K1A1 5.56mmアサルトカービン


▼K1A1レイルシステム。EO-TECH社製551ホロサイトとフォアグリップを装備している。

口径 5.56mm×45
全長 838mm(折畳時653mm)
銃身長 266mm
重量 2,980g
装弾数 30発
ライフリング 6条右回り

K1カービンは1972年、ADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)に下達された「軍の基本火器である小銃を韓国国内の技術で開発し、国内防衛産業の基盤を確保する事」という指示の下にXB小銃の開発計画が立ち上がり、当時使われていたM16A1アサルトライフルとM3A1サブマシンガンの後継として開発がスタートした。開発過程の中で.45APC弾より5.56mm口径の弾を使用する案が優先され、1975年から本格的な開発に入り、XM177E2アサルトカービンと同じ性能で、MP5サブマシンガンの携帯性を持ったカービン計画として進められた。1980年に試作品が完成したK1カービンは、1981年に韓国軍の制式小火器として採用される。カービンという特性から、韓国陸軍空輸特戦司令部や海兵隊など、特殊部隊を優先に配備が始まった。生産はM16(M603K)をライセンス生産した大宇精密が担当した。

初期のK1カービンはM3A1からの影響を受けているのが分かる。トランペット型のマズルブレーキとスライドストックがそれだ。しかし、この二つの点はK1カービンの致命的な弱点にもなってしまっている。マズルブレーキは射撃の際に、閃光と音が大き過ぎ、敵から自分の居場所が分かってし、さらに撃った時の反動が制御できない。またスライドストックはM3A1と同じ大きさで作られており、.45APCにはなかった5.56mmの連射速度に対して強度が不足している。そこでK1カービンは改良が行われる事になった。マズルブレーキはXM177E2と同じバードゲージ型になり、さらに開孔部を右上方に3つだけにする事で、射撃時に右上方に上がる銃の反動を制御した。これにより射撃時に発生する閃光も従来の1/3以下に抑える事ができるようになった。これ等の改良が加えられたK1が、現在配備されているK1A1である。

K1A1カービンの外観はM16A1と似ている点が多い。ポスト・サイト、L型リアサイト、ボルト、マガジンキャッチ、スライドストップ等々の外観。内部もエキストラクターのバレル・ロッキング・ラグやチャンバー、ガス・オペレーションメカニズム、バースト射撃可能なトリガー・メカニズム(ガス直接利用方式)など。特に既存のM16との互換性を考え、M16の30連マガジンはそのまま使用できるように設計されている。逆に異なっているのはボルトの反動を緩衝するアクション・スプリングで、M16というよりもAR18の複列式に近い。さらにエジェクションポートとボルトコッキングハンドルの形状、またボルトコッキングハンドルを分解結合の際の工具として使用することや、アッパーフレームとロアフレームの連結方式はアクション・スプリングとガイドの後部にあるプランジャーで固定する点もAR18的だ。

K1A1の長所は同級の口径(5.56mm)をもつカービンの中でも最高の携帯性である。世界的にみても非常に突起物の少ない銃は、このK1A1ぐらいである。また泥の中に入れても、すぐに射撃できる堅牢性も持っている。夜間射撃用にポスト・サイトにはトリチューム照準器も付く。3点バースト機能は弾丸の浪費を防ぎ、その複雑なトリガー・メカニズムでありながら故障がほとんどないという信頼性も得ている(フルオート機能は無い)。また韓国人の体形に合わせて作られているため、安定的な射撃姿勢をとることができる。

欠点は簡単な鉄棒で出来ているスライドストックだろう。このストックは連射する際に、まるで板バネのように飛び跳ねてしまう。またストックを収容した時にスライドストップを押す事が出来なくなってしまう。エジクションポートにダストカバーが無いのも欠点のひとつだ。さらに射撃時に反動でプランジャーが壊れてフレームが上下に分解してしまい、射手が怪我を負う事故も時々あるようだ(K2アサルトライフルではプランジャーにヒンジを付けて、簡単に分解しないようになっている)

一般的にK1A1カービンは、歩兵部隊の尉官クラス以上の将校に支給されている。また戦車兵、通信兵、砲兵、空挺兵等の特殊兵科にも支給されている。K1A1がもっとも使用されているのは特戦司や第707特殊任務大隊、海兵隊、UDT/SEAL等の韓国特殊部隊であろう。

▼特殊戦司令部に属する兵士達。K1A1を装備する
▼K1A1を構える通信兵
▼20連のショートマガジンを装備したK1A1
▼ザイトゥーン部隊(イラク派遣隊)MPのK1A1。レイルシステムにEO-TECH社製552ホロサイトとAIMPOINT社製3倍ブースターを装備している。
▼K1Aの右側面
▼K1Aの左側面

【参考資料】
コンバットマガジン(株ワールドフォトプレス)
最新軍用ライフル図鑑(床井雅美/徳間書店)

【関連項目】
K2 5.56mmアサルトライフル


2009-03-15 16:14:46 (Sun)

最終更新:2009年03月15日 16:14