序章


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路面電車を選んだ理由

世界の現状・問題

 自動車は20世紀に発明された最も便利な物の1つであり、ヨーロッパ各国での普及を経て、20世紀前半には欧米諸国で、後半にはアジア諸国において急速に普及し、社会を劇的に変化させた。自動車のどんな時でも・どんな場所でも・どんな場所へでも、という「常時利用可能性」によって、人と貨物の移動は、時間的にも空間的にも飛躍的に向上した。同時に、自動車は多くの部品や原材料から構成される「生産財」としての側面を持ち、経済波及効果の高い基幹産業として各国の経済成長に大きく貢献した。さらに自動車は、価格や機能美に伴うステイタス・シンボルとしての魅力、すなわち「顕示的消費財」としての特性も有している。この文化的・象徴的特性は経済成功を目標とする多くの階層に自動車を浸透させる原動力となった。このように自動車は、都市構造や人々のライフスタイルを大幅に変化させ、20世紀特有の自動車中心の社会・経済システムを作り上げていった。とりわけアメリカでは世界で最もモータリゼーションが進展し、自動車での移動を前提とした拡散型の都市計画が推進され、自動車は生活・文化の基礎として不可欠なものとなった。
 戦前の日本政府は一貫して鉄道重視政策を採っていたため、大規模な道路整備と自動車の普及は1950年の特需景気以降となった。高度経済成長期以降、自動車産業は鉄鋼業や化学工業などと並んで日本の経済成長の中心的な役割を果たし、急速なモータリゼーションが進展した。特に都市部においては、公共交通機関や道路の基本的機能である歩行者の保護、都心部の回遊性の確保、立体交差などが未整備なまま自動車の数が増加していった。こうした交通整備の進行を上回る自動車の需要の増加により、慢性的な渋滞や安全性の欠如が顕著となり、都市機能は著しく損なわれている。これらの問題によって、自動車が本来持っている「移動の迅速性」「自由性」「常時利用可能性」などの利点を発揮することすら困難になっており、利便性と経済的な効率性を追求した自動車社会は、不便で非効率なものとなった。また、都心部での渋滞は大気汚染や騒音など都市環境を悪化させている。公共交通機関や近隣商店街が衰退していったことにより、従来は徒歩や自転車、公共交通機関で利用可能だった商業・娯楽施設や病院についても自動車でしかアクセスできなくなっており、都市中心部の空洞化など、まちの活力は低下の一途を辿っている。移動手段の選択肢が狭まったことで、自動車を利用しない人の権利と自由は制限され、交通機関の利便性は大きく後退した。また、自動車社会は鉄道のように従業員や施設が必要ないが、継続的な道路建設とエネルギー資源に大きく依存している。自由な移動を実現した自動車は道路と資源制約に拘束され、これらの制約を打開しようとする政策は、結果としてモータリゼーションを加速させている。そもそも道路とは都市機能の一部であり、個人的な生活や社会活動の場であるにもかかわらず、現在では、道路機能は自動車を中心とした機能に偏っており、散歩やレクリエーション、コミュニティーの場としての機能が尊重されていないのが現状である。都市政策全体を見ても、環境や福祉、文化といった都市市民にとって湯煎すべき価値を軽視するような旧来の政策から脱していないと言える。
これらの問題を解決するには、自動車を含めた交通手段全体の利便性の回復、多様な道路機能の復活、自動車に支えられてきた経済的豊かさの質的な見直しが求められている。自動車の持つ固有の利点を最大限に活かすことができる利用法や多様な移動の選択肢の保証、より効率的で便利な交通システム、より環境負荷が少なく、より快適で楽しい都市空間を実現するような道路・交通政策への転換が必要である。
交通手段としての利便性が自動車に重点が置かれているという前提で考えると、他の交通機関の利便性・快適性を向上させることが諸問題の解決への糸口になる可能性は充分にある。公共交通を活性化させることが必ずしも街のにぎわい創出に結びつくわけではないものの、人口減少・少子高齢化社会への対応、環境負荷の軽減といった長期的な視点での今後のまちづくりを進めるにあたっては、都市における公共交通のあり方についても検討すべきと考えられる。
