- レベルデザインに関係する話
- 優れたゲームは
- 成功の手順を固定しない
- 成功に報酬を与え賞賛する
- プレイヤーに失敗を納得させる
レベルデザイン
クリーチャーの基本的なデザインと経験点
- 初心者がMODを作るのなら付属クリーチャーをそのまま使うか
レベルアップウィザードによって強化するのがよい。
それらはプロがデザインしたNWNに相応しいクリーチャーであるし、
デザイナーはその労力をクリーチャーの配置技法に割けるからだ。
- もし経験点を弄るためにクリーチャーのCRを操作するのなら
全てのクリーチャーのCRを-2する等、一定の法則を持たせなければ、
プレイヤーは敵の驚異度を測れず困り果ててしまうから、そうするべきである。
- プレイヤーに譲渡する経験点をコントロールする技法に
モジュールのプロパティにある経験点倍率を0にして、シナリオの節目や
隠された宝を見付けたとき、経験点をスクリプトで与える方法がある。
簡単に実現できる上に、敵を一匹残らず倒すプレイの是正や
サブクエストをこなす動機にも繋がるから、導入を考えてみてはどうだろう。
見た目と内面の合致・プレイヤーを納得させるデザイン
- クリーチャーの見た目はゲーム性に直結している部分だ。
プレイヤーは大斧を持ったオーガを見たら物理攻撃に備え
杖を持ったローブの男を見付けたら魔法に警戒する。
- もし「斧を持っているが強力な呪文を使うミノタウロス」を出現させたら
プレイヤーは驚くだろうか? デザイナーの発想に感銘を受けるだろうか?
残念ながら、この行為はデザイナーの卑怯な職権濫用としか映らないだろう。
- 見た目で瞬間的に敵を理解すると言うゲーム性があるからこそ
デザイナーがクリーチャーの不意打ちを仕掛けてもプレイヤーは対処するし
それで死んでも「杖を持った魔法使いを後回しにしてしまった」と納得するのだ。
- 「分かってたけど死んだ」この納得は再挑戦に繋がる。
再挑戦が無ければMODは最後まで遊ばれないから、
デザイナーは見た目と内面の一致に細かく気を配るべきである。
クリーチャー配置によるストーリー性
- クリーチャーを魅力的に演出するには、ストーリー性も重要である。
たとえば「オーク」が主役のMAPなら「ゴブリン」「オーガ」を出すとしても
呪術を使うシャーマン系はオークである方が説得力がある。
その上でゴブリンは使い捨ての奴隷、オーガは力自慢のボディガードと
デザインすることで、そのダンジョンにストーリー性が生まれる。
クリーチャーを出現させる時のストーリー
- 金で雇ったボディガード
コボルドがオークを雇ったり、オークがオーガやトロルを雇うなど
力自慢のクリーチャーを混ぜる時のストーリー。
- 間借りしている
ネクロマンサーが骨や肉の供給と引き替えに、アンデッド軍団で防衛しているなど
主に術士を登場させるときに使うストーリー
- 侵入者撃退用のペット
蜘蛛や動物系のクリーチャーを出演させる時はこれ。
- 召還された番人
オークシャーマンによって呼ばれたエレメンタルなど。
そのダンジョンに出演するシャーマン系と同 CR までなら理屈に合う。
- 勝手に住み着いている
掃除が行き届いてない場所ならウーズや蜘蛛が居ても不思議ではない。
- 力で支配するボス
オークを力で纏め上げるジャイアントなど。
大ボスに意外な相手を出現させるときに使うストーリー。
- 何者かに率いられた
混成軍団を使う時にはこの設定がよいだろう。
強敵を演出する
- デザイナーは「強敵」と「面倒くさい敵」を混同してはならない。
- 「強敵」とはプレイヤーが対処できる範囲で強化されているために
その「強み」を無効化するように戦うことを求められる敵だ。
例えばプレイヤーに気づくとグレーターストーンスキンを使う魔術師が居るとしよう。
この場合、ディスペル付きの武器で殴ってもいいし
スニークで近づき詠唱前に倒すこともできる。
ライトニングボルトでストーンスキンを貫通してもいいし、
遠くから魔法で束縛して戦士に殴り殺させてもよい。
こうして工夫して倒す過程で満足感を得たプレイヤーは
君の作ったクリーチャーを賞賛するだろう。
- 「面倒くさい敵」は対処不能の強化が施されているために
ごく限られた方法でしか倒せない相手のことだ。
例えばダメージ減少20/+5のダメージ抵抗を持つ防具を身につけた魔術師は
