炎術剣士まなみ第十三話~第十五話


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コピーシェルによってまなみの能力データを手に入れたヘルスター帝国は
水無瀬裕奈をさらい、彼女を帝国に忠実な水術使いの剣士にし、まなみと戦わせる。
炎術を封じられたまなみに勝機はあるのか…?

炎術剣士まなみ第十三話 『ヘルスター大軍団!まなみの危機と救いの光』


ヘルスターの地下闘技場での戦いは続く。炎が効かないため、まなみは剣術と格闘のみで
裕奈を止めなければいけない。裕奈はパワーはあるが直線的な攻撃が多いため、まなみは
冷静に攻撃を見切り、紙一重でそれを回避していく。そして隙を見て、攻撃を行うが
裕奈は受け止め、反動を利用しまなみに少しずつダメージを負わせていく。
「まなみちゃん、こんなんじゃ期待外れだよ?」
「裕奈!目を覚ましなさい!たあぁ!!」
通じないのは百も承知だ。まなみは火炎閃光キックを放つ。それを見た裕奈もまなみと
同じようにキックを放つ。炎の変わりに水を纏った水流竜巻キックだ。
「とあぁぁぁ!!」
「無駄だって分かっているのに…はああぁぁぁ!!」
「くっ!?ああぁぁぁぁ!!」
やはり水により、炎は相殺されてしまう。そして純粋なパワーなら裕奈の方に分があり
まなみは蹴り飛ばされてしまう。倒れたまなみにゆっくりと近づいていく裕奈。
そしてまなみの首に手を掛け、締め上げる。
「ぐっ…あ…ゆ、うな…!」
「ねえ、さっきは殺すなんて言ったけど、まなみちゃんもあたしと一緒に
ヘルスター帝国の戦士にならない?あたしが話をつけてあげる」
「お断りよ…ヘルスター帝国なんかの…言うとおりになってしまったら…この世は
破滅しちゃう…!裕奈…あなたも目を覚まして…!」
「残念だなぁ…じゃあ、まなみちゃんのこと、殺すしかないね。うりゃ」
冷酷に宣言すると、まなみの体を浮き上がらせ勢いよく投げ飛ばす。ダメージを負った
体のため、まなみは受身を取れず倒れ伏す。直後に視界に映ったのは村雨長光を抜き
まなみへ斬りかかる裕奈であった。暁一文字を抜くことが出来ず、まなみはその一太刀を
袈裟懸けに浴びせられ、鮮血がほとばしる。
「あああぁぁぁぁぁ!!うっ…裕奈ぁ…!」
ゆっくりと仰向けに倒れるまなみ。ヘルスターの野望を食い止められない悔しさと
裕奈を救えない悲しさが合わさった涙が流れる。斬られた胸元は炎術剣士の特殊能力に
よって自己回復していくが、傷は完全に塞がらず、血はまだ流れている。
裕奈は村雨長光をまなみの首元へ着かせる。このまま、まなみの首を落とす気なのだ。
「(裕奈…あなたを助けることが出来なかった…ヘルスターにも負けた…私は、
弱いうえに、目の前の大事な人さえ守れないなんて…)」
まなみは涙を流し、自分の弱さを悔いた。それと同時にまなみの身体の底から膨大な
エネルギーが湧き起こった。
「な、なに!?」
完全に止めをさそうとしていた裕奈は驚き、思わず村雨を握る右手が緩む。
まなみはその隙を逃さず、裕奈の右手を蹴り村雨長光を吹き飛ばす。
「しまっ…!」
「火炎大破斬!!」
さらに続けて必殺技を放つ。水術を使う間もなく、防御体制さえ取れていなかった
裕奈は斬り飛ばされ壁に勢いよく激突。一瞬の間にまなみが逆転し、裕奈は
地に叩き伏せられた。
「ぐあっ、はぁはぁ…ま、まなみちゃん…いったいどこにそんな力が…」
「分からないわ…でもまだ死ぬわけにいかない、そしてあなたを助けたいと
強く思っていた。そうしたら突然、力が湧き起こったの。裕奈!一緒に帰ろう…」
手を差し出すまなみを見つめ、裕奈も手を差し出そうとする。しかしそんな二人の間に
バルガン将軍が割って入る。そして裕奈を蹴りつける。
「あうっ!!」
「ええい、裕奈!まなみをあそこまで追い詰めておきながら、なんという体たらくだ!
まなみを倒せない貴様に用は無い、消えろ!」
バルガンの両手からエネルギー弾が発射され、裕奈を連続で撃ちぬき、闘技場脇の
