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エスカレーター」(2008/03/07 (金) 14:59:31) の最新版変更点

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*エスカレーター **Escalator 段差を移動するために、設置・利用される階段状の輸送機器。 「エスカレータ(Escalator)」は、もともと米国オーチス・エレベータ社(Otis Elevator Company)の登録商標で、商品名であった。しかし、当時この自動式階段を表す適当な語句が無く、一般に「エスカレータ (Escalator)」と呼ばれたため、普通名称となった経緯がある。オーチス・エレベータ社では、既に商標権を放棄している。 三菱電機(株) (株)日立製作所 日本オーチス・エレベータ(株) フジテック(株) 東芝エレベータ(株) **機構 外観は階段に似て、自動で昇降する階段状の踏み面(ステップ)とステップと連動して動くベルト状の手すりを特徴とする。 機構の露出部分の多さから建物のインテリアに大きな影響を与えるので、意匠に工夫を凝らしたものが多い。らせん状のスパイラルエスカレーター(三菱電機製のみ、写真参照)や、途中で水平部分をもつエスカレーターも登場している。また、乗り降りを容易にするため、乗降口に水平部分を持たせたエスカレータも出回っている。最近では操作を行うことで複数のステップが水平部分を構築し、車椅子を乗せられるものもある。 規格としては、横幅(欄干有効幅)1200mmと800mm、傾斜角度30度のものが標準的なものである。近年の建築基準法の改正で傾斜角度35度のエスカレータの設置も認められている。また動く速度は通常、毎分30mであるが、変速装置を取り付けることで、毎分20mから40mまで調節できる。横幅はステップ幅、欄干有効幅、全体幅があり、800型、1200型等の規格は欄干有効幅で決まる。 |ステップ幅 |欄干有効幅 |全体幅| 備考 | |604mm |800mm |1150mm |標準800型、全メーカーで生産 | |802mm |910mm |1150mm |日立製作所製、日立、フジテックで生産 | |1004mm |1200mm |1330mm |日立製、三菱、日立、東芝で生産 | |1004mm |1200mm |1550mm| 標準1200型、全メーカーで生産 | |1095mm |1300mm |1550mm |日立で生産 | 機構的にエレベータに比べ省エネルギーであるが、近年ではさらに進んで赤外線センサによって人の接近を検知し、利用時のみ稼働するものも増えている。 **構成 ・ステップ ・・踏板 - ステップのメインとなるところ ・・ライザ - ステップの蹴上げ部分 ・・ステップチェーン - ステップ同士を連結するチェーン ・・駆動ローラ - ステップチェーンの左右についており、ステップを牽引するためのローラ ・・追従ローラ - ステップの左右についており、踏板を水平に保つためのローラ ・・駆動レール - 駆動ローラを走行させるレール ・・追従レール - 追従ローラを走行させるレール ・・車椅子専用ステップ - 特殊ステップがフォークを利用して車椅子が乗れる大きさにできる。 ・・スカートガード - ステップの両側の鉄板で、側面をふさぎ表面を平滑に保つ ・駆動装置 ・・駆動ユニット - 電動機と減速歯車からなり、ステップチェーンを走行させる ・・駆動チェーン - 駆動ユニットからステップチェーンに動力を伝達するチェーン ・手すり ・・手すり駆動ローラ - 手すりを駆動させるためのローラ ・・手すりチェーン - 手すり駆動ローラを回転させ、手すりに動力を伝達するチェーン ・・加圧ローラ - 手すり駆動ローラと対になって手すりを表裏から挟み込み、手すり駆動ローラの摩擦力を確保するローラ ・・手すり案内レール ・・インレット - 帰路側への手すりの出入り口で、手や物の引き込まれを防ぐために安全装置が設けられる **利用シーン エスカレータの設置目的は大別して、 段差(高低差)の大きい場所における利用者の肉体的負担の緩和 交通量の多い階段における利用者の円滑かつ安全な移動の促進 バリアフリーの観点から、高齢者などの弱者に配慮して設置する場合 などがある。