韓国戦闘ロボット計画


▼とりあえず走行できるようになった6輪偵察ロボットの試作型

韓国政府は2005年9月21日、第10回科学技術関係長官会議を開き「犬馬型ロボット」の開発を中心とする「国防部と情報通信部間の研究開発協力及び開発推進に関する計画」をまとめた。2006年から2011年まで計334億ウォンを投入する開発プロジェクトで、国防省傘下のADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)はロボットの機動技術とシステム総合研究を、ETRI(Electronics and Telecommunications Research Institute:電子通信研究院)は遠隔操縦とセキュリティ技術を担当する。

国防部が公開した概略図によると、犬馬型ロボットは左右に4~6個のタイヤを持つタイプと、昆虫のように6本の足を持つタイプの二つに分かれる。ロボットの重さは8つのタイヤを持つものが200kg、6つのタイヤを持つものと6本の足を持つものは100kgで、ロボットの重さと同程度の荷物を運べる予定。ロボットには監視や偵察に使われるカメラや地雷などの危険物を取り除くアーム、機関銃などが搭載される。国防部の関係者は「タイヤタイプと足タイプのどちらが優れているか、2006年末までに判断する」と明らかにしている。スピードはタイヤタイプが、障害物を乗り越える能力は足タイプがそれぞれ優れている。この犬馬型ロボットには、コードレス通信を利用したリモートコントロールシステムを使用する予定。電子通信研究所は数十~数百台のロボットが互いに情報をやり取りする通信ネットワークも構築する計画だ。こうすると、1台のロボットが収集した情報をその他のロボットと共有する「集団戦闘知能」を有する事になる。


【2005年11月10日追記】
2005年11月10日に開催された第13回陸戦兵器セミナーで、先端IT技術を利用した韓国型先進歩兵システムや軍事用戦闘ロボットが発表された。韓国陸軍は将来、軍団・師団レベルの部隊に無人偵察機を配備して敵の捜索監視を行う事になる。この無人偵察機によって探知された情報に基き、より細かい情報を得るために装甲車型の「多目的監視ロボット」と「近接監視ロボット」が前線に投入される。

「近接監視ロボット」は潜水艦の潜望鏡のようなセンサーマストを装備し、遮蔽物に隠れながら周囲の偵察を行うことができる。6つ持つタイヤは、そのうち2つが損傷しても行動に影響は出ない。敵が地雷を埋設していた場合は「地雷探知ロボット」が出動し、安全に地雷の除去が行われる。もし地雷原が大規模な場合は指揮統制車にその情報を送り、地雷原爆破用ミサイルで経路を開拓する事が出来る。またこの地雷探知ロボットは、倒木などの障害物を排除する機能も持っている。6脚ロボットは既に開発が進んでいる「多目的ロボット」だ。塹壕などに隠れている敵を排除するなど、先進歩兵を多目的にサポートする。多目的ロボットは自立歩行で行動するが、無線で遠隔操縦も行う事が可能になる予定。敵の位置が判明し、作戦が決定されると「戦車型ロボット」が投入される。このロボットは大口径砲を搭載しており、味方部隊に先行して敵を制圧する任務を負う。テロリストにより建物が占拠された場合は「近接監視ロボット」が活動を行う。同時にマイクロUAVが多数投入され、ロボット達が得た情報はリアルタイムで指揮統制車に送られるだろう。また先進歩兵は手榴弾程度の大きさの「投擲型ロボット」を装備し、敵陣地にこのロボットを投げ込む事で、兵士の手首に装備している小型コンピュータに敵情報を送る事が出来る。

陸戦兵器セミナーの一環として行われた「陸戦型ロボフォーラム」では、産官学のロボット専門家達が集まって将来の地上戦の姿について論議した。このフォーラムに参加したKAIST(Korea Institute of Science and Technology:韓国科学技術院)の教授は「KAISTで研究中の多くのロボット技術は、直ぐに軍事用ロボットに適用する事ができる」と語った。

【2006年6月8日追記】
ADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)は6月7日、3種類の戦闘用ロボットを発表した。このうち6輪のロボットは「キョンマ」と呼ばれ、2012年から軍人の変わりに前方哨戒線での警戒任務や地雷探知に投入される予定。

【2006年10月21日追記】
KITECH(Korea Institute of Industrial Technology:韓国生産技術研究院)とROTEM精密工業が2006年末から開発に着手する多足型ロボット(Quadru ped Lagged Robot)のモックアップが、2006年10月17日にディフェンス・アジア2006の会場で公開された。この多足ロボットは地雷原やBC兵器で汚染された危険な地域に投入される予定だという。

▼以前発表された6種類のロボット
▼6輪型の近接監視ロボット
▼多脚型の多目的監視ロボット
▼多脚型ロボットの内部構造

▼多脚型ロボットの歩行動画

【参考資料】
朝鮮日報
中央日報
PowerCorea


2009-05-09 19:58:05 (Sat)

最終更新:2009年05月09日 19:58