日本周辺国の軍事兵器
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日本周辺国の軍事兵器
ja
2013-09-07T05:03:41+09:00
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ソン・ウォンイル級潜水艦(KSS-II/214型)
https://w.atwiki.jp/namacha/pages/110.html
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▼1番艦「ソン・ウォンイル」(SS-072)
#ref(214_23.jpg)
▼2番艦「ジョン・ジ」(SS-073)
#ref(214_27.jpg)
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■''性能緒元''
|水中排水量|1,860t|
|全長|65.3m|
|全幅|6.3m|
|喫水|6.0m|
|主機|ディーゼル・エレクトリック/AIP 1軸|
| |MTU 16V-396ディーゼル 2基(6.24MW)|
| |シーメンス Permasynモーター 1基(2.85MW)|
| |HDW PEM燃料電池 9基(306kW)|
|水上速力|11kts|
|水中速力|20kts|
|連続潜行時間|13日|
|最大潜行深度|400m|
|乗員|27名|
【兵装】
|対艦ミサイル|UGM-84Lハープーン / ハープーン用発射管|4門|
|魚雷|[[K731「白鮫」533mm長魚雷>魚雷/機雷/爆雷(韓国)#白鮫]] / 魚雷用発射管|4門(16発)|
|機雷| | |
【電子兵装】
|レーダー|SPHINX-D(Iバンド)|1基|
|戦闘システム|ISUS-90| |
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ソン・ウォンイル級潜水艦(214型/Type214)は[[チャン・ボゴ級潜水艦(KSS-I/209型)]]に続いてドイツのHDW(Howaldtswerke-Deutsche Werft)社から購入した最新鋭輸出用潜水艦。韓国での導入事業名はKSS-II。本級はフランスとスペインが共同提案していたDCNI社のスコルペン級(S-80型)を蹴って採用された。スウェーデンもゴトラント級(A-19型)を提案していたが、コックムス社がHDW社と合併したため提案は取り下げられた。またロシアからは借款返済の一部としてキロ級(877型)3隻も提案され、1999年にモスクワを訪れた金大中大統領(当時)が導入する意向を表明していたにもかかわらず、蓄電池性能と潜行能力、通信能力が不十分という理由で2001年10月にこの提案を拒否しロシアを落胆させた。ロシアはキロ級が採用されれば、続けてより高性能なアムール級(1670型)を売り込む魂胆だったという。当初採用はHDW社が絶対的に有利と見られていたが、韓国側は2000年9月から22回にも渡って両社に入札を繰り返させHDW社とDCNI社の価格競争を煽った。このためHDW社はかなり低い入札金額を提示し、おかげで韓国は同型を購入したギリシャよりも安い額で214型を導入する事が出来たという。
ソン・ウォンイル級の建造はこれまでチャン・ボゴ級を建造してノウハウを得てきた現代重工が、新たに蔚山に建設した214型専用造船所で行っている(ノックダウン生産)。順調に行けば年1隻のペースで建造を行う予定。現在6番艦まで予算が認められており、3~6番艦は就役を早めるために国外で建造すると報道されたが、正確には国外(ドイツ)からライセンスを受けて韓国国内で自主建造するという事のようだ。契約金額は3隻で1兆2,700億ウォン。このソン・ウォンイル級の契約金はギリシャの同型(パパニコリス級)の契約金の約70%だという。1番艦「孫元一(ソン・ウォンイル)」(SS-072)は2006年6月9日に進水し、2007年1月29日から約1年に渡る公試が行なわれた後、2007年12月29日に就役した。潜水艦、特にAIP機関搭載潜水艦の建造には極めて高い技術が必要とされる。パキスタンはアゴスタ90Bを自国建造しようとしたが、仏DCN社の支援があったにも関わらず仏人技術者11名が死亡する爆発事故を起こし建造は非常に難航した。またインドも独1500型4隻を国内建造する計画だったが、技術的問題から2隻で中止になった。ブラジルやアルゼンチンも独製潜水艦の国内建造を企図したが、いずれも途中で中止されている。これらの国々は第三世界の中でも比較的工業技術の進んでいる部類に入るが、それでも潜水艦の建造は難しい事が分かる。韓国がHDW社の支援を受けながらも自国建造を行えた事は、造船大国である事を差し引いてもある程度評価されるべきであろう。
ソン・ウォンイル級(214型)はドイツ海軍が採用した212A型とは異なり、あくまで輸出用として209型の設計を流用・発展させたもの。209型との最大の違いは、長時間の潜水活動が可能なAIP(Air Independent Propulsion:大気非依存型推進)機関を採用している事だ。従来の通常動力型潜水艦は蓄電池性能の関係上最長でも3日程度しか潜行できず、頻繁に浮上して水上航行用のディーゼル機関を駆動し蓄電池に充電をしなければならなかった。これは隠密行動を主とする潜水艦にとって致命的な弱点で、そのため各国は大気(空気)に依存しない推進方式の研究を進め、スターリング機関や燃料電池機関、クローズド・サイクル・ディーゼル(CCD)など各種のAIP機関を開発した。海上自衛隊もスターリング機関を搭載した「そうりゅう」級(2,900トン型/16SS)を建造した。
ソン・ウォンイル級が搭載しているAIPはPEM(重層電解質半透膜)燃料電池方式と呼ばれている。燃料電池は燃料と酸素の燃焼を化学的に行わせて発電させる方法で、PEM方式はドイツのジーメンス社が開発したシステム。燃料には水素を、酸素には液体酸素を使用している。電極は多孔質のカーボン・シートで覆われ一方を水酸化カリウム水溶液に、もう一方をプラチナ触媒を介して酸素ガスに接し、水素原子の陽子を陽極から陰極に移動させる事で発電を行う。燃料電池は蓄電池と違い燃料と酸素を絶えず供給すれば継続的な発電が可能で、通常の内燃機関の発電効率が20~30%程度と低いのに対して、燃料電池は70%以上と極めて高い。化学反応により生じる真水は潜水艦内で有効に使用する事ができる。また騒音の発生が少なく低音運転が可能で、放熱も少なく熱による被発見率も低いなど長所が多い。1基の燃料電池セルは40×40cmの大きさで、0.725ボルト、650アンペアの電気を発生させる。ソン・ウォンイル級はこの燃料電池モジュール(冷却装置や電極接点などを含めたシステム)を9基搭載しており、最大で300キロワットの出力を発揮できる。ソン・ウォンイル級はこのAIP機関により最大13日間の連続潜行(速力8kts以下)が可能。韓国ではLGイノテック社がドイツからの技術移転で燃料電池をライセンス生産している。
PEM方式の問題点は燃料である水素の貯蔵方法だが、液体水素は沸点が低く(-235度)保存に適さないため、ジーメンス社は安定性と貯蔵効率のいい水素吸収金属を使用している。水素と液体酸素が漏れ出した場合、爆発や火災、金属の腐食を引き起こすため燃料電池は危険性が高い。そのため特別な燃料タンクや防護システムが必要で、通常のディーゼル潜水艦と比べて15~20%も建造費が高くなり、保守点検にかかる手間も大きいという(日常の整備には建造技術に等しい技術レベルが要求される)。また運用においては地上に特別な燃料貯蔵タンクや化学設備が必要で、こういった陸上支援設備も含めるとかなりの投資を行わなければならない。ドイツ海軍の212A型は液体酸素のタンクと配管を耐圧船殻の外に配置して漏洩事故に備えているが、ソン・ウォンイル級(214型)は内殻内の船体中央下部に配置している。
ソン・ウォンイル級の船体の特殊鋼は韓国国産のHY100高張力鋼で、これは日本のNS110高張力鋼よりも劣るが、ソン・ウォンイル級の潜行深度はチャン・ボゴ級の350mから原潜並の400mまで増大した。戦闘システムはISUS-83の改良型であるISUS-90を採用し、低周波音波の探知と分析能力、約300目標の同時追跡能力、魚雷誘導能力がアップしている。ISUS-90はこれらの情報分析と処理、魚雷管制を自動で行う。またチャン・ボゴ級には魚雷の再装填装置が無かったが、ソン・ウォンイル級はこれを装備しており迅速に再装填が可能になっている。魚雷は航走距離50km以上といわれるドイツ製のDM2A4の搭載を予定していたが、予算不足のために国産の[[K731「白鮫」533mm長魚雷>魚雷/機雷/爆雷(韓国)#白鮫]]が採用された。 なお国産開発の「白鮫」は満足いく性能を発揮できないようで、韓国は2007年末に[[新型の長魚雷>魚雷/機雷/爆雷(韓国)#新長魚雷]]の開発を決定している。ソナーは側面のフランク・アレイ・ソナーと低周波曳航ソナーを装備する。ソン・ウォンイル級が装備している捜索レーダー「SPHINX-D」はLPI(Low Probability of Intercept)モードを有しており、敵のESMに探知されずに周囲を捜索できる。潜望鏡は非貫通型。
AIP装備のためかソン・ウォンイル級の船体下部はかなり角張った形状となっているが、セイルの基部は上構の外形に沿って整形されており、乱流による雑音の発生を抑える構造になっている(212A型と同等)。潜舵はセイル前方上構上端部に装備されており、セイルに潜舵を装備している212A型とは異なる。船尾の舵は212A型のようなX字配置ではなく、通常の十字配置。
214型は韓国海軍のほかにギリシャ海軍も3隻(パパニコリス級/Papanikolis)発注している。韓国では2008~2010年に3隻就役する予定だったが更に6隻を追加建造し、ソン・ウォンイル級は2020年頃までに合計9隻就役する事になった。これは朝鮮半島統一後をにらみ、中国や日本など周辺国の海軍力に対処する戦略兵器として、韓国海軍がイージス艦などの水上戦闘艦艇より潜水艦を選んだため。これにより韓国海軍はチャン・ボゴ級、ソン・ウォンイル級、[[KSS-III(次期潜水艦)>KSS-III(韓国次期潜水艦計画)]]で潜水艦18隻態勢を目指す事になる。
2006年11月15日の朝鮮日報の報道によれば、ギリシャ海軍は214型(パパニコリス級/Papanikolis)に重大な欠陥があるとして、独HDW社からの1番艦受け渡しを拒否しているという。欠陥は船体が50度も傾いて一部で水漏れし、また潜行中にAIPシステムが正常作動せずスクリューの騒音も大きい、というもの。ギリシャ海軍が発注した1番艦はドイツ国内で建造された。ギリシャのマスコミは運用実績が全くない艦を購入した政府を批判している。HDW社は「問題はあるが深刻ではない」としているが、ギリシャに対して契約履行が遅れた場合(引渡が遅れた場合)違約金を払うよう契約を修正する事に合意した。ドイツ海軍研究所は「ギリシャは金をせびる為に、小さな問題を不必要に大きく扱っている」と非難している。(両者の意見の相違は埋まらず、最終的に独ティッセンクルップ・マリン社はギリシャ向け214型潜水艦4隻全ての契約をキャンセルすることとなった[7]。)
韓国海軍筋の情報によれば、韓国海軍も同様の欠陥がないかどうか、進水したばかりの1番艦「孫元一」(SS-072)を調査しているという。ギリシャ海軍と韓国海軍の214型には100トン程度の排水量の差があり戦闘システム等は異なるが、船体の基本構造は全く同じ。もし問題があった場合、HDW社が何らかの責任を負う事になるだろう。2007年1月末に行われた「孫元一」の潜行試験では特に問題は無く、乗組員はほっと胸を撫で下ろしたという報道が韓国連合ニュースで伝えられている。
