自由にゃんこ同盟正統政府 大神聖巫女巫女党 少年と犬

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ハップエフ・トリガスキー:……というワケでだな
无謂:ふむふむ
ハップエフ・トリガスキー:このコロニー建設当時は
ハップエフ・トリガスキー:コロニーっつーよりステーションだったんだな
ハップエフ・トリガスキー:増築、改築を重ね
ハップエフ・トリガスキー:こうして今の規模になったわけだ、このコロニーは。

どこぞの教育番組のお兄さんばりに、コロニーの歴史を説明する男、ハップエフ・トリガスキー。
視聴者は二名。

无謂:ほぅほぅ
无謂:ハップエフはものしりなのです

ひとりは関心げに。

セスカ・セトラージェ:#うつらうつら

もう一人は夢とともに。

ハップエフ・トリガスキー:だから当然、今、オレらが居るような、大規模なデッドスペースや
ハップエフ・トリガスキー:知られざる通路も数多く存在する――ま、そういうことだ
无謂:秘密基地をつくるなのですよはっぷえふ
ハップエフ・トリガスキー:で、今回の仕事では
无謂:#わくわく
ハップエフ・トリガスキー:はっはっ、それも悪くないかもな
无謂:はいなのです#こくこく
ハップエフ・トリガスキー:まぁ、その秘密基地を作ろうとしたのかどうかは知らんが
ハップエフ・トリガスキー:さっき話した問題のガキんちょが
ハップエフ・トリガスキー:この新たに発見された通路の奥にでかけたまま
ハップエフ・トリガスキー:戻ってこないらしいんだ
无謂:むむ
セスカ・セトラージェ:#Zzz...
无謂:皆考えることは一緒、と言うことなのですね
ハップエフ・トリガスキー:ま、オレが仕事を請けた時の話じゃぁ
无謂:というよりセスカが寝てるなのですがいいなのです??
ハップエフ・トリガスキー:この通路は誰も居ない上に、ネズミ一匹……って、オイ

セスカは先ほどまではうとうとしていただけのようだが、今では小さな寝息をたてるように
なっている。
完全あっちの世界。
カムバック、セスカ。

ハップエフ・トリガスキー:……セスカ?
セスカ・セトラージェ:……ん
ハップエフ・トリガスキー:セースーカー?
セスカ・セトラージェ:ん……
ハップエフ・トリガスキー:……ったく。オマエ何も聞いてなかったろ?
セスカ・セトラージェ:……何?
セスカ・セトラージェ:失礼ね
セスカ・セトラージェ:子供を捜しに――ふゎ
セスカ・セトラージェ:……行くのでしょう?

眠そうに、というか完全に寝ていたのだが、一応依頼のほうはきちんと聞いていたようだ。
寝ながら聞いていたのだとするとかなりすごいスキルである。

无謂:ちゃんと寝てるなのですか、セスカ。
ハップエフ・トリガスキー:……ち、ちゃんと聞いてんじゃねーか
无謂:寝不足はびよーにわるいなのです
ハップエフ・トリガスキー:……まぁいい
ハップエフ・トリガスキー:で、この通路の先では
セスカ・セトラージェ:平均すると一日に12時間は睡眠を――ええ
ハップエフ・トリガスキー:SEEDフォームを排除して殺菌作業を終えた安全区画があって
ハップエフ・トリガスキー:その区画から先で、試験的にリニアラインの再開通を
ハップエフ・トリガスキー:する予定になってるらしいんだ
无謂:ほー
ハップエフ・トリガスキー:で、今日は業者がその下見に来るらしいんだけど
ハップエフ・トリガスキー:元々が立ち入り禁止区画だろ? ガキがうろついてるなんて
ハップエフ・トリガスキー:知られたらマズイらしいんだな、これが
无謂:ふーむ
无謂:なるほどなのです
セスカ・セトラージェ:……ま、そうでしょうとも
ハップエフ・トリガスキー:この辺りで見張りについているガーディアンが
ハップエフ・トリガスキー:そのガキの散歩はお目こぼししてたらしくてな
ハップエフ・トリガスキー:慌てて仲間内でそうだんして――それをオレが受けることなったと
ハップエフ・トリガスキー:ま、そういうワケだ
无謂:まさか、見逃していたのははっぷえふだったなのですか?
ハップエフ・トリガスキー:……ぎくっ
ハップエフ・トリガスキー:……コホン。と、とにかくだな
无謂:あ、ごまかしたなのです

无謂はすぐに突っ込みを入れるが、セスカのほうはちらりとハップエフに視線を送ったのみで、
特に何も言おうとはしなかった。
无謂も、それ以上追求はしない。

ハップエフ・トリガスキー:元々はガキが来てイイとこではないのは確かなんだ
无謂:ふーむ、まぁ、それはそうなのです
ハップエフ・トリガスキー:可愛そうだが、秘密基地の建設予定地はどこか他所に移してもらう
ハップエフ・トリガスキー:そういうワケで安全は確保されてるのは確かなんだが
ハップエフ・トリガスキー:なにぶん広いだろう? 人手が欲しくてな
ハップエフ・トリガスキー:ヒマそうにしてたオマエらに仕事を回してやったってことよ
无謂:べつにうーは暇じゃぁないのですよ!
ハップエフ・トリガスキー:オレの優しさに感謝しろよ?
セスカ・セトラージェ:……尻拭いに来てあげたのよ。訂正して頂戴。
ハップエフ・トリガスキー:……ヒマじゃないって……オレの部屋来てゴロゴロしてたぢゃん…
ハップエフ・トリガスキー:ぅ
ハップエフ・トリガスキー:……コホン
无謂:あれはゴロゴロしながらサーバーにアクセスしていたなのです
无謂:重要なお仕事なのですよ

无謂との結婚騒ぎが終わっても、无謂はハップエフの部屋に遊びに行くのを止めようとはしな
かった。
ハップエフのほうも、始めこそ帰るように云っていたものの、やがて諦めて无謂を受け入れる
ようになっていた。
そもそも、无謂はハップエフの部屋でいつもゴロゴロしているだけで、特に何かをせがんでく
るわけでも暴れるわけでもない。

ハップエフ・トリガスキー:……ホントかぁ?
无謂:本当なのです

実のところ、本当である。
无謂の、というよりは、彼女の義理の長姉が運営する輸送会社、カオリ・スターシップの経理は、
无謂の担当である。

セスカ・セトラージェ:……便利そうね、無線ターミナル
セスカ・セトラージェ:羨ましいわ。
无謂:はいなのです
ハップエフ・トリガスキー:……まぁいいや

嬉しそうにナノトランサーからハンディコンピュータを取り出す无謂。
実際のところ、ガーディアンズから支給される携帯端末を使えば、とくにハンディコンピュータ
等は必要無いのだが、无謂は好んでこのコンピュータを使っている。

ハップエフ・トリガスキー:とにかく、報酬は出るんだから、しっかりと仕事してくれ
无謂:これがあれば何時でも何処でもなのです#えへん
无謂:はーい、なのです
セスカ・セトラージェ:了解。

と、丁度そのとき、无謂の持っている端末に、受信マークと、着信音が流れる。
送信元はガーディアンズ本部、となっている。
无謂とてガーディアンズの社員なのだから、普通であれば支給された端末のほうに連絡が来るはず
である。
首を傾げつつ、无謂はコンピュータの画面を皆に見せる。

无謂:ほえ?
セスカ・セトラージェ:?
无謂:なんなのです?
无謂:ガーディアンズ本部からなのです
ハップエフ・トリガスキー:……出てみろよ?
セスカ・セトラージェ:ふむ……
无謂:はいなのです

??:……失礼、こちらガーディアンズ本部、応答願います
无謂:こちらはガーディアンズ所属、无謂なのです、どうぞ
??:……あ、よかった! 繋がったあぁぁぁぁぁぁぁ!
无謂:なにかあったなのです?
??:……えーと……登録ID照合……ウーさんですね?
无謂:はいなのです
??:実は、先にハップエフさんという方が受けた仕事の件で
??:重大な問題が起きまして……彼の捜索願いが出ています
无謂:??
无謂:えーっと、今から捜しに行くところなのです
无謂:すぐ連れ戻すからまつなのですよ
??:あぁ……時間が無いので手短に……はい? 
??:ハップエフさんを探しているんですか? アナタも?
无謂:??
无謂:うーがさがしているのは、子供、なのです
无謂:ハップエフはとなりにいるなのですよ?

いきなり自分の名前が出てきて驚くハップエフ。
捜索願が出ているなどと聞けば、仕方の無いことではあるが。

无謂:まさか、ハップエフはじゅーだいな犯罪を!?
??:……なんですって? ホントに? あぁ、良かった!
セスカ・セトラージェ:……ハップエフを探しているのなら
セスカ・セトラージェ:なぜ、直接通信をしなかったのかしら……
??:……コホン。えー……手短に話します
无謂:?
无謂:はいなのです
??:……お手元の端末を操作してみて下さい。
无謂:?
无謂:#ぴぽぴぽ
セスカ・セトラージェ:……
无謂:あれ、ほんとうなのです。
セスカ・セトラージェ:…………
セスカ・セトラージェ:………………
无謂:ネットにつながらないなのですよハップエフ

高速のフォトン通信が確立してからかなり経過しており、ほとんどのネットは
ワイヤレスのフォトン通信で行われている。
ジャミングでもされていない限り、接続が出来ないと言うことはないのだが……

??:ハップエフさんが居るということは、貴方がたの所在地は
セスカ・セトラージェ:……なるほど。
??:彼が子供の捜索に向かっている未知の階層の通路ですよね?
无謂:そうなのです
??:問題はその通路で起きています。実は……つい数分前ですが
??:3惑星で騒ぎになっているのとは違うタイプの
??:SEEDコアが落着したんです。このコロニーに。
无謂:え?
无謂:新種、なのです?
??:新型のバリアーのおかげで、揺れはほとんど感知されず
??:一般人はこの事実を知らないでいます
??:しかし……落着したSEEDは、新種でこそありませんが、
??:極めて汚染因子の強烈なモノのようなのです……
??:新型のバリアーを破り、無事に通路の一角で巣食う程です
无謂:キケンが危ないなのです!
??:極めて危険なSEEDフォームを生み出している可能性大で
??:現在、周囲の民間人たちに、非難誘導を出している最中です
??:あ、申し送れました。私、本部所属オペレーターの
??:カイ、と申します。よろしく。
カイ:……で、ですね? 今から言うことを良く聞いて
カイ:どうするかを決めて頂きたいのです
无謂:はいです

口の中で文句をいいつつ、端末を弄ぶセスカ。
だが、カイの言うとおり、ネットワークに繋がらないというエラーメッセージが
表示されるだけだ。

カイ:極めて危険なSEEDフォームが出現するであろう予想が
カイ:本部研究員の一致した見解です。
无謂:ふむむ
カイ:よって、貴方がたにお願いしたいのは
カイ:行方不明となっている子供の捜索です
カイ:……ただし……
カイ:元々は危険が無いと判断されていた通路です、
カイ:LL通路側に開けており、隔壁も降りてはいません
カイ:SEEDフォームが通路を伝い、街中に出現しないとも
カイ:限らない状況です。よって、子供の捜索が難航した場合、
カイ:ミッションの優先順位度は変更され、
カイ:区画閉鎖のため一定数のSEEDフォーム討伐となります
カイ:……その場合、子供の命は……優先される対象から外れます
カイ:……ご理解いただけましたでしょうか?
无謂:つまり、子供をとるか、SEEDをとるか、なのですね?
カイ:尚、誠に勝手ながら、貴方がたの本部評価レベルから
カイ:当ミッションの受諾に関して拒否権は与えられません。
无謂:ふむー
カイ:……酷い話ですけど……ガーディアンで居続けたいのなら
カイ:ウーさんのおっしゃる通り、子供の命か
カイ:SEEDフォーム退治のどちらかを受けて頂く必要があります
セスカ・セトラージェ:ふむ。

子供か、SEED、ひいては大勢の人をどちらを助けるべきなのか。
有る意味究極の二者択一といえる。

无謂:これはうーだけでは決められないなのです
ハップエフ・トリガスキー:……だとよ? どーするよ、オイ
无謂:三人でお話をして、連絡をしなおすなのです
ハップエフ・トリガスキー:……チッ……面倒なことに巻き込まれちまったぜ……
无謂:ふむー
カイ:……了解しました。通信はウーさんの端末からお願いします
无謂:ラジオ式の通信装置を遊びでつけたなのですが、こんなところで
无謂:役に立つとは思わなかったなのです

ラジオ、つまり、電波式の通信方法。
フォトン通信は安定しているが、それでもジャミングの方法が無いわけではない。
そういうときに備えて、電波式の通信方法もいまだに使われてはいる。
昔ながらの音声のみ、画像なし、ネットワークの接続不可、といった不便なもので
はあるが。

无謂:で、どうするなのですか、はっぷえふ
ハップエフ・トリガスキー:……不幸中の幸い……なのかなぁ……
セスカ・セトラージェ:ま……別にガーディアンズで居続けたいと敢えて思うわけでは
セスカ・セトラージェ:ないけれど――かといって、依頼……いえ、むしろ命令かしら
セスカ・セトラージェ:それを蹴るつもりはないけれど、ね
无謂:まぁ、普通に考えると、SEED討伐なのだとおもうなのです
ハップエフ・トリガスキー:……まぁ、アレだろ。仮にも社員が見張ってた場所に
ハップエフ・トリガスキー:関係者以外の者、それもガキがうろついてて、
ハップエフ・トリガスキー:それで危険な目にあった、なんて世間様にバレでもしたら
ハップエフ・トリガスキー:会社の信用ガタオチだからな
セスカ・セトラージェ:沽券に関わる、か
ハップエフ・トリガスキー:そうそ。大人の事情って奴だろ
セスカ・セトラージェ:#肩すくめ
ハップエフ・トリガスキー:だから……手近でそれなりの腕の奴に仕事を押し付けた――
ハップエフ・トリガスキー:そんなトコかねぇ
无謂:おとなのじじょーはさておき、どうするなのです?
セスカ・セトラージェ:まあ
セスカ・セトラージェ:……ワタシとしては別に、どちらでも。
ハップエフ・トリガスキー:……そりゃオマエ……ガキを放っておくわけにも……
ハップエフ・トリガスキー:……待てよ?
无謂:でも、子供を助けることになると、SEEDのほうが
无謂:依頼をこなせないことになるなのですよ、はっぷえふ
ハップエフ・トリガスキー:もし、コレでガキにもしものことがあったら……
ハップエフ・トリガスキー:その責任は……さ、最終的には……見張りをしていた者の所に……
ハップエフ・トリガスキー:…………

ハップエフの脳裏に、あまり良いとはいえない未来図が展開する。
首、ならともかくとして、業務上過失致死罪などになれば、大変なことになる

ハップエフ・トリガスキー:決まりだ。ガキを探す
セスカ・セトラージェ:まあ、向こうはどちらかを選べ、と――
无謂:え?
ハップエフ・トリガスキー:お、オレたちは人様を守るのが仕事なんだっ
セスカ・セトラージェ:#ロリガー見る
无謂:はいです
无謂:それがゆえに
无謂:一人と、多くの人、では、多くの人を助けるべきなのです
无謂:と、なると、SEED掃討になるとおもうなのです
ハップエフ・トリガスキー:……ちっ……違う! そーじゃねーだろ、ウー!
无謂:ん?
ハップエフ・トリガスキー:いいか? よーく考えろ?