プールへと落とす。裕奈の身体は浮いてくる気配は無かった。
「裕奈ぁ!!バルガン将軍、貴様ぁぁぁ!!絶対に許さない!!」
「親友の最期を見届けることが出来ただけでも感謝するんだな。ははは…!」
まなみが斬りかかるが、テレポートでバルガンは消えてしまう。直後、アジト外から
地響きのような音が聞こえ始めた。アジトが崩壊するわけではないようだが、気になった
まなみは、急いで地上に戻る。裕奈との死闘は、それなりに長かったらしく、既に
日は傾き始め、新宿もオレンジ色に染まり始めていた。地上に出た瞬間、いきなり
人々の悲鳴が聞こえた。隼を駆り、急いで現場へ急行する。
そこでは岩のような外見をしたナイトメア怪人が暴れまわっていた。そしてまなみを
発見した怪人はご丁寧に自己紹介を始めた。
「来たな、新堂まなみ。俺はヘルスター最強のナイトメア怪人、ロックラスだ!
この俺様が出てきたからには貴様に勝ち目はないぞ!」
「何者であっても、私が必ず倒します!たぁ!!」
暁一文字を抜き、飛び掛る!ロックラスは動こうともせず、その場で立ち尽くしている。
素早く振り下ろされるまなみの剣筋をただ、眺めるようにしていた。
「速攻で!終わりよぉ!!」
勢いよく、暁がロックラスを斬りつける。…しかし、ロックラスは右腕だけで
攻撃をガードし、余った腕でまなみの腹部へ重たい一撃を与える。
「か…はっ…!」
あまりの衝撃で一瞬、世界が白く変わった。気がつくと、うつ伏せで倒れていた。
「こ、攻撃が効かない…!?」
「俺の体は貴様の攻撃など軽く跳ね返すのだ。そして破壊力もお前と俺とでは
天と地ほどの差がある。さあ、どうする?」
「…どんな強敵でも、私は絶対に負けない…!」
「強気だな、まなみ。しかし、これを見てもそんな口を叩けるかな?」
ロックラスの背後から怪しい影が十一体程、現れた。それは少しづつ、姿を
明確にしていく。はっきりと視認出来るようになった瞬間、まなみは驚愕した。
それは今まで、まなみが倒してきたヘルスター帝国のナイトメア怪人達だったのだ。
ボムスパイダー、カマキリレーザー、ハンマーカブト、フリーザーゴリラ、モグラグロー、
キジバズーカ、デスバタフライ、ドクロマムシ、コウモリオン、ミサイルネズミ…
さらにこの前、倒したばかりのコピーシェルまでもが再生していた。
「な、何故…みんな私が倒したはず…!」
「貴様を倒すために、我々も本気を出したというわけだ。いくら貴様でも
この戦力に対抗することは出来まい。さあ、地獄を見せてやろう!」
カマキリレーザーから破壊光線が飛び、まなみはそれを辛うじて避わすが、直後に爆弾、
ミサイルが雨のように降り乱れ、まなみの周りで次々と爆発していく。
「くぅあぁぁぁぁ!!」
吹き飛ばされ、受身も取れずに地面に接触する。休む間もなく冷凍、音波、猛毒に鱗粉と
連続でまなみに降りかかり、動きを封じられ、ハンマー打撃に続いて、バズーカ砲が飛び、
次々と攻撃がまなみに直撃していく。先ほど、裕奈に殺されかけ、ダメージも完全に
回復しきっていないというのに、怒涛の攻撃を浴びせられ、今度こそ死ぬと感じていた。
「くぅぅ…うあっ、えぇ!?」
急に脱力したかと思うと、紅色の炎のオーラが抜け、まなみの変身が解けてしまう。
連戦で疲労しているうえに、ダメージも負い過ぎたためだろう。変身していない状態では
さすがに対抗手段がない。ナイトメア怪人がジリジリとまなみとの距離を詰めていく。
「万事休す、か…」
まなみの心は絶望に染まろうとしていた。覚悟をして目を閉じる…だが、その時であった!
爆音があたりを騒がせ、先ほどまなみと裕奈が戦ったアジトのあったビルから
巨大な火柱が発生した。火柱はまなみの方角へ飛び、彼女を包み込んだ。
「炎の気が…高まる!」
自身の体力気力を回復させたまなみはビルの屋上へ飛び上がり、体制を整える。
一方、火柱の上がったビルから、一つの光がまなみのもとへ飛んでくる。
その姿を一瞬警戒するが、すぐに解除される。その姿はまさしく親友である裕奈であった。
