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285名前: 投稿日: 2005/01/07(金)00:08
小さな町、『浦板』
季節は秋
少しばかり肌寒い。
見下ろす景色は紅で
吹き抜ける風に落ち葉が揺れる。


この小さな町で俺たちは出会った。
それは劇的でもないし
運命ですらないのかもしれない。
ただ俺は・・・
全てを伝えるために、
その想いを、今、
・・・・・言葉にした・・・・・




『浦板ラブストーリー』
287名前: セイネ (SkqmBirw)投稿日: 2005/01/07(金) 00:13
ちょっとドキドキです・・・(・x・*)
291名前: 投稿日: 2005/01/07(金)00:41
ジリリリリリリリリリリッッ!!!
「・・・ん~・・・」
叫び続ける目覚ましの機械音、俺の朝はいつもこいつと共に始まる。
リリリ・・・・・ッ
俺は布団の中から精一杯手を伸ばし、目覚まし時計の頭を叩いた。
もう朝か・・・
静かになった部屋はまだ薄暗い。
だるいな・・・。
光を浴びなければ、どーにも活動意欲が湧かない。
俺は這いずるように窓際に行き、勢いよくカーテンを開けた。
「ふぁ~・・・。」
窓から差し込む朝日につられ、大きく伸びをする。
朝露に塗れた窓の縁を掴み、ゆっくりと立ち上がった。
寒くもなく、暑くもない。
俺の、いや大抵の人間の大好きな気候だろう。


俺がこっちに来てから、もう数年経った。
こっちの公立の大学に行くために、一人暮らしをすることになったのだ。
最初の頃は戸惑っていたが、今となってはこの『浦板』に馴染んでいる。
地方なだけあって少し不便な事もあるが、それにもかなり慣れきた。


「さってと、学校行くかぁ・・・ふぁ・・」
俺は、眠気でいまいち思い通りに動かない自分を気合いで起動させた。
294名前: 投稿日: 2005/01/07(金)01:16
朝から焼き芋。
秋といえばこれに限る。
大量に買い込んだサツマイモをアルミホイルに包んでオーブンにぶち込む。
後は時間がそれを焼き芋に変えるんだ。
俺はダンボールから手頃なイモを二つ出し、オーブンの目盛りを40分の所まで捻った。


俺は一度動く気が出てきたら、急にせっせと動き出すタイプ。
少し散らかった部屋を簡単に片づけると、部屋の片隅に置いてあるCDコンポのスイッチを入れた。
芋の焼ける匂いが少しづつ漂ってくる。
CDの回る音が最初はゆっくりと鳴り、それがだんだん早くなってきたと思えば、
スピーカーから音が流れはじめた・・・
・・・・大好きな、この曲。
微かな記憶の隅っこで・・・いつも静かに流れている・・・。




チーンッ


・・・どうやらオーブンの任務が終了したようだ。
俺はCDコンポのスイッチを切ると、大きな手袋を片手に、オーブンへ向かった。
「あちッ!!」
開けた瞬間立ちのぼる蒸気に、俺は少しひるんだ。
が、再び気を取り直し焼き芋に手をかける。
「うん、美味しそうだ」
いい具合に柔らかい。
まぁ満足といったところか。
俺は、まだ熱すぎるそれを頬張りながら、口の中に放り込んだ。

295名前: 投稿日: 2005/01/07(金)02:02
ここから大学までは、結構近い。
俺は芋を喰いながら、服を着替えて鞄に筆記用具を詰めた。
電気を消すと、家の戸締まりをする。
外は吹き抜ける風のせいで少し肌寒い。
大学までの一本道。
その脇に並んだ木々。
この季節にはそれらの葉っぱがすべて紅に染まる。
電車で来ている人や、地元に住んでいる人の歩く中を俺も一緒に歩き始めた。


いつもとなんら変わらない景色だ。
5分程で、大きな時計塔が見えてきた。
『浦板大学』の門をくぐる。
地方の大学なだけあって土地はかなり広い。
「おはよぉ、シャロン~!」
俺を呼ぶ聞き慣れた声がする。
振り向くとやはり奴がいた。
「おはよう。」
とりあえず返事はしておく。
「どうしたん?元気ないやん!」
お前のテンションが高すぎるんだよ。
「ふつうだ。
お前は朝から楽しそうだよな。少年よ。」
明らかに清々しい顔で少年は俺の隣に来た。
こいつとは、入学当初この大学で知り合った。
気があうのか、それ以来ずっと仲が良い。
俺と同じで、実家が遠く一人暮らしをしている。
特徴は・・・・
・・・脳天気かな。
「ハハ、でも今日は一個目からしんどい授業やからなぁ~」
確かに一個目はだるい授業だ。
けど、少年がそう言うと、楽しそうに聞こえる。
「うん、だるいな・・・」
俺は手に持った鞄を肩にかけると、そのまま校舎に向かって歩いていった。

