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始まりの銃声 終わる命

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  • 始まりの銃声 終わる命



─…綺麗に整った三日月が出ている静かな夜、人が活動をしないような時間
寂れたホテルのある一室で、若い男女一組の人影が、ポツン…と立っていた。
こんな時間に、こんなにも寂れた所に若い男女一組がいるとすれば
…目的は大体決まっているだろうが
この二人の間には、そのような雰囲気は微塵もなかった…。

男の方は、と言うと…少し茶色がかった黒い髪に茶色い瞳、服装もどこかの学校の制服…どこにでもいるような少年の容姿だ
しかしその茶色の瞳はどこか虚ろで、視線は空中を彷徨っていた。
もう何もかもどうにでもなれ、と、どこか投げやりな態度にも見えた。
一方、女は黒い髪で腰まで伸びている、瞳の色は何よりも透き通るような青い色だ。
こちらもどこにでもいる少女…なのだが、手には拳銃を握っていた。
そのどこか清楚感漂う少女の格好に似合わぬ、手のひらに収まる程度の大きさの拳銃を
向き合っている男の方に何の迷いも無く、ピッタリと狙いを定めていた。

そして…しばらくの静寂の中、容姿に似つかわしくないモノを持つ少女が口を開いた。

「良い終わり方をしようとしたのかしら?
…だとしたら、残念ね。アナタには、良い終わり方なんて…ないのよ」

ただ淡々と、背筋が凍るように冷たい言い方で、少年に話しかけた。

「今のアナタじゃ、そんな終わり方は許されない…。」

表情一つ変えず、ただ無表情で次々と話し続ける。
そして、ひらめいたように、少年に再び話しかけ始めた。

「そうね…きっと、生まれ変わって、違うアナタになったならば、良い終わり方ができるかもしれない。」

ここで初めて少女は表情が悲しそうな、そして寂しそうな顔になった。

「…けど、今のアナタにはココで…─」

実際には数秒だった。しかしその空間だけがポッカリ抜き取られたかのように…
そこだけ時が止まったかのように思えた。

そして、少女は少年をキッ…と見つめて

「終わってもらうわよ。」

止まっていたと思われた空間から、弾ける音がした。
普段聞いたコトのない人が聞けばただの騒音。
一度でも聞いたコトがあれば、銃声だとわかるだろう。

翌日、二人の少年少女がいた場所には…一人…いや、一つの額を打ち抜かれた少年の死体があった。
少年の死に顔は、ただ無気力で、何もかも失ってしまって、呆然としているような顔だった…─


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