49 :無名草子さん:2008/12/28(日) 14:14:23
最近出た宇宙論入門はどうかね。
書いてる人が佐藤勝彦ってことで結構良いと思うんだけどね。
自分で読むのが一番だけど、一応聞いてみたい。

176 :無名草子さん:2009/01/09(金) 22:39:25
佐藤勝彦『宇宙論入門』(岩波新書)読了。これは正直あまり期待していなかったのだが、結構良かった。
この先生は啓蒙書を書くのがめっちゃ上手い。文系に抵抗なく読ませるためにSF風のプロローグにしたり北欧神話を持ってきたりするところまでは常套だが、
第一章ではわずか34ページほどで、アインシュタインの宇宙項から特異点定理まで簡潔かつわかりやすく説明してしまうのには驚いた。
第二章では素粒子物理学の宇宙論への寄与と、インフレーション理論の概要。真空の相転移について説明してある。
ホーキングの無境界仮説や超ひも理論とDブレーン宇宙、さらにリサ・ランドールらの5次元宇宙についても、ほんの数ページで解説してしまう。

178 :176つづき:2009/01/09(金) 22:41:18
第三章では暗黒物質と暗黒エネルギーが登場。現在の宇宙が加速膨張している事実や背景放射のゆらぎが最新の観測結果により明らかに。
そしてデータ解析により、「ルメートル解」に基づく宇宙モデル(宇宙項が入った膨張モデル)のパラメータ
…ハッブル定数・物質密度(暗黒物質含む)・暗黒エネルギーの密度…がわかり、ついに宇宙の年齢や標準的なビッグバン理論の正しさが証明された。
さらに宇宙の晴れあがり状態を表す4つのパラメータを加えると、宇宙の進化の歴史がほぼ解明される。
つまりこのモデルをシミュレーションすることで現在の宇宙が完璧に再現できるらしい。こりゃぶったまげた。
というのは、100億年前の過去なんて誰も見ることはできないのだから宇宙論なんて実証性のない机上の空論だというイメージがあったから。
まさに素人の浅はかさで、宇宙論というのは実証性のある立派な科学であるらしい。
これは進化論についてもよくある誤解ですね。進化論は実証不可能な仮説にすぎないわけではなく、ほぼ確証された理論なわけで。
「科学は過去を解明できる」おkひとつ利口になった。第4章では宇宙の未来について、第5章では地球外生命体について。
これらについてはむしろ現代の段階で実証の困難なSFに近いお話だが、それでも著者は科学の立場からいろいろなことが言えると考えている。
細かいところでちょっと引っかかるところもないことはなく、欲を言えばもっとページ数が欲しい気がするが、
逆にこれっぽっちのページ数にしてはかなり満足度が高かった、という結論。

180 :無名草子さん:2009/01/10(土) 01:04:23
『宇宙論入門』について補足。というか参考書籍など。

ブラックホールについては
ジョン・テイラー『ブラック・ホール―宇宙の終焉』(ブルーバックス)
http://www.amazon.co.jp/dp/4061178601/
というのが個人的には懐かしい。小学生6年の時初めて読んだ宇宙論本。絶版。
小学生でブルバというのは自慢だが、別に頭が良かったわけではなくSFっぽさに惹かれて読んだだけ。
それでも「事象の地平線」とか「裸の特異点」とかなんとなくかっこよくてwkwkした。
古いのでホーキングの蒸発するブラックホールなどは出てこない。
ブックオフで安く出ていたら買ってみてもいいでしょう。

ホーキングについてはたくさん啓蒙書が出てますが、
竹内薫『ホーキング 虚時間の宇宙』 (ブルーバックス)
http://www.amazon.co.jp/dp/406257487X
を挙げておく。ブルバでの竹内薫は結構良い。


181 :無名草子さん:2009/01/10(土) 01:05:31
素粒子物理学については
南部陽一郎 『クォーク』第2版(ブルーバックス)
http://www.amazon.co.jp/dp/4062572052/
ノーベル賞の人。「対称性の自発的な破れ」について知りたければまずこの名著。
しかし読みやすくはないです。だからベストには推薦しなかった。
天才的な歴代研究者達の「あーでもないこーでもない」の苦闘の跡を逐一たどっているので、
我々凡人にはなかなかついていけない。頭の中が整理できなくなる。
しかし「わからなさ」を味わうのも人生。
小林誠『消えた反物質』(ブルーバックス)も復刊されたが俺はまだ読んでない。

超ひも理論についてはベストリストに入っている
川合光『はじめての〈超ひも理論〉』(講談社現代新書)
http://www.amazon.co.jp/dp/4061498134/

5次元宇宙については新書ではないですが
リサ・ランドール『ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く』 (NHK出版)
http://www.amazon.co.jp/dp/4140812397
ちなみに俺はブクオフで半額で買ったが積読状態でまだほとんど読んでない。
2900円で啓蒙書としては結構高いのでよほど興味のある人以外は無理して買わないでいいでしょう。
日本でも結構売れた本なのでそのうち古本屋に安く出回ると思う。

宇宙論を本格的にやるなら相対性理論や量子力学はもちろんのこと
場の量子論の本格的教科書も読まなくてはならないわけですが、
S.ワインバーグの教科書とか、むろん俺の知能では無理。なのであとは各自頑張ってくださいw

 

[参考書籍]

ジョン・テイラー『ブラック・ホール―宇宙の終焉』(ブルーバックス)
竹内薫『ホーキング 虚時間の宇宙』 (ブルーバックス)
南部陽一郎 『クォーク』第2版(ブルーバックス)
小林誠『消えた反物質』(ブルーバックス)
川合光『はじめての〈超ひも理論〉』(講談社現代新書)
リサ・ランドール『ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く』 (NHK出版)
(リンクはamazon)

 

 

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