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Vol.1 蠍座通信 Vol.1 96.7.16~8.15

クイズ・ショウ
監督:ロバート・レッドフォード
出演:ジョン・タトウーロ
1996.7.16-7.22

八百長のショウを追いつめていく調査官(ロブ・モロウ)の役どころが複雑に屈折していてもっとも見ごたえのある人間描写なっている。まさに力作の名に恥じない出来映えだ。

未来は今
監督:ジョエル・コーエン
出演:ティム・ロビンス
1996.7.16-7.22

札幌市内で最初に公開されたときは、なんとビデオシアター!で上映されて、マジメな映画ファンの憤慨の的になった。
そう言う事情もあってきちんと35mmフィルムで見てもらおうというのが子の作品を番組に入れた理由のひとつ。

パルプ・フィクション
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ジョン・トラヴォルタ/ブルース・ウィルス
1996.7.23-8.5

94年カンヌ映画祭パルム・ドール賞を筆頭に数々の映画賞をさらいまくった時代の寵児タランティーノの現時点での代表作。散りばめられた報復絶倒の危ないギャグ・シーン、ハマリのキャスティング、泥臭いのにカッコ良すぎる音楽、などどれを取っても90年代のクラッシク作品のひとつとして残るは確実と思える作品だ。
とは言ってもさすがに好き嫌いは別れるところで、「こんなの、どこがイイの?」の声が私の周りでも少なくなかった。気品と格調を映画的感動の第一義に考える人たちには、畆内容のギャグ映画以上には見えないかもしれない。

トゥルー・ロマンス
監督:トニー・スコット
出演:クリスチャン・スレーター/パトリシア・アークェット
1996.7.23-8.5

何度となく飽きることなく繰り返されてきた破滅的カップルの恋の逃避行を描く内容であり、ある意味で古臭い設定ながら、それでもなお新鮮な昂奮を惹き起こすのは、やはり脚本を書いたタランチィーノの才だろうか。
派手なヴァイオレンスと会話の面白さもさることながら、キャスティングの妙が楽しい。主演ふたりの他、いずれも曲者が揃っているが.怪優ゲィリー・オールドマンが草場早々に殺されてしまうのがなんとも残念。ヴァイオレンスシーンではなんといっても、パトリシア・アークェットがバスルームで殺し屋と立ち回るシーンが出色だ。

Love Letter
監督:岩井俊二
出演:中山美穂/豊川悦司
1996.8.6-8.19

昨年の映画賞では《午後の遺言状》と張り合ったが、若い世代の圧倒的支持を集めて、岩井俊二現象なるものをまきおこし、旧昨の《Undo》までが大ヒットした。
少女コミックの世界に近いと思われるような筋立てながら、人間の"記憶"、についての堀り下げ方が予想に反して深いことに驚きを感じさせる。描写は清潔で澄明感があり、演出にも20代の若者とは信じられない落ち着きがある。ラストの締めくくり方も申し分なく、きわめてさわやかな感動が残る。

幻の光
監督:是枝裕和
出演:江角マキコ/柄本明
1996.8.6-8.19

"生と死""喪失と再生"をテーマに、宮本輝の告白体の同名小説を映画化した人間ドラマ。
《LoveLetter》とともに昨年度公開された日本の新人監督の作品のなかでは群を抜いて話題となったものだ。極端に自然光を生かした画面、大芝居を排した演出、端正な構図、ほとんど無音に近い効果音。「ピュア」とかいう言葉が流行ったけれど、まさにピュアな映像世界に静かに身をゆだねる心地良さがある。大会場で見るより、ミニシアターでじっくり鑑賞したい種類の作品だ。


《蠍座》はどういう劇場か

◎正しい名画座をめざします

札幌市内には32館もの劇場があるけれど、その大部分は新作をかけるロードショー館(封切館)である。そこで見逃してしまえば大抵はハイそれまでよ、であり、再びスクリーンであいまみえるのは、事のほか難しい。持に2~3週間で打ち切りとなってしまうような番組においてそのことははなはだしい。評判がクチコミで拡がってくる頃にはもう見る機会を失していることが本当に多いのだ。
蠍座はそういう場合の救済劇場(でな言葉があればだが)でありたいと考えた。