変身は解けており、バイクに跨っていた。
「裕奈!無事だったのね、良かった…」
先ほどのとは違う、嬉しさで涙を流しそうになる。だが裕奈はまなみ以上に涙を溜め、
耐え切れなくなったようで流し始めた。
「ごめんなさい!あたし、まなみちゃんを殺そうとした…」
「裕奈…あなたが無事ならそれでいいんだよ、恨むべきはあなたを洗脳した
ヘルスター帝国なんだから」
「ありがとう、まなみちゃん…ヘルスター帝国も当てが外れたね、まなみちゃんを
倒すための力をヘルスター打倒に使われるんだから。まなみちゃん!」
「裕奈、一緒ならきっと乗り切れる!炎心…」
「うん!頑張っちゃうから!水心…」
「「変幻!!!」」
アイコンタクトを取り、同時に変身する。炎と水のオーラが飛び交い、二人を
剣士の姿へと変えていく。紅い衣と蒼い衣を纏った二人の剣士が並び立つ。
「友を差し向け、私と戦わそうとし、大軍で街を破壊しようとするヘルスター帝国!
炎術剣士、新堂まなみが成敗します!」
「難しいことは分からない!けど、友達を傷つけたり、みんなの幸せを奪う
ヘルスター帝国は水術剣士、水無瀬裕奈が叩きのめしちゃうんだから!」
同い年なのに、決め台詞に年齢差が感じられる。そこに黒い光と共に姿を消したはずの
バルガン将軍が驚愕の表情で現れた。
「水無瀬裕奈!貴様は俺が始末したはず…!」
「プールなんかに落とさなければよかったのにね。水術剣士になったあたしは水から
エネルギーを吸収出来る。まなみちゃんが火から出来るようにね。回復したあたしは
アジトをぶっ壊して、大波で脱出したというわけ」
自身の愛車を見る裕奈。裕奈がさらわれた時、一緒に持っていかれたバイクは
ヘルスター帝国によって改造され、大波として生まれ変わった。まなみの隼と同じく
戦闘能力を有しており、特殊な状況下でも走ることが出来る。
「ええい、ナイトメア怪人たちよ!二人を倒せ!」
一斉に二人に襲い掛かる怪人軍団。二人は飛び上がり、刀を抜き、斬りかかっていく。
完全回復し、精神も安定している二人は再生怪人が何人いようと負けはしない!
炎流波と水流波が合わさりカマキリレーザーとフリーザーゴリラを撃破する。
キジバズーカやミサイルネズミが砲撃で狙い撃つが、弾は切り払われ、一瞬にして
至近距離まで接近される。反撃する間もなく、まなみと裕奈に斬り倒される。
デスバタフライが、まなみを攻撃しようと飛び出す。それを見た裕奈は戦いに巻き込まれ
大破していたトラックを持ち上げデスバタフライに投げつけ潰した。
小柄で華奢な外見をしているくせに、とんでもないパワーファイターである。
しかし背後からドクロマムシが二人に近づいてくる。目の前の怪人たちに気がいってる
二人を毒に侵すつもりだ。だが、銃声が響いた瞬間、ドクロマムシの目は潰れていた。
「…危なかったわね、まなみ、裕奈」
「明日香さん!来てくれたんだ!」
援護とばかりに怪人たちに連射し、動きを止めていく明日香。二人は隙を逃さず
お互い、自身の気を掌へ集めていく。
「火柱…」
「水撃…」
「ストォォォォム!!!」
物凄いエネルギーが残りの再生怪人めがけて放たれ、炎と水とが交じりあった大爆発を
起こし、再生怪人軍団は全滅した。軍団を率いていたロックラスもさすがに慌てだした。
「こ、こんな馬鹿な…!」
「もう終わりよロックラス!」
「あたしとまなみちゃんが力を合わせればどんな奴にも負けないんだから!」
ロックラスが二人を始末しようと拳を繰り出すが、それは避わされ、気づくと
まなみと裕奈の神刀はお互いのオーラに包み込まれていた。
「くっ!おのれぇ!!」
「「ダブル!!大破斬!!!」」
単独で繰り出す最強の必殺技である火炎大破斬と水迅大破斬の合体攻撃でロックラスは
X字に斬り倒され、爆発四散した。
ヘルスター帝国最大最悪の作戦は、二人の剣士によって叩き潰された。
裕奈という最高のパートナーと共にバイクで去っていくまなみ。しかしヘルスター帝国は
地球征服の野望を諦めてはいない。二人の力を合わせて戦うのだ。

