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---- -この場所 ~ "死"と"戸惑い"と"全ての始まり" ---- ─「幸せな時間は、そう長く続かない」 ドラマ、アニメ、漫画や小説等で聞くような台詞。 実在の世界でこの台詞が…頭の中で…何度も…何度も。 何度この台詞が頭をよぎったコトか 口には出さない…いや、口に出しても仕方ないのだ。 いつもの公園のベンチに座ってるのは …俺一人 いつもベンチで俺の隣に座っていた彼女は もう一週間もココへ来ていない。 俺は相変わらず、毎日ココへ来ている 来ない理由はわかっている。 彼女の今いる場所も大体は見当がつく けど…俺には…。 彼女はとても重い病だった。 放っておけば死に至る、治療を施しても治るかどうか… 恐らく…彼女は今…病院だ。 けど、場所がわからない、聞き損ねたのだ。 この話を聞いたのは丁度、彼女がココへ来なくなった前の日 俺はその話を聞いた時、呆気に取られていた。 病に侵されているから呆気に取られていたのではなく 彼女は…その話をしている時は、俯き…悲しい顔をしていた。 しかし、その話が終わり、俺の顔を見るなり 微笑んだ…── なぜ…なぜ笑っていらるんだ? 俺は今にも泣いてしまいそうなのに 自分のコトだぞ?なぜ笑っていられるんだ…。 そんな呆気に取られている俺に彼女は微笑みつつ… 「そろそろ、暗くなってきました、帰りましょうか」 「ぇ…ぁ…はい、そ…そうですね」 俺の頭の中は真っ白だった。 かける言葉が見つからない そのまま俺達は帰って行く。 そして、その翌日 いつも通りの公園のベンチに行ったが 彼女はいなかった。 今日は来るのが遅いだけかもしれない そう思って…いつも帰る時間帯まで待ってみたが… 彼女は来なかった。 今日はたまたま来れなかったのかもしれない そうだ、きっとそうだ。 病院で手術の準備…それか… 今もう既に、手術を受けているかもしれない そんなコトは頭の中ではもうわかっている けど、俺は… ココへ来て彼女が来るのを待つコトしかできない。 上手くいったとしても、またココに彼女が来るとは限らない。 それでも、俺はこの場所で待つ 幸せな時間が続かないのならば 終わってしまうのならば… その終わりから…始まりに繋げばいい 俺は繋げる為に… いつまでも…待ってる─ 数ヶ月が経ち… 木の葉が舞い落ちる季節…冬 息を吐けば白くなる。 手を外に露出すれば指先が凍える。 あの時とは真逆な環境 そして俺の同じ行動 俺はまた、いつものベンチに座る… そして…いつもと同じ様に待つ。 ポケットに手を入れ 空を眺め…あの日々を思い出す そんなコトをしていると…。 ─足音が聞こえる もう、誰かはわかっている 足音がコツコツと、じょじょに近づいてくる 隣でその足音は止まった。 俺は空を眺めたまま、微笑つつ 「遅かったね」 俺は立ち上がり、足音の主の方を向く 目の前には…彼女がいた。 彼女は困り顔でこう言った。 「ごめんなさい…待たせてしまいましたか…」 俺は軽く笑い、こう言い返す 「冗談だよ、そんなに待ってない」 彼女は少しムっとした顔で俺を見るが、すぐに微笑みに変わった。 俺は彼女が座るスペースを空け、ベンチに座る 彼女は空いたベンチのスペースに座る 前より距離は近い そして、俺が先に口を開く 「今日は、どこ行こうか?」 「このままココで…いいですか?」 俺は微笑んだまま黙って頷く そして、あの時…あの夏の日々の様に話し合い、笑う 彼女といる『時』が楽しい、そして…嬉しい 何よりも素敵な時間になる この幸せな時が始まったのは… 公園のベンチ 隣に座る彼女 そして… ───…この場所 ----