296名前: 社灼 (sime.FJA)投稿日: 2005/01/07(金) 06:59
ヽ(゚д゚)ノ
299名前: 投稿日: 2005/01/07(金)23:28
「・・・はい」
広い教室に小さな声が飛び交う。
教授が出席をとっている。
「彩子」「ここですわ」
・・・そろそろ俺の番か。


「シャロン」
「はい。」
自分の名前が呼ばれるのを確認すると、俺は返事をし筆記用具を出した。
「少年」「はい!」
相変わらず元気な少年の声が響く。
俺の右隣に少年、左隣に彩子がいた。
彩子も、入学当初から仲がよいが・・・、
なんて言うか・・・・ん~・・・
住む世界が違う。
俗に言うお嬢様と言う輩だ。


「・・・レポートやってきた?」
少年が思い出したように俺に言う。
俺は鞄から出したレポートを少年に見せると、少年は急に頭を抱えた。
「どうしよう」、と唸っている。
・・・また、忘れたのか。
「また、忘れたのか?」
念のために聞いてみる。
少年は頭を抱えたまま俺の方を向いた。
「うん・・・
単位がぁ・・・やばいッ」
自業自得だが、こいつとも腐れ縁。
なぜかほっておけない。
俺が試行錯誤している中、彩子の手が伸びてきた。
「お貸ししますわ。」
手にはレポートが握られている。
「でもッ彩子はどうするん・・・?」
少年が潤んだ瞳で彩子に問いかける。


はぁ・・・
結局、このパターンかよ・・・


「わたくし、昨日あまりに暇だったのでレポートを二つ書いてしまいまして。
良かったら、お使いください」
こいつはなぜいつも二つレポートをしてくる。
「彩子様ッ、この恩は忘れないッ!!」
こいつも何回そのセリフを言っている。
「お気になさらないで。
『常に尊大に、そして慈悲深くあれ』
それが、我が家の教えですの。」
彩子は上品に笑うと涙目の少年にレポートを渡した。




「レポートの提出」
教授が小さくそう言うと、後ろの人から各自レポートを前に渡していった。
301名前: 投稿日: 2005/01/08(土)00:16
鐘の音が鳴りやんだ校舎には、ほとんど人影が見あたらない。
先刻まであふれるほどに人がいた校門へと続く一本道にも、ただ静かに風が流れていた。


「まあ素敵!日本が狭いなんて誰が言ったのかしら?」
降ってくる紅い落ち葉を見上げながら、一人の女が歩いてきた。
嬉しそうに落ち葉を掴むと、それを宙に投げてクルリと回る。
その遠心力で、長いスカートも弧を描いた。
「セイネ、はしゃぎすぎですよ。」
セイネと呼ばれた女の後ろから、セイネの母にしては少し歳のとった女性が歩いてくる。
「でも、初めての日本だもの!
はしゃぐなと言う方が無理だわ~。」
セイネが嬉しそうにスカートの裾を掴み、女性の方へ走っていく。
「けど、セイネ。
お行儀よくしないと、向こうに嫌われますよ。
あなたの父が理事長をしているとはいえ、こんな特例なかなか無いんですから。」
歳のとった女性が言う。
「あら、パパには感謝しているわ!
それに私、お行儀なら完璧よ?」
セイネはにこりと笑うと、スタスタと美しく直線上を歩いていく。
が、しばらく歩くと立ち止まった。
「でも・・・」
セイネがまた振り向く。
「どこにいても賑やかな方が皆楽しくない?」
セイネが笑顔をでそう言う。
ブラウンの髪が風に流される。


スタスタスタ
「セイネ、はやく行きますよ?」
振り向いたセイネを通りこし、校門へと足を進めていく。
「あっ、ちょっと待ってよ!!」
それを追い、セイネも校門へ向かった。
305名前: 赭龍 投稿日: 2005/01/08(土)01:21
壁│∀・)ジー

頑張って下さい
307名前: セイネ (SkqmBirw)投稿日: 2005/01/08(土) 21:45
緊張する・・・(*・x・*)
309名前: 投稿日: 2005/01/09(日)16:27
重そうなドアの中にセイネはいた。
「あれ・・?パパは?」
セイネがキョロキョロと周りをみる。
「理事長はただいま出張中です。
話は聞いています。セイネさんですね?」
「あ、はい。」
「それでは転入手続きを・・・」






ガチャ
「失礼しましたー。」
セイネは深くお辞儀をすると、部屋を後にした。
「無事に終わりましたか?」
外で待っていた女性が言う。
「うん、大丈夫よ!
明日からここで生活するのね!
とても楽しみだわ~」
「セイネ、何かあったら連絡するのですよ?」
「あら、心配しないで!
こう見えても私、自炊には自信があるの」
「心配するなと言う方が無茶ですよ。
まあ、たまに連絡を入れなさいよ?」
「は~い。」
セイネが間延びした返事をする。
二人は校門へと歩いていった。