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【2008.12.02追記】
韓国国会予算政策処が2008年11月4日に発刊した「2009年度予算案分析」内で、防衛事業庁が独HDW社と締結した214型潜水艦6隻(第二次生産分)の一括購入仮契約は不合理的で、予算の浪費であると否定的な見方を示した。予算政策処によると、HDW社はトルコやパキスタンなど複数の国と214型の購入交渉を進めており、今後販売価格が下がる可能性があるという。
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|1番艦|ソン・ウォンイル(孫元一)|ROK Son Won-il|SS-072|2007年12月29日就役|
|2番艦|ジョン・ジ(鄭地)|ROK Jeon Gji|SS-073|2008年12月2日就役|
|3番艦|アン・ジュングン(安重根)|ROK An Jung-geun|SS-075|2008年6月4日進水。2009年12月1日就役[6]|
|4番艦|キム・ジャジン(金佐鎮)|ROK Kim Jwa-Jin|SS-076|2013年8月13日進水[8]|
|5番艦|-|-|-|-|
|6番艦|-|-|-|-|
|7番艦|-|-|-|-|
|8番艦|-|-|-|-|
|9番艦|-|-|-|-|
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▼航行する「ソン・ウォンイル」セイルは水流の乱れによって発生する雑音を抑えるため、滑らかに整形されている
#ref(214_42.jpg)
▼蔚山沖を航行する「ジョン・ジ」
#ref(214_43.jpg)
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▼「ソン・ウォンイル」の後部。船尾の舵は在来型と同じ十字配置。
#ref(214_20.jpg)
▼セイル上に並ぶ潜望鏡やレーダー。奥から3番目がESMアンテナ。
#ref(214_16.jpg)
▼【参考】建造中の214型の艦首部分
#ref(214_06.jpg)
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▼ソン・ウォンイル級の装備
#ref(214_35.jpg)
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【参考資料】
[1]世界の艦船2009年4月号(海人社)
[2]軍事研究2001年2月号(株ジャパン・ミリタリー・レビュー)
[3]朝鮮日報
[4]中央日報
[5]PowerCorea
[6]聯合ニュース「海軍最新鋭214型潜水艦「安重根」、あす就役式」(2009年11月30日)
[7]世界の艦船2010年4月号「海外艦艇ニュース-ドイツがギリシア向け214型潜水艦をキャンセル」(海人社)
[8]聨合ニュース「韓国潜水艦「金佐鎮」が進水 2015年実戦配備 」(2013年8月13日)
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[[韓国海軍]]
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&update()
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2013-09-07T05:03:41+09:00
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FFX(韓国次期フリゲイト計画)
https://w.atwiki.jp/namacha/pages/103.html
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▼現代重工業が初期に検討していたFFX-2000案。ウルサン級フリゲイトをタイプシップとして、艦対空ミサイルやヘリコプター搭載能力を付与した拡大改良型[9]。
#ref(http://www6.atwiki.jp/namacha?cmd=upload&act=open&pageid=103&file=FFX_09.jpg)
CGは[9]に掲載。
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▼『国防日報』において韓国海軍が公表したFFXのCG。初期の概念案の1つ。
#ref(FFX_04.jpg)
#ref(FFX_03.jpg)
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▼FFXの情報ネットワーク概念を表わすCG図。
#ref(FFX_07.jpg)
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▼ソウル・エアショー2007で三星タレス社が公開したFFXのCG
#ref(FFX_08.jpg)
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▼(上)韓国国防部公式サイトに掲載されたFFX概念図(第一次基本設計案に相当)
(下)軍事情報サイト「e MILITARY NEWS」が作成したFFX概念図(第二次基本設計案に準拠)[9]
#ref(http://www6.atwiki.jp/namacha?cmd=upload&act=open&pageid=103&file=1225675293.jpg)
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▼2009年10月21~24日にかけて釜山で開催された「BEXCO KORMARINE-2009」で展示されたFFX最終設計案に基づく模型[13][14]。上の図と比べると、対艦ミサイルが4連装×4に増加、上図には無いフィンスタビライザーやハル・ソナーが装備されているのが見て取れる。CIWSはファランクスに変更されている。
#ref(http://www6.atwiki.jp/namacha?cmd=upload&act=open&pageid=103&file=11.jpg)
#ref(http://www6.atwiki.jp/namacha?cmd=upload&act=open&pageid=103&file=FFX_10.jpg)
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▼一番艦「仁川」[17]。対艦ミサイルは4連装2基となり、煙突直後には3連装短魚雷発射管が搭載されている。
#ref(Incheon.jpg)
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■''性能緒元''(最終設計案)
|基準排水量|2,300t(韓国海軍公式サイトより[12]。2,500t説も有る[11]。)|
|満載排水量|3,100t(これより少ない可能性あり)|
|全長|114.0m|
|全幅|14.0m|
|喫水|4m|
|主機|CODOG 2軸|
| | GE LM2500ガスタービン 2基(58,200馬力)|
| |MTU 20V 956 TB92ディーゼル 2基(5,940馬力)|
|速力|32kts|
|航続距離|4,500nm/18kts|
|乗員|145名|
【兵装】
|対艦ミサイル|[[SSM-700K「海星」>SSM-700K対艦ミサイル「海星」(SS-760K)]] / 4連装発射筒|2~4基(#FFG-811は2基)|
|魚雷|[[K745「青鮫」324mm短魚雷>魚雷/機雷/爆雷(韓国)#青鮫]] / Mk32 3連装発射管|2基|
|砲|[[Mk45 mod4 62口径127mm単装砲>艦載砲(韓国)]]|1基|
|近接防御|[[RIM-116B RAM Block1>RIM-116艦対空ミサイル「RAM」(韓国)]] / Mk49 21連装発射機|1基|
| |[[ファランクスBlock1B型20mmCIWS>艦載機関砲/CIWS(韓国)]]|1基|
|搭載機|AW159ワイルドキャット哨戒ヘリコプター|1機|
【電子兵装】
|3次元対空レーダー|SMART-S MK2|1基|
|火器管制レーダー|CEROS 200|1基|
|航海レーダー| |1基|
|戦闘システム|(三星タレス社が開発)| |
|ECMシステム|SLQ-200(v)K SONATA| |
|ソナー|(STX造船社と三星タレス社が共同開発)| |
|IRST|(三星タレス社が開発)|1基|
|魚雷デコイ|SLQ-261K|2基|
|チャフ・フレア発射機|「ダゲ」システム| |
|データ・リンク・システム|Link11 韓国海軍戦術指揮統制システム(KNTDS)| |
| |Link-16 JTIDS| |
|衛星通信用レドーム| |1基|
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FFXは、現在韓国海軍の近海用艦艇の主力となっている[[ウルサン級フリゲイト]]及び[[ドンヘ級コルベット]]と[[ポーハン級コルベット]]の後継として計画されている新型フリゲイト。ウルサン級の後継艦ということで「ウルサンI型/ウルサン バッチ1型」という呼称も存在する[9]。
【開発経緯】
1970年代から80年代に建造されたドンヘ・ポーハン級コルベットは1,000tクラスの小型戦闘艦で、北朝鮮境界線の哨戒を主な任務として建造されたため行動半径が小さく、外洋での行動にも制限があった[13]。また2,000tクラスのウルサン級フリゲイトは水上戦闘用の装備は充実していたが、対空ミサイルとしては就役後に搭載された[[「ミストラル」携帯対空ミサイル>「ミストラル」携帯対空ミサイル(韓国)]]しか持たず、搭載しているレーダーも長距離探知能力は限定的で、経空脅威に対する対処能力には限界があった[13]。また、これらの艦艇は21世紀初頭には艦齢が20年以上になり、ウルサン級は構造上の問題や過酷な運用(沿岸警備を主任務としていたが、無理にリムパック参加などの遠洋航海を行った)事などから老朽化が進んでおり、上部構造物に亀裂が発生するなどのトラブルが生じていた事から、早期の更新が望まれていた[13]。
これら既存の韓国海軍のフリゲイト・コルベットの後継として計画されたのがFFXであり、1998年10月から「ウルサンI型/ウルサン バッチ1型」の名称で企画検討が開始。その後、2001年7月から2002年2月にかけて概念設計が行われ、同年7月には要求性能が確定され、2006年10月から現代重工業との間で基本設計の契約に調印し、第一次基本設計作業が開始された[9]。
概念設計の時期には、2002年の第二次延坪海戦などの北朝鮮との警備艇同士の砲撃戦が発生していた事から、海軍内部では沿岸警備における様々な脅威に対応した能力の高い哨戒用艦艇が必要であるとの認識が高まっていた[9]。しかし、この時期、韓国海軍では[[ドクト級ドック型揚陸艦(LPX)]]、[[セジョン・デワン級イージス駆逐艦(KDX-III)]]や[[ソン・ウォンイル級潜水艦(KSS-II/214型)>http://www6.atwiki.jp/namacha/pages/110.html]]などの外洋艦隊むけの艦艇整備計画を進めていたが、これらの艦艇は多額の建造費用を要することは明白であった[1]。さらに、これらの艦艇を運用するには多数の乗組員を必要としていたが、韓国では若年人口の減少に伴い今後海軍艦艇に必要とされる人材の確保が難しくなっていく事が予想されていた[1]。
