建築確認

けんちくかくにん



建築基準法に基づき、建築物などの建築計画が建築基準法令や建築基準関係規定に適合しているかどうかを着工前に審査する行政行為。

一定規模以上・一定用途の建築物のほか、一定規模の看板や遊戯施設などの工作物、エレベーターなどの建築設備も対象となるものがある。建築確認が必要な場合は、建築確認を受け確認済証が交付された後でなければ着工してはならない。
建築物などの建設途中や完成後に受けなければならない検査を含めて一連の行為を確認検査という。

目的・背景

着工後に法令違反を発見し是正を求めるよりも事前に建築計画をチェックする方が合理的であることから行うものである。その意味で禁止や規制事項に対し解除を求める場合の建築許可とは別の行政行為であるが、建築確認前の着工を禁止しているところから、実質的には許可と同様な内容や手続となっている。
建築基準法は、全ての建築物などに適用されることから、建築確認の必要のない建築物においても法の規定を遵守しなければならない。しかし、そのチェックはされないため、実態としては「良心」に任せられていると言える。


建築確認が必要な建築行為

対象となる建築物などを新築する場合のほか、増築や移転、用途変更、また、大規模修繕・模様替えなども対象とされる場合がある。


建築確認の実施主体

建築確認の審査を取扱うのは、従来、地方自治体の建築主事だけであったが、平成11年5月1日の建築基準法改正により指定確認検査機関に属する建築基準適合判定資格者が同等の権限を持ち審査を行うようになった。建築主事を置く役所は特に特定行政庁と呼ばれ、建築許可など建築基準法に基づく他の行政行為を行っている。


確認前の制約、完了検査

建築確認による確認済証 → 工事着工 → 規模により中間検査 (中間検査合格証の取得) → 工事完了 → 完了検査 (検査済証の取得)
といった流れになる。
一定規模・用途の建築物では、検査済証を受けた後でなければ使用してはならない。新築物件(未完成物件)の販売では、この建築確認を受けるまで販売行為だけでなく、広告もしてはいけないことになっている。(宅地建物取引業法)

建築確認と許可の違い

許可とは、原則として禁止された行為を、特定の人に対して、その原則に反して行為を認めるもので、例外措置である。許可は条文上、することができるものであり、理論上は、行政は任意に許可しないこともでき、これは(理論上は)合法である。
それに対し、建築基準法のみに限って言えば、建築基準法に適合した建築行為は禁止されておらず、誰であれ、適法な建築物を自由に建築できる。従って、建築行為には許可制度は馴染まない。

建築確認制度では、建築確認申請を受理した場合、計画が建築基準法に合致すれば行政は必ず確認しなければならない(建築基準法第6条第4項)。また、申請書の不備(通常これは、様式に何も記入されていない、そもそも全く違う様式を使用している、規定の手数料を納めていないといった重大な不備だけが該当する)のない限り、受理しなけれなならない。建築基準法以外の問題を理由に確認を保留することは違法である。理論上は、計画が適法でありさえすればよく、その実現可能性は問われない。

ただし現実には、実現可能性が低い計画や、周囲の状況と比較して矛盾や重大な疑義のある計画については、行政指導の範囲で確認を保留するケースが見られる。また、適法となる前提条件として何らかの許可を必要とする場合もある。例えば敷地の出入り口を確保するための道路工事許可などがこれにあたり、実際の建築確認では多数の「許可証」が用意される場合もある。そしてこの段階で様々な「調整」(つまり交渉や説得)を必要とすることもある。
このように建築基準法では、行政側にも「適法な計画を妨害しないこと」を強制している。建築行為はあくまで個人の問題であり、行政の過大な介入を禁じることが目的であるが、一方で、法令には合致していても、結果として問題のある計画までが確認を受け、実際に建築される場合もある。国立マンション訴訟のように、建築確認は下りたものの、他の問題から結果として訴訟にまで発展し、何らかの措置を含んだ判決を受けるするケースも存在している。

なお、建築確認制度が問題のある建築物に対する抑止の効果を持つことに着目し、一部の建築物に対して、周辺住民との調整などを(法令上は要求がなくとも)求め、それ無しには建築確認を行わない特定行政庁も存在し、違法(不作為)と見られる恐れがあったが、現在では、指定確認検査機関による建築確認が行われるようになり、申請者側がその様な特定行政庁への建築確認申請を回避することが出来る様になったため、このような行為は不可能になっている。


関連項目

タグ:

建築基準法
最終更新:2007年11月02日 10:20