女性は車に乗ると、セイネの方を向き心配そうに手を振る。
セイネは何度も楽しそうに手を振った。


ブモモモモモ
排気ガスを吐いて車が視界の外へと走り去る。
砂埃が舞い、セイネはそれをかわすように俯いた。
「さっ、とりあえずは、お家へ行こうかな!!
その後に町の探検ね~」
セイネは楽しそうに走り出した。
311名前: 投稿日: 2005/01/09(日)17:30
「ふぁ~・・・」
授業が終わり、俺は座りっぱなしで固まった自分の体を大きくのばした。
隣で彩子がいくつかの教材をトントンと机の上で揃えている。
少年は・・・・
・・・はぁ・・・
「起きろ。」
俺は軽く少年の肩に手を触れた。
「んー・・・」
少年が眠たそうに目を開ける。
「授業終わったぞ。」
俺がそう言うと、少年は嬉しそうに目を大きく開いた。
「シャロン!今日バイトは?」
相変わらず、切り替えの早い奴だな。
「非番」
「よしっ!遊ぼ・・・・。」
そこまで言うと、次は急に落ち込みだした。
「なんだ?どうした?」
あまりの移り変わりに少し頭のほうが心配になり聞いてみる。
「俺がバイトや・・・」
そこまで落ち込むことかよ。
「ご機嫌よう」
彩子が立ち上がりそう言う、荷物の片づけが終わったようだ。
「あ、ご機嫌よう。」
俺と少年が声を合わせて言うと、彩子は上品に笑い歩き去った。
「・・・じゃあ、俺も行くわ~・・」
少年が不服そうに言う。
「おう、また。」


教室もガヤガヤと騒ぎながら人が減っていく。
そろそろ俺も帰ろうかな・・・。
にしても、今日はマジ暇だな~。
コンビニでも寄って帰るかぁ・・・。
俺は少しだるい体を持ち上げて。西日がさす教室を後にした。

312名前: 投稿日: 2005/01/09(日)17:57
寒い。
いや、寒いと言うほど寒くないんだが、微妙に肌寒い。
コンビニを通ると、家までは少し遠回りになる。
けど、大通りから外れているんで人が少ないしプラマイ0だろう。
あ、でも景色が殺風景だから少しマイナスか・・。
曲がり角を右に曲がると、コンビニの青い看板が見えてくる。
自動ドアが開いた。
「こちらこそ!」
ドアから出てきた女がそう叫んでいる。
ブラウンの髪をなびかせながら、俺に背を向けて走っていった。
なんだろう?
俺はいつも、ボーっとしていても周りの声を勝手に聞いてしまう。
で、その会話の内容が気になったりするんだ。
数々の修羅場を潜ってきた俺にとって、
今さっきの会話の内容を予想する事は、赤子の手を捻るよりたやすい。
店員の「ありがとうございました!」に対する返事とみたね。


「こちらこそ」って・・・
・・・変わった奴だな・・・。
てか、あんな奴ここらにいたっけ?


ガァー
自動ドアが開く。
「いらっしゃいませ!」
店員が、自動ドア開くの見てから余裕でした、と言わんばかりの笑顔で挨拶してくる。
俺は手頃な晩飯を探すと、それを持ってレジに向かった。
ん~、繊維があからさまに足りないな。
いや、キャベツが冷蔵庫にあった。
あれにむしゃぶりつくとしよう。
レジで会計をすませる。
店員の「ありがとうございました!」を聞くと、俺は家路を急いだ。

313名前: 投稿日: 2005/01/09(日)18:54
ガチャ
家の鍵を開けると、中に入る。
コンビニで買ってきた食べ物が入っている袋を台所に置いた。
まだ夕飯には早い時間だな。
俺はCDコンポのスイッチをいれた。
曲が流れ始める・・・。




静かに、けど力強く流れるフルートの音。
俺は眼を閉じて、その音を堪能していた。
大好きな・・この曲・・
歌は人の心を落ち着かせる。
それに、あの短い時間で人の心を動かせる。
特に、この曲はいつ聴いても感動する・・。




無性に切ない気分になってきた。
俺は部屋の端に置いてある楽器ケースを拾い上げた。
たまに、というかほぼ毎日、この時間になると俺は決まってあそこに行く。
この小さな町を見下ろせる場所。
地元の人でもほとんど知らない。
・・・裏山にあるの展望台。
昔使っていたらしいが、今はボロボロになった『立ち入り禁止』の札だけが貼ってある。
太陽が沈むにつれて冷え込んでいく気候に対抗すべく、少し着込んで家を出た。
戸締まりをすると、歩き慣れた道を歩き始める。
・・・やっぱり肌寒いな。
風が冷たく吹き抜けた。

314名前: 投稿日: 2005/01/09(日)19:21
浦板の奥へ奥へと歩く。
今時は、やれギター、やれドラム。
恥ずかしくって、人前じゃこんなの吹けない。
だから、いつもあそこに行くんだ。
元々そんなに人がいるわけではないが、人気がほとんど無くなる。
アスファルトの坂道が、山に近づくにつれて獣道へと変わった。