これを受けて韓国海軍では、[[ウルサン級フリゲイト]]、[[ドンヘ>ドンヘ級コルベット]]、[[ポーハン級コルベット]]などの旧式で排水量の割には多くの乗員を必要とする艦艇を退役させて、高性能な沿岸警備用艦艇や広範囲の領海を警備可能な哨戒ヘリコプターのような省力化された新たな装備を沿岸警備の主力とするという計画を立案した[1]。FFXは、この省力化された高性能な沿岸警備用艦艇に当たる存在であり、有事には外洋艦隊にも配属されて、その戦力を補完することも想定された。
しかし、機動艦隊計画やその母港として済州島に新たに軍港を建設するなどの大規模投資に海軍予算の多くが回されていたため、沿岸警備用艦艇に割ける予算は限られていた(注:この外洋艦隊整備計画は、2008年の李明博政権の成立後見直しが行われ、大幅に規模を縮小する事になった)。FFXは、既存のフリゲイトやコルベットを更新して、韓国海軍の第一、第二、第三艦隊に複数艦を配属して、領海やEEZ(排他的経済水域)の哨戒、沿岸部での対艦・対潜哨戒任務の中核を担うことが想定されており、最低でも12~15隻、できれば24隻以上の建造が必要であると見込まれていた[9]。
韓国海軍の外洋化に対応した沿岸警備戦力の整理再編という考えから出発したFFX計画であるが、韓国海軍ではFFXに具体的にどのような装備を施すのか、その要求性能やFFXが対処する脅威の選定に悩む事となった。限られた予算内で、できる限りの数を必要とするという前提条件はFFXの設計における大きな問題であった。そのため、韓国海軍ではFFXについては可能な限りの装備の共通化・国産化を進め、コストの削減に努めることを設計陣に求めた[9]。その一方で、ウルサン級よりも対空能力を強化、潜水艦探知能力の向上のため能力の高いハル・ソナーと対潜ヘリコプターを装備、対地・対水上攻撃能力強化のため127mm艦載砲を搭載、既存艦艇に比べて大幅な能力向上が求められた[9]。
現代重工業では、初期段階ではウルサン級をタイプシップとしてヘリコプター運用能力を持たせるなどの改良を施したFFX-2000という構想を立案していたが、海軍の上記の要求を受けてより大型で外洋活動も可能な汎用フリゲイトとしてFFXの設計を進めることとなった[9]。
【FFX第一次基本設計案】
現代重工業で行われたFFX第一次基本設計案は2007年初めには完成して、同年3月から4月にかけて海軍の審査を受けた[9]。
FFXの初期構想では、前述したように、平時は領海警備を主とするが、有事の際には機動艦隊に編入され外洋艦隊の戦力を補完することが想定されていた。単なる沿岸警備任務だけでなく、外洋艦隊でも運用可能な能力を兼ね備えるとなると、洋上での長期間の活動を前提として航続距離の延長や船体の大型化が必要であり、対空・対潜能力は沿岸警備任務で必要とされる水準よりも大幅に強化する必要性が生じる。第一次基本設計案は、これらの要求を反映した内容となっているのが特徴である。
第一次基本設計案では、FFXの船体規模は全長124m、全幅14m、喫水4mとされた。これは1998年に就役を開始した[[クァンゲト・デワン級駆逐艦(KDX-I)]](全長135.5m、全幅14.2m、喫水4.2m)に迫るサイズであり、更新対象である[[ウルサン級フリゲイト]](全長102m、全幅11.5m、喫水3m)よりもはるかに大型化している[9]。排水量も基準2,500t、満載3,100tとウルサン級よりも約1,000t増加。船体の大型化は、兵装の強化や将来の発展性、外洋での活動に必要とされる航洋能力の確保などの要求に応じた物であったが、海軍内部では既存のウルサン級やポーハン級の航洋能力は沿岸での作戦任務であっても限界があると認識していたため、船体大型化による航洋性能の向上は高い支持を受けた[9]。外洋での活動を前提としたFFX第一次基本設計案では、長期の外洋活動を可能とするため限られた艦内スペースの中で出来る限りの乗員生活空間の確保が求められたため、艦の施設・装備の自動化を進めることで省力化を図り、搭乗要員を削減して一人当たりの所要空間を得る方針が採用された[9]。
FFX第一次基本設計案では、船体の大型化と並んでステルス性に配慮した設計が全面的に採用されたのも特徴として挙げられる。ステルス性への配慮は、外洋任務において徹底的にRCS(Radar Cross Section:レーダー反射断面積)を小さくする事で、生存性を高めようという意図によるものであった[13]。第一次基本設計案では、艦内スペースを確保するのに有利な中央船楼首型船体を採用しており、RCS値削減のため多くの装備は艦内に収納され、乗員通路も大半が艦内に配置された[9]。上部構造物は4層で構成されており、第二甲板の前端にはRAM近接防空システムが、第二甲板後端には20~30mmクラスのCIWSを搭載。艦首に搭載された艦砲と第二甲板との間は8m程離れているが、ここは将来的に垂直発射装置(VLS)の装備を可能とするスペースとされた[9]。
船体と上部構造物にはいずれもステルス性に配慮して3~5度の傾斜角が付けられている。傾斜角の組み合わせは、船体はV字型で第一甲板から逆V字型になっている。この方式は重量軽減や工作費用、荒天時の安定性には不利であったが、ステルス性の向上と艦内スペースの確保という点では効果があるとされた[9]。艦橋上部には光学/電子装置と射撃統制用レーダーが、その直後のマストには三次元レーダー、電子戦装備、赤外線暗視装置などが配置される[9]。
船体後部にはヘリコプター搭載用の格納庫と発着用甲板が設置された。発着艦用甲板の面積は[[クァンゲト・デワン級駆逐艦(KDX-I)]]に相当し15tクラスのヘリコプターが着艦可能な広さを確保したが、格納庫については全長20m程度であり中型以上のヘリコプターの格納は困難であった。この点については、海軍では排水量の増加を防ぐ止むを得ない措置であるとして了承した[9]。
兵装については、第一次基本設計案では完全に確定するには至らなかったが、76mm~127mm級の艦載砲×1、近接防空火器として20~30mmクラスの近接防空火器×1とRAM艦対空ミサイル用のMk49 21連装発射機×1、対潜用短魚雷、艦対艦ミサイル等が想定されており、将来的にはVLSを搭載して兵装を強化する事も検討されていた[9]。
【FFX第二次基本設計案】
現代重工業が提出したFFX第一次基本設計案は2007年の3月から4月にかけて海軍や会社での審査が実施された。海軍では、第一次基本設計案は高い能力を有している反面、建造費用も高騰するとして、建造費用の低減を中心として基本設計案の見直しを指示する結論を出した[9]。この決定を受けて、同年5月から6月にかけて策定されたのがFFX第二次基本設計案である[9]。
この第二次基本設計案では、FFXの任務に関する抜本的な見直しを前提とした設計変更が行なわれることとなった[9]。FFXは、単なる沿岸警備任務だけでなく、外洋艦隊でも運用可能な能力を兼ね備えるとしていたが、これが艦形の大型化とコストの増大を招く要因となったと判断され、外洋での活動という項目は要求から削除され、ウルサン級やポーハン級の代替艦として沿岸警備任務を主とすることが定められた。韓国海軍の方針転換により、FFXは外洋艦隊には所属せず、最初の構想通りに北朝鮮を睨んだ沿岸警備用艦艇として建造される事となった訳である。これに伴って、ステルス性に配慮した設計やウルサン級よりも対空能力を強化するといった要求についても、コスト削減が望まれた事により第一次基本設計案に比べると限定的な水準に留める事とされた。
FFXが沿岸警備中心に活動する当初の構想に回帰したことにより、対空兵装に関する要求も切り下げられる事になった[9]。沿岸部では外洋艦隊に比べて敵の対艦ミサイルなどの経空脅威に直面する可能性は低く、かつ沿岸部の複雑な地形を利用して退避を行うことが可能であり、ステルス性向上に配慮した設計の採用により探知距離を短縮、電子妨害装置や近接防空火器により敵航空機や艦艇・地上発射式の対艦ミサイル攻撃にも対処し得るとされた[1]。これに伴って、初期構想では将来的に搭載が予定されていたESSM(発展型シースパロー艦対空ミサイル)とVLSは装備が見送られた。対空兵装の削減とは反対に、当初案の76mm艦載砲よりも射程・破壊力に優れたMk45 Mod4 127mm単装砲を搭載する事で、沿岸での対地・対艦攻撃能力を高めることも決定された[2]。
外洋での活動を想定しなくなった事によって必要とされる航続距離も減少したため、FFX第一次基本設計案に比べて船体の小型化が可能となった。コスト削減のため、将来VLS増設を予定していた区画が廃止され、船体のステルス設計を緩和することで工作費用を節約する事も決定された。長期に渡る外洋活動を想定しなくなったため、乗員の生活空間は沿岸での短期間の哨戒任務に必要な程度にまで削減され艦の自動化レベルも下げられた[9]。その代わり、沿岸警備任務で必要となる監視要員、戦闘要員、ダメージコントロール要員の増員が行われる事になった[9]。
FFX第二次基本設計案では、船体サイズは全長114m、全幅14m、喫水4mとされた[9]。これは第一次設計案よりも全長で10m短縮されている。ただし、満載排水量は3,100tのまま。第一次設計案では艦首部上方はステルス性向上のため逆V字型の傾斜が付けられていたが、設計変更により逆V字型の傾斜は廃止され、凌波性改善のため艦首部にはブルワークが設置された[9]。
上部構造物は第一次設計案よりも一段低い三層式とされ、艦砲と第二甲板の間に設置されていたVLS搭載用スペースは廃止された[9]。艦橋の位置は第一次基本設計案よりも前進し、艦橋前の第二甲板に配置されていたRAM発射機は艦橋上部に移設された[2]。第一次基本設計案ではステルス性に配慮して多くの装備が艦内配置されていたが、この点についてもコスト削減の観点から緩和され、ステルス性の観点から廃止されていた落下防止用の船体の手すりが復活し、通路の一部も開放通路とされた[9]。艦橋後部のマストは、コスト削減のためステルス性に配慮した設計の導入は見送られ、[[チュンムゴン・イ・スンシン級駆逐艦(KDX-II)]]のマストに似た設計に変更された。ただし、甲板が一段削減された事によりマストの高さも第一次設計案に比べて低くなった。これは、トップヘビー対策としては有効であったが、反面で洋上での最大探知距離が第一次基本設計案に比べて短くなるというデメリットを招く事になった[9]。
兵装については第一次設計案と基本的な変化は無い。ただし、VLSの搭載予定区画を廃止した事により、将来の兵装増設の余裕は失われている。第二次基本設計案におけるFFXの兵装は以下の通り。
|対艦ミサイル|[[SSM-700K「海星」>SSM-700K対艦ミサイル「海星」(SS-760K)]] / 4連装発射筒|2基|
|魚雷|[[K745「青鮫」324mm短魚雷>魚雷/機雷/爆雷(韓国)#青鮫]] / Mk32 3連装発射管|2基|
|砲|[[127mm単装速射砲>艦載砲(韓国)]]|1基|
|近接防御|[[RIM-116B RAM Block1>RIM-116艦対空ミサイル「RAM」(韓国)]] / Mk49 21連装発射機|1基|
| |[[ゴールキーパー30mmCIWS>艦載機関砲/CIWS(韓国)#ゴールキーパー]]|1基|
|搭載機|[[スーパーリンクス哨戒ヘリコプター>「スーパーリンクスMk99」対潜ヘリコプター(韓国)]]|1機|
FFX第二次基本設計案での乗員定数は145名とされている[1]。これは排水量2180tで150名のウルサン級より5名しか減っていないが、原因はヘリコプター要員や対空システム要員が増加した事、沿岸警備任務に必要な乗員を増員した事、コスト削減のため自動化レベルを下げた事などが要因として挙げられる。韓国の軍艦は、西側先進国の水上戦闘艦艇と比べると省力化ではまだ難があるとされる[1]。徴兵制を取る韓国では海軍にも比較的潤沢に人員を供給できるという理由はあるが、軍艦の省力化には長期に渡る研究とシミュレーションが不可欠であり、この点において西側先進国の技術水準には差があることを表わしている。ただし、上述の通り沿岸哨戒任務では、監視要員や小火器の操作要員など一定数の兵員を必要としており、あまり無理な省力化は好ましくないという見解もある[1]。