无謂はよくわからぬというように、首をかしげてハップエフを見る。
勿論ハップエフも自分の発言をよくわかっていないのだろう。
次の発言がそれを如実に表している。

ハップエフ・トリガスキー:大勢を助けるのは……えーと……そう、政治家とかの仕事だ。ウン
ハップエフ・トリガスキー:オレたちガーディアンは、力の無い個人レベルの人々を
ハップエフ・トリガスキー:窮地から救うことにあるのだ、そうだろう!?
无謂:だとしても、いまはうー達の選択によるなのですよ
无謂:大多数の人、も力が無い人たちなのです
ハップエフ・トリガスキー:い、いや、まて、しかしだな
セスカ・セトラージェ:……
ハップエフ・トリガスキー:こ、こんな薄暗いところにだな
ハップエフ・トリガスキー:たった独りで残されて、しかも周囲は怪物だらけ! これは怖い!
ハップエフ・トリガスキー:な、そうだろ? さらにガキなんだぜ? な?

もはや言い訳の方法がこじつけの域を越えていないが、当人は必死である。
ハップエフの脳裏に浮かぶよろしくない未来図は、どんどんと大変なものへとなっていく。

无謂:通行禁止の場所に、わざわざもぐ込んだ子供のほうが
无謂:悪いなのです。
ハップエフ・トリガスキー:……う、うぅ……で、でもだな……
无謂:いうなれば、身から出たサビ、なのです
ハップエフ・トリガスキー:…う、うぐぐぐ……
ハップエフ・トリガスキー:そ、そうだ、セスカ、オマエもオレの意見に賛成だよな? な?
セスカ・セトラージェ:……无謂の言うことは全くの正論だと思うのだけれど
セスカ・セトラージェ:なぜ、そうも反論したがるの?#ロリガーの目を凝視し

頼みの綱……にしては水に浮かぶわらのそれに近いセスカへ意見を求めるが、自爆。
未来図、一歩前進。
あまりにもしどろもどろなハップエフに、流石の无謂もいぶかしげな視線を向ける。

ハップエフ・トリガスキー:……い、いや、だってオマエ……ねぇ?
ハップエフ・トリガスキー:…………
セスカ・セトラージェ:……
无謂:まさかはっぷえふ、うー達になにか隠しているなのです?
ハップエフ・トリガスキー:……ば、バカな!
ハップエフ・トリガスキー:お、オレが何故オマエたちに隠し事などせねばならんのだっ
セスカ・セトラージェ:……と、言われるほどに
セスカ・セトラージェ:親密な仲だったのかしら、ワタシとアナタは。
ハップエフ・トリガスキー:お、オレは純粋に正義の心、義憤にかられてだな……
ハップエフ・トリガスキー:…………
ハップエフ・トリガスキー:と、とにかくっ!
ハップエフ・トリガスキー:……どちらにせよ、時間は無い――そうだろう?
ハップエフ・トリガスキー:な? な?
无謂:ま、まぁ、そうなのですけど
ハップエフ・トリガスキー:よ、よーし、じゃあ決まりだっ
无謂:まぁ、まだセスカの意見を聞いていないなのです
无謂:セスカはどう思うなのです?
ハップエフ・トリガスキー:四の五の言わずに、とっととガキを探しちまえばいいんだ。ウン!
セスカ・セトラージェ:……
ハップエフ・トリガスキー:い、行こうぜ? な?ホレ、な?
无謂:あやしーなのです!
セスカ・セトラージェ:无謂の言うことは正論。でも……
ハップエフ・トリガスキー:……………
セスカ・セトラージェ:……
无謂:どうしたなのですか?

セスカは饒舌なほうではないが、さりとて、会話中に口をつぐむ、というようなことをするタ
イプでもない。

セスカ・セトラージェ:……ワタシには、判らない
セスカ・セトラージェ:どちらが、本当に、正しいのか
ハップエフ・トリガスキー:……な、なんだ、判らないってのは?
セスカ・セトラージェ:……判らない。
无謂:一人か複数なら、複数にしろ、爺が教えてくれたことなのです
无謂:……

无謂の言葉にも、セスカはただ俯くのみ。

ハップエフ・トリガスキー:……い、いや、こう考えろ、ウー?
ハップエフ・トリガスキー:仮に、仮にだぞ? 通路に残されているのがガキではなく、
ハップエフ・トリガスキー:オマエだったとしたら……助けに来てくれたら嬉しいだろ?
无謂:ん~
无謂:#くびをかしげつつ
无謂:どうなの、ですかね
ハップエフ・トリガスキー:誰も助けに来てくれなきゃ、寂しいよな?
无謂:ん~
ハップエフ・トリガスキー:……どうなの、ってオマエ……
ハップエフ・トリガスキー:……オマエら、ヘンなトコでドライなのな?
无謂:?
无謂:お水は飲んでるから乾いていないなのですよ
ハップエフ・トリガスキー:……いや、まぁ、そのドライではないんだが……

そういいつつ、奇妙なものを見るような目で、ハップエフは二人の少女、すくなくとも
外見は、をみる。

无謂:まーセスカ
セスカ・セトラージェ:……ワタシにはただ、判らないだけ
无謂:正しい、間違いを、明確に分けられるものは無い
无謂:だから、自分がいいと思うほうを選べ、と、爺がいっていた
无謂:なのです
无謂:好き嫌いでいいと思うなのですよ
ハップエフ・トリガスキー:……よ、よし
ハップエフ・トリガスキー:判らないのなら、オレの意見に従ってみればいいじゃないか、ウン
ハップエフ・トリガスキー:その上で、間違ってる、ヤバイって思うなら
ハップエフ・トリガスキー:その時はまた考えればイイじゃないか。な?
无謂:……
セスカ・セトラージェ:……でも、アナタの言葉は、ワタシには詭弁に聞こえる。
ハップエフ・トリガスキー:ど、どっちにしたって、時間は無いんだからよ
ハップエフ・トリガスキー:……あー、もう! いいからいいから!
セスカ・セトラージェ:……
ハップエフ・トリガスキー:……判った。判った。
ハップエフ・トリガスキー:……この仕事終わったら……甘いモノでもなんでもおごる。
无謂:……
无謂:なんでも?
ハップエフ・トリガスキー:ケーキでもアイスでも、クレープでも、何でもいいぞ? ウン
无謂:いっぱい?
ハップエフ・トリガスキー:も、もちろん。いっぱいだとも。ウン
无謂:わかったなのです
セスカ・セトラージェ:#ふ、っと溜め息
无謂:この際大人数のひとにはこまっていただくなのです#うんうん

ここにきて、最終兵器「買収」を使うハップエフ。
无謂要塞、撃沈。

ハップエフ・トリガスキー:……………
セスカ・セトラージェ:選べない。判断もできない。
セスカ・セトラージェ:……でも言い逃れはできない
セスカ・セトラージェ:なら……
无謂:#くびかしげ
ハップエフ・トリガスキー:……なら?
无謂:今日のセスカは変なのですね?
セスカ・セトラージェ:アナタ達の意志を、ワタシの意志とするしかない
セスカ・セトラージェ:……
ハップエフ・トリガスキー:…………
无謂:・x・?
ハップエフ・トリガスキー:……オマエ、時々妙なモノ言いするんだな
无謂:まぁ、お仕事終わったら沢山甘いものたべればいいなのですよ
ハップエフ・トリガスキー:いつもヘンに冷静なくせに
セスカ・セトラージェ:……この選択に関して、いかなる非難を浴びることがあろうとも
セスカ・セトラージェ:アナタ達に従っただけ、という言い逃れをする気はない
セスカ・セトラージェ:……それだけ。
ハップエフ・トリガスキー:こういう時に質問されると、決まっておかしなコト言うよな?

やることが決まったとなれば、とばかりに、无謂はハンディコンピュータを操作する。
受け取った電波から周波数を選び、送信。

无謂:えーと、子供を助けることにしたなのです。
无謂:じゃぁ、もういくなのです
カイ:……お話は決まったようですね……では……って、ちょ……

カイの返答もまたず、无謂は通信を切る。
彼女の頭の中はもはやおやつでいっぱいなのだ。
オペレーターとの会話ももどかしい。

无謂:さ、いくなのですよはっぷえふ~
セスカ・セトラージェ:……
无謂:ケーキが、アイスが、クレープが、餡蜜が、お饅頭が、お団子が
无謂:まっているなのです!!!!
ハップエフ・トリガスキー:……そんなに食うんかい
无謂:ふふふーなのです
ハップエフ・トリガスキー:何か一つにしろよ……太っても知らんぞ、まったく……
ハップエフ・トリガスキー:……まぁいいよ
无謂:さ、いくなのですよ
ハップエフ・トリガスキー:責任はオレがとるから
ハップエフ・トリガスキー:オマエらは手伝ってくれさえすりゃいい

思いつめたような表情を見せつつ、だが、武器を手にしてセスカは立ち上がる。

无謂:どうしたなのですか、セスカ?
セスカ・セトラージェ:……いえ……別に。
ハップエフ・トリガスキー:……どのみち、オレの責任になるわけだし……
无謂:変なセスカなのです
セスカ・セトラージェ:変……
セスカ・セトラージェ:そう、ね……
セスカ・セトラージェ:……
ハップエフ・トリガスキー:ったく、面倒かけやがって、あのガキャ……
ハップエフ・トリガスキー:って、うおっ!?
セスカ・セトラージェ:これは――
无謂:あれ?
セスカ・セトラージェ:く
无謂:いつもと形がちがうなのですって
无謂:よくもはっぷえふを

いつもの連絡用通路にいるSEEDエネミー形状が違う。
その中の一匹が、紫色をした球体をハップエフに投げつける、直撃して倒れる、ハップエフ。

セスカ・セトラージェ:強い……
セスカ・セトラージェ:……これは……
无謂:こ、これは……どういうことなのです?
セスカ・セトラージェ:……なるほど。あの娘の言っていた通りのようね
ハップエフ・トリガスキー:……ココにも……ちっやっぱ出やがったぜ
セスカ・セトラージェ:ふ、む
无謂:見たことの無いタイプなのです
ハップエフ・トリガスキー:……うーむ……こりゃ本腰いれねーと、こっちがヤバイな
无謂:はいなのです
ハップエフ・トリガスキー:……ガキ、マジでヤバイんじゃねーか、こりゃぁ……
ハップエフ・トリガスキー:仕方ねぇ……行くか
セスカ・セトラージェ:……まだ御しうる。けれど……そうね
ハップエフ・トリガスキー:くそっ
ハップエフ・トリガスキー:ゾロゾロ沸いてきやがるぜ
ハップエフ・トリガスキー:…………
ハップエフ・トリガスキー:ちと先を急ぐか
セスカ・セトラージェ:なるほど。これは取捨選択を迫られるワケね
ハップエフ・トリガスキー:……あぁ
ハップエフ・トリガスキー:……ふぃ~
无謂:ふーむ
セスカ・セトラージェ:で、子供を捜すとは言ったものの――
セスカ・セトラージェ:結局、闇雲に走り回るぐらいしかないのかしらね
无謂:何処に行ったのか、正確なところ、わからないなのです
无謂:こまったなのですねぇ
ハップエフ・トリガスキー:まぁ、実際のとこ、こんなトラブルに見舞われなくても
ハップエフ・トリガスキー:人手を使って探して回る予定だったからな……
无謂:と、すると
无謂:うー達がいる区画にはいない可能性があるなのですね?
ハップエフ・トリガスキー:しかし……通信波も狂わすようなSEED因子濃度だからなぁ
ハップエフ・トリガスキー:……そうだな。この区画にはいない可能性もある
セスカ・セトラージェ:……センサーもアテにならない、か
ハップエフ・トリガスキー:あぁ
无謂:いまは何でもフォトンをつかっているなのです
无謂:これがなくなっただけでこれでは、キケンかもなのですね
ハップエフ・トリガスキー:幸い、動体センサーは働いてくれるようだが
ハップエフ・トリガスキー:近くでないと判らないとなると、行方不明者の捜索には、な……
ハップエフ・トリガスキー:あぁ
无謂:まぁ、しかたないなのです
无謂:闇雲なのです
ハップエフ・トリガスキー:声出して駆け回るしかねーか
セスカ・セトラージェ:ふむ、まあ、そうね
ハップエフ・トリガスキー:くそっ……こんなコトなら真面目にガキを追っ払うべきだったぜ…
无謂:そうだ
无謂:新しい武器を試してみるなのです……

唐突に思い出したように、ナノトランサーから銃を取り出す无謂。
格好よく、かどうかは不明だが、ポーズをとる。
銃はGRM社のバレットマスター。
上位機種が出て久しいとはいえ、未だ高級機種に位置付けられている双銃である。

ハップエフ・トリガスキー:ほう?
ハップエフ・トリガスキー:お
无謂:ふふ
无謂:なのです
ハップエフ・トリガスキー:……っていうか、ウー、人に向かって銃口を向けるんぢゃないっ
ハップエフ・トリガスキー:あ、危ないだろっ
无謂:安心するなのですはっぷえふ
无謂:安全装置はとっぱらってあるなのです
セスカ・セトラージェ:……ふむ#ウーの銃に暫し見入る
ハップエフ・トリガスキー:……尚悪いぢゃねーかよ

さらに云えば、スタン・モードも取っ払ってある。

无謂:-x-
无謂:どうしたなのですセスカ?
ハップエフ・トリガスキー:ったく……まぁいい
ハップエフ・トリガスキー:おーい、ガキんちょやーい!
セスカ・セトラージェ:……いえ、個人的に少し興味があるだけ。
无謂:武器が好きなのです?
セスカ・セトラージェ:好きというか――
セスカ・セトラージェ:……まぁ、そう、ね、好きなのかも……ね
无謂:…って、重いなのです
ハップエフ・トリガスキー:……どこで拾ったんだか知らんが、えらい高そうな銃だな
无謂:イニアスが設計書をくれたなのです
无謂:それを見ながらうーが作ってみたなのです
ハップエフ・トリガスキー:イニアス? ……あぁ、あの男か
セスカ・セトラージェ:ふぅ、ん……彼がね……
无謂:俺にはこれがあるから、といって、とても高そうな銃を
无謂:みせてくれたなのです
ハップエフ・トリガスキー:へぇ? 器用だとは思っていたけどな……
ハップエフ・トリガスキー:銃を作れるなんて大したもんだぜ、ウー
无謂:パーツの組み合わせをするだけなのです
セスカ・セトラージェ:……確かに彼、GRM社製の
セスカ・セトラージェ:最高級カスタムモデルの双短銃を愛用していたわね、確か。
ハップエフ・トリガスキー:オレなんてパシリに任せっきりだし……
ハップエフ・トリガスキー:失敗するしな、アイツ……
ハップエフ・トリガスキー:かーっ、うらやましいねぇ、ブルジョワは。
ハップエフ・トリガスキー:こちとらカッツカッツだっつーのに……
无謂:すごうでのガーディアンズはやっぱちがうなのです
无謂:でも、そういうハップエフも銃も剣も、いいものなのです

片手件はジートシーン、短銃はブトゥキ・ハドック。
ともに高級品である。
特に、ブトゥキ・ハドックなどは、カスタムメーカークバラ社のものである。

ハップエフ・トリガスキー:……ま、まぁな!
セスカ・セトラージェ:そうね、それでもそれなりのモノよ

だが、実はどちらも貰い物だったりする。
勿論、ここでそんな事いえるわけがないが。

ハップエフ・トリガスキー:……コホン
ハップエフ・トリガスキー:そ、そんなコトよりだな
无謂:まぁ、武器の見せ合いをしていても仕方ないなのです
ハップエフ・トリガスキー:い、今はガキが先だ、ガキが。
无謂:いこうなのです
无謂:#こくこく
ハップエフ・トリガスキー:う、うむ
セスカ・セトラージェ:……そうね
无謂:おーい がきんちょー
无謂:どこなのですー
ハップエフ・トリガスキー:……ヘンな詮索されなくてよかった……
セスカ・セトラージェ:む……
ハップエフ・トリガスキー:どうした?