+5武器や属性武器で殴るか、魔法ダメージを与えるしかないので
プレイヤーから「工夫の余地がない単調で面倒くさい敵」と評価されてしまうだろう。
配置による演出
- 「強敵」の演出にはクリーチャーの強さの緩急も重要な要素である。
オーガを1匹づつ3回出すよりも、ゴブリン10匹を纏めて出した後に
強めのオーガを一匹だけ出す方が強さが引き立つし、プレイヤーを飽きさせない。
- デザイナーの作るMODの多くが「戦闘が単調である」と評価を受ける。
するとデザイナーは「戦闘が単調である」と言われると敵の種類を増やそうとするが
そうなると「フル強化で突撃」などの「何が出てもそれなりに対処できる」戦略しか
とれないので戦闘はますます単調になってしまう。
- 初心者は4種類の敵でプレイヤーの工夫を誘うように練習してみなさい。
- 戦士、強力な戦士、射撃手、術士によるゴブリン集団
- 骸骨、重装骸骨、ウーズ、ネクロマンサーによる下水の不浄軍団
- ローグ、傭兵、攻撃的ソーサラー、ペットの狼による盗賊団
- ひと部屋、ひと廊下、プレイヤーが驚くようにするとよい。
そうすれば短いMODでも強い印象を持たせる事ができるしbr()「もっと長ければ良かったのに」と賛辞を得られるだろう。
批評家気取りの連中にはMODの長さで評価を変える者がいるが、
初心者デザイナーは彼らの蒙昧な意見を無視して密度の詰まった短編を作った方がよい。
短編なら余分な物を省いて重要な要素に手を掛けることが出来るし
もし君の作品がつまらなくても最後まで遊んでもらえるからだ。
退屈な長編を2度3度テストしてくれる友人はそういない。
NWNルールに適したクリーチャー
- NWN向けの「強敵」はHPが多い物理・直接ダメージ寄りの敵だ。
TRPGでは戦闘に時間が掛かりすぎて実現できなかったタフな敵も
NWNなら良きライバルとして出演してくれるだろう。
これらの敵にホールド系の魔法が効くようにしておけば
マルチプレイの魅力もぐっと増すだろう。
- また戦闘の処理が早いので、途方もない量の敵をどんどんプレイヤーにぶつける事が出来る
ゴブリンやコボルドなら100匹単位で出したって良いだろう。
仕掛けの演出技法
必要のない文章は省く
- 例えば扉を開こうとレバーを調べた時「レバーを倒しますか?」と
文章で質問するのは一見親切そうだが無駄である。
倒す気のないプレイヤーはレバーに触れないからだ。
- 「扉が開いた」と表示するのも悪い手法で、臨場感を失ってしまう。
レバーで扉を開く場合は、開く扉が見えるようにレバーを置くべきで
そうでないときは、鍵を使ったほうが見栄えがいい。
プレイヤーには可能な限り扉が開くシーンを見せること。
映像的リアクションで語る
- 映像的な反応はコンピューターゲームにとって非常に重要な要素で
例えば邪悪な祭壇を破壊した! と文章で表示して祭壇を消すのと
ファイアーボールエフェクトと共に祭壇が粉々に砕けるのでは
後者の方がプレイヤーにより多くの満足感を与えるだろうし、
レバーだけ倒れて何も起きないより、仕掛けの動きが見えた方がよい。
- コンピューターゲームは映像で語れるメディアであるのだから
映像で処理できる事で、コストと効果が見合うのならそうするべきなのである。
オブジェクトとゲーム的なリアクション
学習→予想→正解のパターン
- 学習→予想→正解の王道的パターンはプレイヤーに快感を与え、
より高度な謎を出すための伏線としてデザイナーを助けてくれる。
- 扉とレバーの前に燭台を非アクティブで置いておく
- プレイヤーに消えた燭台と扉を先に見せる
- レバーを倒すと燭台に火が灯り、扉が開き、扉の前の燭台にも火が灯る
- プレイヤーは「消えた燭台とレバーの関係」を学ぶ
- 次に二つ消えた燭台がある扉を見せる
- プレイヤーは「燭台が二つあるからレバーも二つ」と予想する
- 実際その通りだった場合、プレイヤーは仕掛けを学習する
- この時、きちんと問題を提起してるか、デザイナーは特別な注意を払うべきで
でなければ折角の仕掛けも「適当にやってたら勝手に解けた」とか
「訳が分からないうちに死んだ」とか望まぬ評価を受けてしまうだろう。
レバーで開く扉ならまず扉を見せてから次にレバーを出すこと。
即死トラップなら周囲に血糊を撒き散らしておくこと。
問題を提起する時は必ず「何かある」とプレイヤーに暗示する。
最終更新:2006年12月22日 12:42