【FFXの調達に向けた動向】
第二次基本設計案に基づく設計作業は2008年7月31日まで行われ、これを基にした詳細な設計作業や建造計画に関する契約交渉が2008年末までに行われ、同年12月26日、韓国海軍と現代重工業の間でFFX一番艦の建造に関する契約が調印された[8][9]。契約総額は、1,400億ウォンであり、2011年の竣工が予定されている[8]。韓国政府はFFXの開発と量産化のために1兆5000億ウォンを投資している。FFXの整備計画は、韓国海軍の艦艇整備方針の紆余曲折によって設計や整備方針がしばしば変更され、結果的に整備開始が遅れる事になってしまった。
FFXの建造は、三段階(FFX-I計画、FFX-II計画、FFX-III計画)に分けて実施される計画であり、2010年6月から第一次建造分FFX-I(次期フリゲイト第1バッチの略称。ウルサン-I型バッチ1型との呼称も有る)の建造に関する競争入札が行われる予定。なお、FFX-Iでは6隻が建造される計画であるが一番艦は既に現代重工業が落札しており,この入札では二~六番艦が対象となる。FFX-Iの一隻辺りの調達費用は5000億ウォン(この内、船体建造費用は1,500~2,000億ウォン)を想定しており、政府関係者によると年間2~3隻の建造ペースで、2020年までに最大24隻を建造する計画であるとの事。2010年2月24日、韓国国防部は防衛事業推進委員会を開催し、「ウルサン級バッチ1(FFX-I)」の建造計画を議決した[15]。現在、現代重工業で建造中のFFXネームシップは2012年までに韓国海軍に引き渡される予定であり、FFX-Iの残りの二~六番艦は今年8月に事業業者を決定し、2016年までに既存の鑑定を代替することになる。2300t級次期護衛艦(FFX)の建造費用は装備費込みで2,700億ウォンであることも明らかにされた。
韓国海軍の方針では、FFXや[[コムクスドリ型ミサイル艇(PKG)]]などの次世代沿岸用艦艇は、平時には北方限界線(NLL)周辺海域や韓国領海・EEZ内での哨戒活動、ホバークラフトや高速艇、潜水艦の沿岸部への接近を防ぎ敵偵察部隊の浸透を妨害する任務が付与されており、有事には領海警備、沿岸防御、沿岸部での制海権の確保、商船などの護衛任務、沿岸部での対潜哨戒任務などの任務が与えられる事になる[13]。FFXは、先進的なデータ・リンク・システムを装備しており、搭載ヘリコプターや哨戒機などとの連携が可能であり、搭載するRAMやファランクス20mmCIWS、電子妨害装置などを使用して、北朝鮮の対艦ミサイルの射程圏内においても一定程度の個艦防空能力を有している事から、従来の[[チャムスリ型戦闘艇(PKM-キロギ型)>http://www6.atwiki.jp/namacha/pages/114.html]]など経空脅威に対して脆弱な哨戒艇よりも運用の柔軟性が向上すると目されている。
【船体構造・機関】
FFXの基準排水量は2,300t満載排水量は3,100tで、船体サイズは全長114m、全幅14m、喫水4m。ウルサン級に比べて排水量で約1,000t増加しているが、コスト削減に伴う船体長の縮減や乗員区画の減少に伴い、艦内の乗員生活スペースはウルサン級と余り差の無いものになってしまった。
船体は中央船楼首型船体を採用しており、ある程度ステルス性を意識した形状になっているが、第一次基本設計案に比べるとステルス性への配慮は限定されたものになっている。詳細については上述の【FFX第二次基本設計案】の記述を参照されたし。機関はこれまで韓国海軍が多用してきた米GE製LM2500ガスタービン2基と独MTU製20V 956 TB92ディーゼル×2基から構成されるCODOG方式[13]。概念設計の段階では、先進的な電気推進方式も検討された[13]が採用には至らなかった。最高速力は32kts、航続距離は18ktsで4,500nm。
【戦闘システム・レーダー・ソナー・電子装備・データ・リンク】
これまで韓国海軍の戦闘艦は外国製の戦闘指揮管制システムを購入し技術導入を図ってきたが、FFXでは国内開発された[[コムクスドリ型ミサイル艇(PKG)]]用のものを改良した国産システムを搭載する予定[13]。FFX用の戦闘システムは1,564億ウォンを投じて三星タレス社が2011年までに開発する計画。このシステムが艦の価格に占める割合は20~30%に達するといわれる。新戦闘システムは既存の民生品を積極的に利用したもので(COTS/Commercial Off-The-Shelf:開発済み市販製品)、将来システムを発展させる場合に備えて高い拡張性を有し、常に最新の技術を導入する事ができる[13]。
FFXの目標探知用センサーは主に艦橋構造物に集中して装備されている。艦橋前方航海レーダーとIRST(infra-red search and track system:赤外線捜索追跡システム)、RAM発射機を挟んでその後方にCEROS 200火器管制レーダー、直後のマストには三次元レーダー、電子戦装備、などが搭載されている。
3次元レーダーはコムクスドリ型ミサイル艇(PKG)用に国内開発したマルチビーム・レーダーか蘭タレス社製SMART-S Mk2のライセンス生産版、若しくは米ノースロップ・グラマン社製のSPQ-9B(AN/SYS-2対空対水上自動追跡システムと共に提案されている)のいずれかが搭載される予定だが、SPQ-9BはFMS(Foreign Military Sales:有償対外軍事援助)による直接輸入品となるので選定される確立は低い[13]。火器管制レーダーはコムクスドリ型に選定されたCEROS-200が装備され、電子光学追跡システムもコムクスドリ型用の国産開発されたものを改良して搭載する[13]。IRSTは三星タレスが開発を担当している。
ソナーは韓国STX造船社がタレス社と共同で新型のハル・ソナーを開発する予定[8][13]。ソナー本体は既製品を使用するが、送受信機とソナー・ドームをタレス社がFFX用に新規開発する[13]。デコイを含む対魚雷システムはADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)が高出力欺瞞信号処理技術を適用し、独自に開発中のSLQ-261Kが搭載される予定で、このシステムは敵魚雷を早期に探知して自動的に警戒態勢に入りデコイを発射する高性能のもの[13]。チャフ・フレア発射器はフランスのタレス社製で、脅威情報の探知・分析・発射を自動で行う事ができ、特にシー・スキミング型対艦ミサイルへの対処能力が優秀だという[13]。電子戦装備は外国製のものを導入すると性能や運用に規制が多いため、ADDが国内開発したSLQ-200(v)SONATAというESM/ECM統合システムを装備する予定[13]。
FFXは、韓国海軍の標準的な戦術データ・リンク・システムである韓国戦術指揮統制システム(KNTDS。Link11に対応。)と、新型のJTIDS(Link16に対応)を搭載しており、艦艇同士や海軍司令部、艦載ヘリコプターや哨戒機、空軍でLink16に対応しているF-15K戦闘機やE-737空中早期警戒機などとの間で、情報を伝達・共有することが可能[4][13]。
【兵装】
FFXは当初、韓国のWIA(World Industries Ace)社が開発した[[76mm速射砲>艦載砲(韓国)#WIA76mm砲]]を搭載することが計画されていた[13]。しかし、北朝鮮海軍警備艦艇との断続的な交戦での戦訓として、沿岸警備用水上戦闘艦艇の対水上、対地攻撃能力の強化が求められた事により、76mm砲よりも射程・威力に優れた[[Mk45 mod4 62口径127mm砲>艦載砲(韓国)]](韓国でKMK-45の名称でライセンス生産されている)を採用する事が決定された[2]。Mk45の発射速度は毎分16~20発[6]と、WIA製やそのベースとなったOTOメララ社製76mm速射砲の毎分100発という発射速度にははるかに及ばないが、砲弾一発当たりの破壊力は76mm砲に比べて貫通力で3倍、爆発力では6~8倍に達しており、韓国海軍の推測では北朝鮮海軍の沿岸警備艦艇を127mm砲弾1~2発の命中で無力化できるとしている[5]。Mk45 mod4は通常砲弾で38kmの射程距離を有しており、北朝鮮の沿岸砲に対しても有効な打撃を与えることが可能。ただし、近年北朝鮮では沿岸砲の射程延長を行っており、射程が40kmを越える[[M1989 170mm自走加農砲「コクサン」]]や60kmの射程を有する[[M1991 240mm自走ロケット砲]]を沿岸砲戦力として投入しており、これらの長距離砲・ロケットに対しては127mm通常砲弾では射程外からの攻撃は困難。韓国海軍では北朝鮮の沿岸砲を遠距離から無効化するためアメリカが開発中だった127mm砲用の射程117kmに達する長射程誘導砲弾ERGMの採用を希望していたが、ERGMが2008年3月に開発が中止された事によりその目論見は頓挫する事になってしまった[2]。
近接防御装備は[[RAM(Rolling Airframe Missile)Block1>RIM-116艦対空ミサイル「RAM」(韓国)]] と、 [[ファランクスBlock1B型20mmCIWS>艦載機関砲/CIWS(韓国)]]が搭載される[2][3]。RAM発射機は艦橋上部に、ファランクスCIWSはヘリコプター格納庫上部に搭載される。ヘリコプター格納庫上部に搭載されるFFXのCIWSについては、レイセオン社のRAMとMBDA社のMICA-VLS、タレス社のゴールキーパー30mmCIWSとレイセオン社のファランクスBlock1B型20mmCIWSが採用を競ったが、2009年にRAMとファランクスの採用が決定された[3]。
対艦ミサイルは2004年から生産が開始された韓国国産の[[SSM-700K対艦ミサイル「海星」>SSM-700K対艦ミサイル「海星」(SS-760K)]](射程150km)4連装発射機×4を煙突とヘリコプター格納庫の間に搭載する[5][13]。FFX第二次基本設計案では対艦ミサイルの搭載数は4連装発射機×2であったが、2009年10月に釜山で開催された「BEXCO KORMARINE-2009」で展示されたFFX最終設計案に基づく模型では対艦ミサイルの搭載数は4連装発射機×4に変更されており、対艦ミサイルの搭載数が倍増されていた[10][14]。実際に就役した一番艦「仁川」(FFG-811)では、4連装発射機×2の搭載に落ち着いている[17]。
煙突の左右に搭載される魚雷発射管はNATO標準のMk32 324mm三連装魚雷発射管で、国内開発された最新の[[K745「青鮫」短魚雷>魚雷/機雷/爆雷(韓国)#青鮫]]を装備する[13]。この魚雷は最大45ノットの速度で推進し、従来のMk46短魚雷よりも破壊力、水中機動性、ソナー探知能力などが改善されているといわれる。