「解説お姉さんです!裕奈ちゃんが正気に戻ったうえに仲間になってくれるなんて
とても心強いね!まなみちゃんが炎の術を使うのに対して、裕奈ちゃんは水の術を
操る剣士なの。専用バイクの大波は水中でも走れるすごいメカ!
今回のナイトメア怪人はロックラス!岩のように硬い体はまなみちゃんの攻撃も跳ね返す。
さらに再生怪人軍団まで率いていたけど、裕奈ちゃんとまなみちゃんの合体攻撃に
倒れたわ。それじゃまた次回も見てね!」
次回予告「テレビゲームで遊んでいた子供達が、消えていく!?いなくなった子供達の
行方を追うまなみと裕奈に襲いくるヘルスターの計画とはなにか?
次回『ハイスコア狙いならまなみと裕奈!?』次回もお楽しみに!」


水術剣士の力を与えられ、ヘルスター帝国に洗脳されていた水無瀬裕奈と戦うまなみ。
裕奈はバルガン将軍の介入によって殺されてしまったと思われたが、ロックラスと
再生怪人軍団にまなみが苦戦しているとき、裕奈は復活し、まなみと共に
ヘルスター大軍団を叩きのめす。まなみに心強い仲間が出来た瞬間だった。

炎術剣士まなみ 第十四話『ハイスコア狙いならまなみと裕奈!?』


外はどしゃ降りの大雨。その日、まなみと裕奈は、近所の子供達と喫茶店レイラの
スタッフルームでテレビゲームをしていた。
「まなみお姉ちゃん、弱いなぁ~スマッシュ攻撃ばかりだし」
「…て、手加減してるの!」
「嘘だぁ~!物凄く真剣な表情だったよ」
「無敵のまなみちゃんもゲームじゃ、そうはいかないんだね」
「裕奈!」
思わず、怒りそうになる。基本的に万能なまなみもゲームは下手なようだ。
またもまなみの使用キャラクターは撃墜される。ぴやあぁぁぁという声を上げながら。
「また、ヤラレチャッタ…」
「やっぱりまなみお姉ちゃん、下手じゃん…。裕奈お姉ちゃんやってよ」
まなみと裕奈がコントローラー替えする。裕奈はそれなりにゲームは得意なほうで
子供達とワイワイ遊んでいた。まなみはその光景を寂しく見つめていた。
しばらくすると、雪絵が入ってきた。
「ほらみんな、もういい時間だよ。雨も上がったし、そろそろ帰りな」
そう言うと、子供達は帰り支度をしながら話をしている。
「帰ったら、ヘルスナイパーズやるんだ!」
「俺も俺も!」
「なぁに?新しいゲーム?」
子供達の話題に挙がったゲームソフトについて聞く裕奈。
「そうだよ。シューティングゲームで、いろんなものを破壊できるんだ!」
皆、目を輝かせながらゲームについての話をする。どうやら今日発売されたばかりの
新作ソフトらしい。価格が小学生でも手の届く値段らしい。
みんな去った後、ふと裕奈がまなみの顔を見ると、なにやら表情がおかしかった。
「…まなみちゃん?どうしたの?」
「次は絶対に負けない…!」
負けず嫌いな面に火がついてしまったようだ。

ところかわって、今日まなみたちと遊んでいた子供達の一人、直人はゲームショップで
予約していたヘルスナイパーズを受け取り、足早に帰宅した。
自室に入るや鞄を放り投げ、すぐさまゲームを起動した。最初は簡単で敵の攻撃も
大したものではなく、進めば進むほど難易度は上がるが装備も充実しているため
なんなくクリア出来た。外からの情報をシャットダウンして、直人はついに、
エンディングを迎えた。スタッフロールが終わると同時に、隠しステージに行ける
コマンドが表示された。
「なになに…下下上上左B右A…と」
コマンドを押すと、すぐに新しいゲームが始まった。今度は敵の攻撃が激しく、直人は
あっという間にゲームオーバーになってしまう。すると、画面にヒントが表示される。
そこには…
『高得点を狙って最強装備で行くには新堂まなみと水無瀬裕奈を倒そう!』
「…新堂まなみと水無瀬裕奈を…倒す…」
直人の目は虚ろになり、フラフラとどこかへ出て行ってしまう。直人の母親が晩御飯の
時間だと直人を呼びに部屋へ来るが、すでにそこには彼の姿は無かった。

翌日、直人のみならず、近所の子供達のほとんどが行方不明になっていた。警察が捜査を
始めるが、手掛かりは掴めないまま、時間が過ぎていく。そんな中、まなみと裕奈も
遊んだことのある子供達ばかりで他人事とは思えなかったからだ。
二人は子供達の親に話を聞いてみることにした。
「昨日、直人君は部屋で何をしていたんですか?」
「ゲームで遊んでいましたね、なんでも新作のゲームがどうとか」
「ゲーム以外のことをしている様子はありましたか?」
「いえ、たぶん無いわ」
「まなみちゃん、もしかして…」
「うん、裕奈はゲームを明日香さんに調べてもらって。私はゲームを作った会社に
行ってみるわ」
まなみは隼でゲーム制作会社であるキラーソフト社に向かう。裕奈は早速、子供達が
遊んでいたゲームを明日香と一緒に調べることにした。コンピュータに解析させてみると
恐るべきことが判明したのだ。
「なんてこと…!裕奈、このゲームには恐ろしいまでの催眠効果があるわ」
「じゃあ、みんないなくなっちゃったのは、やっぱりこのゲームのせいってこと?」
「それだけじゃないわ。このゲームのとあるデータを見たらまなみ、裕奈。あなたたちを
倒すように洗脳される仕組みになっている…」
「ヘルスター帝国の仕業で間違いないんだ!まなみちゃんのとこに急ぐね!」