歩いて30分程で、小さな展望台が見えてきた。
小さな木のベンチ。
冷たそうな鉄の柵。
静かすぎて自分の呼吸音すらうるさく聞こえる。
俺は楽器ケースをベンチの上に置くと、鉄の柵へと足を進めた。
『浦板』の町が下に見える。
少し冷たい風に当てられると、ベンチに座り楽器ケースを開けた。
大好きな曲、さっき聴いていたのと同じ、俺の大好きな曲があった。
楽器ケースからそれを出すと、乾いた口に先端を当て軽く吹き始める。


「♪トゥ・・トゥ・・トゥトゥ・トゥトゥトゥ・・・」
何ていうんだろう?
フルートを吹いている時のこの感覚・・
世界が・・
俺の音に満たされる。
どんな音も俺に届かない・・。
世界に 俺 ひとりしかいない
・・・この感覚。




前奏を吹き終え、歌詞の部分を頭に浮かべながら次に入ろうとする。
いつものように俺の音だけだった。


━━そこまでは


いつものように俺の音だけだった。


世界に 俺 ひとりしかいない
・・・この感覚。




その中、ひとつの女性の声が俺の世界に響いた・・

315名前: 投稿日: 2005/01/09(日)19:47
「ここが、今日からお世話になるお家ね!」
コンビニの袋を持ったセイネが言う。
部屋の中を歩き回っている。
部屋にはいくつかのダンボールがあるが、ほとんど片づいている。
「嬉しいわ!私の使ってた物を全部送ってくれたのね~」
大切そうに家具をひとつひとつ撫でていく。
「あ!」
大きなCDコンポが壁端に置いてある。
それを見て、セイネは嬉しそうにスイッチを入れた。
CDが回っている。
ゆっくりとフルートの音が流れ始めた。
セイネは両肘を床につき、眼を閉じいる。
しばらく聴き入ると、電源を切った。
「よしっ、町の中を探検しよっと!」
ダンボールの中からマフラーを取り出すと、それを首に巻き部屋を出ていった。




「日本は四季があると聞いたわ。
一年で四回も景色が変わるなんて素敵ね~」
人に見られたら恥ずかしいくらいに喋りながらセイネが町を歩いている。
気の向くままに道を曲がる。
次第にアスファルトの道が獣道へと変わっていった。
長い坂道を楽しそうに登っていく。
「どこまで続くのかしら!
もしかしたら、浦板を見渡せるのかも!」




『立ち入り禁止』と書いた札。
セイネはその前で立ち止まった。
「・・・・?
漢字ってほんと嫌だわ!!
どういう意味なのかな~?」
持参していたのか、懐から国語辞典が姿を現す。
それを引こうとしたが、何かが聞こえてくるのに気づいた。
「あれ?この曲・・・?」
セイネはその音がする方へ走り出した。
さっき聴いていたのと同じ音。
乾いた空気にフルートの音が響く。




展望台。
白いベンチに腰をかけいる後ろ姿。
西日が反射して銀色に光るフルート。
小さく見渡せる浦板の町。
今、前奏が終わった━━。
319名前: ハジャエディ (mRfdOT5I)投稿日: 2005/01/10(月) 06:38
( ゚Д゚)ハジャー!! 

320名前: 投稿日: 2005/01/10(月)20:45
優しく 甘くて 透き通るような、低音・・
明るく 強くて 空まで届きそうな、高音・・




俺はフルートを吹くのをやめ、振り向いた。
ブラウンの綺麗な長い髪、その少し小さめな体から出ているのが不思議なくらいの綺麗な声だった。
「あ、ごめんなさい!
その曲・・大好きで、あなたのフルート聴いてたら つい歌いたくなっちゃって・・。」
少し照れながら、そう言う。
今さっき歌っていた時の綺麗な声とは変わって、
・・正直・・かわいい声をしていた。
俺はその姿に見とれてしまわないように返事を考える。
「どうして・・ここに?」
こんな事言いたかったんだっけ?
彼女は笑顔でこっちを見た。
「探検していたの!
今日から、この町に引っ越してきたのよ。
私はセイネ!あなたは?」
隠れてフルートを吹いてたことが見つかった恥ずかしさのせいか、顔が熱い。
頭の中も真っ白だ。
「シャロン・・」
俺は彼女を直視できないまま、そう言った。
「シャロンかぁ~、素敵な名前!」
彼女はそう言い、鉄の柵に手をかけた。
「凄く綺麗!こんな景色を独り占めできるなんて幸せだわ!」


この展望台から全てが見渡せる、
小さな町、『浦板』
チイサナマチ、『ウライタ』
季節は秋
キセツハアキ
少しばかり肌寒い。
スコシバカリハダザムイ。
見下ろす景色は紅で
ミオロスケシキハクレナイデ
吹き抜ける風に落ち葉が揺れる。
フキヌケルカゼニオチバガユレル。