FFXでは、哨戒範囲を拡大するためにヘリコプター運用能力を備えたのが設計の特徴の1つである。搭載されるヘリコプターは当面[[スーパーリンクス>>「スーパーリンクスMk99」対潜ヘリコプター(韓国)]]になるが、将来的には韓国がユーロコプター社と共同開発中の[[KUH(韓国次期輸送ヘリコプター)>KUH(韓国次期輸送ヘリコプター計画/KHP)]]の対潜哨戒型が搭載される可能性もある。FFXに搭載されるスーパーリンクスは、韓国が開発したVHF通信を使用したデータ・リンク・システムを搭載する[2]。スーパーリンクスは、搭載レーダーにより最大70kmの距離で北朝鮮海軍の艦艇の接近を探知、新たに搭載されたESM装置を使用して北朝鮮海軍のレーダーの作動状況を追跡し、その動向についてデータ・リンクを使用してリアルタイムでFFXや他の艦艇・司令部に伝えることが出来る[2][5]。対潜魚雷やシー・スクア対艦ミサイル(セミアクティブ・レーダー誘導、射程約15km)の運用能力を備えており、FFXやP-3CK対潜哨戒機などと連携して沿岸部の哨戒任務や対潜、対艦攻撃を行うことが想定されている[5]。
FFXは固有の艦載ヘリコプターを使用することで水平線外の目標探知が可能となり、従来の沿岸警備用艦艇に比べて哨戒可能な範囲を大幅に拡大することが可能となる[2][5][9]。目標探知距離を大幅に延伸する事で、北朝鮮海軍の動向を事前に掌握することを目指している。また、ヘリコプターからの目標データを活用する事で、射程150kmの[[SSM-700K「海星」>SSM-700K対艦ミサイル「海星」(SS-760K)]]の有効射程を最大限に活用する事も可能となるなど戦術的なメリットが多い。
ただし、現状では韓国のスーパーリンクスの保有数は23機であり、FFXの大量建造が実現した場合、建造と並行してスーパーリンクス(もしくは[[KUH対潜哨戒型>KUH(韓国次期輸送ヘリコプター計画/KHP)]])の追加調達が必要になると見られる。これについては、2013年1月、韓国は仁川級フリゲートに搭載する哨戒ヘリコプターについて、アグスタ・ウエストランド社のAW159ワイルドキャットを選定した[18]。購入機数は8機で、2015年から16年にかけて納入が行われる予定[18]。
【改良型について】
FFX/インチョン級は、1~6番艦(バッチ1型)の建造に続いて改良型のバッチ2型9隻の建造に移行するとの情報がある[19]。
バッチ2型では、建造価格低減のためガスタービン機関をLM2500×2基からロールス・ロイス社製MT30(出力36/49MW)1基に変更する[19]。MT30の採用は韓国海軍では初。船体規模や装備品についても若干変更が加えられるとされる[19]。
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|1番艦|仁川(インチョン)|ROK Incheon|FFG-811|2011年4月29日進水。2012年4月2日就役[16]。|
|2番艦|京畿(キョンギ)|ROK Gyeonggi|FFG-612|2013年7月18日進水。2014年後半就役予定[20]。 |
|3番艦| | | | |
|4番艦| | | | |
|5番艦| | | | |
|6番艦| | | | |
(FFX-I(バッチ1型)計画のみ。バッチ2型9隻の建造計画もあるがまだ未確定[19]。)
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【参考資料】
[1]e MILITARY NEWS「韓国型次期護衛艦(FFX)の設計、重点は何か?」(月刊ミリタリーレビュー2008年12月号)
[2]e MILITARY NEWS「韓国型次期護衛艦武装・センサーシステムの分析」(月刊ミリタリーレビュー)
[3]THE KOREAN TIMES(オンライン版)「New S. Korean Frigate to Carry US Armament」(Jung Sung-ki/2009年10月6日)
[4]大韓民国海兵隊の研究「海・空軍NCW作戦構想と今後の護衛艦FFXそしてイージス」
[5]e MILITARY NEWS「北、西海で挑発すれば。韓国海軍の戦闘システム」(月刊ミリタリーレビュー2008年12月号)
[6]NavWeaps「United States of America 5"/62 (12.7 cm) Mark 45 Mod 4 」(2008年4月7日)
[7]NavWeaps「Italian 76 mm/62 (3") Compact 76 mm/62 (3") SR - United States of America 76 mm/62 (3") Mark 75 - Japan 76 mm/62 (3") Compact」
[8]Defense Industry Daily「FFX: Korea’s New Frigates」
[9]e MILITARY NEWS「韓国型次期護衛艦完成型設計徹底分析」(月刊ミリタリーレビュー)
[10]KDN自主国防ネットワーク-武器・防衛「KORMARINEで公開されたFFXモックアップ」(2009年10月22日)
[11]ハンギョンドットコム「受注日照りの造船会社“次期護衛艦を取得せよ”」(2010年2月2日)
[12]韓国海軍公式サイト「海軍の未来」
[13]DCN-海軍情報「韓国海軍のFFX-I次期護衛艦」(投稿日2009年4月4日)
[14]Blog-팬저의 국방여행「FFXモデル」(2009年10月22日)
[15]NO.1経済ポータル 毎日経済「対空防御次期護衛艦、2012~2016年順次配置」(2010年2月24日)
[16]KDN自主国防ネットワーク-武器・防衛「FFG-811 인천함 부대 창설되다.」(2012年4月3日)
[17]Blog-팬저의 국방여행「FFX 1번함 인천함 FFG-811」(2013年4月23日)
[18]Navy Recognition「Republic of Korea Selects The AgustaWestland AW159 for Republic of Korea Navy」(2013年1月15日)
[19]多田智彦「世界の新型水上戦闘艦ラインナップ 13 インチョン級FF 韓国」(『世界の艦船』2013年8月号/海人社)102~103ページ
[20]유용원의 군사세계「[현장취재] 해군 차기 호위함 2번함 경기함 진수식」(alzard/2013年7月13日)
2ch韓国軍総合スレ Part108/267
連合ニュース
Kojii.net 今週の軍事関連ニュース (2007-02-09) (2009-01-13)
Defense-Aerospace
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[[韓国海軍]]
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2013-07-28T10:25:32+09:00
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ドンヘ級コルベット
https://w.atwiki.jp/namacha/pages/107.html
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▼2番艦「水原」(PCC-752)
#ref(ドンヘ_02.jpg)
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■''性能緒元''
|満載排水量|1,076t|
|全長|78.5m|
|全幅|10m|
|主機|CODOG|
| |GE LM2500ガスタービン 1基(27,800馬力)|
| |MTUディーゼル 2基(6,260馬力)|
|速力|31kts|
|乗員|95名|
【兵装】
|魚雷|[[Mk46 mod5 324mm短魚雷>魚雷/機雷/爆雷(韓国)#Mk46]] / Mk32 3連装発射管|2基|
|砲|[[オットー・メララ 62口径76mm単装砲>艦載砲(韓国)#メララ76mm砲]]|1基|
|近接防御|[[ボフォース L/60 40mm連装機関砲 >艦載機関砲/CIWS(韓国)#L60]]|1基|
| |[[KCB 30mm連装機関砲>艦載機関砲/CIWS(韓国)#KCB]]|2基|
|爆雷|Mk9爆雷投下軌条|2基(爆雷12発搭載)|
【電子兵装】
|対水上レーダー|SPS-64|1基|
|火器管制レーダー|WM-28|1基|
|ソナー|PHS-32ハルソナー| |
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韓国国産の沿岸哨戒用コルベット(韓国海軍では哨戒艦。艦種略号はPCC:Patrol Combat Corvette)。満載排水量1076トンの小型艦ながら、76mm速射砲×1、40mm連装機関砲×1、30mm連装機関砲×2、3連装単魚雷発射管×2、爆雷投下軌条×2という重兵装を備えていた[1]。しかし、就役後に長期の外洋行動には船体が小型に過ぎると判断されたため、ドンヘ級の建造は4隻で打ち切られた[1]。同級に代わり、排水量を増加して対艦ミサイルの運用能力を付与した拡大改良型の[[ポーハン級>ポーハン級コルベット]]が設計され、合計24隻という多数が韓国海軍に就役する事となった。
2009年6月30日、ネームシップのドンヘ(PCC-751)が正式に韓国海軍から退役した。現役期間は9324日になる。退役後、兵装や機材のうち転用可能なものは取り外されて再利用され、船体は演習での標的として利用されることになっている[4]。 2010年6月30日には、2番艦スウォン(PCC-752)、3番艦カンヌン(PCC-753)が現役を退き、2011年9月29日には4番艦アンヤン(PCC-755)が退役した[5][6]。アンヤンは予備艦艇として訓練任務に使用されることとされた[6]。
2013年7月22日、韓国国防部は南米のコロンビアとの間で、退役したドンヘ級コルベット4番艦アンヤンを同国海軍に無償譲渡する協定を締結した。アンヤンは兵装を搭載した状態で引き渡され、2014年からコロンビアで麻薬の密貿易の摘発や海洋の環境保護など洋上警備任務に就くことが予定されている。
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|1番艦|東海(ドンヘ)|ROK Dong Hae|PCC-751|1982年就役。2009年6月30日退役。|
|2番艦|水原(スウォン)|ROK Su Won|PCC-752|1983年就役。2010年6月30日退役[5]。|
|3番艦|江陵(カンヌン)|ROK Kang Reung|PCC-753|1983年就役。2010年6月30日退役[5]。|
|4番艦|安養(アンヤン)|ROK An Yang|PCC-755|1983年就役。2011年9月29日退役[6]。コロンビア海軍への譲渡が決定[7]。|
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【参考資料】
[1]世界の艦船2001年9月号(海人社)『写真特集1 韓国海軍の主要艦艇~コルベット「ドンヘ」級』29頁。
[2]R.O.K joint chiefs of staff
[3]Grobal Security「Tonghae / Dong Hae (PCC Patrol Combat Corvette)」
[4]国防日報-Kookbangilbo「領海守護を終えて、"退役命令を受ける"」
[5]ソウル新聞「哨戒艦”水原・江陵”歴史の中に退場」(2010年7月1日)
[6]Daum「해군 제3함대 초계함 '안양함' 전역」(2011年9月29日)
[7]聨合ニュース「韓国の退役哨戒艦 コロンビアに無償譲渡へ」(2013年7月23日)
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[[韓国海軍]]
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2013-07-28T10:01:02+09:00
