795 :無名草子さん :sage :2009/03/30(月) 23:02:17
世界を動かす石油戦略 (ちくま新書)


867 :無名草子さん :sage :2009/06/02(火) 21:11:00
石井彰 , 藤和彦 『世界を動かす石油戦略』(ちくま新書)

これは正直あまり期待していなかったのだが、素晴らしい内容でした。
著者らは一貫して「古典的地政学」をエネルギー資源戦略の枠組みとすることに批判的で、主に国際経済学の常識に基づいている。
タイトルだけ見ると、まさに「古典的地政学」的な「国際的な資源囲い込み競争に負けるな」的な内容だと思われてしまうのではないか。
自分も完全にそう思ってスルーしていた。逆にそっち系の内容だと思って買った人は騙されたと思ったのではなかろうか。
経済学的な思考に慣れている人にはすんなり飲み込める内容だが、政治学系の人には色々異論反論はあるだろう。
詳しい内容の紹介や検討は長くなりそうだしまとめきれないので端折ります。
ただ、ここで批判されている「古典的地政学」以上に、左派とかフランス系の地理学・人口学・世界システム論・<帝国>論なども、
奇妙な、ある意味危険な主張をしているような気がしますね。(最近ではエマニュエル・トッドの保護主義擁護とか)
あとなんとなく良いことをしているという気分だけのエコとかグリーンニューディールとか。
また「資源の囲い込み競争に勝たねばならない」という「思い込み」がマッチポンプというか自己成就的に
実際に「資源の囲い込み競争」をもたらしてしまうという政治の力学については、また別個に考えなくてなならない問題であることは確か。
出版された時期が911直後でイラク戦争前と微妙に古いので、
欲を言えば、その後の国際情勢や昨年の金融危機顕在前後に起こった資源高騰などの現象も折り込んだ改訂版が出てほしいところだが。
結論部分に同意するかどうかはともかくとして、隠れた名著ではないでしょうか。

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