セスカは肩をすくめつつT字路を指差す。

无謂:よし、うーはこっちいくなのです
ハップエフ・トリガスキー:……あ、ま、待てよっ
无謂:?
セスカ・セトラージェ:……ここの敵相手では、分散は危険ね
无謂:ふむむ
ハップエフ・トリガスキー:……あぁ
无謂:じゃぁ、みんなでいくなのです
セスカ・セトラージェ:ええ
ハップエフ・トリガスキー:って、来やがったぞ
无謂:……
无謂:はっぷえふテクニックつかえたなのですね
ハップエフ・トリガスキー:まぁなっ
セスカ・セトラージェ:……行き止まり
无謂:おーい
无謂:がきんちょー
无謂:いたらへんじするなのですー
ハップエフ・トリガスキー:瓦礫と積もったホコリからしても、ココにゃいねーな
无謂:ふーむ
ハップエフ・トリガスキー:うし、戻ろう
无謂:はいなのです
无謂:ふーむ
ハップエフ・トリガスキー:畜生、いねーな
无謂:どこいったなのですがきんちょ
ハップエフ・トリガスキー:くっそー……ウジャウジャと……
无謂:おーい
セスカ・セトラージェ:……居ない、わね
无謂:あ
セスカ・セトラージェ:?
无謂:これは……

エネミーを掃討しつつ、先を進む一行。
无謂は、何かを目に留めて近づく。

无謂:おもちゃなのです
无謂:む?
无謂:動物の、うんち、なのです
セスカ・セトラージェ:……?

そこには、壊れかけたリニアラインのおもちゃ、何かの動物と思われるフン、開封
されたレトルト食品のパックなどが落ちていた。

ハップエフ・トリガスキー:……なんだこりゃ?
无謂:がきんちょがここで食事でもしたなのですかね?
ハップエフ・トリガスキー:……トイレにも行かないで野グソかよ……
无謂:ん~
ハップエフ・トリガスキー:……って……人間のじゃねーのか、コレ……
无謂:多分、なのです
セスカ・セトラージェ:……見たところ、人間のものではない気もするわね
ハップエフ・トリガスキー:ふーむ……なんだか判らんが
ハップエフ・トリガスキー:ガキが居た可能性が出てきたな
无謂:あまり時間はたっていなそうなのです
ハップエフ・トリガスキー:……秘密基地……のつもりだったのかな……
无謂:急げば間に合うかもなのです
ハップエフ・トリガスキー:あぁ。そうだな。その通りだ
ハップエフ・トリガスキー:よし、行こう
无謂:#こくり
セスカ・セトラージェ:ええ
无謂:一応もっていくなのです
ハップエフ・トリガスキー:おう
无謂:はっぷえふ、もっててなのです
ハップエフ・トリガスキー:おうさ
ハップエフ・トリガスキー:居ないな
无謂:何処までなのです、がきんちょは
セスカ・セトラージェ:……やれやれ、何処まで行ったのやら
ハップエフ・トリガスキー:……ったく、世話やかせやがるぜ
ハップエフ・トリガスキー:くっそー
无謂:まったく、見張りの人も困った人なのです
ハップエフ・トリガスキー:要らん奴らはゾロゾロと
无謂:ふー
ハップエフ・トリガスキー:…………コホン
无謂:どうしたなのです?
ハップエフ・トリガスキー:……な、なんでも
无謂:ふむ??
ハップエフ・トリガスキー:い、行くぞ
无謂:へんなはっぷえふなのです
无謂:あ、あれあれなのです
セスカ・セトラージェ:ン……
ハップエフ・トリガスキー:……くそっ……何処行きやがったンだ
无謂:次の駅にきちゃったなのですよはっぷえふ
ハップエフ・トリガスキー:……なんてこった
セスカ・セトラージェ:……結局、通路を抜けてしまったわけね

Exit、の文字が浮かぶ案内版を横目に、通路を抜ける。
つまりは次のステーションだ。
それなりの道を歩いたことになるが、子供の姿は無い。

ハップエフ・トリガスキー:あのガキ、何がちょっと近くを散策、だ、まったく……
ハップエフ・トリガスキー:こんな遠くまでうろつきやがって……
无謂:どうしようなのですはっぷえふ
セスカ・セトラージェ:……既に捜索対象がSEEDフォームの犠牲になっている
セスカ・セトラージェ:可能性は?
ハップエフ・トリガスキー:……どうしようって……行くしかねーだろ、やっぱ。
无謂:可能性は0じゃないなのです
无謂:でも、死体が残っていないなのです
ハップエフ・トリガスキー:……最悪の状況を考える必要が……畜生ッ
セスカ・セトラージェ:……そうね
ハップエフ・トリガスキー:い、いや、まだ間に合うはずだっ
セスカ・セトラージェ:少なくともここまで来るまでの間に
无謂:まぁ、SEEDモンスターが人間を食べるなら、別なのですが
セスカ・セトラージェ:それらしい痕跡も無かったし、ね
ハップエフ・トリガスキー:……行こう
无謂:はいです
セスカ・セトラージェ:ええ
ハップエフ・トリガスキー:…………
无謂:それで、どうするなのです?
ハップエフ・トリガスキー:そうだな……

多少手詰まり感を感じつつ、立ち止まる一行に、再び通信が入る。

无謂:ん
无謂:はい、无謂なのです
カイ:……皆さん、大丈夫ですか?
无謂:うー達は大丈夫なのですが……がきんちょがいないなのです
カイ:他にも子供の捜索に出てもらったチームが居るのですが……
カイ:付近のSEEDフォームが予想以上に協力で
カイ:何チームかが撤退を余儀なくされました
无謂:あれでは仕方ないことなのです
カイ:現在、本部では隔壁を下ろし、区画封鎖に向けて
カイ:委員会を緊急招集して決議を行っています
无謂:むむむ
カイ:……このままだと、子供の捜索は打ち切られます
カイ:SEEDフォームにどれだけ有効化は不明ですが、
カイ:最悪、閉鎖区画に神経ガス投入も考えられているようです
カイ:子供を捜すのなら、時間がありません
无謂:まだ未捜索のエリアはどのくらいあるなのですか?
カイ:実は、子供の行方について目撃者等から情報を集め
カイ:いくつかの可能性が出てきました
カイ:一つ、子供はシェパードという大型犬種を連れている
カイ:一つ、子供は……今貴方たちの居る区画に近い、
カイ:展望台に続くLL通路付近に居る可能性が高い
カイ:……どうも子供は……タルト君、という8歳の少年ですが
カイ:犬を飼いたいと親にねだり、反対され
カイ:この通路で犬を密かに飼っていたらしいのです
无謂:ふむむむ
セスカ・セトラージェ:#通話を耳に入れつつ、錠剤を幾つか口へ放り込み、ぼんやりと
カイ:問題の犬はどうやら捨て犬のようで
カイ:元は何かの施設で飼われていたものと思われます
カイ:……実は、その犬が新たな問題として浮上してきました
无謂:むむ?
カイ:原生生物を始めとするあらゆる動植物たちは
カイ:SEEDフォームの放つ汚染因子によって凶暴化します……
カイ:つまり、少年の一番近くに居るであろう犬が
カイ:少年にとって脅威になりうるのです
无謂:これは急がないといけないなのです
カイ:……皆さん、もし、必要が生じた場合は……
无謂:わかっているなのです
无謂:迅速に処置するなのです
カイ:……お話が早くて助かります
セスカ・セトラージェ:#眼を閉じ、じっと
无謂:じゃ、うー達はもう少し捜してみるなのです
カイ:お願いします……何かあったら、すぐ連絡して下さい
无謂:はいなのです
无謂:#ぴっ
ハップエフ・トリガスキー:……うっわー……
ハップエフ・トリガスキー:ガキの前で犬を撃ち殺したら……
ハップエフ・トリガスキー:……うわー……考えたくねー……
无謂:でも死ぬよりはマシなのです
ハップエフ・トリガスキー:そりゃまぁ、そうだけどよぉ
无謂:ふーむ
无謂:まぁ、それはうーがやるなのです
ハップエフ・トリガスキー:……オマエが?
无謂:はいなのです
ハップエフ・トリガスキー:…………いや。ダメだ
无謂:なぜなのです?
ハップエフ・トリガスキー:……もし、どうしてもその必要があるなら……オレが……
セスカ・セトラージェ:……
ハップエフ・トリガスキー:オレがやる。オマエたちは手を出すな
无謂:変なハップエフなのです
无謂:誰がやっても同じなのです
ハップエフ・トリガスキー:………………
无謂:まぁ、いいなのです
ハップエフ・トリガスキー:……まぁいい
无謂:さ、さ、
无謂:セスカ起きるなのですよ
ハップエフ・トリガスキー:あぁ。先にガキを探そう。全てはそれからだ
セスカ・セトラージェ:#無言で立ち上がり、ゆらりと歩き出す
无謂:……
ハップエフ・トリガスキー:……セスカ、オマエ……大丈夫なのか?
无謂:むー
セスカ・セトラージェ:……?
セスカ・セトラージェ:何が?
无謂:体調が悪いなのです?
ハップエフ・トリガスキー:顔色は……あんまりかわらんように見えるが……
无謂:ふらふらしているなのです
セスカ・セトラージェ:……少し、考え事をしていただけ。
ハップエフ・トリガスキー:……犬のことか?
无謂:ふむむ
セスカ・セトラージェ:犬? ……あぁ
ハップエフ・トリガスキー:それなら心配しなくていいぞ。いざとなれば……オレがやるからな
セスカ・セトラージェ:……まぁ、そんな心配をしていたのではないのだけれど
ハップエフ・トリガスキー:ん? じゃあ、ガキの安否か?
无謂:何か気になることでもあるなのですか?
セスカ・セトラージェ:……ワタシ自身にも、よく解らないわ。
ハップエフ・トリガスキー:……フン?
ハップエフ・トリガスキー:どうしても辛いってんなら、この場に残ってもいいが……
ハップエフ・トリガスキー:そうでないなら、最後まで付き合ってもらうぞ?
ハップエフ・トリガスキー:やることだけはやっておきたいから、な
セスカ・セトラージェ:辛い……ふむ
セスカ・セトラージェ:なるほど……そう見えるのね
无謂:まぁぼーっとしているようにはみえたなのです
ハップエフ・トリガスキー:……そう見えるって……他にどう見えるってんだよ、まったく……
ハップエフ・トリガスキー:まぁいいよ、気にすんな。ウン。女にイヤな仕事なんてやらせん
セスカ・セトラージェ:ふむ……
无謂:イヤな仕事、なのです?
セスカ・セトラージェ:……まぁ、アナタ達の心配していることとは多分、違うと思うから
无謂:子供を助けるのはイヤなのです?
ハップエフ・トリガスキー:……イヤだろ、だって?
无謂:??
ハップエフ・トリガスキー:違うよ、犬だよ、犬
セスカ・セトラージェ:その点は大丈夫よ
无謂:犬がどうかしたなのです?
ハップエフ・トリガスキー:やだろ? ガキの可愛がってた犬を目の前で……さ?

バン、と銃を撃つしぐさをするハップエフだったが、无謂のほうは、首を傾げるのみ。

无謂:なのぜなのです?
ハップエフ・トリガスキー:……なぜってオマエ……イヤだろうよ?
无謂:撃たないと、タルトはしぬなのです。
ハップエフ・トリガスキー:い、いや、そうだけどさ
无謂:むむ、はっぷえふがまた難しいことを言い始めたなのです
ハップエフ・トリガスキー:でも……そのタルトが可愛がってた犬なんだぞ?
セスカ・セトラージェ:子供が辛い思いをするかも知れない
セスカ・セトラージェ:死ぬよりマシと解っていても――
无謂:犬はまたかうなり拾うなりすればいいなのです
ハップエフ・トリガスキー:そうそう。そういうことだ。
无謂:むむ、犬を撃つと子供は辛い思いをするなのです?
ハップエフ・トリガスキー:……なんだって?
セスカ・セトラージェ:理屈では解っていても。
セスカ・セトラージェ:ふむ。
ハップエフ・トリガスキー:……ちょ、ちょっと待て……
无謂:どうしたなのですはっぷえふ
ハップエフ・トリガスキー:……ウー?
无謂:はいです?
ハップエフ・トリガスキー:オマエ……今の……ジョーク、だよな?
トシュア・アルガンス:よう、お前ら!
无謂:むむ、うーは何時だってマジメなのです!

ハップエフが无謂の言葉に少なからず驚愕を覚え、問い詰めようとしたとき、任務か、
或いは訓練かでここまで来たトシュアが声をかけてくる。

ハップエフ・トリガスキー:っと、……トシュアか?
ハップエフ・トリガスキー:久しぶりだなオイ
セスカ・セトラージェ:……どちら様?
无謂:トシュアはねはえたなのですね
ハップエフ・トリガスキー:あぁ、紹介するよ
トシュア・アルガンス:相変わらずラブラブしてんのかぁ?
ハップエフ・トリガスキー:こちら、トシュア・アルガンス
无謂:にんむちゅーなのです
ハップエフ・トリガスキー:見ての通り、戦闘になれたキャス……
ハップエフ・トリガスキー:……あのな、トシュア
セスカ・セトラージェ:ふむ
トシュア・アルガンス:おお、トシュアてんだ、よろしくな!
トシュア・アルガンス:ん?
ハップエフ・トリガスキー:オレとウーは、別にそういうカンケーじゃねーの。
无謂:??
ハップエフ・トリガスキー:ったく……
トシュア・アルガンス:わぁーてるって、
无謂:何の話なのです?
セスカ・セトラージェ:……セスカ・セトラージェ。ヨロシク。#無表情に
トシュア・アルガンス:おう、よろしくな!
ハップエフ・トリガスキー:で、トシュア。こちらはセスカ。
ハップエフ・トリガスキー:ナリは小さいが、かなり器用な奴でな
ハップエフ・トリガスキー:色々な武器を使いこなす奴なんだ
トシュア・アルガンス:ほうほう
ハップエフ・トリガスキー:……っと、こんなのんびり和んでる場合じゃねーんだったよ
无謂:そうそう、そうなのです
ハップエフ・トリガスキー:なぁ、トシュア? オマエ、今ヒマか?
トシュア・アルガンス:で、どうしたんだぁ?
トシュア・アルガンス:おう、まーな
ハップエフ・トリガスキー:……うし、戦力ゲット。

トシュアの戦闘力はトップクラス。
手伝ってくれるのなら戦闘がかなり楽になることだろう。
だが、手伝ってくれるとは言っていない。
捕らぬ狸のなんとやら。
まぁ、知り合いから頼み事をされて断るようなトシュアではないのだが。

ハップエフ・トリガスキー:トシュアよ。実はな……
トシュア・アルガンス:離婚の危機か?
ハップエフ・トリガスキー:この先の通路で、ガキが一人迷い込んでてな
セスカ・セトラージェ:……#再びぼー
ハップエフ・トリガスキー:……その話題から離れろっつーの!
无謂:むむ
ハップエフ・トリガスキー:と、とにかくだな
ハップエフ・トリガスキー:LL通路の再開通予定地に
无謂:セスカはぼーっとしてばかりいるなのですね
ハップエフ・トリガスキー:8歳のガキが犬連れて迷い込んでんだ
セスカ・セトラージェ:#ウー見て
トシュア・アルガンス:つまりそのガキを助けりゃいい訳
ハップエフ・トリガスキー:しかも、SEEDコアが落着した付近の区域でな
セスカ・セトラージェ:……一応
ハップエフ・トリガスキー:そういうこった
セスカ・セトラージェ:考え事を、しては、いる、つもり。
ハップエフ・トリガスキー:ただ、コアがやたら強力な汚染因子をばら撒いてるらしくて
无謂:何を考えているなのです?
ハップエフ・トリガスキー:この付近に出るSEEDフォームは偉く強敵なんだよ
ハップエフ・トリガスキー:本部は最悪の場合、ガキを見捨てて区画閉鎖する可能性がある
トシュア・アルガンス:じゃ急がねぇとヤバイじゃねーか?
セスカ・セトラージェ:……#何故か呆然としたようにウーを見て
セスカ・セトラージェ:……何、だった、かしら?
ハップエフ・トリガスキー:そ。だからオレらは急いで救助に向かわにゃならんってことなんだ
ハップエフ・トリガスキー:オマエ、手伝ってくれねーか?
无謂:セスカだいじょうぶなのです??・x・
トシュア・アルガンス:おう、いいぜ!