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K30 30mm自走機関砲「飛虎」
https://w.atwiki.jp/namacha/pages/60.html
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#ref(K30_04.jpg)
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■''性能緒元''
|重量|25.0t|
|全長|6.97m|
|全幅|3.17m|
|全高|4.43m|
|エンジン|MAN D2848MT 液冷ディーゼル 520hp|
|最高速度|60km/h|
|航続距離|500km|
|武装|エリコン 90口径30mm機関砲×2(500発)|
|装甲| |
|捜索レーダー|NEX1 MPS-1(X-band)|
|目標追跡システム|レイセオン EOTS|
|乗員|3名(車長、操縦手、砲手)|
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K30「飛虎(ビホ)」は韓国国産の自走対空機関砲。機械化部隊に追随できる機動性を有し、低高度で侵入してくる敵航空機やヘリコプターを撃破する近接防空兵器として大宇重工で開発された。開発計画は1983年からスタートし、途中予算や技術的問題に悩まされて開発は難航したが、試作テストでは満足すべき結果を得られ無事完成した。投じられた開発費用は数10億ウォンといわれる。K30の生産は2001年9月から開始され、韓国陸軍最精鋭である第7軍団の第20機械化歩兵師団や第9軍団の第26機甲師団などにK263A1 20mm自走バルカン砲「天弓」の後継として配備が進められている。一両あたりの単価は48億4600万ウォンといわれる[6]。2007年までに54輌を生産、2008年から第2期分として120輌を追加生産し、最終的には2016年までに396輌を配備する計画であった。その後、「国防改革2020」による見直しが行われ2006年には調達数は167輌に削減された[5]。
K30機間砲は装軌式車体に30mm機関砲2門と捜索レーダー、光学センサーを持つ砲塔を載せている。車体はKSAM自走対空ミサイル「天馬」にも使用されている大宇重工社製の汎用装軌式車輌で、車体前方左側が操縦席、右側が機関室になっている。その後方は戦闘室で、車体後部には大型の乗降用ハッチが設けられている。エンジンはドイツのMAN社製液冷ターボチャージド・ディーゼルで、60km/hの最大速度を発揮できる。また車内は自動消化装置、NBC防護システムが完備されている。浮航能力があるかどうかは不明。砲塔に2門装備している30mm機関砲はスイスのエリコン・コントラヴェス社製で、有効射程約5,000m、発射速度は最大毎分650発(2門で1,300発)。通常は10~20発のバースト射撃が行われる。砲の俯仰角度は-10~+70度。砲身命数は3,000発だが、配備直前の2004年には2,800発以降で命中精度の低下が起こることが判明してリコールが行われている[6]。弾薬は韓国の豊山社がライセンス生産しているK155 HEI(high explosive incendiary:高性能焼夷弾)などを使用する。砲塔後部両側面には5連装の発煙弾発射機がそれぞれ1基ずつ装備されている。
砲塔後部の捜索レーダーは韓国NEX1社製のMPS-1で、ビーム幅がシャープで距離分解能の高いXバンドを周波数として使用している。捜索範囲は約20kmでレーダーはIFF(Identification Friend or Feo:敵味方識別装置)と連動しており、高いECCM(Electric Counter Counter Measure:対電子妨害手段)性能を有しているとNEX1社は主張している。また砲塔前部には米レイセオン社製のEOTS(Electro Optical Tracking System:電子光学追跡システム)を装備している。これは倍率2.4~8.0倍のテレビ・カメラ、FLIR(Forward Looking Infra-Red:前方監視赤外線)システム、LRF(Laser Range Finder:レーザー測距器)などを組み合わせた全天候型の目標追跡システムで、敵の電子妨害下や悪天候時でも射撃に必要なデータを得る事が出来る。EOTSの最大追跡範囲は約7km。捜索用レーダーと追尾用EOTSが別になっているので、K30は目標を追尾射撃しつつ別の脅威目標を監視する事ができる。レーダーやEOTS、環境センサー(砲塔上面右に装備)から得られたデータは即座に射撃指揮システムに送られ、リアルタイムで射撃緒元を計算する。即応性も高くシステムに火を入れてから最短6秒で射撃を開始する事が可能。また砲塔上には車長用の独立パノラマ・サイトも装備されている(K1戦車が装備しているKCPSと同じものか?)。SPAAGにこのような車長用の独立ペリスコープが備えられているのは珍しいが、どういった意図で装備されたのかは不明である。
2006年10月に報道された内容によると韓国軍は装輪型の飛虎を開発し、2013年から5兆ウォンを投じて約750輌を生産する計画だという。また同じ報道によれば飛虎のレーザー測距器は非常に故障が多く、夜間には使用出来ないとハンナラ党議員が指摘しているという。この議員は、2006年5月に行われた飛虎の射撃訓練で1,000m離れた目標に200発中6発しか命中させる事が出来なかったと主張している。
2013年6月、防衛事業庁はK30「飛虎」の戦力化が完了したことを明らかにした[7]。防衛事業庁では飛虎の配備完了により、装甲/機械化部隊や首都圏の経空脅威に対する防御能力がさらに向上したと評価。
防衛事業庁では今後も飛虎の継続的な能力向上を行うとしており、2013年度中の実用化を目標に[[KPSAM携帯対空ミサイル「神弓」 ]]の連装発射機2基を飛虎の30mm機関砲上部に搭載した改良型の開発を進めている[7][8]。この改良では、連装発射機に加えてミサイル関連の装置を作動させる駆動装置、電源などが追加装備され、既存の射撃統制システムに神弓ミサイルの制御機能が追加された[8]。神弓の射程は7,000mであり、30mm機関砲の射程外の航空機に対する迎撃が可能となり、自走対空車輌としての能力をさらに向上させる事になる[7]。
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▼首都防衛師団(機械化)の防空大隊に配備されたK30「飛虎」
#ref(k30_22.jpg)
▼射撃訓練を行うK30
#ref(k30_13.jpg)
#ref(k30_20.jpg)
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▼K30の後部
#ref(K30_05.jpg)
▼K30の砲塔アップ。砲身の間にあるのが光学目標追跡システム。
#ref(k30_07.jpg)
▼上部ハッチから覗いた砲塔内部。左が車長席、右が射手席。
#ref(k30_29.jpg)
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【参考資料】
[1]軍事研究(株ジャパン・ミリタリー・レビュー)
[2]PowerCorea
[3]R.O.K Joint Chiefs of Staff
[4]Grobal Security
[5]連合ニュース
[6]비겐의 무기사진 전문 이글루입니다「이빨 빠진 호랑이’ 자주대공포 ‘비호’대공포-자주」(2012年12月11日)
[7]뉴스zum「영공 방어 핵심전력, 대공포 '비호' 전력화 완료」(2013年6月25日)
[8]공감언론 뉴시스통신사「영공방어 책임질 '비호+신궁' 新개념 복합대공화기 연내 전력화」(2013年5月28日)
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【関連項目】
KSAM自走対空ミサイル「天馬」
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[[韓国陸軍]]
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&update()
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2013-06-28T05:34:03+09:00
1372365243
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イーデントン級潜水艦救難艦
https://w.atwiki.jp/namacha/pages/127.html
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#ref(イーデントン_01.jpg)
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■''性能緒元''
|満載排水量|3,200t|
|全長|88.0m|
|全幅|15.25m|
|主機|ディーゼル 2軸 4基(6,000馬力)|
|速力|17kts|
|航続距離|18,000km/13kts|
|乗員|130名|
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アメリカで建造された救難曳船。5隻の建造が計画されたが実際に建造されたのは3隻のみで、1番艦イーデントン(Edenton)はアメリカ沿岸警備隊に移籍し、2番艦ビューフォート(Beaufort)と3番艦ブランズウィック(Brunswick)は1997年に韓国へ貸与された。
4点係留ブイ、大型デリック(前部10t、後部20t)、再圧タンクを備えており、遭難艦の曳航、潜水艦救難作業(深度260mまで)、重量物の引き揚げ(270t、水深40mまで)、消火など、多用な救難活動を行うことが出来る。2010年の[[ポーハン級コルベット]] 「天安」沈没事件では、サルベージ活動に従事した[3]。平時には漁業資源保護の目的で海底の廃棄魚網の除去活動にも使用されている[3]。
2隻とも米海軍への就役から40年以上を経て老朽化が進んでいることから、国防委員会は2008年度国防予算に「平澤」(ATS-27)の代替艦建造費を盛り込んだ。この計画に基づいて建造されたのが、ATS-II級次期救難艦「統営(トンヨン)」であり、同艦が2013年後半にも就役するのと引き換えに、「光陽」(ATS-28)は退役することになっている[3]。
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|1番艦|平澤(ピョンテック)|ROK Pyongtaek|ATS-27|1997年貸与|1972年1月就役(米国)|
|2番艦|光陽(クァンヤン)|ROK Kwangyang|ATS-28|1997年貸与|1972年12月就役(米国)|
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【参考資料】
[1]Grobal Security
[2]U.S.Warships
[3]KDN「퇴역 앞둔 수상함구조함 '광양함' 마지막 공개!신형구조함 '통영함'으로 대체, 40년 역사의 뒤안길로」(2013年06月24日)
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[[韓国海軍]]
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2013-06-28T05:16:52+09:00
1372364212
