794 :無名草子さん :sage :2009/03/30(月) 22:50:07
武士の家計簿


869 :無名草子さん :sage :2009/06/02(火) 21:18:18
磯田道史 『武士の家計簿』(新潮新書)

これは期待以上の良書。読みやすいが、内容は結構濃い。ひとつひとつの論点が明確にされ、説得力のある説明がされている。
猪山家という「加賀藩御算用者」が記した家計簿を元に、幕末から明治維新までの武士の生活と経済状況を明らかにしていく。
優秀な会計係として藩の財政を任されるまでに出世しながら、家計はなかなか楽にならないという過酷な武士の生活実態が生き生きと描きだされている。
武士としての体面を保つための儀礼や交際の費用(著者は「身分費用」と称している)がバカにならないらしい。
このあたりの身分に見合わない貧乏ぶりは『ダルタニャンの生涯』と共通点があって面白い。
明治になると多くの士族が没落していく中で、高度な技能を持つ猪山家は官職を得て勝ち組となる。
負け組士族が必死に職を求めても得られずに貧窮していく様子は、昨今の不況と失業の状況とダブって見えてしまい、結構悲惨な感じ。
せこいお金の話が主なので、派手な戦争や権力闘争から歴史を見るのが好きな人にとってはケチ臭くてつまらないかもしれない。
自分としては、経済の実態を明らかにしてくれた方が、歴史に対するリアリティを感じられる方なので、かなり評価が高い。

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