但し階段に比べて非常に高価なものであるから、設置場所は主に百貨店や大型スーパーマーケットなどの商業施設、駅(高架駅、橋上駅、地下駅など)、空港、フェリーターミナルなどの交通機関の乗り場、大規模な総合病院やホテルなどの大型施設に限られる。 エスカレータはステップが自動的に動くので、一度乗り込めば次の階に到着するまで立っているだけで良いのだが、急いでいる事を理由に階段を昇降するようにステップを自分で上り下りし移動速度を速める人が多数いるため、左右どちらかの片側(関東、福岡及び北海道、岡山、新幹線乗り場では乗り込む際に左側に立ち右側、関西及び仙台では右側に立ち左側)を空けるのが慣例とされている。これは大阪万博の際に米国にならって左側を空けるようにしたため関西ではそれが定着し、その後首都圏に次々にエスカレータが設置されるにあたっては「追い越しは右側」という習慣によって関東では左右逆となったという経緯があるとされる。ただ、このような習慣がない地域も多い。日本以外でも同様の習慣があり、右側に立ち左側を空けるのが国際的には多数であるといわれている。 しかし、本来エスカレータでの安全基準は、ステップ上に立ち止まって利用することを前提とされているため、エスカレータ上での歩行はその振動によってエスカレーターの安全装置が働き、緊急停止することがある。さらに、片側空けは荷重バランスを長時間に亘って崩し、エスカレータに予期せぬ不具合を生じさせる事にもつながる。 こうしたエスカレーター自体への不具合に加え、腕の骨折などの要因により、片側の手すりにしかつかまる事のできない人への配慮、また歩行者によってバランスを崩した人が転倒し、それによって将棋倒し事故を招くなど、利用者に対しての危険性も極めて高い。実際、韓国では老人が転落する事故が発生して波紋を呼んだ。 このため、日本エレベータ協会ではエスカレータでの歩行禁止をマナーとして呼びかけている。また、川崎駅前地下街「アゼリア」では過去の将棋倒し事故を教訓とし、歩行禁止を呼びかけている。 2004年夏より、名古屋市営地下鉄では構内放送で歩行禁止を呼びかけている。これは全国初のことである。また、順次「エスカレーターでの歩行はおやめ下さい」のステッカーが貼られている。(ただ、普及しているとはいいがたい)。 **歴史 1859年 ナサン・エームズが「revolving stairs(回転式階段)」でアメリカの特許を取得。 正三角形の斜辺を昇って頂点で横に飛び降りるもので、安全性の問題から製作されることはなかった。 1892年 ジェシー・W・リノが、「Reno Inclined Elevator(リノ式傾斜エレベーター)」で特許を取得。 乗る部分は斜めのベルトで、25度の傾斜で滑らないように、ゴムと角材で突起がつけられていた。 1896年にニューヨークのコニーアイランドにアミューズメント施設として装置された。 1892年 チャールズ・A・ウィーラーが、平らなステップがある動く階段の特許を取得。 チャールズ・D・シーバーガーは、その特許を買い、初めての動く階段を開発した。 現在のものとは違い、表面はなめらかで、最後は横に降りるものだった。 1899年 シーバーガーがオーティスエレベーターと実用的な動く階段を開発。 1900年 ラテン語で階段をあらわす「scala」と「エレベーター」を組み合わせて「エスカレーター」名づけられ、パリ万博で展示。 エスカレーターは商標として登録された。 1901年 フィラデルフィアのギンベルデパート、ニューヨークの高架駅、ロンドンの地下鉄アールズ・コート駅などに設置された。 1914年 東京上野で開催された大正博覧会で展示された。 日本初のエスカレーターが東京日本橋の三越呉服店に設置され、大勢の人がエスカレーターに乗りにデパートを訪れ、長蛇の列を作ったという。 1921年 コームプレートランディング装置が開発された。 1985年 スパイラルエスカレーターが登場。 ---- **関連項目 #RELATED ----