その頃、まなみはキラーソフト社の入り口まで来ていた。
「けっこう大きな会社ね…部屋の一室じゃない、ビル全部がキラーソフト…でも、
こんなに立派なビルで、大きな会社なのに、人の気配がまるでしない…普通、入り口には
警備員ぐらい、いても不思議ではないのに…」
不審に思いながらも、まなみはビル内部へと侵入する。別段、怪しい部屋などは無い…が
やはりどこのフロアも人は見当たらない。途中、パソコンがずらりとたくさん並んだ
部屋を発見し、そこに入り、モニターを覗いてみると、そこにはまなみと裕奈の画像が
貼ってあった。さらにそこには二人のデータも表示されていた。二人のデータが
必要な者といえば…まなみは確信をした。
「私と裕奈の写真が…薄々感づいてはいたけど、ヘルスター帝国の仕業で
間違いないようね。子供達をさらってどうするつもりなのかしら…」
まなみは部屋を後にし、最上階にある社長室に向かう。社長室の手前まで来たとこに
突然、声を掛けられた。今まで誰も居ない空間だったため、まなみは裏拳を
繰り出しながら振り向いた。そこには冷や汗状態の裕奈がいた。
「ゆ、裕奈か…もう、ビックリさせないでよ」
「それはこっちの台詞だよぉ~あともうちょっとで当たるとこだったんだから!」
「ごめん、この建物誰もいなかったからつい警戒しちゃって。それより、
ヘルスター帝国の仕業で間違いなさそうよ」
「うん、こっちもそう思って急いで来たの。あいつら何企んでるのかな…?」
二人揃ったところで、社長室に突入するまなみと裕奈。入ると、入り口が
固く閉ざされてしまう。同時に不気味な笑い声が響く。
「くっ…分かってはいたけどね」
「もう!笑ってないで早く出てきなさいよ!」
すると黒い煙とともに、両手が鋏の怪人が現れた。フォッフォッフォッと声を出し
「ふははは!子供のために危険を顧みずノコノコやってくるとはな。俺の名は
デンシザリガニだ。子供の間で人気のゲームを使えばこの程度、容易いものだな」
すると、部屋の周りからどこから現れたのか、いなくなった子供たちがまなみと裕奈を
360度、取り囲む。子供達は銃を手にしている。
「デンシザリガニ!みんなに何をした!?」
「純粋な子供は洗脳をするのが容易いものだなぁ。みんな、ハイスコアを狙うために
お前たちを殺そうとしているぞ。お前たちも子供が相手では抵抗出来まい!!」
「最低ね、絶対に許さないんだから!まなみちゃん!水心変幻!」
「分かってる!炎心変幻!」
剣士の姿に変身し、回転ジャンプで取り囲みから脱出した。
「罪無き子供達をさらい、洗脳するヘルスター帝国!炎術剣士新堂まなみが成敗します!」
「ゲームが悪いものみたいに思われちゃうじゃない!水術剣士水無瀬裕奈が
叩きのめしちゃうんだから!」
名乗りを挙げると同時に部屋の壁から戦闘員コザーが飛び出してくる。
二人は刀でそれを斬り倒していく。その時、銃声が響き二人はとっさに飛んで避わす。
子供達が、二人に向かって発砲してきたのだ。
「くっ!みんな、正気に戻って!」
「…まなみと裕奈を倒せば高得点…」
「隠しステージをクリアするため…」
まなみの声は届かず、子供達は二人に連射してくる。
「みんなを止めなきゃ!水輪波!」
裕奈は水で生み出した輪を子供達に飛ばし、動きを止める。みんなを傷つけることなく、
動きを止める最適な手段だ。
「ごめんね、ちょっとだけ我慢しててね」
「さあ、デンシザリガニ!あとはあなただけよ!」
「俺様の力を甘く見るな!くらえぇぇぇ!!」
デンシザリガニは口から二人に向かって無数の泡を飛ばしてくる。避けきれない
二人に付着すると電流が流れだす!
「あああぁぁぁぁ!!」
「うああ、くぅぅ…!!」
「どうだ、もがけ苦しめ!あとは俺様の鋏で首を刎ねてやる!」
徐々に二人に近づいてくるデンシザリガニ。まなみが苦しみながらも顔を上げる。
「このままじゃ…あぐぅぅ…こうなったら…火柱ストォォォォォム!!」
普段は敵に投げつける火柱ストームを自分にぶつけ、付着した泡を除去する。
続けて、裕奈にも飛ばし二人は脱出する。
「ごめん、裕奈!これしか方法が思いつかなかった…」
「大丈夫…まだ熱いけど…それよりもあいつを!」
二人はデンシザリガニを睨みつけ、暁と村雨を構える。
「くそぉ、こうなれば一時撤退を…!」
「「ダブル!!大破斬!!」」
「ぐああああああ!!…よ、容赦無い、な…!ぐふっ」
ガクッと項垂れると同時に爆発した。すると子供達も正気に戻った。
「あれ…俺、ゲームやってたはずなんだけど…あっ!お姉ちゃんたち!」
「みんな大丈夫?怪我とかない?」
「全然平気だよ。それより、お姉ちゃんたちが変身してるってことは悪い奴らが
出たの?俺達、どうしてこんなとこに?」
「悪い奴らはまなみちゃんとあたしが倒したよ。みんなはその悪い奴らに
連れ去られちゃったの。でもそれ以上のことはないから、安心してね…」
事実は言えないので適当にお茶を濁す二人であった。

後日、再び喫茶店レイラにて、まなみ、裕奈と一緒にとある対戦ゲームで
遊ぶ子供達の姿が。まなみの操作するキャラはやはり、あっさりと撃墜される。
「あ、あんなに練習したのに…またヤラレチャッタ…」
「やっぱりまなみお姉ちゃんは下手だなぁ。裕奈お姉ちゃん勝負しようよ」
「いいよ、まなみちゅん代わって~!」
「はいはい…」
ゲームで負けても、現実のヘルスターとの戦いは負けるわけにはいかない。
まなみはそんなことを考えながら、また寂しくみんなの様子を見ているのであった。