こうした中、近年世界各地でまちづくりと一体となった公共交通のあり方を見直す動きが見られ、都市公共交通活性化策のひとつとして、街に路面電車を走らせることによる都市計画LRT(Light Rail Transit)が注目されている。日本における路面電車は1895年に京都市で開業し、その後1932年には65都市で82事業者が運行し、路線延長は1,479㎞に及ぶなど最盛期を迎えていた。だが、都市圏の拡大と交通需要の変化やモータリゼーションの進展、運営赤字の増加、路面電車は古いというイメージなどの要因により、1960年代以降、各地の路面電車は姿を消していった。ただ街に路面電車を導入するだけではLRTとは呼べず、再び廃線に追い込まれることになる。LRTはまちづくりにおいて、その役割が明確に位置づけられ、都市の装置として、公共交通の利用促進を図る施策や自動車との連携方策などを含めた公共システムとして捉えられている。さらに、地球規模の環境負荷の軽減による持続可能なまちづくりのためだけでなく、都市に複数の機能を持たせ、誰もが移動しやすい環境づくりによる都市生活の質の向上を実現させるための手段でもある。
これに関しては、日本より早く都市問題の転換という課題に直面した欧州諸都市などにおいて、都市固有の歴史や文化を重視し、環境やアメニティを重視して都市を再生させようとする取り組みがあり、ここから学ぶべきことは多い。欧米においても各地で路面電車が廃止された歴史を持っている。しかし、1970年代、モータリゼーションの進展に伴う渋滞問題や地球環境保全への関心が高まる中、公共交通が都市に不可欠な装置であるという認識が高まり、路面電車の再編・見直しが進んだ。1978年にカナダのエドモントンにおいて、旧線の路面電車改良によってLRTが導入された。それ以降、新たにLRTを導入した都市は世界で90にのぼり、現在も計画が進んでいる都市が多数ある。
LRTには、都市をコンパクト化することによる中心都市活性化という側面もある。新たに電停が設置されることによってビジネスチャンスが創出され、周辺地域の活性化が期待される。日本各地でのLRTの導入が実現すれば、現在社会問題となっている地域格差の解決の大きな助力となるだろう。
今後、技術革新により環境負荷の少ない自動車が登場し、あるいは代替エネルギーの開発によって新たな自動車が誕生していくかもしれない。しかし、自動車に過度に依存した都市交通には限界あり、LRT導入は新たな都市のあるべき姿を提示してくれるに違いない。
本論文では、まず第1章において、日本以上に自動車社会が根付いているにもかかわらず欧州で最もLRTに力を注ぎ、市民の理解を得た都市政策を実施しているドイツ、LRTではないものの、自動車と路面電車が交通手段の中心となっている広島、そして日本で最初にLRT導入を実現し、公共交通の活力を取り戻している富山を例として取り上げ、LRTの特徴を示す。次に、第2章では、第1章で得たLRTの特徴を活かして「  」に導入した場合、どのような効果が得られるかを分析し、その地域でのLRT導入の是非を考察する。最後に、第3章で将来的なLRTの有効性を述べる。


経済・環境効果

路面電車導入によって新たなビジネスの可能性がうまれる。たとえば沿線・駅前開発。観光による地域活性化。
環境税を増加させ(化石燃料)、自動車に対して交通税を課すことにより、税収確保。
路面電車導入による事故発生減少、渋滞緩和→交通面での効率性向上、渋滞による大気汚染抑制。

この論文を書くにあたって

代替エネルギーへの転換は世界的にも求められているが、依然として踏み切られていない。
なので、代替エネルギーの使用はここでは避けて、石油の消費量を如何に減らしていくかを追求する。
それを踏まえても路面電車は有効といえる。国民経済的とか全体経済的な評価を行う。
たとえば排気ガスを出さないことや、事故の少なさを価格に換算する、という考え方。
料金体系、運行面など、様々なシステムを組合わせて有効需要を創出していく。
導入にあたって発生しうる問題への対応策も同時に考察していく。