◎そうすれば入場料金を安くできます

もう何度も言ったり書いてきたことだが、日本の映画入場料金はほとんど犯罪的に高い。それというのも、特に新作をロードショーする場合、劇場側が自由に料金を設定できない仕組みになっているためだ。だから、せいぜい「レディス割引デー」なるものでお茶を濁しているのである。
ただし、再映作品を主とする劇場では、比較的自由に料金を設定できる。私が名画座にこだわった理由のひとつがコレ。

◎蠍座の料金制は

2本立てを2本とも見る場合は、一般¥1200、学生¥1000。そして、2本立てのうち1本だけを見る人のために、一般¥800、学生¥700という別料金を設定した。
「片方はすでに見た」「時間がない」「見たいのは1本だけ」そう考える多くの人たちのために便宜をはかったつもりであり、このシステムは「チェックが面倒」という理由で他の劇場では実施されていない、まったく蠍座独自のものであるはずだ。チェックの方法は企業秘密で明すことができないが、くれぐれもズルしようなどとは思わないように。バレたら、今後出入りできない劇場がひとつ増えるだけのことである。
もう1点、他館にはない特徴が、小学生以下を無料としたことである。理由はしごく単純だ。およそ小学生がひとりで見に来ることなんかありそうもない外国映画に、¥1000もの入場料金を(惰性で)設定し続けていることは、私にはナンセンスとしか思えないからである。いっそのことスッキリ無料として、父親なり母親なりがその子供と一緒に、余計なお金を使わずに、気軽に劇場へ来れるようにするほうがずっと良いだろう。もちろんお子さんの躾はちゃんとしてもらい、場内で騒ぐことなどないようにしてもらいたいけれど。

◎上映作品については

札幌市内ですでに上映されたもののなかから厳選(?)して、再上映するのが基本である。外国映画、日本映画を区別せず上映するが、ポルノ映画と幼児向けアニメーションは対象外とする。
基本は2本立てだが上映時間が稀に3時間を超すような長尺物は、1本立て上映することになるだろう。その場合の入場料金は、一般¥1000、学生¥800という線で書えているのだが……。
作品を選定するにあたっては、極端にマニアックなものばかりや、逆に売れ線の娯楽大作ばかりというような片寄った番組編成をできるだけ避けて、ヒットした、しなかったにかかわらず、広いジャンルから良質で面白い作品を提供できるよう心がけたい。ただし、選者が私であればどうしても個人的な力ラーとか好みが反映されることは避け難いことで、その点はどうかご了解願う。
また、再映作品以外は上映しないというわけではなく、年に数本は札幌市内どこの劇場でもやらずじまいになっている作品でコレというのがあれば番組に組み入れていくつもりだ。上映期間は、2週間を1単位として次の番組にチェンジすると考えてもらいたい。そして、蠍座は〈火曜日〉が番組の交代する曜日である。他館はすべて土曜日がそうなので、どうか勘違いのないように。

◎販売物品、その他

パンフレットは入手できるものは仕入れて販売するが、すでに版元で品切れのままになっているものも多くある。同じ理由で、ポスターなども皆さんに分けて差し上げる数は揃わないし、作品別チラシについても当劇場では用意できない。よろしく御容赦のほど。
食べ物の持ち込みは禁止しない。時間がなくお腹を空かして駆けつけざるを得ない人たちは少なくないからだ。あとはお客様のマナーを信頼してお任せするだけのこと。食べ物の匂い、袋などを破る音、いずれにも大変神経過敏な人は多くいる。どうか気を付けていただきたい。

◎蠍座からのお願い

〇自転車を利用してくる方々ヘ
ビルの前に駐輪されると1階から上のテナントさんの迷惑になってしまう。ビル横の非常階段付近か、少し離れた場所にお願いしたい。

○上映申の途中入場は倒遠慮ください
もちろん、1分でも遅れたら入れないということではなく、15分以内程度のことなら大目に見させていただく。ただし、あまりに中途半端な時間に来てしまった場合は、次の回が始まるまでロビーでのんびり待っていただくしかなくなる。