「解説お姉さんです。今回登場したナイトメア怪人はデンシザリガニ!
ゲームを使って子供達を洗脳してまなみちゃんと裕奈ちゃんを倒そうとしたわ。
電流を帯びた泡を放射して、相手を苦しめながら、巨大な鋏でちょん切っちゃおうと
する怖い奴!まなみちゃんの機転が無かったら危なかったねぇ~!
次回もお楽しみに!」
次回予告「次々と相手ボクサーを破り、ヒールっぷりを発揮する凶悪なボクサーが
登場した。その強さに秘められたヘルスター帝国の影が忍び寄る。
果たして、裕奈はヘルスターの野望を止められるのか!?
次回『悪夢のリング!裕奈危うし!』来週も見てね」


テレビゲームを利用し、子供達を誘拐したデンシザリガニは子供達を洗脳し
ヘルスター帝国の兵士としまなみと裕奈を倒そうと企む。しかし、二人が
デンシザリガニを倒した時、子供達の洗脳は解除されたのであった。

炎術剣士まなみ 第十五話『悪夢のリング!裕奈危うし!』


まなみが大学に行っている間、裕奈は暇である。なにせ自宅警備員だから。
今日もレイラで昼食を取りつつ、暇を潰している。あまりにも暇なせいか
何故かは知らないが、急に歌いだした。
「世界いち~みんなの人気者♪それは彼女のこと!ゆうな~♪
一目見れば誰もが振り向く♪当たり前裕奈だもん♪」
どこかで聴いた気のする歌を歌っている裕奈を呆れ顔で見ている雪絵。
「な~に、ナルシストっぽい歌を歌ってるのよ…」
「だって最近のテレビはつまんないし、他にやること無いんだもん。
雪絵さん、ゲームでもしようよぉ」
「裕奈…あんたねぇ、暇なら店の手伝いでもしなさいよ。ゲームならまなみが
帰ってきてから、二人でやりな」
「今日はまなみちゃん遅くなるらしいんだもん。出席日数がどうこう言ってた」
「それじゃあワガママは言えんでしょ。ほらもう、店の手伝いもしないなら
つまんなくても、テレビでも見てな」
渋々、裕奈が適当にチャンネルを回していると、ワイドショーが映り、なんとなく見ると
スポーツのコーナーであった。キャスターはボクシングの話をしている。
「…今夜の試合はチャンピオン荒川健二選手と挑戦者不知火竜選手の対戦です。
不知火選手はデビューして間もないというのに、これまでの対戦選手を
全員TKOしてきたという突如現れた怪物選手です。今夜の試合が楽しみですね」
画面には両選手の写真が映し出される。荒川は気の良さそうな顔立ちをしているが、
一方の不知火は荒々しく、強面である。
「うわ~この不知火って人、強そうだけど、応援はしたくないなぁ~」
「どうして?あんた、強そうな男を好みそうなのに」
「だって、ヒールな気をびんびんに感じるんだもん」

そして時は流れ、夕食時に生放送で荒川対不知火の試合のゴングが鳴り響いた。
裕奈は雪絵と一緒にその試合模様を見ることに。まなみも今日は遅くまで帰れないことが
分かったため、これしかやることがないのだ。
試合は最初はお互いの力を試すような展開であった。が、しばらくすると荒川の
猛ラッシュが始まった。不知火は防御に徹している。
「やっぱチャンピオンだもん。荒川選手が勝つね、防戦一方じゃん、不知火って人」
その通り、いつまでも不知火は攻撃が出来ない。荒川は攻め続ける。
「どうした不知火!今までの対戦相手を軽く倒したお前の実力はそんなものか!?」
挑発的な荒川に対し、怪しい笑みを浮かべる不知火。
「ははは…それでは本気でいきましょう…!」
猛攻から抜け出し、数発殴りつける。荒川の実力は本物だ。しかし、全て防ぐことが
出来ないどころか、モロに受けてしまう。
「ぐぉっ…!」
「それではとどめです」
言い放った瞬間には、荒川は倒れ伏していた。肉眼では捉えきれず、カメラも
残像程度でしか残らなかった不知火のあまりにも早いアッパーカットが決まっていた。
「レフェリー、早くカウントを」
「あっ、1、2、3…」
観客はもちろん、その場にいた全ての者が状況を見入っていた。
レフェリーも例外ではなかったため、不知火が役割を思い出させた。
「…9、10!」
不知火が一瞬のうちに逆転、勝利を掴んだ瞬間であった。テレビで見ていた
雪絵も驚きの表情であったが、裕奈だけは少し違っていた。
「あの人、人間じゃないんじゃないかな…」

翌日のスポーツニュースは不知火のことで持ちきりであった。
テレビのインタビューで不知火は自分の力に絶対の自信があることを切り出す。
「力こそ絶対ですからね。それ以外のことなど不要です」
インタビューでそんなことを言い出す。さらにその後の試合も余裕で勝利していく。
いずれの試合もTKOで決まっており、世間では彼のことをその圧倒的な強さから
かつて白亜紀に王者として君臨していた凶暴な肉食恐竜と同じ、ティラノザウルスの
異名で呼ぶようになっていた。