二つ返事のトシュア。
いい奴なのか、単純なのか……おそらくは両方。

ハップエフ・トリガスキー:……っしゃ、助かるぜ
ハップエフ・トリガスキー:二人とも
セスカ・セトラージェ:……少し、調子が悪いのかも知れないわね#錠剤ぱくり
ハップエフ・トリガスキー:トシュアも協力してくれることになった
无謂:おー
セスカ・セトラージェ:ふむ
无謂:よろしくなのですよとしゅあ
ハップエフ・トリガスキー:トシュアは腕が立つ。信用していい
セスカ・セトラージェ:……まぁ、ヨロシク。
トシュア・アルガンス:おう、まかせとけ!
ハップエフ・トリガスキー:……よし、そうと決まれば、早速いくか
无謂:これが終わったら、甘いものをはっぷえふが奢ってくれるなのです
无謂:はいなのです
ハップエフ・トリガスキー:……ウー。甘いモノの前に
无謂:?
ハップエフ・トリガスキー:あとでちょっと一緒に話をしよう
无謂:!
ハップエフ・トリガスキー:……いいな?
无謂:は、はいなのです#ぽっ
トシュア・アルガンス:ほほー、じゃ俺にもなんかおごれ!
无謂:やっとその気になってくれたなのですね……
ハップエフ・トリガスキー:……なんで赤くなってんだ……?
无謂:うふふ、なのです

多分多大に勘違いをしている无謂。
赤くなってかなり嬉しそうにしている。

ハップエフ・トリガスキー:……わかったわかった。オマエにもおごるよ
ハップエフ・トリガスキー:ったく……
无謂:#上機嫌に
ハップエフ・トリガスキー:さ、行くぞ
无謂:さ、さ、さ、いくなのです
セスカ・セトラージェ:……了解
トシュア・アルガンス:んじゃ行くか
トシュア・アルガンス:サンキュー!
ハップエフ・トリガスキー:っし、行くか
无謂:おーい、がきーどこなのですー
トシュア・アルガンス:おう!
ハップエフ・トリガスキー:て、くそっ
ハップエフ・トリガスキー:……ココじゃなさそうだ
无謂:ここにもいないなのです
ハップエフ・トリガスキー:世話焼かせるぜ、ったく
トシュア・アルガンス:奥だな
トシュア・アルガンス:おぉぉぉぉぉーー!!
トシュア・アルガンス:オラオラオラァ!!
无謂:トシュアは元気なのです
ハップエフ・トリガスキー:……ふぅ
无謂:セスカはトシュアの元気さを見習うなのです
ハップエフ・トリガスキー:こりゃトシュアが来てくれなかったら
ハップエフ・トリガスキー:マジでやばかったかもな……
トシュア・アルガンス:なーに気合いよ、気合い
セスカ・セトラージェ:?
セスカ・セトラージェ:……何が?
无謂:そう!気合なのですよセスカ!
セスカ・セトラージェ:……ふむ
トシュア・アルガンス:そう気合いだ!
无謂:うんうん、なのです
ハップエフ・トリガスキー:……やる気があるんだかないんだか判らんやっちゃなぁ……
セスカ・セトラージェ:……なんだかよく解らないけれど
ハップエフ・トリガスキー:トシュアと足して2で割ったら丁度よさそうだぜ……
ハップエフ・トリガスキー:……コホン。ま、まぁいい
セスカ・セトラージェ:叫びながらでは、余計な体力を消耗するわよ
ハップエフ・トリガスキー:さ、行くぞっ
ハップエフ・トリガスキー:まだ間に合うかもしれんからな
无謂:むー
トシュア・アルガンス:なんなら、ハップエフにも必殺技考えてやるぜ~
トシュア・アルガンス:おう
无謂:必殺技!
无謂:うーにもほしいなのです!
ハップエフ・トリガスキー:い、いらねーよ、ンなモン
无謂:!
ハップエフ・トリガスキー:いいから! 行くぞ、ホレ!
无謂:なぜなのですはっぷえふ
セスカ・セトラージェ:……
无謂:う、わかったなのです
ハップエフ・トリガスキー:……ったく
トシュア・アルガンス:ちぇ~
无謂:くらえ、うーうぇーびーっむっ
トシュア・アルガンス:行くぜ!スパライラルナッークル!!

やけにテンションの高い二人。
无謂のほうは単にカノンを撃っただけ。
トシュアのほうもPAを使っただけなのだが。

无謂:いまいち銃は派手さにかけるなのです
ハップエフ・トリガスキー:……イカン、ウーがヘンなこと覚えちまいそうだ……
トシュア・アルガンス:そうだなぁ…
无謂:やっぱこう、バクハツがほしいなのです
トシュア・アルガンス:ハップエフトルネードなんてどうだ!

馬鹿二人が微妙な路線で盛り上がっているところで、傷つき、血を流すセスカに目を止める。

ハップエフ・トリガスキー:おいおい、セスカ!
セスカ・セトラージェ:?
ハップエフ・トリガスキー:オマエ、傷だらけじゃねーかっ
セスカ・セトラージェ:……あぁ……
ハップエフ・トリガスキー:ヤバイと思ったら薬使うかオレに言えよ!
セスカ・セトラージェ:……言われてみれば。
无謂:うーにいってくれてもいいなのですよ
ハップエフ・トリガスキー:……お、オマエな……
トシュア・アルガンス:あんま無茶すんなよな
无謂:こう見えてもテクニックがつかえるなのです
ハップエフ・トリガスキー:……ったく……
セスカ・セトラージェ:今、少し痛覚を鈍らせているから
セスカ・セトラージェ:少々の傷ではね……気付きにくいわね
无謂:ふむむ
ハップエフ・トリガスキー:……オマエ、妙なクスリとかやってんぢゃねーだろうな?
无謂:便利なのですね、セスカは
セスカ・セトラージェ:妙と言われるのは心外だけれど
无謂:うーにもそういう機能が欲しいなのです
ハップエフ・トリガスキー:いらんっ
トシュア・アルガンス:あー俺も興奮してるとたまに痛みとかとぶなぁ
无謂:えーいるなのですよー
セスカ・セトラージェ:身体を維持するために色々と薬剤は必要ね
ハップエフ・トリガスキー:まともな人間はヘンなクスリなんぞ要らんのだっ
ハップエフ・トリガスキー:…………
无謂:ふーむ
セスカ・セトラージェ:ふむ#ウーを見て
无謂:むむ?
ハップエフ・トリガスキー:はぁ……まったくコイツらは……
トシュア・アルガンス:サンキュー!
セスカ・セトラージェ:むしろワタシよりも高機能に見えたのだけれど……
无謂:どうしたなのです、せすか?
无謂:むむむ?
ハップエフ・トリガスキー:……ホレ、ワケのわからんこといってないで行くぞっ
无謂:何のお話なのです?
セスカ・セトラージェ:……いえ、独り言。
无謂:あ、待つなのですはっぷえふ
セスカ・セトラージェ:……まともな人間なら……ね……#ボソ

かなりの緊急事態なのだが、かなり危機感の無い一行……まぁ、いつものことなのだが。
そんな彼らでも、この状況下、犬の遠吠えでも聞こえてくれば、流石に変わるというもの
である。

无謂:む
无謂:ワンコなのです!
トシュア・アルガンス: おう!
无謂:どこなのですー
无謂:えーっと
无謂:わんわん!
无謂:なのです
ハップエフ・トリガスキー:……近くだ
トシュア・アルガンス:近くにいんのか!
无謂:むむっ
ハップエフ・トリガスキー:犬が居る場所にガキも居るはずだっ
トシュア・アルガンス:しかし犬だけか?
无謂:こ、これは……
セスカ・セトラージェ:?
ハップエフ・トリガスキー:近い、皆、探すんだ!
トシュア・アルガンス:どうした、ウー?
无謂:剣なのです
ハップエフ・トリガスキー:……剣だな
ハップエフ・トリガスキー:悪くない品じゃないか
セスカ・セトラージェ:ふむ
无謂:おちてたなのですよ
无謂:……
セスカ・セトラージェ:中級クラスの品ね
ハップエフ・トリガスキー:ほお、そいつぁよかったな
トシュア・アルガンス:なんでセイバーがあるんだ?
ハップエフ・トリガスキー:十分に使える品だぞ、それぁ
无謂:さぁ、なのです
ハップエフ・トリガスキー:……言われてみれば不思議だが……
无謂:よし、これで必殺技なのです
ハップエフ・トリガスキー:まぁ、今はそれどころじゃねー
无謂:うーうぇいくらっしゃぁ!
セスカ・セトラージェ:撤退したチームもいるということだし
ハップエフ・トリガスキー:……ウー、なれないモン振り回して自分を傷つける前に
ハップエフ・トリガスキー:しまっときなさい

と、ハップエフが言い終わらぬうちに、意味不明な攻撃を行う无謂。
だが、得物の遠心力にまけ、盛大にすっころぶ。
フォトンのブレードが、自身を切り裂かなかっただけ神に感謝すべきであろう。

セスカ・セトラージェ:ガーディアンズの落とし物か何かじゃないのかしらね
トシュア・アルガンス:元からあったのか…誰かが落としたのかもな
セスカ・セトラージェ:……
トシュア・アルガンス:ははははっ!
ハップエフ・トリガスキー:……見ろ、言わんこっちゃない
无謂:いだい・・・なのです
ハップエフ・トリガスキー:ホレ、立ってホコリ落とせ
无謂:はいなのです

涙を浮かべつつ、服についたほころを叩く无謂。

トシュア・アルガンス:慣れないもん使うからだ~
ハップエフ・トリガスキー:……ったくもう…… #ぽんぽん
セスカ・セトラージェ:……近接戦闘用のプログラムは使っていないのかしら……
无謂:はっぷえふにあげるなのです
无謂:こんなのはつかってあげないなのですっ

妙なところに怒りをぶつける无謂。
そして今はかなりの緊急事態。
それなのに緊張感0の馬鹿ガーディアンズ。
が、犬の次は男の子の悲鳴である。

无謂:む?
无謂:!
セスカ・セトラージェ:……
トシュア・アルガンス:おい!
ハップエフ・トリガスキー:サンキュー、って……イカン! 急げ!
无謂:どこなのです!?

見つけた。
襲い掛かろうとするSEEDエネミー、おびえる子供、そして子供を護るように、
傷ついた体を奮い立たせ、SEEDエネミーと退治する犬。

トシュア・アルガンス:おぉぉぉぉぉーー!!
セスカ・セトラージェ:ふむ
无謂:あ、あれは!
无謂:なのです
トシュア・アルガンス:おっと!またせたなぼうず
无謂:ふぅ
无謂:がきんちょ、大丈夫なのです?

緊張感0のお馬鹿ガーディアンズでも、実力はそれなりにある。
ましてや、トシュアがいるのだ。
SEEDエネミーを駆除するのにそう時間はかからなかった。
最後の一匹が倒れると同時に、気力の限界でたっていたのだろうか。
少年を守っていた犬は、崩れるように倒れる。
自分を守ってくれた犬。
少年は、犬に駆け寄ると、首にしがみつく。

トシュア・アルガンス:大丈夫かぁ?
少年:……! し、しっかり! ね、ねぇ!ガーディアンズだよね
无謂:がきんちょ、その犬から離れるなのです!
トシュア・アルガンス:おう
少年:助けてよ、ボクの犬を助けてよ!
ハップエフ・トリガスキー:……って言ってるぜ? どーするよ?

犬は深い傷、恐らくSEEDによるものだろう、を、負っている。
小刻みに吐く息は弱弱しい。

无謂:それは出来ないなのです。
无謂:この犬はSEEDに感染している可能性が高いなのです
トシュア・アルガンス:待てや、ウー
トシュア・アルガンス:まずはゴーグルでチェックするのが先だ
少年:……あぁ……しっかり! しっかり……って、なっ!?
无謂:……

犬にしがみつく少年の脇に立つと、无謂は、黒光りする銃を取り出し、
犬のこめかみにあてる。
ハップエフが持つ銃と同じ、ブトゥキ・ハドック。
安定性・操作性にかなり難があるが、ごつい外見のとおり、威力の高い銃である。

无謂:まかせるなのです
无謂:なにかあったら、うーは引き金をひくなのですよ
トシュア・アルガンス:ウーの銃をおさえる
无謂:……トシュア?
トシュア・アルガンス:おう
无謂:抑えられると撃てないなのですよ?
トシュア・アルガンス:んじゃチェックするぜ?
无謂:はいなのです

驚愕の視線を向ける少年。
何が起きたのか、一瞬理解できなかった様子だが、すぐに抗議の声を上げる。
少年:……なっ……なにすんだよ!?

无謂:今、異常が無いか調べているなのです
トシュア・アルガンス:まだ何もしねーよ

トシュアは、ゴールグルを目に当て、スイッチを入れる。
SEEDの感染反応あり。
傷口から、ゆっくりと。

无謂:どうなのです、トシュア?
ハップエフ・トリガスキー:……ど、どうだ?
トシュア・アルガンス:…おい、ボウズ!そいつを離せ!!
无謂:……
少年:……え?

トシュアの声に反応する二人。
一人は驚き、もう一人は銃の撃鉄を起こす。

少年:……な……なんでだよ……?
无謂:その犬はSEEDに感染しているなのです。
无謂:つまり、さっきいた化け物になってしまうなのです。
少年:……! う、ウソだっ! そんなことあるもんかっ!
无謂:現実をみるなのです、がきんちょ
无謂:さ、どくなのです。
无謂:弾が跳躍すると危険が危ないなのです。
少年:……な、なんだよ! ボクのこと守ってくれたんだぞ!?
无謂:……
少年:ボクを守ってくれた犬が、SEEDにやられてるだって?
少年:そ、そんなことあるわけないだろっ
无謂:はいなのです
无謂:はやくどくなのです、がきんちょ
少年:冗談じゃない!帰れよ! 行っちまえ!
无謂:すぐに復活して、襲い掛かってくるなのですよ
少年:助けてくれないなら、もういいよ! 行けったら!
无謂:……
トシュア・アルガンス:馬鹿野郎!
トシュア・アルガンス:お前がそうしていたら
セスカ・セトラージェ:……
トシュア・アルガンス:お前守ってた犬が化け物になるとこをみることになるぞ!
トシュア・アルガンス:オラッ早くこい!

少年は、犬の首にしがみついてはなれようとしない。
そんなやり取りを、やや離れたところで見つめていていたセスカだったが、何かを
決意するように无謂に近づくと、彼女がもつ銃に手をかける。
ともに引き金を引こうとするかのように。

无謂:?
无謂:どうしたなのですせすか?
无謂:?