「分かるわ!その気持ち!」
「だろ?あの曲はサビよりもそこがくるんだよな!」
どれくらい話していただろう?
気づけば、かなり盛り上がっていた。
「あ、もうこんな時間!」
セイネが袖を捲りあげ、細い腕に巻き付いた時計を見た。
かなり話し込んでしまったな。
俺はフルートをケースにしまう。
「ねぇ、明日もここにいるの?」
「ん?あぁ・・・たぶん」
セイネが笑顔で俺を見る。
「じゃあ、また聴かせてほしいわ!」
そう言い残すと、「さようなら!シャロン」と叫びながら走り去った
326名前: 投稿日: 2005/01/12(水)23:40
「チュン・・チュンチュン・・」


窓の外からカーテンの隙間を抜けて、光が一筋うっすらと入ってくる。
俺はその光とすずめの鳴き声で目を覚ました。
時計は六時をさしている。


布団に入ったまま部屋の電気をつける。
目を軽く閉じて思い出す━━━。






小さな頃の微かな記憶。
母さんの吹いていたフルートの音。
小学生の頃父を失い、母さんは俺を女手ひとつで育ててくれた。
・・ずっと母さんには迷惑ばかりかけてきた。
父が死んで以来、俺は友達を作ることも無く毎日早く帰っては、家事を進んでしていた。
・・小学生の俺に出来た精一杯の恩返しだった。
母さんは、そんな俺を見てフルートをくれた。
音楽が好きになった。
けど、中学に入ってからの三年間も、あまり人となれ合う事はしなかった。
母さんが、いつも心配してくれている事を知っていた。
・・心配をかけては、いけないと思っていた。


「お前は、物わかりが良さすぎる。」
ある日、母さんが初めて俺をしかった言葉だ。
その時は母さんの言いたいことが、あまり分からなかった。
ただ、毎日吹いてくれたフルートの音が聴こえなかった事は覚えている。
あの柔らかい音色は、次の日になると響いていた。
それに少しでも近づきたくて、俺はずっとフルートを吹いていたんだ・・・。
328名前: 投稿日: 2005/01/13(木)00:07
そして、俺は大学受験を迎える。
私立は母さんに負担がかかる。
少しだけでも負担を減らしたくて、俺は勉強し続けていた。
どうやら俺は人一倍オツムの出来が悪いみたいで、
いや努力が足りなかっただけかもしれないが、地方の国立に合格をした。
母さんは喜んでくれた。
だが一人暮らしするのに、お金がかかる。
俺は辛いながらも母さんに頼んでみた。
母さんは快く了解してくれた。
・・やっぱり迷惑かけっぱなしだ。
けど、母さんはうれしそうに「お前が初めてわがままを言ってくれた!」と言った。
母さんには、ほんとに感謝している。


━━まだ、人と話すのは得意じゃない。
けど・・
彼女と話しているのは楽しかった。


記憶の片隅で微かに流れるフルートの音。
その恐ろしいほど美しい音色に、俺はゆっくりと目をあけた。
一時間ほど時間がたっている。
いつのまに寝たんだろうか?
俺は布団からゆっくり出て、焼き芋を焼き始めた。
毎日 焼き芋を食べても、まったく飽きはこない。
音楽をかける。
大好きな、この曲・・・・
歌を流しながら顔を洗い、服を着替える。
・・少し気合いが入ってしまうのは当然だろう?
俺は、音楽を止めると鞄をかつぎ家を出た。
343名前: 投稿日: 2005/01/18(火)01:37
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカンコン


真上から少し西よりにある太陽が校舎を照らしている。
「疲れた~」
少年が隣で大きくのびをする。
「なぁ、シャロン今から暇?」
少年は指の骨をポキポキ鳴らしながら俺を見た。
「バイト」
「何時にあがるん?」
6時だ。
が、俺には予定がある。
「8時・・・」
後ろめたさを感じながらも嘘を付いた。
俺の目を見てくる少年から目線を外す。
少年が少し疑いを込めたため息をついた。
「そっかー。
今日、欲しい物があったんやけどなー。」
残念そうに、そう言うと少年を俺の奥を見た。
「彩子はー?」
・・・いつもながら少年は凄いな。
たぶんコイツ程全ての人に同じ態度で接すことが出来る人間はいないな。
俺はつられて彩子の方を見た。
「・・少しくらいなら空いてますわ。」
どこに行くか分かってんのか。
カルチャーショックを受けるぞ。
「じゃあ、ちょっと付き合ってや!」
・・・まぁ、少年なら大丈夫かな。
「どこに行きますの?」
バーゲンだろう。
朝から必死でチラシを見ていたし。
「HEQのバーゲンだ!」
「はい?ばあげん・・・?」
「そう!一人だととてつもなく寂しくなるからッ!!」
「・・それは、どこにありますの?」
「電車で数駅!10分くらいや。
交通費はおごりますッ」
「でんしゃ?」