*エスカレーター **Escalator 段差を移動するために、設置・利用される階段状の輸送機器。 「エスカレータ(Escalator)」は、もともと米国オーチス・エレベータ社(Otis Elevator Company)の登録商標で、商品名であった。しかし、当時この自動式階段を表す適当な語句が無く、一般に「エスカレータ (Escalator)」と呼ばれたため、普通名称となった経緯がある。オーチス・エレベータ社では、既に商標権を放棄している。 三菱電機(株) (株)日立製作所 日本オーチス・エレベータ(株) フジテック(株) 東芝エレベータ(株) **機構 外観は階段に似て、自動で昇降する階段状の踏み面(ステップ)とステップと連動して動くベルト状の手すりを特徴とする。 機構の露出部分の多さから建物のインテリアに大きな影響を与えるので、意匠に工夫を凝らしたものが多い。らせん状のスパイラルエスカレーター(三菱電機製のみ、写真参照)や、途中で水平部分をもつエスカレーターも登場している。また、乗り降りを容易にするため、乗降口に水平部分を持たせたエスカレータも出回っている。最近では操作を行うことで複数のステップが水平部分を構築し、車椅子を乗せられるものもある。 規格としては、横幅(欄干有効幅)1200mmと800mm、傾斜角度30度のものが標準的なものである。近年の建築基準法の改正で傾斜角度35度のエスカレータの設置も認められている。また動く速度は通常、毎分30mであるが、変速装置を取り付けることで、毎分20mから40mまで調節できる。横幅はステップ幅、欄干有効幅、全体幅があり、800型、1200型等の規格は欄干有効幅で決まる。 |ステップ幅 |欄干有効幅 |全体幅| 備考 | |604mm |800mm |1150mm |標準800型、全メーカーで生産 | |802mm |910mm |1150mm |日立製作所製、日立、フジテックで生産 | |1004mm |1200mm |1330mm |日立製、三菱、日立、東芝で生産 | |1004mm |1200mm |1550mm| 標準1200型、全メーカーで生産 | |1095mm |1300mm |1550mm |日立で生産 | 機構的にエレベータに比べ省エネルギーであるが、近年ではさらに進んで赤外線センサによって人の接近を検知し、利用時のみ稼働するものも増えている。 **構成 ・ステップ ・・踏板 - ステップのメインとなるところ ・・ライザ - ステップの蹴上げ部分 ・・ステップチェーン - ステップ同士を連結するチェーン ・・駆動ローラ - ステップチェーンの左右についており、ステップを牽引するためのローラ ・・追従ローラ - ステップの左右についており、踏板を水平に保つためのローラ ・・駆動レール - 駆動ローラを走行させるレール ・・追従レール - 追従ローラを走行させるレール ・・車椅子専用ステップ - 特殊ステップがフォークを利用して車椅子が乗れる大きさにできる。 ・・スカートガード - ステップの両側の鉄板で、側面をふさぎ表面を平滑に保つ ・駆動装置 ・・駆動ユニット - 電動機と減速歯車からなり、ステップチェーンを走行させる ・・駆動チェーン - 駆動ユニットからステップチェーンに動力を伝達するチェーン ・手すり ・・手すり駆動ローラ - 手すりを駆動させるためのローラ ・・手すりチェーン - 手すり駆動ローラを回転させ、手すりに動力を伝達するチェーン ・・加圧ローラ - 手すり駆動ローラと対になって手すりを表裏から挟み込み、手すり駆動ローラの摩擦力を確保するローラ ・・手すり案内レール ・・インレット - 帰路側への手すりの出入り口で、手や物の引き込まれを防ぐために安全装置が設けられる **利用シーン エスカレータの設置目的は大別して、 段差(高低差)の大きい場所における利用者の肉体的負担の緩和 交通量の多い階段における利用者の円滑かつ安全な移動の促進 バリアフリーの観点から、高齢者などの弱者に配慮して設置する場合 などがある。