タイミングを見計らったかのように、良いところでなる无謂の通信機。

无謂:……
无謂:むむ
无謂:片手では操作できないなのです……
セスカ・セトラージェ:#代わりに操作
无謂:おねがいなのです
セスカ・セトラージェ:#ぴ
无謂:#ハンディPCを渡す
カイ:……応答下さい。こちら本部オペレーター、カイです
セスカ・セトラージェ:……こちら#言いかけ、PCをウーへ向ける
カイ:……あら? 誰か新しいメンバーと同行してるんですか?
カイ:……ID照合……トシュア・アルガンス。ふむ。
トシュア・アルガンス:おう、俺だ俺俺!
カイ:……途中で合流されたのですね? 事情はお分かりかしら
无謂:うう
トシュア・アルガンス:おう今、ガキを発見した処だ
无謂:今は忙しいなのです
无謂:用件を早く言うなので……
カイ:え? 子供を確保したんですか? やりましたね!
无謂:傷口がふさがり始めているなのです!
カイ:あぁ、いえ……動体センサーによると皆さんが……ハイ?
カイ:……何の傷口がです?
无謂:犬なのです、SEEDに感染しているなのです!
トシュア・アルガンス:でも、連れてた犬がSEEDに感染しちまってる
カイ:……え!? 子供と一緒に居るんですか?
カイ:……いけない。子供から離して下さい! 今すぐに!
トシュア・アルガンス:今そうしてるとこだ!
无謂:それが、首にひっついているなのです
无謂:!
无謂:がきんちょ、はやくはなれるなのです!

だが、少年は首にかける力を強めるのみ。
やがて、犬は目を開き、ゆっくりと立ち上がる。
ハップエフが慌てて銃を抜くが、少年は首にしがみついたまま。
この状況で犬にだけ当てられると思うほど、ハップエフは射撃に自信が有るわけでもない。

无謂:くっ
无謂:……
セスカ・セトラージェ:……トシュア。その子を。
ハップエフ・トリガスキー:……くそ、オイ、どうするよ……

トシュアは、強攻策、少年の首根っこをつかむと、犬から渾身の力で引き剥がす。
それを見て怒る犬。
すばやく体制を立て直すと、トシュアに向けて突進する。

无謂:!
无謂:としゅあ!!
トシュア・アルガンス:ぐぉ!
トシュア・アルガンス:ごふっ!

无謂は、トシュアを突き飛ばして助けようとしたのだろうか、トシュアに体当たりをする。
が、総重量で云えば1/4にも満たないであろう体で体当たりをしたところで、突き飛ばされる
のは、己。
地面に投げ出される。
トシュアのほうは結果として、犬の攻撃をモロに食らうことになるのだが、キャスト特有の強靭な装甲と、
強力なシールドラインに護られ、牙の攻撃は防ぐことが出来た。
だが、大型犬の体重はそのまま受け止める形になり、一瞬だが息が詰まる。

トシュア・アルガンス:ハップエフ!パス!
ハップエフ・トリガスキー:……って、おわわっ

トシュアは手にした少年を、ハップエフに投げる。
中を舞い、ハップエフを巻き込み、倒れる。

ハップエフ・トリガスキー:ぶげっ

无謂:こ、この
无謂:こいつめ、こいつめ、こいつめなのです!

无謂は、銃を手に取ると、引き金を引きかけたが、トシュアに当たることを恐れてか、引き金
から指を離し、銃で犬をうちつけ始める。

暴れる、犬。
いや、元犬というべきか。
もはや犬のそれの力ではない。
无謂は投げ飛ばされ、壁に烈しくぶつかり、気を失ってしまう。

无謂:きゅー

その隙をついて、セスカが犬の首に腕を回し力を込める。
ただの犬であれば、押しつぶされたであろうセスカの腕力。
だが、身動きこそ取れぬものの、押しつぶされる様子も無い。

トシュア・アルガンス:ちっ…おらぁ!
セスカ・セトラージェ:……く

セスカに抑えられている犬に向かって、トシュアは斧を振り下ろすが、犬は烈しく身をひねると、
セスカの拘束から逃れる。
むなしく地面を抉る斧。

セスカ・セトラージェ:……
トシュア・アルガンス:っの野郎ぉ…

犬、跳躍。
その距離は、動物からの完全な決別を表していた。
犬は、少年を一瞥すると、通路の奥へと向かって走り去ってしまう。

ハップエフ・トリガスキー:…………
トシュア・アルガンス:見たか、ボウズ
少年:…………
トシュア・アルガンス:アレがSEEDだ
ハップエフ・トリガスキー:……皆、大丈夫か?

否。
セスカは拘束時に噛み付かれた腕から血が滴り落ちている。
无謂は反応が無い。
セスカはぼんやりと己が腕を見つめている。

トシュア・アルガンス:ああ、たくっ
ハップエフ・トリガスキー:お、オイ、ウー、しっかりしろ
无謂:……

ハップエフは、无謂の頭に振動を与えないよう、ゆっくりとねかせる。

ハップエフ・トリガスキー:……畜生。やっぱり射殺するしかねーな、ありゃぁ。
トシュア・アルガンス:おい、ウー?打ち処がわるかったか?
无謂:……
トシュア・アルガンス:ああ
セスカ・セトラージェ:……ふむ、脳震盪を起こしたかも知れないわね
ハップエフ・トリガスキー:……ウー……あの犬ころめ……
ハップエフ・トリガスキー:おい、坊主。トシュアの言った通りだぞ
トシュア・アルガンス:ていうか本当にアレ元犬かよ?
ハップエフ・トリガスキー:あの犬は……可哀相だが生かしてはおけん

セスカは、无謂の手当てを始める。
その前に自分の腕を何とかしたほうが良いと思うのだが。

少年:…………
无謂:……

暫くして目を覚ます、眠りの国のお姫様。

无謂:……
ハップエフ・トリガスキー:お
ハップエフ・トリガスキー:大丈夫か、ウー?
无謂:ん……所長?
无謂:……
ハップエフ・トリガスキー:……あん?
セスカ・セトラージェ:……?
トシュア・アルガンス:目がさめたか?
トシュア・アルガンス:あン?
ハップエフ・トリガスキー:お、おいおい……しっかりしてくれよ
ハップエフ・トリガスキー:大丈夫か? 痛いとこねーか?
トシュア・アルガンス:なに、すっとぼけたこといってんだよぉ
无謂:体のほうは問題ありません
ハップエフ・トリガスキー:…………
トシュア・アルガンス:………。
セスカ・セトラージェ:……ふ、む
ハップエフ・トリガスキー:……ウー? なんか……口調まで変わってるぞ、オマエ……
无謂:…
トシュア・アルガンス:お前、ウーだよな?
无謂:#3人を見回し
ハップエフ・トリガスキー:大丈夫なんだろうな、ホントに?
无謂:はい、无謂です。
トシュア・アルガンス:ほ
ハップエフ・トリガスキー:…………ウー、オレの目を見て話せ。
无謂:#じー
ハップエフ・トリガスキー:……オレの名前、わかるか?
无謂:ハップエフ・トリガスキーさんですね
セスカ・セトラージェ:#かすかに眉根を寄せ、ウーを観察
ハップエフ・トリガスキー:…………
トシュア・アルガンス:俺は!
无謂:トシュア・アルガンスさん
トシュア・アルガンス:おー!
ハップエフ・トリガスキー:……さん? 敬称づけだと……?

基本的に无謂は人を敬称で呼ばない。
だが、そのことで怒り出すものもいないのは、无謂の人懐っこさゆえだろうか。
しかし、いまの无謂には、人懐っこい笑顔もみえず、能面のような表情。
まるで別人である。

トシュア・アルガンス:じゃこいつは!#セスカ指差し
无謂:セスカ・セトラージュ所長。……いえ、元、になるのでしょうか。
无謂:お久しぶりです。
セスカ・セトラージェ:……!
ハップエフ・トリガスキー:……なに?
トシュア・アルガンス:へ、所長?
无謂:……
セスカ・セトラージェ:……なぜ……

セスカが見せる初めての表情――動揺。
その声は小さく震える。

ハップエフ・トリガスキー:……所長? 久しぶり?
无謂:#二人をみて
无謂:申し訳ありません。問題がありましたか?
セスカ・セトラージェ:……アナタは……一体……
ハップエフ・トリガスキー:……あー……
无謂:お忘れですか。
トシュア・アルガンス:どうなってんだ…?#二人の顔みくらべ
无謂:ふむ……
ハップエフ・トリガスキー:#さっぱり判らん、といった様子で肩をすくめる
セスカ・セトラージェ:……#ただ、じっとウーを凝視
无謂:ふむ
ハップエフ・トリガスキー:……ウー、とにかく、身体に異常はないんだな?
无謂:ええ、身体的には問題ありません
トシュア・アルガンス:それよりも…よぉ

トシュアは少年のほうに視線を向ける。
自分の愛犬を殺そうとしたガーディアンズ達。
怒りを向けるにも、何かあったようで、どうするべきかわからず、ガーディアンズ達と、
犬が走り去った通路を交互にみている。

无謂:はい
ハップエフ・トリガスキー:……記憶は? 今オレらがココに居る理由はわかるか?
无謂:勿論把握しています。
トシュア・アルガンス:こいつを安全な場所に
トシュア・アルガンス:移したほうがいいんじゃねーか?
无謂:同意します
ハップエフ・トリガスキー:……そうだな
トシュア・アルガンス:ウーのことはその後だぜ!
ハップエフ・トリガスキー:おい、ガキ……

ハップエフは、少年を見る。
だが、少年は後ずさりつつもハップエフを睨みつける。

少年:……いやだ。ボクは……犬を助けるんだ

トシュア・アルガンス:ここに居るとあぶねぇとっとと帰るぞ

少年と大人二人のやり取り。
だが、セスカの耳には入っていない。
自分を所長と呼ぶ少女を、見つめる。

无謂:ふむ、お判りになりませんか。
セスカ・セトラージェ:……无謂。一つ、教えて頂戴

セスカは、心ここにあらずといった様子で、无謂に向き直る。

无謂:勿論です。どのようなデータでも提供いたします。
セスカ・セトラージェ:アナタの、名前は?
无謂:PRT-1です。
セスカ・セトラージェ:…………
无謂:皆はパラス、と呼んでいましたが。
无謂:勿論、无謂でもあります。
セスカ・セトラージェ:……やはり……

セスカは无謂の答えをきき、呆然と立ちすくむ。

无謂:どうかしましたか、所長?
セスカ・セトラージェ:……

ハップエフは、要領のいい男ではない。
今自分が尤も優先するべきである対象、少年を何とかしたいと思いつつも、
さっきから様子がおかしい无謂にも気をとられている。

トシュア・アルガンス:待て!お前一人でなにが出来るてんだ!
无謂:私は問題ありません。
无謂:少年のほうを優先するべきでしょう。

トシュアは、少年へと近づく。

少年:……ぼ、ボクの犬はボクを守ってくれた
少年:アンタたちはボクの犬を殺そうとした
少年:……今度は……ボクが犬を守ってやる番だ……!


无謂:……
トシュア・アルガンス:ソレはあの犬がSEEDだからだろうがっ!

トシュアの云うことは正論である。
が、少年のほうもはいそうですかと納得できるわけも無い。
トシュアに背を向けると、止める間も無く通路の奥へと走り去ってしまう。
犬の、向かった方角へ。

トシュア・アルガンス:待てこらぁ!
トシュア・アルガンス:とにかく追うぞ!
ハップエフ・トリガスキー:……あ、お、おう!
ハップエフ・トリガスキー:ふ、二人とも、今は全て後回しだ
无謂:了解です
ハップエフ・トリガスキー:走れるな? 行くぞ
无謂:さぁ、いきましょう
セスカ・セトラージェ:……
无謂:所長?
セスカ・セトラージェ:……今、行くわ
无謂:了解
トシュア・アルガンス:おぉぉぉぉぉーー!!
セスカ・セトラージェ:……まさか、今頃になって……
セスカ・セトラージェ:……
トシュア・アルガンス:オラオラオラァ!!
トシュア・アルガンス:邪魔すんじゃねー!

少年は、自分の背丈に近い高さのあるレーザーフェンスを、跳躍して飛び越える。

无謂:いました
トシュア・アルガンス:この先だ!
无謂:ゲートを飛び越えていきましたか
セスカ・セトラージェ:#先など見ず、ただ目の前の敵の殲滅にのみ集中
无謂:平均的な運動能力を超えていますね、あの少年は
トシュア・アルガンス:急ぐぜ!
ハップエフ・トリガスキー:んな冷静に分析してる場合かっ
セスカ・セトラージェ:……
无謂:しかし、それが私の仕事ですし

フェンスを越え、広間にたどり着いたとき、一行が目にしたのは床に倒れる少年。
少年を護るようにして立つ犬。
そして、SEEDモンスター、ヴァンス。いや、ヴァンスとは多少形が異なるもの。
少年の顔は真っ青で、動く様子を見せない。


无謂:……
トシュア・アルガンス:野郎ぉ!
无謂:トシュアさん、一人で突入するのはきけ……
セスカ・セトラージェ:……
セスカ・セトラージェ:……パラ……いえ、无謂。どう見る?
无謂:少年は生きているようです

そういいつつ、无謂は、方膝を立て、レーザーカノンを構える。
撃つわけではなく、大型のスコープを利用して細部を観察しようというわけだ。

无謂:今までに無いSEEDコアです
无謂:現在私が保存しているSEEDコアのデータと一致しません

无謂が観察している間、トシュアは犬にむけて大斧をふりおろす!
だが、その攻撃を軽くかわす。
一撃、もう一撃。
かわす、かわす。
犬は、かわしながらも、SEEDコアと少年の間に立つことをやめようとしない。

トシュア・アルガンス:ちぃ!
セスカ・セトラージェ:……そうね
无謂:……トシュアさん、一旦戻ってきてください
トシュア・アルガンス:んなわけいくかぁ!

そのうちグッドタイミングで賞あたりを受賞しそうな女、カイから再び通信。

无謂:……
无謂:#ぴっ
无謂:こちら无謂です
无謂:どうぞ
カイ:皆さん、少年は確保できましたか? 状況を教えて下さい!
トシュア・アルガンス:ガキが殺されかかってんだぞ!
无謂:現在新種のSEEDコアと交戦中
无謂:少年は倒れており、動きませんが、命に別状はなさそうです
无謂:……
カイ:た、倒れている? 大丈夫なんですか?
无謂:今のところ大丈夫なようです
カイ:犬は……処理したんですか?
无謂:ネガディブ。残念ながらまだ終わっていません。
トシュア・アルガンス:今やってるとこだ!
无謂:それより、トシュアさん、様子が変です、戻ってきてください
トシュア・アルガンス:たくぅ!
无謂:私には犬が少年を護っているように見えるのですが
无謂:今までの行動パターンを分析すると、そのような解答をえられます

无謂の言うとおり、犬はトシュアの攻撃をかわすのに専念し、反撃をする様子を見せない。
しかも、常に少年とSEEDの間に己の身を置く事も忘れない。

トシュア・アルガンス:あんだと?
セスカ・セトラージェ:……トシュア
トシュア・アルガンス:ちっ…!