さて、帰ろうかな。
「えぇ!?
彩子、バーゲン行ったことないん!?」
・・・・・・。
早くここから逃げよう。
カルチャーショックを受ける前に。


俺は鞄を持つと小さく「じゃあな」と言って教室を出た。
345名前: 投稿日: 2005/01/18(火)02:08
「お疲れさま~」
「おう、お疲れー」
ガララララ、と自動ドアが開く。
俺は鞄を持ち、家へと向かった。


外は、また一段と寒くなった気がする。
オレンジ色に染まったその中を俺は走っていた。
家に着くと、鞄を置き代わりに楽器ケースを持った。
そのまますぐに家を出る。
だんだんと辺りは暗くなってきていた。
・・・まだ、いるだろうか?
少し遅くなりすぎた気がする。
俺はいつもより数倍速く町を駆け抜けた。
『立ち入り禁止』の札を横目に山道を登っていく。
むき出しになった展望台にほとんど消えかかっている太陽が色をつける。
俺は鉄柵から伸びている人影に気づいた。
ベンチに楽器ケースを置く。
少し音をたてて置いたんだが、彼女は気づかない。
余程、景色に見とれているんだろう。
「よう。」
俺が呼びかけると、驚いたように背中をビクリと震わせる。
そして、セイネが振り向いた。


空に引かれた、黒と橙(オレンジ)の境界線。
『浦板』は紅(クレナイ)。
彼女の真っ直ぐのびた薄い茶色の髪。
展望台の白いアスファルト。


こんな美しい景色は見たことが無い。
いつも見ていた、ここから見える景色。
・・・何も変わらないはずだ。
なぜこんなに美しく映るんだろう。
いつもと変わらない。
ただ、ひとつ・・
・・その中に・・・彼女がいるだけだった。

346名前: 投稿日: 2005/01/18(火)02:35
「遅いわ!シャロン!」
セイネが俺を見て言う。
その声に俺はハッとした。
「悪い・・、ちょっとバイトが長引いて。」
「そういえばシャロンは大学生?」
セイネがベンチに座る。
彼女は、俺の名前を軽く呼ぶが、俺はなかなか呼べない。
一見、大人しそうな感じだが、かなり明るい性格だ。
「うん、浦板大学に通ってる」
セイネが横に座るように手招きをしている。
俺はかなり高鳴る胸を静まらせ、隣に座った。
「あら、奇遇!!私も浦板大学に行くの。
今日からだと思ってたけど、10月は明日かららしいわ。
大学に行ったらそう言れて、今日は帰らされたの!」
笑いながらセイネが言う。
彼女の笑顔は、反則だ。


「ねぇ、シャロン!
フルート聴かせて?」
セイネが言う。
俺はかなり恥ずかしい気持ちを乗り越えて声を出した。
「・・・歌ってくれ・・ない・・か?」
「え?」
「あ、いや、声、綺麗だったから。」
かなりテンパってるのが自分でも感じられる。
俺は恐る恐る彼女の方を見た。
「うん!いいよ!」
セイネは、笑顔でそう言った。
俺はすぐに楽器ケースの方を向き、留め金に指をかけた。
フルートを出すと、それを口に当てる。
唇に走る冷たい感触が次第に熱くなってきた。
セイネが立ち上がる。
彼女の合図を受けると、俺は前奏を吹き始めた。
355名前: 安ジャー (mRfdOT5I)投稿日:2005/01/21(金) 14:24
( ゚Д゚)ハジャー!!  
357名前: 安ジャー (mRfdOT5I)投稿日: 2005/01/21(金) 14:30
( ゚Д゚)?

358名前: 投稿日: 2005/01/22(土)00:10
「♪トゥ・・トゥ・・トゥトゥ・トゥトゥトゥ・・」


彼女が軽く息をすい、歌い始める。


いつもと違う・・この感覚・・・
まるで、世界に・・
俺たち2人しかいないような・・。
・・・この感覚。




セイネがこっちを見て、手を上下に振っている。
俺に「立て」と言いたいようだ。
俺はギターを弾いたまま、立ち上がる。


セイネが笑顔で歌っている・・。
そういえば俺は、あまり笑ってないような気がしてきた。
彼女を見てると俺もつい笑ってしまった・・。




━━楽しい。




太陽はその姿を完全に隠そうとしていた。
「もう一曲いこうよ!!」セイネが指を立てて、そう言う。
この曲と同じCDに入っている歌なら何でも吹ける。
彼女も全部好きだと言っていた。
「じゃあ、もう一曲いくぞ!?」
俺は、自分が喋っているんじゃないかと思うくらいの明るい声を出した。
こんな楽しいのは久しぶり・・・。
いや、初めてかもしれない。




気づいてしまった・・・。




セイネの綺麗な声が聞こえてくる。




いや・・とっくに気づいていた。






・・俺は、彼女が好きなんだ。








・・・・。
362名前: セイネ 投稿日:2005/01/22(土) 16:05
○さん頑張って下さいv(・x・*)

