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78 名前:男 sage 投稿日:2008/02/15(金) 00:11:56 0
「会うのはまた今度にしましょう。」
これじゃあ、ダメだ。なんて返信すればいいんだろう。
まだ進路も決まっていないし、生活自体もまとまっていない。
遊んでばかりいる日々、後悔が募らないはずは無い。
二年前に高校を卒業したが、進路を決めることができなかった。
多少は周りの動きに焦らされたが、それでも僕は遊んで暮らしていたんだ。
結局、そのせいで彼女とは別れることになったんだが、今もその生活は変わっていない。
大学に行くにしろ、就職するにしろ、なんとなく一歩を踏み出すことができないんだ。
別に、自分に偉大な可能性を感じているわけでも、
束縛されるのが嫌だとか、そういうわけでもない。
ただなんとなく、今はフリーターで十分なのだ。
79 名前:女 sage 投稿日:2008/02/15(金) 00:13:46 0
彼は今、何をしてるんだろう。
久しぶりにメールしたあの日からそんなことばかり考えてしまう。
元の鞘に収まりたいという気持ちも幾らかはあるが、なんとなく今はダメな気がするのだ。
別に、仕事していないからとか、大学に行っていないから、とかそんなことは気にしていない。
どちらかというと、「自分自身」について真剣に考えようとしない彼そのものに腹を立てているのだ。
それを証拠に、今でも彼のことを思い出すと少しだけイライラする。
不快感なイライラではないが、なんとなく放ってはおけない。
私って、なんでこんなにおせっかいなんだろう、そんな思いばかりが積ってしまう。
彼は誰よりも素晴らしい才能を持っているのだ、私は知っている。
二人が出会ってから一度だけ、彼を本気で怒らせたことがある。
他の思い出が遠く色褪せてしまっても、あの思い出だけは今でも鮮明に残っているのだ。
80 名前:男 sage 投稿日:2008/02/15(金) 00:15:50 0
「…。」
ふと、静寂で息が詰まりそうになる。
こんな時、何て言ってあげるのが模範解答なんだろうか。
振られた女の子を慰める言葉なんて、持ち合わせていない。
自分の不甲斐なさと、器量の無さについ落胆してしまう。
ただ傍にいて、涙を拭いてあげることしかできない。
肩を震わせ、声を押し殺して、じっと黙り込んでいるクラスメート。
いつも気丈で強引に振舞っているこの人とは打って変わって、今は確かに女の子だ。
何も語り掛けない僕と、何も話そうとしない彼女。
まるで言葉なんて失われてしまったかのように、ここだけは闇に包まれている。
こうしてもうどのくらいの時間が経っただろう。彼女も僕もずっと、息を潜めている。
81 名前:女 sage 投稿日:2008/02/15(金) 00:20:03 0
嫌だ。別れたくない。意味がわからない。悪いのは・・・わたし?
さっきから同じ事を何度も何度も自分に問い掛ける。
心の痛さを感じる暇がないほどに、何かに焦っている。
今なら、まだ巻き戻せるような、それでもやっぱりどうにもできないような…
「もういいよ」
彼は私の言葉に少しだけ驚いたのか、困ったような顔で私を見つめている。
本当は誰にもこんな姿見せたくなかったのだ。こんなにも情け無くて、弱い私。
いつもの私とは明らかに違っている。
「もういいから、ありがとう」
「あ、うん」
そこで会話が途切れ、彼もまた何も言ってこない。
何も言わないことが一番だとでも思っているのだろうか、
それとも、言葉が思い浮かばないだけなんだろうか。こんな時に、私は何を考えているんだろう。
自分の汚さに、また怒りがこみ上げて来る。
「私のこと、惨めだと思った?」
不意に、彼の瞳孔が開いたかと思うと、あきれたように、すぐに背を向けどこかへと歩き出した。
「何なのよ!もう!!」
彼は立ち止まり、怒りを抑えるかのごとく、静かに口を開いた。
「きみが、悲しいのも苦しいのも、俺にはそんなことわからない。
だから、おれも傍にいることしかできないし言葉をかけてやることもできない。
でも、自分を否定するようなこと言うなよ。
明るくて活発なところだけがきみじゃないんだ。
誰にだって、深く落ち込んでしまう瞬間くらいあるよ。
だからといって、きみがきみでなくなるわけでもないし。俺は何とも思わない」
もっともだと思った。全面的に正しいのは彼のほうだ。
頭がうまくまわっていない今でも、彼の言葉は透き通るように私の体の中に入ってきた。
泣いてもいいんだ、そう思った瞬間。また、涙が溢れ出した。
82 名前:男 sage 投稿日:2008/02/15(金) 00:22:20 0
結局、メールの返信にはなんて書けばいいんだろう。
あれから2日経った今でも、いい言葉が思い浮かばない。
元の鞘に収まりたいという気持ちも幾らかはあるが、なんとなくこのままじゃダメな気がするのだ。
だから僕は返信をしないことにした。
返信さえしなければ彼女と繋がり続けることができる。
それが僕から彼女に贈る、最初で最後のラブレターだ。
84 名前:学生さんは名前がない 投稿日:2008/02/15(金) 02:50:46 0
黒い空から舞い降りる雪。いつもと変わらぬ日常。
世間はバレンタインだっていうのに、おれは何をしているんだろう。
何もしなければ何も変わらないと、外には出てみたものの何をすればいいのかがわからない。
いつものように本屋で立ち読みをして、下を向きながら街を早足で歩く。
(あの子は何をしてるんだろう・・・)
心にはそんなことを考えながら、鳴らない携帯を取り出し、ため息をはく。
真っ白な吐息がやけに息苦しい。バレンタインなんてなければいいのに・・・。
誰にというわけでもなく苛立ちはつのるばかり。
結局、何も起きぬまま家路を目指し、いつものようにコンビニで夕飯を買う。
(こんな日にまで一人でカップラーメンかよ・・・)
泣き言しか思い浮かばない。
今日はもう家に帰って寝よう。そう思いながら、エレベーターの前で鍵を取り出す。
飾り下のない廊下は、冷たく俺の心を締め付ける。
鍵を開けようとしてドアノブに目をやると、小さな紙袋が下がっていることに気がついた。
中には手紙とチョコレート。胸の内が急に温かくなった。
「いつもありがとう。」と書かれた手紙には、大切なあの子の名前。涙があふれてしまいそうだった。
たった一つのチョコレートが運命を変えることもある。
大切なあの人に、明治ブルガリアヨーグルト