しかし、トシュアが少年のほうへ近づこうとすると、引く唸り声を上げて威嚇する。

セスカ・セトラージェ:犬がその子を殺すつもりなら
セスカ・セトラージェ:とっくに死んでいるわよ、その子は。
セスカ・セトラージェ:戻りなさい。
トシュア・アルガンス:わかったよ!
无謂:肯定します。
ハップエフ・トリガスキー:……って、じゃあ、あの犬は……
ハップエフ・トリガスキー:汚染されてるワケじゃぁないってのか?
无謂:否定します。
无謂:パターン的には完全に汚染されているようです。
ハップエフ・トリガスキー:トシュア、オマエ、さっきゴーグルで確認したんだよな?
トシュア・アルガンス:ああ
ハップエフ・トリガスキー:で、黒だったんだろ?
トシュア・アルガンス:おう
トシュア・アルガンス:もしかたら
ハップエフ・トリガスキー:……なら、ガキを守ろうってのはヘンじゃねーのか?
セスカ・セトラージェ:汚染されつつも、現状ではまだ意志を保ち、かつ
セスカ・セトラージェ:あの子のことが記憶に残っている
ハップエフ・トリガスキー:……そんなコトあるのかよ
セスカ・セトラージェ:それ故の行動。无謂?
トシュア・アルガンス:犬の忠誠心がまだ残ってるてことか?
ハップエフ・トリガスキー:しかし……仮にそうだとしてもだぞ?
ハップエフ・トリガスキー:オレらがガキに近寄れないんじゃ、助けることもできねーぜ?
トシュア・アルガンス:ああ
ハップエフ・トリガスキー:オマケに見ろ。なんだよ、あのグロテスクな怪物
无謂:遠距離からの射撃で、犬を射殺、或いは牽制し、少年を救う
无謂:というパターンが考えられます
ハップエフ・トリガスキー:……怪物の方はどうする?
セスカ・セトラージェ:犬があの子を守ろうとしているなら
セスカ・セトラージェ:先に始末する手もあるわ
无謂:肯定します。
トシュア・アルガンス:先に怪物のほうをやっちまったほうが
ハップエフ・トリガスキー:…………
トシュア・アルガンス:たしかに楽だなぁ
セスカ・セトラージェ:#いつしか表情は冷たく冴え渡っている
ハップエフ・トリガスキー:……じゃ、ガキの方は犬に任せるのか? やばくねーか、それ……
无謂:賭け、ということになるのでしょうか。
トシュア・アルガンス:だな…
无謂:残念ながら確率を算出するだけのデータを私は持ち合わせて
无謂:いませんが……
カイ:……ちょ、ちょっと貴方たち……何を言い出すのよ
カイ:……貴方たちの位置関係はよく判らないけど、
カイ:話を聞く限り、少年以外は全て危険要素じゃないの
カイ:……ただちに犬を射殺するべきです
无謂:否定します。
トシュア・アルガンス:心配すんな!ガキは必ず助ける!
カイ:……って、そんな……
无謂:確率的に言えば、いまのところ犬が少年を襲う可能性は
无謂:まだ低いと言えます。
カイ:も、もしものことを考えてくださいっ
セスカ・セトラージェ:それにこの場から犬を先に処分した場合
セスカ・セトラージェ:誰がSEEDフォームからあの子を守るのかしら?
无謂:犬を殺して、SEEDコアに殺される可能性のほうが高いことを
无謂:報告します。
カイ:…………
セスカ・セトラージェ:では
カイ:……判りました。現場の判断にお任せします……
无謂:了解。
セスカ・セトラージェ:ワタシとトシュア、ハップエフがSEEDを
トシュア・アルガンス:お前はデスクのお茶くみでもしてろ!
セスカ・セトラージェ:抑えにかかるわ。无謂は待機、いつでも犬を狙えるようにしておく
セスカ・セトラージェ:これでどう?
ハップエフ・トリガスキー:……あんな凶暴な犬ッコロを背にして怪物に突っ込むのかぁ?
无謂:肯定します。問題は無いでしょう。
トシュア・アルガンス:そうだな、それで行くか
ハップエフ・トリガスキー:やれやれ……気乗りしねぇなぁ……

无謂は、カノンを構えなおす。
セーフティ解除、キルモード。

セスカ・セトラージェ:OK
トシュア・アルガンス:一気にカタを付けるぞ!
セスカ・セトラージェ:……では、実行。
トシュア・アルガンス:おぉぉぉぉぉーー!!
ハップエフ・トリガスキー:……やれやれ
トシュア・アルガンス:オラオラオラァ!!

巨大なSEEDコア。
ガーディアンズ達が突撃。
犬は少年を守るようにして動かず。

ハップエフ・トリガスキー:げっ!?
トシュア・アルガンス:食らえ!アンガァ・レッダァァァァ!!!!
ハップエフ・トリガスキー:……や、やった
トシュア・アルガンス:良っし!
トシュア・アルガンス:犬はのほうは!
ハップエフ・トリガスキー:ガキは……!?
无謂:犬は依然動きがありません
トシュア・アルガンス:そうかぁ
无謂:……
トシュア・アルガンス:おい!

だが、SEEDコアの撃破を確認すると、犬は緊張が解けたように倒れる。
その息はか細い。
无謂はカノンを仕舞うと、短銃をその手に握る。

トシュア・アルガンス:…やっぱりそうだったのか?
ハップエフ・トリガスキー:お、オイ、気をつけろよ?
ハップエフ・トリガスキー:トシュア、ガキと犬の間に居てくれ
トシュア・アルガンス:おう
ハップエフ・トリガスキー:よし……ガキを治療する。頼むぜ、皆
无謂:まってください
トシュア・アルガンス:少年と子供の間に立つ
无謂:犬を処置してから、治療することを提案します。
ハップエフ・トリガスキー:#ハップエフが犬の方を心配気に少年の横にかがみ込む
ハップエフ・トリガスキー:……なんだって?
无謂:犬が少年を助けたことは事実ですが、SEEDに感染し、
无謂:キケンなこともまた事実です。
トシュア・アルガンス:そういうことだろ、察しろよ?
ハップエフ・トリガスキー:……………
セスカ・セトラージェ:先にその子が起き上がっては、ね、色々と。
无謂:犬は、少年を護るために、SEEDと戦って死んだ、ということに
无謂:でもすればよいのではないでしょうか。
ハップエフ・トリガスキー:…………
无謂:映画、小説ではこのようなパターンが多数見られます。
トシュア・アルガンス:ああ、そうだな
セスカ・セトラージェ:ハップエフ・トリガスキー?
ハップエフ・トリガスキー:……パターンってオマエ……
ハップエフ・トリガスキー:……んだよ?
セスカ・セトラージェ:大人の事情というのは、アナタが得意とするところでは
セスカ・セトラージェ:ないのかしら?
ハップエフ・トリガスキー:……ッ
ハップエフ・トリガスキー:……と、時と場合によらぁ
セスカ・セトラージェ:……
ハップエフ・トリガスキー:……やっぱ……その犬はもう……
セスカ・セトラージェ:……そんな
セスカ・セトラージェ:都合の良い方に、物事は動かないものよ……
无謂:指示をお願いします
トシュア・アルガンス:どっちみち、このままじゃ救われねーよ…
ハップエフ・トリガスキー:…………
ハップエフ・トリガスキー:……判った。
セスカ・セトラージェ:処分の実行を。#ウーに
无謂:了解
ハップエフ・トリガスキー:ダメだ!
セスカ・セトラージェ:?
ハップエフ・トリガスキー:……それは……オレがやる
无謂:……
无謂:判りました

引き金に力を込めた无謂を、ハップエフが止める。
一瞬、動きを止めた无謂だったが、素直に従い銃を収める。

ハップエフ・トリガスキー:……ウー、オマエは……ガキんちょの方を頼む
トシュア・アルガンス:ハップエフ…
无謂:了解
トシュア・アルガンス:おい!
セスカ・セトラージェ:……
トシュア・アルガンス:気合い入れろよ!
无謂:少年の近くに移動
ハップエフ・トリガスキー:……わーってるよ
ハップエフ・トリガスキー:……トシュア。フォローたのむ。
トシュア・アルガンス:おう

ハップエフは、大型犬を苦労して抱え上げると、无謂とセスカのいる広間から出てゆく。
彼なりの気配り。
トシュアも黙ってそれに従う。

セスカ・セトラージェ:#少年のそばに留まり、周囲を警戒
ハップエフ・トリガスキー:……なぁ、トシュア……やっぱ……やらねーと…ダメなんだよな?
トシュア・アルガンス:…たりめーだろ
ハップエフ・トリガスキー:……つれーな
トシュア・アルガンス:やらねーなら俺がやるぞ?
トシュア・アルガンス:ああ…。
ハップエフ・トリガスキー:……いや。巻きこんだオマエにそこまでやらせるワケにもいかん
无謂:……所長。なぜハップエフさんは、辛そうな仕事を自ら引き受けた
无謂:のでしょうか。
ハップエフ・トリガスキー:……畜生……
无謂:私の腕が信用できなかったのでしょうか?
セスカ・セトラージェ:……いえ
セスカ・セトラージェ:辛いと思う仕事だからこそ
ハップエフ・トリガスキー:……許してくれ……っつっても、許してはくれねーだろうな
セスカ・セトラージェ:他の誰かにやらせたくはなかった……のだと思うわ
トシュア・アルガンス:見届けてやるぜ…さ
无謂:……
セスカ・セトラージェ:……少なくとも、ワタシにはその程度の想像しかできない。
无謂:そうですか
セスカ・セトラージェ:……今の、ワタシには。
ハップエフ・トリガスキー:……オマエはよくやったよ。オマエは主人を守ったんだ
セスカ・セトラージェ:……それから、无謂。
ハップエフ・トリガスキー:だから……もう苦しむことはないんだ
无謂:変われましたね、所長
无謂:はい
セスカ・セトラージェ:ワタシはもう、所長ではないわ
ハップエフ・トリガスキー:ゆっくり眠ってくれ……
无謂:……そうでした
セスカ・セトラージェ:……変わった、か……
无謂:なんとお呼びすればよいでしょうか?
トシュア・アルガンス:……………。
无謂:ええ、変われました。
无謂:それが良いことなのかは、判断しかねますが
セスカ・セトラージェ:……そうね、名で呼んでくれればいいわ
无謂:了解。ではセスカさんとお呼びします。

无謂と、セスカの新たなる関係。
それを良いことなのか、そうではないのか、今はわからない。
そんな二人の後ろで、物悲しげな鎮魂の銃声が鳴り響く。

ハップエフ・トリガスキー:……さて、もう一仕事、か。
セスカ・セトラージェ:……ええ。
トシュア・アルガンス:ああ
セスカ・セトラージェ:そうね……
无謂:終わったようですね
ハップエフ・トリガスキー:……つれーな。
トシュア・アルガンス:だな。
セスカ・セトラージェ:ワタシはもう何が良くて、何がそうでないことなのか
セスカ・セトラージェ:何も、判らなくなってしまった
无謂:……それは私も同じです
セスカ・セトラージェ:……#戻ってくるハップエフ達を見つつ
无謂:私の役目はおわ……
ハップエフ・トリガスキー:……終わったぜ
无謂:お疲れ様です
トシュア・アルガンス:ああ
ハップエフ・トリガスキー:ガキの方は……無事なんだろうな?
无謂:肯定します。命に別状はありません。
セスカ・セトラージェ:……
ハップエフ・トリガスキー:……そうか
ハップエフ・トリガスキー:……実を言うとさ
无謂:?
ハップエフ・トリガスキー:……このガキが通路に入って遊んでるのを黙ってみてたのは
ハップエフ・トリガスキー:オレなんだ
无謂:……
セスカ・セトラージェ:……まぁ、だろうと思っていたわ
ハップエフ・トリガスキー:……元々、この区画はガーディアンの働きで
トシュア・アルガンス:………。
ハップエフ・トリガスキー:安全が確保されてたし……
无謂:それは規約に違反しますね。
ハップエフ・トリガスキー:今回のSEEDコア落着がなければ
ハップエフ・トリガスキー:……あの犬を、この通路でこっそり飼い続けられたかもしれない
ハップエフ・トリガスキー:少なくとも、業者がLLを再開通させるまでは。
ハップエフ・トリガスキー:……でも、こんなコトになっちまって……
ハップエフ・トリガスキー:最初から、ガキを叱り付けてでも、
ハップエフ・トリガスキー:この場に入れないべきだったのかな……?
无謂:肯定します。それがハップエフさんの任務内容ですから。
ハップエフ・トリガスキー:……そう、だよな……
ハップエフ・トリガスキー:…………
トシュア・アルガンス:………ハップエフ、お前
ハップエフ・トリガスキー:……このガキさ
トシュア・アルガンス:泣いてんのか?
ハップエフ・トリガスキー:……な、泣いてねーよっ
ハップエフ・トリガスキー:こ、コイツさ
ハップエフ・トリガスキー:コイツの親……例の3惑星の炎侵食の騒ぎで
ハップエフ・トリガスキー:やられちまったらしいんだ
ハップエフ・トリガスキー:両親ともガーディアンだったらしくてな
无謂:……
ハップエフ・トリガスキー:コア浄化の任務に失敗して……
ハップエフ・トリガスキー:……そんで、施設に入れられることになって
ハップエフ・トリガスキー:施設の責任者に犬飼っていいか、って相談して断られてから
ハップエフ・トリガスキー:よくココに顔出すようになったんだ
ハップエフ・トリガスキー:……ガキのやることだからよぉ
ハップエフ・トリガスキー:あんま、煩く言いたくなかったんだわ
ハップエフ・トリガスキー:……あーぁ
无謂:まぁ、本件のようなパターンは、何件か報告があります
トシュア・アルガンス:良いから涙ふけよ…。
ハップエフ・トリガスキー:……っせーな
无謂:尤も、ほとんどは親なりに見つかって……というもので、
无謂:SEEDコアが落ちてくるというものはありませんでしたが
ハップエフ・トリガスキー:コレは汚染因子が目に入っただけだっ
无謂:汚染因子が目に与える影響は、現在報告されていません
ハップエフ・トリガスキー:…………
トシュア・アルガンス:とりあえず、出るか
セスカ・セトラージェ:……
无謂:興味深い話です、どのような……
ハップエフ・トリガスキー:…………そうだな。行こう
トシュア・アルガンス:ここに居させるのもツレェだろ?
无謂:肯定します。少年を医療施設に預けないとなりませんし
セスカ・セトラージェ:ハップエフ。トシュア。……无謂。
トシュア・アルガンス:ん?
无謂:はい
セスカ・セトラージェ:……命が
无謂:?
セスカ・セトラージェ:もしも、尊いものなのだとしたら
セスカ・セトラージェ:今回、ワタシ達の選び得た選択肢には
セスカ・セトラージェ:最初から……正解なんてものは
セスカ・セトラージェ:存在しなかったのかも知れないわね……
无謂:肯定します
ハップエフ・トリガスキー:……どうなんだろうな
ハップエフ・トリガスキー:何も知らないガキに
ハップエフ・トリガスキー:全ての真実を告げる誠実さこそ正しいのか
トシュア・アルガンス:…難しいことはわからねぇ。
ハップエフ・トリガスキー:心を傷つけないよう、ウソで誤魔化すことが正義なのか
ハップエフ・トリガスキー:オレにも……判らん
セスカ・セトラージェ:……そうね。ワタシにも判らないわ
トシュア・アルガンス:ただ、
セスカ・セトラージェ:……何も、判らない。
ハップエフ・トリガスキー:うん?
トシュア・アルガンス:あの犬コロがしたこと…。
ハップエフ・トリガスキー:……主人であるガキを守ろうとしていたことか?
トシュア・アルガンス:アレは少し見習いてぇな。
トシュア・アルガンス:ああ。
无謂:主のためなら、己が命さえも顧みないこと、でしょうか?
ハップエフ・トリガスキー:アレは……犬なりの正義だったのかもしれないなぁ
セスカ・セトラージェ:……
トシュア・アルガンス:よーし!
ハップエフ・トリガスキー:それとも……正しいとか間違いであるとかなんて関係なくて
ハップエフ・トリガスキー:純粋な愛情とか……そういうものだったのかもしれないしな
トシュア・アルガンス:ウダウダ言ってねぇで、とっとと出るぞ!
ハップエフ・トリガスキー:……おう
无謂:……検索条件に感情がはいると、私では判断がつきにくいですね
无謂:了解
セスカ・セトラージェ:……同じく。