こういう恋がしてみたいな~
364名前: ○(訂正) 投稿日:2005/01/23(日) 23:07
「♪トゥ・・トゥ・・トゥトゥ・トゥトゥトゥ・・」


彼女が軽く息をすい、歌い始める。


いつもと違う・・この感覚・・・
まるで、世界に・・
俺たち2人しかいないような・・。
・・・この感覚。




セイネがこっちを見て、手を上下に振っている。
俺に「立て」と言いたいようだ。
俺はフルートを吹いたまま、立ち上がる。


セイネが笑顔で歌っている・・。
そういえば俺は、あまり笑ってないような気がしてきた。
彼女を見てると俺もつい笑ってしまった・・。




━━楽しい。




太陽はその姿を完全に隠そうとしていた。
「もう一曲いこうよ!!」セイネが指を立てて、そう言う。
この曲と同じCDに入っている歌なら何でも吹ける。
彼女も全部好きだと言っていた。
「じゃあ、もう一曲いくぞ!?」
俺は、自分が喋っているんじゃないかと思うくらいの明るい声を出した。
こんな楽しいのは久しぶり・・・。
いや、初めてかもしれない。




気づいてしまった・・・。




セイネの綺麗な声が聞こえてくる。




いや・・とっくに気づいていた。






・・俺は、彼女が好きなんだ。








・・・・。
368名前: 投稿日: 2005/01/25(火)21:33:26
母が聴いていた、あの曲。
俺は気になり、その曲を聴かせてもらった。
幼かった俺にも分かるくらいの感動。
何にも興味を示さなかった俺が初めて子供らしい笑顔で、こう言った。
「僕も、こんな人たちになりたい!」
母はいつもフルートを吹いていた・・。


セイネと明日も会う約束をしたんで、そろそろ寝ようと思っていた時
家の電話がなった。
プルルルルル
俺は布団から出ると、電話に出る。
「もしもし、シャロンです。」
めんどくさそうに、そう言う。
受話器から声が聞こえてくる。
「シャロン、元気?
久しぶりね~、最近忙しくって。」
・・母さんだ!
「母さん!?久しぶりっ」
俺は母さんの声を聞いて、少し嬉しくなった。
「元気そうね、何かいい事でもあった?」
この優しい口調が少しなつかしい。
「いい事かぁ・・・」
俺は迷いながらもセイネの事を話した。




「へー。嬉しいねぇ。
シャロンがそんな話するなんてなぁ。」
何か少し恥ずかしいな。
「し、仕事の方はどうなの?」
話を変えてみる。
母は俺のためにずっと働いてくれている。
━ずっと母に頼りっぱなしだ。
「そんな事心配してくれるんだ?
まぁ、大丈夫だよ。」
笑いながら母が言った。。




それから母と30分ほど話し込んでいた。
「じゃあね、シャロン。
がんばりなさいよ!」
母の声を最後まで聞き届けると、俺はそっと受話器を置く。
母と話すのは、かなり久しぶりだった。


俺は布団を被り軽く目を閉じる。
母さんに励まされた・・。
いや、母のひと押しが無くても・・
俺は最初から、そのつもりだったのかもしれない・・
・・明日・・
彼女に・・
すべてを失っても、構わない・・。


彼女に・・この想いを伝えよう・・・。


微かに寝息をたてて、俺は眠りに落ちた。
かけっぱなしのCDが部屋中に響いていた・・。
373名前: しーど (Ljvy.5j.)投稿日: 2005/01/29(土)11:35:11
コソーリ見てます。職人さん頑張って下さいー!


…漏れも火九さんと絡んで美味しい思いしたかったな|ω・`)

374名前: 投稿日: 2005/01/30(日)00:08:24
んー。……ん?
もう朝か。
俺は眠たい目をこすり、顔を洗うと気合いを入れる。
いつも以上に・だ。
用意をすますと、学校にむかった。




紅に染まる一本道。
いつものように、そこを歩いていた。
今日は少年と遭遇しないみたいだ。
少し時間が早いからかな。




チャイムの音が鳴る前に俺は教室に腰をかけていた。
「おはようー!」
少年が歩いてきた。
昨日買ったであろう服を着ている。
となりに鞄を置くと勢いよく腰を降ろした。
「おはよう。
どうだった?昨日。」
明らかに疲れている少年に問いかける。
「かなり人多かった。
マジ疲れたわ~」
だろうな。
彩子は無事なのか。
「おはようございます…」
くたびれた声が聞こえてくる。
彩子だ。
「お疲れだな。」
「そこは、戦場でしたわ。」
彩子が俺の右となりに座る。
「1限目は八木。
問題なく眠れる!!」
お前はいつでも寝てるだろ。




授業が始まると出席を取る。
それからしばらくすると教室にいる生徒がひとりひとり眠っていった。
こいつの授業は退屈で、いつもならまず寝てしまうんだが、今日はなぜか眠たくない。
何か落ち着かないな。
彼女はいつ来るんだろう。
セイネは、昨日、学部が同じだと言っていた。
遅刻したんだろうか?
左では少年がスースーと寝息を立てている。
彩子も珍しく眠っていた。