---- -"死"と"戸惑い"と"全ての始まり" ---- ─「幸せな時間は、そう長く続かない」 ドラマ、アニメ、漫画や小説等で聞くような台詞。 実在の世界でこの台詞が…頭の中で…何度も…何度も。 何度この台詞が頭をよぎったコトか 口には出さない…いや、口に出しても仕方ないのだ。 いつもの公園のベンチに座ってるのは …俺一人 いつもベンチで俺の隣に座っていた彼女は もう一週間もココへ来ていない。 俺は相変わらず、毎日ココへ来ている 来ない理由はわかっている。 彼女の今いる場所も大体は見当がつく けど…俺には…。 彼女はとても重い病だった。 放っておけば死に至る、治療を施しても治るかどうか… 恐らく…彼女は今…病院だ。 けど、場所がわからない、聞き損ねたのだ。 この話を聞いたのは丁度、彼女がココへ来なくなった前の日 俺はその話を聞いた時、呆気に取られていた。 病に侵されているから呆気に取られていたのではなく 彼女は…その話をしている時は、俯き…悲しい顔をしていた。 しかし、その話が終わり、俺の顔を見るなり 微笑んだ…── なぜ…なぜ笑っていらるんだ? 俺は今にも泣いてしまいそうなのに 自分のコトだぞ?なぜ笑っていられるんだ…。 そんな呆気に取られている俺に彼女は微笑みつつ… 「そろそろ、暗くなってきました、帰りましょうか」 「ぇ…ぁ…はい、そ…そうですね」 俺の頭の中は真っ白だった。 かける言葉が見つからない そのまま俺達は帰って行く。 そして、その翌日 いつも通りの公園のベンチに行ったが 彼女はいなかった。 今日は来るのが遅いだけかもしれない そう思って…いつも帰る時間帯まで待ってみたが… 彼女は来なかった。 今日はたまたま来れなかったのかもしれない そうだ、きっとそうだ。 病院で手術の準備…それか… 今もう既に、手術を受けているかもしれない そんなコトは頭の中ではもうわかっている けど、俺は… ココへ来て彼女が来るのを待つコトしかできない。 上手くいったとしても、またココに彼女が来るとは限らない。 それでも、俺はこの場所で待つ 幸せな時間が続かないのならば 終わってしまうのならば… その終わりから…始まりに繋げばいい 俺は繋げる為に… いつまでも…待ってる─ 数ヶ月が経ち… 木の葉が舞い落ちる季節…冬 息を吐けば白くなる。 手を外に露出すれば指先が凍える。 あの時とは真逆な環境 そして俺の同じ行動 俺はまた、いつものベンチに座る… そして…いつもと同じ様に待つ。 ポケットに手を入れ 空を眺め…あの日々を思い出す そんなコトをしていると…。 ─足音が聞こえる もう、誰かはわかっている 足音がコツコツと、じょじょに近づいてくる 隣でその足音は止まった。 俺は空を眺めたまま、微笑つつ 「遅かったね」 俺は立ち上がり、足音の主の方を向く 目の前には…彼女がいた。 彼女は困り顔でこう言った。 「ごめんなさい…待たせてしまいましたか…」 俺は軽く笑い、こう言い返す 「冗談だよ、そんなに待ってない」 彼女は少しムっとした顔で俺を見るが、すぐに微笑みに変わった。 俺は彼女が座るスペースを空け、ベンチに座る 彼女は空いたベンチのスペースに座る 前より距離は近い そして、俺が先に口を開く 「今日は、どこ行こうか?」 「このままココで…いいですか?」 俺は微笑んだまま黙って頷く そして、あの時…あの夏の日々の様に話し合い、笑う 彼女といる『時』が楽しい、そして…嬉しい 何よりも素敵な時間になる この幸せな時が始まったのは… 公園のベンチ 隣に座る彼女 そして… ───…この場所 ----

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