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M1973装甲兵員輸送車の派生型
https://w.atwiki.jp/namacha/pages/278.html
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*M1977 122mm自走榴弾砲
#ref(http://www6.atwiki.jp/namacha?cmd=upload&act=open&pageid=278&file=M1977+122mm%E8%87%AA%E8%B5%B0%E6%A6%B4%E5%BC%BE%E7%A0%B2%EF%BC%88D-30%29.jpg)
*9M14「マリュートカ」対戦車ミサイル搭載型
#ref(M1973装甲兵員輸送車ミサイル搭載型_02.jpg)
*107mm18連装ロケット弾発射機装備型
#ref(M1973装甲兵員輸送車107mmロケット搭載型_01.jpg)
*14.5mm4連装自走高射機関銃型
#ref(14.5mmSPAAG.jpg)
*85mm自走砲
#ref(85mm自走砲.jpg)
*100mm自走砲
#ref(自走100mm 2.jpg)
*KN-01自走地対艦ミサイル発射機
#ref(KN-01自走地対艦ミサイル発射機.jpg)
*M1992 120mm自走迫撃砲
#ref(M1992 120mm自走迫撃砲.jpg)
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【参考資料】
[1]Global Security
[2]Christopher F. Foss編『Jane’s Armour and Artillery 2006-2007』(Janes Information Group/2006年)350ページ
[3]FAS「Type 85 Armored Personnel Carrier、YW 307、YW 531H (M-1967)、VTT-323 (M-1973)」
[4]네이버 블로그 포스트 리스트「북한군 장갑차 VTT-323 (M1973)」
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[[M1973装甲兵員輸送車(VTT-323)]]
[[北朝鮮陸軍]]
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2013-05-02T02:29:40+09:00
1367429380
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M1973装甲兵員輸送車(VTT-323)
https://w.atwiki.jp/namacha/pages/277.html
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#ref(M1973装甲兵員輸送車_01.jpg)
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■''性能緒元''
|重量|12.7トン|
|全長|6.2m|
|全幅|3.06m|
|全高|2.50m|
|エンジン|ディーゼル(320hp)|
|最高速度| |
|浮航速度| |
|航続距離| |
|武装|14.5mm重機関銃×2、もしくは14.5mm×1と7.62mm×1|
| |9K32「ストレラ2」対空ミサイル(SA-7 Grail)もしくは9K310「イグラ1」(SA-16 Gimlet)×4|
|装甲|圧延溶接装甲|
|乗員|3名(車長、操縦手、砲手)+歩兵5~10名|
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VTT-323は北朝鮮国産の装軌式兵員輸送車。1973年にその存在が確認されたため、米国防総省はM1973の認識名を付与している。
中国の63式装甲兵員輸送車(YW-531)の車体を延長した拡大改良型だが、同じような改良が施された中国製の85式装甲兵員輸送車(YW-531H)とは全くの別物である[1]。
車体は圧延装甲板を溶接して製造されるが、12.7トンという重量からその防御力は小銃弾や砲弾の破片を防ぐ程度と思われる。車体レイアウトはほぼ63式装甲兵員輸送車に準じているが、63式が12.7mm重機関銃をピントルマウント式に搭載しているのに対して、VTT-323は車体上部に小型の一人用砲塔を有している。初期型は14.5mm重機関銃と7.62mm機関銃を連装で搭載していたが、14.5mm重機関銃2挺装備に変更[5]。さらに砲塔後部に携帯型対空ミサイル4連装発射器を備えたタイプが実用化された[1][2][3]。装備する対空ミサイルは9K32「ストレラ2」(NATOコード:SA-7 グレイル)もしくは9K310「イグラ1」(SA-16 ギムレット)[1][2]。通常の装甲兵員輸送車に4基もの対空ミサイルを装備した例は世界になく、制空権を得られない状況での作戦を前提として少しでも地上部隊の車輌に対空能力を付与しようとする北朝鮮の運用方針が垣間見える兵装といえる。一部では機関銃の上に9M14「マリュートカ」対戦車ミサイル(NATOコード:AT-3 サガー/Sagger)を装備している図が発表されているが[2]、画像ではそのような装備は確認できない。車体側面には少なくとも2基以上のガンポートが配置されており、車内からの乗車戦闘能力を有している[3]。
車内の配置は63式装甲兵員輸送車と同じで、一般的なAPCのように操縦手席の隣に機関室を置かず車長席を置き、動力部は車体中央、その後方に兵員室を配している。固有の乗員3名(車長、砲手、操縦手)に加えて10名の歩兵を搭乗させる[3]。
搭載されているエンジンの型式は不明だが出力は320hpとされる[1]。前述のように車体は延長され、転輪は片側4個から5個に増えているが、63式装甲兵員輸送車(WZ-531)の足回りを基本としていると見られ、同じように転輪が5個に増やされ改良されたYH-531Hが装備した上部転輪は存在せず、転輪幅も拡大されていない。車体前部にはトリムベーンが装備されており、完全な浮航能力を有するものと思われる。ウォータージェットなど水上航行時に使用する推進装置は装備していないと見られるので、水上航行時の推進力は履帯によって得ると思われる。
VTT-323は北朝鮮陸軍の標準的なAPCとして運用されている。北朝鮮の機械化歩兵大隊の定員は520~550名。大隊司令部、3個歩兵中隊、一個対戦車小隊、迫撃砲小隊、対空小隊で編成され、約45~54輌のVTT-323とその派生型と14~15台のトラックを保有する[3]。
機械化歩兵大隊の装備車輌は以下の通りになる[3]。
|大隊本部|63式APCもしくはVTT-323 APC|3輌|
|3個歩兵中隊|VTT-323 APC|30輌(中隊長車1輌+3個小隊分9輌×3)|
|対戦車小隊|M1985/M1992自走対戦車ミサイル車輌(対戦車ミサイルはAT-3/4/5)|3~5輌|
|迫撃砲/多連装ロケット中隊|VTT-323 82mm自走迫撃砲/M1993 120mm自走迫撃砲もしくはM1992 107mmMRL|9~11輌|
|防空小隊|[[M1985 37mm自走機関砲]]|3~5輌|
VTT-323は各種の派生型が開発されており、コマンドポスト型、対戦車ミサイル発射器を装備した戦車駆逐型、107mm18連装ロケット弾発射機を装備した軽MRL型、M1984/M1992自走対空砲型など様々なタイプが確認されている。また、VTT-323の設計を基礎として、[[82式水陸両用戦車(PT-85/M1985)]]が開発された。各種派生型を含む累計生産数は不明。
VTT-323はコンパクトなサイズのため車内容積が限られる上、エンジンを車体中央に配置したことで車内配置が効率的でない問題点が指摘されている[4]。VTT-323の開発着手から約40年を経ていることから、後継となる車輌の開発が行われていると考えられている[4]。
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【VTT-323派生型一覧】
|任務|米軍呼称| |
|APC型(初期型)|M1974|基本型。14.5mm重機関銃と7.62mm機関銃を連装で搭した一人用砲塔を装備。乗員は3+10名|
|APC型(武装強化型)|M1974|武装を14.5mm重機関銃の連装に変更|
|APC型(携帯SAM搭載型)|M1974|砲塔後部に携帯SAM4基を装備|
|コマンドポスト型| |車体後部の天井を嵩上げして容積を確保。各種通信機器や拡声器を装備。|
|自走高射機関銃型| |車体後部に4連装14.5mm重機関銃ZPU-4を搭載|
|82mm自走迫撃砲| |82mm迫撃砲を搭載して火力支援に当たる|
|120mm自走迫撃砲|M1993|旋回式砲塔に120mm迫撃砲を搭載して火力支援に当たる|
|107mmMRL型|M1992|18連装107mmロケット発射機を車体後部に搭載。副武装として14.5mm重機関銃×1を装備|
|122mmMPL型| |2012年4月15日の軍事パレードで登場した車輌[8]。6連装122mmロケット発射機×2を車体後部に搭載|
|戦車駆逐型|M1985/M1992|車体後部に9K11マリュートカ(AT-3サガー)対戦車ミサイル4連装発射機を搭載。副武装として14.5mm重機関銃×1を装備。9K11ではなく9K111ファゴット(AT-4スピゴット)もしくは9K113コルネット(AT-5スパンドレル)を装備する車輌も存在|
|82式水陸両用戦車(PT-85)|M1985|VTT-323を基礎にして開発された水陸両用戦車|
|85mm自走砲| |85mm対戦車砲D-48を車体後部にオープントップで搭載(搭載砲は100mm砲という説も)|
|100mm自走砲| |100mm対戦車砲BS-3を車体後部にオープントップで搭載|
|122mm自走榴弾砲|M1977|122mm榴弾砲D-30を車体後部にオープントップで搭載。自衛用にSA-7/16 SAMの4連装発射機を装備した車輌も存在|
|KN-01自走地対艦ミサイル発射機| |車体上部にKN-01地対艦ミサイルを1基搭載|
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#ref(M1973装甲兵員輸送車_03.jpg)
▼鉄道で輸送されるM1973装甲兵員輸送車
#ref(kita34.jpg)
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【参考資料】
[1]Christopher F. Foss編『Jane’s Armour and Artillery 2006-2007』(Janes Information Group/2006年)350ページ
[2]FAS「Type 85 Armored Personnel Carrier、YW 307、YW 531H (M-1967)、VTT-323 (M-1973)」
[3]네이버 블로그 포스트 리스트「북한군 장갑차 VTT-323 (M1973)」(2012年4月24日)
[4]네이버 블로그 포스트 리스트「북한군의 신형 장갑차」(2012年5月4日)
[5]JED「VTT-323 series of tracked armoured vehicles」
[6]清水惇『北朝鮮軍の全貌』(光人社/2005年)
[7]Global Security
[8]지식의 수집광「북한 야포(견인포, 자주포, 방사포, 박격포) 제원북한군」
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[[M1973装甲兵員輸送車の派生型]]