ガチャッ


教室のドアが開く音が聞こえ、俺は振り向いた。
ほとんど寝静まっていた教室で、それに気付いたのは俺くらいか。
こっそりと教室にはいってくる。

「セイネです、遅刻しました。」
教壇に行き謝ると、八木教授に席を指差される。
セイネは俺の方を見て、手を振った。
辺りは完全に眠りの世界。
俺は軽く手を振りかえした。

375名前: 投稿日: 2005/01/30(日)00:27:03
「はじめまして!」
休憩時間、セイネが二人に挨拶をしていた。
「俺、少年。
よろしく!!」
「彩子ですわ、こんな時期に転入とか珍しいですわね。」
二人が自己紹介をしている。
そろそろ聞かれるんだろうな・・・。
「で、シャロンとは知り合いなん?」
きた。
「うん、そうよ!
たまたまあったの、裏や……」
セイネの言葉に俺が割り込む。
「そう!たまたま会ったんだ!!」
フルートの事は言わないぞ。
「ふ~ん」
少年が呟く。
その目はやめてくれ。
「ねぇ、シャロン。
今日もあそこに行くの?」
「あそこ?」
………。




結果だけかいつまんで言うと、ばれた。
ただ、予想以上に悪い反応じゃなかったけど。
「へー、お前そんなん吹いてたんや。」
「驚きですわ。」
あー、何か恥ずかしいな。
「えぇ!とっても上手なのよ!!」
やめてやめて。




「今度聴かせろよ。」
少年が言う。
セイネが横で笑っている。
俺は昨日覚悟した事がある。
「あぁ、また今度な」
俺がそう言うと少年は帰っていった。
「いこっ?シャロン!」
セイネが楽しそうに裏山に走り出す。


俺は昨日覚悟を決めたんだ…。
いくぞ・・・

376名前: 投稿日: 2005/01/30(日)00:42:17
白く冷たい、アスファルト。
展望台から見えるオレンジの空。
紅の浦板。
彼女の見せる、その仕草や
歌う声さえも……


すべてが、俺に語りかけてくる。
「すべてを失うくらいなら・・。
このままでもいいんじゃないか?」と。
セイネの声が遠くから聞こえた気がした。
・・・。
歌い終り、日が暮れていく。
何気ない会話も、どこか上の空になってしまう。
━ほんとにいいのか?




・・やっぱり駄目だった・・
最初から、そのつもりだったのに…
やっぱり…俺は…
母さんに…頼りっぱなしだ…。
最後に俺の背中を押したのは、母さんの励ましの言葉だった。
少し無言が続いたからか、セイネが不思議そうに、こっちを見ている。
・・目があった・・
━━いくしかない!!
俺は彼女から目を離さずに、呟いた。
「セイネ…」
精一杯の勇気だ。
「……?」
彼女は緊張した顔で、俺を見ている。
俺が真剣なのに気付いてくれたみたいだ。




セイネとは出会ってから、まだ数日しかたっていない。
…けど…






…あの日の事が忘れられない…


優しく、甘くて、透き通るような、低音・・
明るく、強くて、空まで届きそうな高音・・
彼女の歌声は、あまりに美しかった・・。






この小さな町で俺たちは出会った。
それは劇的でもないし、
運命ですらないのかもしれない。
ただ俺は・・・
全てを伝えるために、
その想いを、今、
・・・・・言葉にした・・・・・。






『浦板ラブストーリー』

379名前: 投稿日: 2005/01/30(日)22:17:30
「セイネ‥
俺の‥パートナーになってください‥!」
優しく、強く、そう言った。




沈黙が続いた。
冷たい風が吹き抜け
それに乗ってきた落ち葉がカサカサと音をたてた…。
俺は、マジで後悔した‥。


「いいヨ‥」




━━え?






世界が‥
俺の音で満たされる。
どんな音も俺に届かない・・。
世界に 俺 ひとりしかいない。
‥この感覚。


‥その中、1つの女性の声が、俺の世界に響いた‥。


「私も‥言おうと思ってたんだ‥。」
セイネはうつ向いたまま、そう言う。


俺は彼女の眼を優しく見つめた‥。
セイネも答えるように、俺を見つめる‥。




沈みかけの太陽が、ただ俺たちを照らしていた。


ブラウンの長い髪も‥
その少し小さな体も‥
明るく話す姿や‥
笑い声すらも‥
全てが愛おしい‥






「‥で!!」
セイネが笑顔で言う。




━━ん?


「バンド名。
‥どうする?
フルートがメインなんて素敵だわ!!」




・・・・・・。
パートナーになってください!か‥。
言葉選び間違えたな‥。




・・すぅ・・


深く息を吸う。










「トラブルメーカーシャロン!!」





━俺は空を仰いで、そう叫んだ。




おしまい

390 名前: セイネ (SkqmBirw)投稿日: 2005/01/31(月) 17:44:53
○さんお疲れ様でした&使って下さいまして有難うございます。m(__)m
これからもひっそりこっそり見ます|x・)
次回も期待です(´▽`*)