但し階段に比べて非常に高価なものであるから、設置場所は主に百貨店や大型スーパーマーケットなどの商業施設、駅(高架駅、橋上駅、地下駅など)、空港、フェリーターミナルなどの交通機関の乗り場、大規模な総合病院やホテルなどの大型施設に限られる。 エスカレータはステップが自動的に動くので、一度乗り込めば次の階に到着するまで立っているだけで良いのだが、急いでいる事を理由に階段を昇降するようにステップを自分で上り下りし移動速度を速める人が多数いるため、左右どちらかの片側(関東、福岡及び北海道、岡山、新幹線乗り場では乗り込む際に左側に立ち右側、関西及び仙台では右側に立ち左側)を空けるのが慣例とされている。これは大阪万博の際に米国にならって左側を空けるようにしたため関西ではそれが定着し、その後首都圏に次々にエスカレータが設置されるにあたっては「追い越しは右側」という習慣によって関東では左右逆となったという経緯があるとされる。ただ、このような習慣がない地域も多い。日本以外でも同様の習慣があり、右側に立ち左側を空けるのが国際的には多数であるといわれている。 しかし、本来エスカレータでの安全基準は、ステップ上に立ち止まって利用することを前提とされているため、エスカレータ上での歩行はその振動によってエスカレーターの安全装置が働き、緊急停止することがある。さらに、片側空けは荷重バランスを長時間に亘って崩し、エスカレータに予期せぬ不具合を生じさせる事にもつながる。 こうしたエスカレーター自体への不具合に加え、腕の骨折などの要因により、片側の手すりにしかつかまる事のできない人への配慮、また歩行者によってバランスを崩した人が転倒し、それによって将棋倒し事故を招くなど、利用者に対しての危険性も極めて高い。実際、韓国では老人が転落する事故が発生して波紋を呼んだ。 このため、日本エレベータ協会ではエスカレータでの歩行禁止をマナーとして呼びかけている。また、川崎駅前地下街「アゼリア」では過去の将棋倒し事故を教訓とし、歩行禁止を呼びかけている。 2004年夏より、名古屋市営地下鉄では構内放送で歩行禁止を呼びかけている。これは全国初のことである。また、順次「エスカレーターでの歩行はおやめ下さい」のステッカーが貼られている。(ただ、普及しているとはいいがたい)。 **歴史 1859年 ナサン・エームズが「revolving stairs(回転式階段)」でアメリカの特許を取得。 正三角形の斜辺を昇って頂点で横に飛び降りるもので、安全性の問題から製作されることはなかった。 1892年 ジェシー・W・リノが、「Reno Inclined Elevator(リノ式傾斜エレベーター)」で特許を取得。 乗る部分は斜めのベルトで、25度の傾斜で滑らないように、ゴムと角材で突起がつけられていた。 1896年にニューヨークのコニーアイランドにアミューズメント施設として装置された。 1892年 チャールズ・A・ウィーラーが、平らなステップがある動く階段の特許を取得。 チャールズ・D・シーバーガーは、その特許を買い、初めての動く階段を開発した。 現在のものとは違い、表面はなめらかで、最後は横に降りるものだった。 1899年 シーバーガーがオーティスエレベーターと実用的な動く階段を開発。 1900年 ラテン語で階段をあらわす「scala」と「エレベーター」を組み合わせて「エスカレーター」名づけられ、パリ万博で展示。 エスカレーターは商標として登録された。 1901年 フィラデルフィアのギンベルデパート、ニューヨークの高架駅、ロンドンの地下鉄アールズ・コート駅などに設置された。 1914年 東京上野で開催された大正博覧会で展示された。 日本初のエスカレーターが東京日本橋の三越呉服店に設置され、大勢の人がエスカレーターに乗りにデパートを訪れ、長蛇の列を作ったという。 1921年 コームプレートランディング装置が開発された。 1985年 スパイラルエスカレーターが登場。 ---- **関連項目 #RELATED ----

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