そんなある日、その日も軽く勝利し、控え室に戻る不知火。控え室で着替えをしていると
閃光とともに、戦闘員コザーとデリック参謀が現れた。
「くくく、よくやっているようだな、不知火竜…いや、ティラノファイターよ」
不知火が胸に手を当て、そこから光が全身に広がっていく。光が収まるとそこには
ティラノザウルスの姿によく似た、ナイトメア怪人に不知火は変身していた。
「キシャァァァァ!!デリック様、あのようなボクサーどもでは私の相手になりません!
手加減しても一発で勝負は着いてしまう。やはり新堂まなみか、水無瀬裕奈と
俺は戦いたい!」
「では、まずは裕奈を倒せ。お前のパワーならたとえ裕奈といえども、赤子同然であろう」
「ははっ!では早速、奴のところへ…」
「待てっティラノファイター!」
戦意が高まり、勇み足になるティラノファイターをデリックは止める。
「何故、止めるのです?」
「なんのためにお前をプロボクシングの世界に入れたと思っている?お前は十日後の
試合に出場し、まずは優勝しろ。その試合には、政治家や芸能人達が観戦に来る」
「なるほど、まずはそいつらを始末するのですな?」
「いや、こいつらは単なる囮だ。こいつらを使って水無瀬裕奈を誘き寄せるのだ」
「分かりました!…ぐはは!今に見ていろ水無瀬裕奈。お前を倒すのがすごく楽しみだぜ」

そして十日後の試合当日。不知火は今回も相手が付け入る隙も無いまま、相手を
ノックダウンしていく。今回の試合も生放送で全国にその模様が流れている。
「いいぞ~不知火!」
さらに次の試合も、わざと相手にしばらく攻撃させ、カウンターで勝負を決めた。
「不知火選手、またも勝利!天井知らずの強さです!」
歓声が上がり、その瞬間、不知火の優勝が決まった。今回のゲストであった
政治家である石川善太郎議員からトロフィーを受け取ることに。
リング上に上がりトロフィーを持ってくる石川。
「素晴らしい試合でした!これからも頑張ってください」
石川がトロフィーを渡そうとした瞬間、不知火は石川の背後に回り動きを抑えだす。
「な、なにをするんだ!?」
「ぐへへ…やっとこの日が来たぜ。ぐはははは!!」
高笑いと同時に不知火はその正体であるティラノファイターの姿へと変わる。
その恐ろしい姿を見た会場にいた人々は逃げようとするが
「おっと!この会場の外には戦闘員が多数いるのだ。貴様らに逃げ場は無い!」
「そ、そんな!」
「助けてください!」
人々の悲鳴が入り混じるなか、不気味に笑いながらティラノファイターは続けて喋る。
「さあ、このままではこの会場にいるもの全員の命は無いぞ!全国中継だから
それを見ている誰かが助けにくるかもしれんがなぁ…?」