通路の先、展望台。
予め待機させておいた医療スタッフに少年を預け、体を床に預ける。
疲労、肉体的なものではない。
重苦しい雰囲気。

无謂:一応任務完了でしょうか。
トシュア・アルガンス:とりあえず終ったな
ハップエフ・トリガスキー:あぁ
セスカ・セトラージェ:そう、ね
ハップエフ・トリガスキー:……悪かったな、皆
无謂:?
无謂:何に対して謝っているのでしょうか?
ハップエフ・トリガスキー:何だか……後味の悪い事件に巻き込んじまってさ
トシュア・アルガンス:ったく、後味の悪ぃ仕事だったぜ!
无謂:??
无謂:後味、ですか?
ハップエフ・トリガスキー:……悪かったよ。約束通りおごるから……
ハップエフ・トリガスキー:ウー
トシュア・アルガンス:まぁこれも仕事だ、気にすんなよ!
无謂:なんでしょう?
ハップエフ・トリガスキー:さっきから気になってたんだ
トシュア・アルガンス:肩ポンポンと叩く
ハップエフ・トリガスキー:オマエ、犬を射殺しなきゃならん、って話が出た時
ハップエフ・トリガスキー:ガキの前でそれをやるのはイヤだってオレが言ったら
ハップエフ・トリガスキー:オマエ、その理由を聞いてきたよな?
无謂:ええ、尋ねました
ハップエフ・トリガスキー:……まだ、判らないか?
无謂:判りません
无謂:まぁ、判ることは無いのかもしれませんが。
ハップエフ・トリガスキー:…………

一言で言い切る少女。
絶句するハップエフ。
救いを求めるように、ハップエフはセスカに向き直る。

ハップエフ・トリガスキー:……セスカ?
セスカ・セトラージェ:何?
ハップエフ・トリガスキー:オマエもか? オマエも判らないか?
トシュア・アルガンス:ハップエフはな、気ぃ使ったんだよ!
セスカ・セトラージェ:……そういう感情があることは、理屈では理解しているわ
セスカ・セトラージェ:……でも、ワタシにはまだ
セスカ・セトラージェ:それは、感じ得ない。
セスカ・セトラージェ:己が身をていして誰かを守りたいと思う気持ちも
セスカ・セトラージェ:そのためなら命を落とすことさえもいとわぬ心も
セスカ・セトラージェ:……感じ取れない。今のワタシには

いつもほうけた様に、感情を見せず、無気力なセスカ、そんな彼女の口調と
表情には苦しみが表れている。

ハップエフ・トリガスキー:ウー、セスカ、先の怪物と犬そして少年の図を見た時、
ハップエフ・トリガスキー:いち早く、犬の行動の理由を見抜いたのはオマエたちなんだぞ?
ハップエフ・トリガスキー:それは……何かしら、心に感じるものがあったからじゃないのか?
无謂:それは単純にパターン検索に一致した数による結果です
セスカ・セトラージェ:……まぁ、そういうことになるわね
ハップエフ・トリガスキー:それだけか? 本当にそれだけなのか?
ハップエフ・トリガスキー:何か……少しでも、そうあって欲しいとか

最後の、望み、何かにすがりつくように、ハップエフはたずねる。

无謂:質問の意味がよくわかりませんが……
ハップエフ・トリガスキー:……そう、か……
セスカ・セトラージェ:もしも
セスカ・セトラージェ:ワタシに
セスカ・セトラージェ:そう、願うことができたなら
セスカ・セトラージェ:……きっと今、こうしてここには居ない。
无謂:……?
无謂:#セスカに視線
トシュア・アルガンス:だーっ!!!!!!!
无謂:どうかしましたか、トシュアさん
セスカ・セトラージェ:騒がしいわね。何?
ハップエフ・トリガスキー:……皮肉だぜ。キャストのトシュアの方が……余程人間的に見える
トシュア・アルガンス:いつまで人をかやのそとにしてぐちぐちいってやがる!
无謂:ふむ
ハップエフ・トリガスキー:……そう、だな
トシュア・アルガンス:たくぅ…
ハップエフ・トリガスキー:悪かったよ、トシュア
无謂:それではおききますが
无謂:トシュアさんには犬の行動が理解できましたか?
トシュア・アルガンス:あん?
トシュア・アルガンス:おりゃあてっきり
ハップエフ・トリガスキー:アン?
トシュア・アルガンス:あの犬コロがガキを襲ったと思って
トシュア・アルガンス:気がついたらもう、殴りかかってた!
无謂:……
无謂:?
无謂:あれは、ゆみりあさんですか

展望台に星を見に来た、というわけではないだろうが、ゆみりあが姿を現す。
无謂とは義理の姉妹の間柄である。

ゆみりあ-8th:あれ、うーちゃんじゃない、やっほー
ハップエフ・トリガスキー:……ゆみりあ、か……
セスカ・セトラージェ:#ゆみりに視線
ゆみりあ-8th:そして…、あなたははぴえふ。
ハップエフ・トリガスキー:よぉ、ゆみりあ。#どことなく疲れた視線
无謂:ハップエフ・トリガスキーさんですよ
トシュア・アルガンス:よう、ゆみりあ
ゆみりあ-8th:まだ、うーちゃんと縁切れないのね貴方…
ハップエフ・トリガスキー:…………
无謂:縁、ですか
トシュア・アルガンス:それにしてもぉ#ウー見る
无謂:はい
トシュア・アルガンス:元のウーはどうしちまったんだぁ?
ゆみりあ-8th:トシュアさんに、えーとセスカさんだっけ
无謂:……
无謂:#セスカ見
ゆみりあ-8th:ん?そういえば何か雰囲気違うわね…
セスカ・セトラージェ:#見返し
无謂:元のうーといいますと……
无謂:どうしましょうか、セスカさん
トシュア・アルガンス:ほれ、あの馬鹿なほうの…
ゆみりあ-8th:なにかした?>はぴえふに非難の視線を向ける
ハップエフ・トリガスキー:…………

ゆみりあの軽い非難にも気づかぬくらい、ハップエフには苦悩が見て取れる。

セスカ・セトラージェ:……アナタの今の立場がどんなものか
トシュア・アルガンス:頭もっかい打てば直るのか?
セスカ・セトラージェ:ワタシはよく知らないけれど
ゆみりあ-8th:何かあったのは確かね…
トシュア・アルガンス:おい、ハップエフ
无謂:一応、私のマスター権限はいまだにアナタにありますので……
ハップエフ・トリガスキー:……なんだよ?
セスカ・セトラージェ:无謂という、単なる一個人に過ぎないのであれば――ふむ
トシュア・アルガンス:不景気なツラが100倍不景気になってるぜ?
セスカ・セトラージェ:では、アナタの判断に任せるわ。差し支えないと判断したなら
ハップエフ・トリガスキー:……ハ
セスカ・セトラージェ:教えてあげても良いんじゃない?
无謂:了解しました
ハップエフ・トリガスキー:……よせ。やめろ!
无謂:无謂になったつもりだったのですが……
ハップエフ・トリガスキー:やめろ、ウー!
无謂:もうしわけありま……はい?

ハップエフの、激しい静止。
无謂は言葉を止め、ハップエフを見る。

トシュア・アルガンス:あん?
セスカ・セトラージェ:?
トシュア・アルガンス:どういうことだ?
无謂:何か問題でも?
ハップエフ・トリガスキー:…………
无謂:?
无謂:ゆみりあさんがどうかしましたか?

ハハップエフはゆみりあに目を向ける。

ハップエフ・トリガスキー:……ゆみりあ?
ゆみりあ-8th:ふ~ん、まあ大体解ったわ。良いよ気にしなくて
ゆみりあ-8th:なに?
ハップエフ・トリガスキー:今のウーは……
トシュア・アルガンス:おい、さっぱりわかんねーぞ!
ハップエフ・トリガスキー:今のウーが、彼女の本当の姿かもしれない。
ゆみりあ-8th:別人格なんでしょ
トシュア・アルガンス:は?
无謂:よくわかりましたね
ハップエフ・トリガスキー:オレは……今日ほど、ウーを遠くに感じたことはない……
セスカ・セトラージェ:……まぁ、あれだけ変われば、ね
セスカ・セトラージェ:察しも付くでしょうよ
无謂:私の本当の名前はPRT-1,通称パラス
无謂:データ蓄積型有機コンピュータです
トシュア・アルガンス:パラス…
无謂:まぁ、何故そう呼ばれたのかは判りませんが……
ハップエフ・トリガスキー:…………
无謂:今まであなた方が无謂と呼んでいた人格は
トシュア・アルガンス:で、何でそのコンピュターがウーなんだ?
无謂:私のサブCPUになります
トシュア・アルガンス:CPUって
无謂:データ蓄積が検索が私の主な任務になります
トシュア・アルガンス:お前ニューマンじゃん!
ハップエフ・トリガスキー:……物理的に人格が……脳が二人分に分かれてるってのか?
无謂:无謂は、そのデータの解析などが任務です
无謂:肯定します
无謂:私はニューマンのボディが使われているだけで
无謂:実際ニューマンではないでしょう。
ゆみりあ-8th:また、難儀な存在つくったものね…
セスカ・セトラージェ:……言っておくけれど、ワタシが造ったわけではないわよ
ハップエフ・トリガスキー:違うのか?
无謂:私を作ったのは、リアン・ユイという方です。

淡々と語る无謂。
ハップエフの視線は、これまで无謂を見るものとは明らかに違っていた。
嫌悪、或いはそれに類似するもの。

无謂:ともかく、某研究所で任務に当たっていたのですが
トシュア・アルガンス:はぁ、つまりニューマンであってニューマンじゃねぇ…てことか
无謂:その研究所が閉鎖され、私は軍によって確保されました。
无謂:大して役に経たないと判断され、破棄されそうになったのですが
无謂:一人の軍人が私を引き取る、といいだしまして
ハップエフ・トリガスキー:…………
无謂:何故そんな事を下のかはいまだに理解できませんが……
无謂:思考能力のあまりない私よりは、と
无謂:サブのCPUのほうに行動を全て任せることにしたわけです
セスカ・セトラージェ:……成る程。
トシュア・アルガンス:ふぅん…
ハップエフ・トリガスキー:オマエたちの人格を統合することは……できないのか?
セスカ・セトラージェ:破壊を免れたとは聞いていたけれど……
セスカ・セトラージェ:そうして今に至るわけね
无謂:全くの別体ですからね
无謂:はい
ハップエフ・トリガスキー:…………
トシュア・アルガンス:でも、お前はパラスで
ゆみりあ-8th:全く別、ね…
无謂:私はいまだにデータを収集しつづけていますが、
トシュア・アルガンス:うーはうー
无謂:特にこれが役に立つことはないですからね
トシュア・アルガンス:そういうことでいいんだな?
无謂:无謂に完全に体をゆずってもいいのですが
无謂:肯定します
无謂:先ほど、犬の体当たりで、少々ダメージをうけ、
トシュア・アルガンス:んじゃ改めてよろしくなパラス!
无謂:反応が無いので、仕方なく私が出ました
无謂:こちらこそ宜しくお願いします

大きな手を无謂の前に差し出すトシュア。
无謂はその手を見て首をかしげる。

ゆみりあ-8th:一度は奥へひっこんだ貴女がどうして表に出てきたのか
ゆみりあ-8th:・・・なるほど
トシュア・アルガンス:握手っていうんだ
セスカ・セトラージェ:検索なさい、『握手』よ
无謂:握手……
无謂:ああ、なるほど
无謂:人間同士の挨拶ですね

納得したのか、无謂はトシュアの手をとる。

セスカ・セトラージェ:ええ。
トシュア・アルガンス:ああ
ハップエフ・トリガスキー:……人間同士……
トシュア・アルガンス:ぎゅ
无謂:まぁ、私はコンピュータ、なんですけどね
トシュア・アルガンス:はは、関係ねぇて
ハップエフ・トリガスキー:情報蓄積型と言っていたな?
トシュア・アルガンス:俺もキャストだしよぉ
无謂:肯定します
ハップエフ・トリガスキー:パラスの方も、ウーの方も、両方ともか?
无謂:いえ
无謂:无謂は完全に解析専門です。
无謂:自分で考え、答えを出すことが出来ます。
ハップエフ・トリガスキー:待て、それじゃ……
无謂:多分、ですが、感情もあるのでしょう。
ハップエフ・トリガスキー:ウーは……学習することはないというのか?
无謂:いえ、ありますよ
无謂:現に无謂は当初、表情一つ見せませんでしたから
ハップエフ・トリガスキー:……感情もあり、物事を覚えていけるというんだな?
无謂:……初めてアナタと无謂が会った日を覚えていますか?
ハップエフ・トリガスキー:……あぁ。
无謂:あれでもマシなほうだったのですよ。

表情一つ見せなかった无謂。
美しいニューデイズの自然公園を見て、何も感じぬといった无謂、をハップエフは
思い出した。
そういえば、自分と結婚しようと言い出したのも、あの任務でだった。

ハップエフ・トリガスキー:…………
无謂:良し悪しは別にして、ガーディアンズに入ったことが、影響を
无謂:与えたものと判断します。
トシュア・アルガンス:今じゃハップエフにベタ惚れだからなぁ
ハップエフ・トリガスキー:……本当にそうかな
无謂:……恋愛、というものですか。私には理解できませんが
ハップエフ・トリガスキー:ウーは……人としてオレを見ているんだろうか……
ゆみりあ-8th:何だと思ってるっていうのよ?じゃあ
无謂:一応、私のほうからは无謂の知識情報を参照できますが
ハップエフ・トリガスキー:飼い犬を目の前で殺される少年のことすら想像できない存在が
ハップエフ・トリガスキー:恋愛感情なんて……もてるものなのか?
无謂:无謂は動物を飼ったこともないのですよ
ハップエフ・トリガスキー:オレは……ウーは……確かにちょっと変わった子だと思っていた
トシュア・アルガンス:馬鹿野郎!
ハップエフ・トリガスキー:でも……
ゆみりあ-8th:価値観が違うだけでしょう。それは
セスカ・セトラージェ:……アナタは、今の无謂の話を聞いていなかったのかしら?
ハップエフ・トリガスキー:ぐおっ?!

