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741 :無名草子さん:2009/03/07(土) 01:56:54
フレデリック・グロ『ミシェル・フーコー』(クセジュ)。中山元や内田隆三のはずっと前に読んだが、これは未読だったので今回読んでみました。
簡潔・明晰かつ入門書としては充分緻密な内容で、フーコー礼賛でも著者の自論全開でもない、付かず離れずのバランスのとれた叙述。
翻訳はやや文語調というか文語翻訳調の感じ。(「~をして~せしめる」みたいな文が頻出)
この文体は、込み入った論理の構文をくっきり明確にさせるので、難しい内容がかえって分かりやすくなる面もある。
一方「謦咳に接する」とか「掉尾を飾る」とか無駄に難語が使われていたり(入門書の翻訳でこんな語をわざわざ使う必要はない)、
あまつさえ「すべからく」の誤用があったりと、一長一短といったところ。内容は、やはりちょっと難しめだと思う。
フーコー入門の比較的分かりやすい導入として定番の「ベラスケスの侍女たち」とか「一望監視装置」の話などは、
「もうだいたい知ってるでしょ」とばかり軽く流されている。その代り、より難解なフーコーの文学論について、
一応理解可能なように簡潔に整理されているので、フーコーの「外の思考」などの意味不明さに頭を抱えた経験のある者には便利。
さらにこれまた繊細・微妙すぎてなかなか捉えにくいフーコー晩年の「自己への配慮」に関する論点もかなり丁寧に説明されている。
ただ、これも凡人には理解の困難な「知の考古学」についてもう少し詳しい説明が欲しかった気がする。デリダとの論争の詳細なども省かれている。
質的には中山元の『フーコー入門』より上だと思うが、予備知識のない全くの初心者には薦められない。
ちょっと迷うが、リストに入れるなら中山元の方がいいような気がします。

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