試合会場をヘルスター帝国が占拠したとの知らせを受け、水無瀬裕奈は
大波で試合会場へと急いだ。
「みんな、待ってて!今すぐあたしが行く!それにしても、やっぱり人間じゃなかった…」
以前の裕奈の予感は的中した。的中しないほうが良かったのだが。
「よ~し、水心変幻!!」
会場への道中、裕奈は水術剣士の姿へ変身する。大波の速度を上げ、目的地へ
一直線。会場の周りにいる戦闘員を全て倒し、中へ物凄い勢いのまま突入する。
そのままリングに突き進み大波から飛び降りリングポールへと着地、立ち上がる裕奈。
「どんなスポーツでもね、あんたみたいな人の迷惑になるような奴はお断りよ!
水術剣士!水無瀬裕奈が叩き潰しちゃうんだから!」
裕奈の登場、名乗りが挙がった瞬間、会場には歓声が響き渡る。
「おお~!!裕奈ちゃんだぁ~!!」
「これで俺たちも助かる!」
人々は安堵した表情を浮かべる。ティラノファイターは石川を突き飛ばし
「やっと来たな裕奈!俺は貴様を倒すティラノファイターだ。見えるぜ、お前が
このリングに叩き伏せられる姿が!」
「はっ!あんたなんかにあたしは負けないんだから!たあ!!」
リングから飛び、足に水流を纏わせる。
「水流竜巻キィィィィック!!」
「甘いぜ!」
破壊力抜群である必殺キックを怪人は片手で受け止め、そのまま足を掴み裕奈を
マットへ叩きつける。
「どうした、裕奈?貴様自慢のパワーとやらはこの程度か?」
「あう…!まだまだこれから!てぇやぁ!!」
再び立ち上がり跳躍する。すばやく正拳突きを決めようとするが、怪人の口から
火炎が放射され、慌てて水迅障壁を張りそれを防ぐ。別の角度から水流波を放つが、
それも両手で防がれてしまう。
「はぁはぁ…!全然攻撃が効かないよ…」
「それで終わりか水無瀬裕奈!では、次は俺の番だな!」
ティラノファイターが裕奈に向かって突進してくる。それを避わそうとする裕奈であるが
怪人の尾が裕奈の腰を打ち、ロープに叩きつける。
「くぅっ!」
「とどめだ!」
「うあああぁぁぁぁっ!!」
先ほどのダメージで回避が出来ない裕奈の右腕に、その鋭い牙で噛み付く。
あまりの痛みに悲鳴を上げ、苦しむ裕奈。噛まれた右腕から鮮血が流れ出す。
ティラノファイターは勢いをつけ、顎を上げ裕奈の腕を放し、天井に叩きつける。
「ぐっ…ああぁ…!」
そのままリングに落下する。すでに疲弊し、身体中どこも痛みが激しいというのに
裕奈はそれでも立ち上がる。
「そのような身体でもまだ立ち上がるか。俺様の必殺技でKOだ!!」
立ち上がることは出来ても、すでに歩くことさえままならない裕奈に突進し、
右腕を腰辺りまで落とし、反動を利用した一撃を裕奈に喰らわせる。
「ティラノアッパァァァ!!」
「うわあぁぁぁぁ!!」
腹部から一気に顎までの強力な一撃を受けた裕奈は空中で回転しながらリングマットに
うつ伏せに倒れ付し、今度はもう立ち上がることが出来なかった。
「キシャァァァ!水無瀬裕奈など俺に掛かれば子ども扱いだぜ。くかかか…!」
裕奈を嘲笑いながら、ティラノファイターは姿を消した。怪人が消えたことにより、
その会場にいた人々は救われた…が、人々の心は曇っていた。
「ゆ、裕奈ちゃんが負けた…!」
「いや、やっぱりまなみちゃんがいないと駄目なんじゃないか?」
誰かの発言に、裕奈は反論しようとする。
「た、確かに…あたしは…負けちゃったけど、次は必ず…」
その反論さえも、人々の発言によって消されていく。
「地球を守る戦いは絶対負けられない戦いなんだぞ!?」
「裕奈ちゃんみたいな、ちっこい子じゃあんな怪人は倒せないよ」
「そんな強さでよく、ヘルスター帝国なんかと戦っているな!」
「弱い正義の味方はお呼びじゃねぇ!」
人々の自分勝手な発言は、肉体的ダメージが激しい裕奈に追い討ちを掛けるが如く
精神的にも追い詰め、エスカレートしてきた連中は仕舞いには物を投げ出す者まで現れた。
「いやぁっ!みんなやめて!うっ…こんなのって…ないよ…!」
思わず泣き出しそうになった時、会場に向かってバイクの走る音が聞こえ出し、
こちらに向かってきた。それは既に変身済みのまなみであった。裕奈の姿を見た瞬間、
まなみは瞬時に今の状況を理解し、裕奈に近寄り抱きかかえた。
「裕奈、大丈夫!?皆さん、こんなの酷いですよ!裕奈は立派に戦ったのに!」
「それでも負けちゃ意味が無い!そうなったら、もう地球は終わってしまうんだ!」
確かにそうだ、まなみと裕奈の戦いは絶対に負けられない戦いではある。
だからと言って、敗北した裕奈にこの仕打ちはあまりではないか、まなみは
人々を守る使命と同時に、勝手な発言を繰り返す人々に怒りさえ覚え始めていた。
「ごめん…まなみ、ちゃん…負けちゃった…うぅっ」
「裕奈、しっかりして!…とりあえず帰ろう、ね?…大波!」
まなみが裕奈の相棒を呼ぶと大波は裕奈を乗せて走り出す。まなみも隼に乗り、
撤退することに。帰り際に会場の人々に向かって叫ぶ。
「あの怪人は、恐ろしく強い…だけど!私も裕奈も次は必ず勝ちます!命がある限り
何度でも立ち上がって戦います!!」
告げると、まなみも裕奈のあとに続く。会場内ではボクシングの話をする者など、一人も
おらず、怪人や裕奈、まなみの話で持ち切りであった。
一方、傷だらけで帰っていく裕奈は虚ろな表情でいた。身体の痛みはひどいが、
そんなことは微々たること。それよりも負けた悔しさと、人々に浴びせられた罵声で
精神的に完全に参ってしまっている。裕奈は再び復活出来るのであろうか…?

「解説お姉さんです。裕奈ちゃん専用バイクの大波は時速400キロ、陸を走り、
約10分程度ながら飛行も可能!さらに水上、水中も走れます。まさに水術剣士の
裕奈ちゃんの良き相棒ね。もちろんミサイル、レーザー付き!違法改造なんて知らない!
今回登場したティラノファイターは強靭な肉体と高い攻撃力を持っているナイトメア怪人。
そのパワーに裕奈ちゃんでさえ力及ばず…でも次は裕奈ちゃんが必ず勝つよね!」
次回予告「ティラノファイターに敗れた裕奈は、社会的信用まで失い追い詰められていく。
そんな中、ヘルスター帝国はティラノファイターを使い破壊活動を行っていく。
裕奈は復活出来るのか、そして凶悪な怪人を倒すことができるのか!?負けるな裕奈!
次回『正義の灯よ再び!必殺作戦』お楽しみに」