韓国次期中距離対戦車ミサイル計画


▼2009年3月の国防科学研究所で展示された新型対戦車ミサイル

2006年2月16日、韓国国防省は歩兵連隊内の重火器大隊に配備されているM40 106mm無反動砲を代替する為の、新型中距離対戦車ミサイルの開発を行う為の研究を開始すると発表した。これは国内で将来戦闘に適応しうる誘導弾を開発可能かどうか検証するための先行研究で、2007年7月から2009年6月まで253億ウォンを投じて行われる。

現在、韓国陸軍ではロシアから輸入したメチスM対戦車ミサイルがM40 106mm無反動砲の代替として配備されているが、導入数が少ないため全ての無反動砲を入れ替えるには至っていない。この先行研究で開発可能と判断されれば、引き続き2009年7月から本格的な開発作業に着手し、2014年頃の実用化を目指す予定。

韓国はK-21歩兵戦闘車に2発搭載する対戦車ミサイルをイスラエルと共同で開発していると言われており、今回発表になった新型ミサイルもK-21に搭載されるものと同型のようだ。新型ミサイルの誘導方式は陸上自衛隊の01式軽MATと同じ赤外線画像誘導といわれ、所謂撃ちっ放しが可能になっている。飛行モードは通常の他に、戦車の弱点である上面を攻撃可能なトップアタックにも対応しているという。

【2010年3月2日追記】
韓国の防衛事業推進委員会は2010年2月24日に開催された会議において、歩兵用中距離誘導兵器(Medium Range Infantry Missile:MRIM)開発に関する方針を決定した[1]。

MRIMに関しては、過去二年間において誘導方法における重要な技術を確保しているとされた。MRIMは赤外線画像誘導方式を採用し、従来の歩兵用対戦車兵器と比べて装甲貫通力、命中精度を向上させ、発射後の打ちっ放し(Fire&Forget)を実現する事で運用歩兵の生存性を向上させるとしている。MRIMは正面装甲に対する攻撃だけでなく、比較的装甲の薄い上面部に対するトップアタックを行う事も可能とすることも定められた。

防衛事業推進委員会の事業見通しとしては、2010年中に公開入札の告知を行い、各社の提案書を検討した後、受注業者を確定、国防科学研究所(ADD)を中心として本格的な開発に着手、2014年の開発完了を目標に事業を推進することを計画している。

▼ソウル・エアショー2007(KOREA AEROSPACE & DEFENCE EXHIBITION 2007)で展示されたスパイク対戦車ミサイル

【参考資料】
[1]国防日報「SAAM ”対艦誘導弾防御誘導弾”の国内開発の推進」(2010年2月18日)


2010-03-02 05:18:01 (Tue)

最終更新:2010年03月02日 05:18