは近い。戦争になれば火の海になる」と発言したのを受け、韓国軍はTPQ-37を1994年に5基購入した(1基あたりの価格は144億ウォン)。湾岸戦争に大量投入された米軍のTPQ-37はイラク軍砲兵を的確に探知し、効果的に対砲兵射撃を行う事が出来たといわれており、北朝鮮軍砲兵への対砲兵射撃でも威力を発揮するだろう。ただし韓国軍のTPQ-37は予算の都合からECCM機能なく、メモリーもアメリカ軍のものが128kなのに対し韓国軍のものは半分の64kしかないためデジタルマップを使用できないなど廉価仕様になっている。その後アメリカ軍の使用するものと同等の性能にアップグレードする計画もあったが、予算不足や追加の対砲兵レーダー整備事業の影響を受けて未だ実現していない。この点は2004年に韓国国会で問題になり議論が行なわれた。韓国軍のTPQ-37はスパイダー戦術通信体系と連接しており、リアルタイムで師団本部や砲兵連隊にデータを送信する。

【参考資料】
Army-Technology
Grobal Security


2007-11-03 21:35:18 (Sat)

最終更新:2007年11月03日 21:35
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