トシュアは殴る、手加減せずに、ハップエフを。
トシュアの拳がハップエフのあごを捉える。
シールドラインがある程度身を守ってくれはしたが、たまらずに地面に倒れるハップエフ。

セスカ・セトラージェ:#ハップエフ眺めつつ
ハップエフ・トリガスキー:って、な、何しやがんだよっ!?
トシュア・アルガンス:てめぇがアイツを
トシュア・アルガンス:信じなくてどーする!
ハップエフ・トリガスキー:……なんだと?
ハップエフ・トリガスキー:……オマエに何がわかる
ゆみりあ-8th:さらにいえば経験が不足している。見た目は十代前半の少女だけど
ハップエフ・トリガスキー:オレは……今日の今日まで
ゆみりあ-8th:ヒトとしてはまだ、赤ちゃんみたいなもの。なんでしょ#ため息
ハップエフ・トリガスキー:ウーはちょっと毛色は違っても、普通の女の子だと……
ハップエフ・トリガスキー:人間だと思っていたよ、心底な!
トシュア・アルガンス:アイツが言っていたことが全部嘘だったのか!えぇ?
无謂:……引き取った軍人も、キャストでしたからね。
无謂:おもちゃと言えばコンピュータと銃。生活様式は軍隊風でした。
ゆみりあ-8th:普通って何よ。
セスカ・セトラージェ:当初は表情一つ見せなかった。
セスカ・セトラージェ:学習し、自ら考え、判断することができる
セスカ・セトラージェ:そして、今では随分マシになった。
セスカ・セトラージェ:これらの点から、无謂が――

もはや人の忠告など受け入れられる状況ではないと判断したのだろうか。
珍しく己から、己の意見を口にしたその言葉を、飲み込み、嘆息。

ハップエフ・トリガスキー:……オレはぞっとしたよ
ハップエフ・トリガスキー:「犬を殺したら、また飼えば済むことじゃないか」
ハップエフ・トリガスキー:そう口にした時のウーの表情に。その声音に
ハップエフ・トリガスキー:オレはゾッとしたよ!
ハップエフ・トリガスキー:オレの受けたショックはそんなにおかしいか!?
ハップエフ・トリガスキー:えぇ!?
トシュア・アルガンス:なら…そのまま放っておくのか?
ハップエフ・トリガスキー:……オレは……
ゆみりあ-8th:間違ってるとは言わない。でもだったらどうするの?
セスカ・セトラージェ:ハップエフ・トリガスキー
セスカ・セトラージェ:アナタは
セスカ・セトラージェ:生まれつき、人の心の全てを理解していたとでも?
ハップエフ・トリガスキー:……オレは……
トシュア・アルガンス:ゾッとして…そのままでいいのかよ?
ハップエフ・トリガスキー:……はっきり言うぜ
ハップエフ・トリガスキー:オマエらが言ってるのは
ハップエフ・トリガスキー:学習さえすれば、エイリアンと、SEEDと理解しあうことだって
ハップエフ・トリガスキー:出来るっていってるのと同じだぜ!
トシュア・アルガンス:…
无謂:それができればそれに越したことは無いのでしょうが、
无謂:今までのデータを参照すると限りなく0に近い値ですね
ゆみりあ-8th:作り物の人間とは関わりたくないから、見捨てる。それでいいの?
ハップエフ・トリガスキー:人間の感情を生まれた時から理解してるだ?
ハップエフ・トリガスキー:出来るわけねーだろ、そんなもん!
无謂:あ
ハップエフ・トリガスキー:だが……種族が違えば価値観だって違う
无謂:无謂とのリンクが復活しました。
トシュア・アルガンス:それで悪ぃかよ?
トシュア・アルガンス:ん…
无謂:……
ゆみりあ-8th:だったら、傷ついてるヒマなんて無いじゃない
ハップエフ・トリガスキー:同じ学習を受ければ同じ結果を得られるってのは、人類という種族
无謂:自己診断モード起動。しばし機能を停止します。
ハップエフ・トリガスキー:同じ種族だっていう前提があるからだぜ
ハップエフ・トリガスキー:……オレは……
ハップエフ・トリガスキー:……クソッ

セスカは、大きく息を吐くと、膝に顔を俯せ動かなくなる。
いつものセスカならば見せない行動。

无謂:……
无謂:システム正常。
トシュア・アルガンス:てめぇの理屈なんぞ、どうでもいい
トシュア・アルガンス:きたぜ?
无謂:どうしましょうか、无謂に戻しますか?
ハップエフ・トリガスキー:………
ゆみりあ-8th:うーちゃんに戻ったとして、貴女はどうなるのよ?
无謂:常に无謂を観察しています
无謂:呼んでくださればいつでも表に現れることが出来ます
トシュア・アルガンス:ふぅん、そうか
无謂:その間、无謂はスレイブモードにしていますが
无謂:もう一人の人格が自分の中にいるのは良いことではないと
无謂:データ―ベースから判断しました。自信はありませんが。
トシュア・アルガンス:じゃウーに変わって貰えるか?
ハップエフ・トリガスキー:…………
ゆみりあ-8th:まいったわね…あの子の過去になにかあるとは思っていたけど
トシュア・アルガンス:そうだ、ウーはお前のこと
トシュア・アルガンス:知ってるのか?
无謂:スレイブモードになっている无謂は、一切の思考を遮断するようにしています。
无謂:よって、私の存在は認知していないはずです。

トシュアの問いに答えつつ、无謂はセスカを見る。
是非を求めたものであるのだが、セスカは俯いたまま顔を上げようとしない。

无謂:……
无謂:ふむ

命令が無い以上、自分で判断するしかない。
何時までもこうして入られない以上、无謂に戻ることは問題はあるまい。

无謂:了解しました。无謂に戻します。
トシュア・アルガンス:おう
无謂:……

今まで表情一つ見せなかった无謂。
突然目を見開くと、レーザーカノンを取り出す。

トシュア・アルガンス:おいおいっ!?
ハップエフ・トリガスキー:……な……
无謂:おのれワンコロ!うーうぇいびーむをくらうなのです!
无謂:…ってあれ?

驚いて无謂を見つめる目。
突然大型の武器を取り出したのだから、当然なのだが。
自分でもわけがわからぬというように、硬直する无謂。

ハップエフ・トリガスキー:…………
无謂:-x-?
ゆみりあ-8th:記憶が途切れてるのね。おはよ、うーちゃん
トシュア・アルガンス:よぉ、ウー
无謂:おや、ゆみりあねえさま、いつからここへ?
ハップエフ・トリガスキー:#思わず身構えそうになっていたが、緊張を解く
トシュア・アルガンス:もう終ったぜ?
无謂:むむっ
ハップエフ・トリガスキー:……ふぅ
无謂:またなのですか
ゆみりあ-8th:結構前から居たんだけどね。#苦笑しつつ
无謂:たまーに記憶がとぶなのですよ、うーは
无謂:まったくこまったものなのです。
ハップエフ・トリガスキー:…………
トシュア・アルガンス:おお、そうなのか
无謂:ええっと、犬とガキンチョはどうしたなのです??
トシュア・アルガンス:ああ、犬はなんとかした
トシュア・アルガンス:ガキも無事さ
无謂:うーの敵をとってくれたなのですね!?
トシュア・アルガンス:おう!
无謂:なるほど、なるほどなのです。
ハップエフ・トリガスキー:…………
无謂:終わりよければ全て良しなのです
无謂:…はっぷえふ?
无謂:どうしたなのですか?

无謂に声をかけられ、身をすくめるハップエフ。

ゆみりあ-8th:カタキって、まだ生きてるでしょ。うーちゃん#微妙な表情で笑む
无謂:むむ

ハップエフ・トリガスキー:……寄るな、ウー。

明確な拒否。

无謂:え?
ゆみりあ-8th:ふーん。
ハップエフ・トリガスキー:……近寄るな、と言ったんだ。

更なる、拒否。

无謂:どう、したなのですはっぷえふ?
无謂:……
无謂:はっぷ、えふ?

理解できない、したくない。
无謂の、未成熟な感情が、それ以上の追求は無用と警告を発する。
だが、聞けぬ。
警告を無視。

ハップエフ・トリガスキー:…………
无謂:うー、なにかしたですか?
トシュア・アルガンス:チッ…この馬鹿!
ハップエフ・トリガスキー:……………
ゆみりあ-8th:ま、すぐには無理よね…。私だって本当の事言えば泣き叫んだり
ゆみりあ-8th:したいもの…。けどねはぴえふさん。#真っ直ぐ見つめる
ゆみりあ-8th:逃げても何も変わらないわよ
トシュア・アルガンス:ああ、うーは何も悪くねぇ気にすんな…
无謂:でも、はっぷえふが……
无謂:うーのこと、嫌いに……なったなのです?
ハップエフ・トリガスキー:黙れよ
无謂:……
ハップエフ・トリガスキー:黙れってんだよ!!
无謂:は・・・

何か云わなければならない。
何か云わなければ終わってしまう。
だが、何か云うと、拒否されてしまう、嫌われる。

トシュア・アルガンス:てめぇ!
ハップエフ・トリガスキー:オレに指図すんな!

トシュアはハップエフの胸倉を思い切りつかむ。
流石のシールドラインも、最大出力のキャストの力の前には無力。
ハップエフの着る服が、破ける音が聞こえる。

セスカ・セトラージェ:……
ゆみりあ-8th:・・・好きにしなさいよ
ハップエフ・トリガスキー:…………
セスカ・セトラージェ:…………
ハップエフ・トリガスキー:……殴れよ? それで気がすむならよ

結局、无謂は、それ以上何も云うことが出来ず、床に崩れ落ちる。

无謂:うう、、
无謂:ぐすっ
ゆみりあ-8th:うーちゃん、横座らない?
无謂:……
ゆみりあ-8th:こっちこっち
无謂:ねえさま~~~

无謂は、ゆみりあの膝に泣きつく。
トシュアは、ハップエフを床に叩きつける。
衝撃に、身を硬直させるハップエフ。
拳を握ったトシュアだったが、やがてハップエフの体から離れていった。

トシュア・アルガンス:てめぇなんか…殴る気も価値もねぇよ

そう、言い捨てるトシュアを見ることも出来ずに、ハップエフは座り込む。

ゆみりあ-8th:よしよし
ゆみりあ-8th:いいよ。逃げても
无謂:うう、
无謂:うううう、

膝の上で涙を流す无謂の頭を軽くなでながら、ゆみりあは誰と泣くつぶやく。

ゆみりあ-8th:貴方は逃げることが出来る。それで全てを終わらせる事が
ゆみりあ-8th:出来るか私は知らないけどね。
セスカ・セトラージェ:……終わるはずがない
无謂:あ
无謂:こわれ・・・ちゃう
ゆみりあ-8th:・・・うーちゃん?
无謂:ねえさま、うー、こわれちゃうよ・・・・・・
セスカ・セトラージェ:希望は砕かれ
ハップエフ・トリガスキー:…………
无謂:えぐえぐ

大きく見開く目。
新たなる感情。
悲しみ、絶望、そして……恐怖。

セスカ・セトラージェ:可能性は閉ざされ
ゆみりあ-8th:大丈夫、だいじょうぶだから
ゆみりあ-8th:他の人は解らない…けど、けどね
无謂:......
ゆみりあ-8th:私とカオリンはずっとうーちゃんの側に居るから…
无謂:ねえ・・さ・・ま

ゆみりあは、无謂の頬に、自分の頬をぎゅっとくっつける。
大きく見開いた目が、ゆっくりと、閉じていく。

无謂:あたたかい・・・ねえさま

セスカ・セトラージェ:疑いと怒りと憎悪に心荒ませるばかりの宿命を巡らせた
セスカ・セトラージェ:その果てにいるのがこのワタシだというのに……
セスカ・セトラージェ:……同じ道を歩もうというの?
セスカ・セトラージェ:ハップエフ・トリガスキー。
ハップエフ・トリガスキー:……オレは人間だ。
セスカ・セトラージェ:ワタシも人間よ。
ハップエフ・トリガスキー:怪しいクスリなんぞに頼ったことはねーし
ハップエフ・トリガスキー:これからもそうだ
セスカ・セトラージェ:……無駄よ
セスカ・セトラージェ:今のアナタには無理。
ゆみりあ-8th:トシュアさんもヒトよ機械の身体してるけどね
トシュア・アルガンス:………。
无謂:ひと・・は・・あたたか・・い
セスカ・セトラージェ:ヒトのココロは解らないワタシだけれど
无謂:としゅあも・・・あたたか・・い?
セスカ・セトラージェ:それだけは判る。
ゆみりあ-8th:そう、生きているからそこに居るからね
セスカ・セトラージェ:アナタは全てを失う。
セスカ・セトラージェ:……今のままではね。
ハップエフ・トリガスキー:……うるせぇ
セスカ・セトラージェ:……後悔してからでは遅いわよ。

无謂は、弱弱しくトシュアに向けて片手をあげる。
腕を差し出すトシュア。
強く……小さなその体にしては、だが、握る。

无謂:あたたかい・・・
セスカ・セトラージェ:忠告だけは、しておいてあげるわ
ハップエフ・トリガスキー:…………
无謂:イキ・・テル
トシュア・アルガンス:…ああ、ウーもな
无謂:わた・・しも?
セスカ・セトラージェ:……
ゆみりあ-8th:ええ

トシュアはあいたほうの手で、无謂をそっとなでてやる。
ゆみりあのそれよりは、力強く。彼らしく。

无謂:みゅ・・・・いいきもち・・・
ゆみりあ-8th:セスカさんもこっち来たら良いじゃない#微笑んで手招き

セスカはゆみりあや、无謂の様子を、ひどく羨ましそうに見ていた。
そんなセスカに気づいたのか、无謂もセスカに手を伸ばす。

ハップエフ・トリガスキー:#誰とも目を合わせないよう、床の一点を見つめている
セスカ・セトラージェ:……まだ、ダメだわ#苦笑
セスカ・セトラージェ:あなた達の手を握るには……まだ、ワタシに早すぎる
无謂:いつか・・・
セスカ・セトラージェ:……もう少し
无謂:にぎれると・・・・いいね
セスカ・セトラージェ:……ええ。もう少し……
トシュア・アルガンス:きっと来るさ、必ずな
无謂:まってる・・よ
セスカ・セトラージェ:この手にこびりついた血を
セスカ・セトラージェ:拭ってからでないと……ね……
无謂:?
セスカ・セトラージェ:……ありがとう。
无謂:#こくり
无謂:・・・眠い・・・なのです
ゆみりあ-8th:あーあっ、色々あって疲れちゃったね
セスカ・セトラージェ:……休みなさい、今は。
无謂:はい、なのです
トシュア・アルガンス:だな、少し眠れよ
无謂:ちょっと、寝させてもらうなのです
ゆみりあ-8th:ん、ここで眠ってしまった大丈夫よ。
ゆみりあ-8th:誰かに運んでもらうから…

无謂はそういうと、静かな寝息を立てる。

セスカ・セトラージェ:……
ハップエフ・トリガスキー:……………
トシュア・アルガンス:この可愛い笑顔もうーの一つだ
ゆみりあ-8th:望めば、何も変わらないままの暮らしも手に入れられる…みたいね

ハップエフは、无謂達を見ようともせず、暗い面持ちのまま、力なくのろのろと立ち上がる。

セスカ・セトラージェ:……さて
セスカ・セトラージェ:この子が風邪をひかないうちに、帰りましょうか
ゆみりあ-8th:決めるのは自分自身よ。私はもう答えだしたってだけ。
トシュア・アルガンス:ああ
ハップエフ・トリガスキー:……………
ゆみりあ-8th:うん、かえろ
セスカ・セトラージェ:ハップエフ、ワタシの言葉を信じるも信じないもアナタの自由よ
セスカ・セトラージェ:ただ、その答えの先に何があるのかだけは
セスカ・セトラージェ:よく考えておく事ね
ハップエフ・トリガスキー:…………
セスカ・セトラージェ:さ、行きましょ
ゆみりあ-8th:さてと、うーちゃんを抱き上げて欲しいんだけど、
ゆみりあ-8th:誰か、居ないかな~
トシュア・アルガンス:………てめぇの尻はてめぇで吹きな…
トシュア・アルガンス:じゃ俺が
セスカ・セトラージェ:あら、ワタシでも良いわよ?
ゆみりあ-8th:ありがと、じゃあトシュアさんお願いね
トシュア・アルガンス:おう
セスカ・セトラージェ:そう、ならトシュアに任せようかしらね
ゆみりあ-8th:ふふ、そういえば力持ちなんだよね、セスカさん
ハップエフ・トリガスキー:…………
セスカ・セトラージェ:ええ、この子を抱き上げるのが苦にはならない程度にはね。
トシュア・アルガンス:お姫様だっこは
トシュア・アルガンス:王子の特権なんだよ!
ゆみりあ-8th:あはは

トシュアは无謂を軽々と持ち上げる。
その小さな体は、トシュアの両手にすっぽりと納まる。

セスカ・セトラージェ:……ふむ、そんなものなのかしらね#肩すくめ
セスカ・セトラージェ:まぁ、いいわ
トシュア・アルガンス:抱き上げる
ゆみりあ-8th:ふうっ#服の裾を払い立ち上がる
トシュア・アルガンス:んじゃちゃんと送るぜ
ハップエフ・トリガスキー:…………
ゆみりあ-8th:よろしくね
トシュア・アルガンス:おう!

ハップエフは、疲れたような目で、帰り路につく仲間……を、見送る。

ゆみりあ-8th:決めるのは、自分自身よ
ゆみりあ-8th:じゃあね、心の劣等種さん

最後に、ゆみりあは振り向きもせず、つぶやくと、展望台を出てゆく。

ハップエフ・トリガスキー:……クソッタレが

一人残されたハップエフ。
くらがかりで悪態をつく。
だが、そんなことをしても自体は改善されるはずもなく、むしろ、美しい星の瞬きすら
いまの自分を嘲笑しているようにさえ見える。
その日ハップエフはずいぶんと久しぶりに、町の歓楽街へと消えていった。