 《蠍座》命名の由来 

風変わりとみえるのか、新聞や放送局の取材では必ず訊ねられた。答えたことの繰り返しになるが改めてお話しよう。

①日本語にこだわった

札幌に限らず全国的に、劇場の名称は今や力タカナ表記の外国語が大流行りである。それも、英、仏、伊、独語チャンポンのなんとも意味不明なものが多い。
私は特別に自分を偏狭なナショナリストとは考えていないが、こういう流行にはへソまがり的な抵抗感があって、反発してみたい気持が強かった。
そこで、今は流行らなくなった古式ゆかしい「座」を使用した純和風の館名でいこうと決めたわけである。

②「蠍座」は昔、実在していた。

20年ほど前、新宿の歌舞伎町に、金はなくても暇と好奇心だけは旺盛な若者たちの間で、かなり有名な映画館があった。座席数4-50席で3本立てウン百円の名画座、それが、「蠍座」だった。
当時、横浜あたりでフリーターに身をやつしていた私も何度か足を運んでいて、その奇妙で妖しげな館名は、自らの根無し草的青春時代の思い出とともにいつまでも記憶の片隅に残っていたのである。

③最後の決め手

私は、蠍座の生まれであった。

ともあれわが劇場がススキノの飲食店ビルにテナント入居していなくて結果的に良かったとは思う。一見、映画館とはわからないような置き看板を出しているだけでは、新手のゲイバーかなんぞと勘違いする人たちが少なからずいることだろう。
ただ、電話帳を繰ってみたところでは、意外なことに、水商売系で同名店は捜せなかった。おそらく、猛毒をもつだの、刺すだのというマイナスイメージが災いしているのが主因なのかも知れない。蛇蠍(だかつ)のごとく嫌う、という言葉すらあるぐらいだ。
名は体をあらわすと言うが、毒をもって何者かを刺そうなど夢々思わないけれど、小さくても、なにほどかの存在感を示ずことのできる劇場でありたいものだ。初夏の夜、満天の星群のなかで、ひそかに赤く輝くアンタレス(蠍座のなかの主星)のように。


 らいたあ独白  

須貝ビルにいた時代に編集、発行していた「シネマフリーク」の名残りをとどめる本欄を、懲りずにまた続けることにした。

「北口で開業だって?まだ2年早いんじゃないの。だいたい北口て商売始めて上手くいってるって話は聞いたことないぜ田中君、悪いこと言わないから………」このように親切なオドシをかけてくれる友人ばかりであったが、かくいう私も、JR札幌駅付近は希望区域ではあったけれど、正直、北口までは射程外だった。
とにかく、ススキノ近辺、特に既存の映画館が集中している場所からは離れたい気持で場所選びに歩き回ってはいた。私は気か小さいものだから、同業者の方々を刺激ぜず、ひっそりと地味に始めたいと思ったわけである(その割には、新聞だの放送だの、けっこう媒体に顔出してなかったか?)。しかし、南口から大通りにかけては御存知のように市内有数のオフィス街であり、捜せど捜せど映画館として貸してもらえるテナント・スペースなど見つからない、途方に暮れかけたとき、このタカノビルを紹介されたのだった。
このあたりはパチンコ、ゲーセンは言うに及ばず、ファッショシビル系の建物すら周囲に見あたらない非歓楽街であるそういう所で劇場を始めるというのはチャレンジと言えは聞こえはいいけれど、まあ、無謀と呼ぶほうが正しいだろう。
だが、無謀を言うなら、この御時勢に映画館なるものを、しかもまったく個人の力だけでつくろうとするにとじたいか無茶乱暴このうえないことであ。であれば、何を今更、恐擢することがあるだろう。
さいわい当ビルのオーナーは映画館というものに奇跡的に理解のある紳士であり、こういう人と出会えたことも何かの縁。北口という可能性のまったく未知な場所で開業するのも、それはそれで所詮力タギの道を歩めない私らしい選択だと都合よく解釈して決心したのである。本号はなにぶん劇場をオープンして最初に出すものなので、自己紹介とPRだけに終始してしまった感かある。次号からはできるかぎり面白い話(があればだけれど)を書くことができればと思っているのだが。


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