[[北朝鮮陸軍]]
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&update()
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2013-05-02T02:24:36+09:00
1367429076
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M1981 122mm自走加農砲
https://w.atwiki.jp/namacha/pages/285.html
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#ref(122mm0M1981.jpg)
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旧ソ連製のD-74(若しくは中国製の60式)122mm加農砲を北朝鮮が独自に自走砲化した車輌。北朝鮮軍の制式名称は不明。1981年に存在が確認されたため、米軍が「M1981」というコード名を付与している。
M1985の車体は北朝鮮が開発した共通装甲シャーシ「トクチョン(Tok-Ch'on)」を利用している。トクチョンは、ソ連が1950年代に開発したATS-59砲兵トラクターを元にして北朝鮮が開発した車両であり、同国で実用化された各種自走砲のシャーシとして使用されている[1]。1つのシャーシから各種派生型を開発することは、開発期間を短縮し、共通シャーシの量産で生産単価を下げることが可能となり、乗員や整備員にとっても共通のシャーシを使用することで訓練や整備面で有利になる、など各種のメリットがある。
122mm加農砲の榴弾による最大射程距離は24kmで、緊急時には離脱装弾筒付徹甲弾による対戦車戦闘も可能。砲の側面に装甲板はあるものの、砲は露載に近い形で装備されており、乗員の保護はほとんど考えられていない[2]。
他の北朝鮮の装甲車輌と同様に、携行SAMを装備している[2]。
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【参考資料】
[1]JED「TOK-CH'ON SERIES OF TRACKED SP ARTILLERY SYSTEMS」
[2]金元奉・光藤修『最新朝鮮半島軍事情報』(講談社/2000年)59~67ページ
Grobal Security
Jane's Infomaiton Group
清水惇『北朝鮮軍の全貌』(光人社/2005年)
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【関連項目】
D-74 122mm加農砲(60式)
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[[北朝鮮陸軍]]
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&update()
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2013-05-02T00:00:37+09:00
1367420437
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M1989 170mm自走加農砲「コクサン」
https://w.atwiki.jp/namacha/pages/287.html
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#ref(M1989-170mm自走砲_01.jpg)
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■''性能緒元''
|重量|40トン|
|全長| |
|全幅| |
|全高| |
|エンジン| |
|最高速度| |
|武装|170mmカノン砲×1|
|最大射程|通常弾:40km、RAP(Rocket Assisted Projectiles:ロケット補助推進)弾:60km|
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M1989 170mm自走砲は、M1979「コクサン」の後継として開発された大口径の自走砲である。M1989はアメリカ軍のコードネームで、北朝鮮では「主体砲」と呼ばれているとされる。
M1989はM1979と同じ170mmカノン砲を、AT-Sトラクターをベースに北朝鮮が開発した新型シャーシに搭載している。シャーシの形状が異なる数種類のタイプがあると見られるが、詳細は不明。T-54/55(もしくはT-62)戦車の車体にそのまま170mm砲を搭載したM1979に対して、専用のシャーシを開発した事で砲弾搭載スペースを確保でき、車体の重量バランスや砲の操作性も改善されているものと思われる。車体前方は乗員区画で、エンジンは車体中央に搭載されている。M1979は予備砲弾の搭載は不可能だったが、M1989では170mm砲弾12発を収納するスペースを確保している。170mmカノン砲はM1979の物を踏襲している。この170mm砲は通常砲弾で40kmの射程を有し、RAP(Rocket Assisted Projectiles:ロケット補助推進)弾を使用することで最大60kmの射程を実現していると見られている。
M1989はM1979とともに合計6個大隊(約530門)が配備されている。M1978/M1989の射程は38度線の軍事境界線以北から直接ソウルを攻撃可能な能力を有しており、韓国軍にとっては無視できない存在となっている。
M1989自走砲はアラブ首長国連邦(UAE)への輸出が行われている。ただし同国ではM1989は既に現役を退いているとの事[1]。
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#ref(M1989-170mm自走砲_02.jpg)
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【参考資料】
[1]Jane's Land-Based Air Defence 2006-2007(Jane's Information Group)
[2]Global Security
[3]JED The Military Equipment Directory
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[[北朝鮮陸軍]]
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&update()
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2013-05-01T23:02:56+09:00
1367416976
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M1978 170mm自走加農砲「コクサン」
https://w.atwiki.jp/namacha/pages/286.html
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#ref(M1978-170mm自走砲_03.jpg)
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■''性能緒元''
|重量|40トン|
|全長|14.9m|
|全幅|3.27m|
|全高|3.1m|
|エンジン|ディーゼル 520hp|
|最高速度|40km/h |
|航続距離|300km|
|武装|170mmカノン砲×1|
|最大射程|通常弾:40km、RAP弾:60km|
|発射速度|1~2発/5分|
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M1978 170mm自走加農砲「コクサン」は、1978年に北朝鮮の谷山(コクサン)郡で確認された北朝鮮国産の自走砲である。M1978は確認された年、「コクサン」は発見された場所を表すアメリカのコードネームであり、北朝鮮では「チュチェ(主体)大砲」と呼ばれているとの説がある。
M1978はT-54/55もしくは中国製59式戦車のシャーシに、長砲身の170mmカノン砲をオープントップ方式で搭載している。170mm砲は車体中央部のレール上に配置されており、走行時には車体中央に配置される。車体前方には砲身を支える為のトラベリング・ロックが設けられており、走行時に砲を固定する役割を果たす。
車体尾部に装着している砲の反動を吸収するためのスペードが二基追加装備されている。砲撃時には、スペードを接地し、砲を車体後部に移動して射撃の反動を吸収する様にしてから砲撃を開始する。
M1978に搭載された170mmカノン砲は、1950年代にソ連が北朝鮮に供与した沿岸砲がベースになっているのではないかと推測されている。この170mm砲は通常砲弾で40kmの射程を有する優れた能力を有していたが、対艦ミサイルにより更新された。余剰装備となった170mm砲を自走砲の主砲として転用することで、長射程・大威力の自走砲を得ることに成功したといえる。ただし巨大な170mm砲を搭載したことで、予備砲弾や兵員を搭載するスペースはほとんど無くなり、砲弾や操砲要員は別の車輌によって輸送されることになる。
M1978は後継のM1989「コクサン」170mm自走カノン砲とともに合計6個大隊(530門)が配備されている。M1978/M1989の射程は、38度線の軍事境界線以北から直接ソウルを攻撃可能な能力を有しており、韓国軍にとっては無視できない存在となっている。
M1978は1980年代にイランに20両が輸出されており、一部がイラク軍に捕獲されイラク戦争後にアメリカ軍により発見されている。イラン軍ではその最大60kmに達するとされる長射程を生かして、クウェ―ト北東部の油田に対する散発的な砲撃に使用されたとの事。
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#ref(M1978-170mm自走砲_02.jpg)
▼砲撃訓練を実施するM1978。射撃時には砲架が車体後部に移動しているのが確認できる
#ref(コクサン2.jpg)
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【参考資料】
[1]Jane's Land-Based Air Defence 2006-2007(Jane's Information Group)
[2]North Korea Country Handbook(MARINE CORPS INTELLIGENCE ACTIVITY/1997年)
[3]軍事研究1994年9月号別冊 軍事分析第2次朝鮮戦争(ジャパン・ミリタリー・レビュー/1994年)
[4]北朝鮮軍の全貌(清水惇/光人社)
[5]Global Security
[6]JED The Military Equipment Directory
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[[北朝鮮陸軍]]
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2013-05-01T23:00:45+09:00
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