※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。





CARNIVAL

【ADV/ライトノベル】
サイコ陵辱ノベル+ADV
販売:S.M.L.
シナリオ:瀬戸口廉也 原画:川原誠
(小説版)
二次元ドリームノベルズ
S.M.L (著), 瀬戸口 廉也

看板に偽りが、あるようなないような。
自分の中では、「思春期って理由だけじゃなくて骨の髄から痛い系」としては、重松清の疾走とか青の炎とかとタメを張る。エロゲだけど。筆者は劇団系の人とか、一般の人だとかいわれているけどどうなんだろう。一人称での台詞回しなんかは舞台っぽい。悲惨な過去から生き延びて、依存しあった少年少女の痛い痛いいったいサバイバル記録である。

ゲーム本編は、一見爽やかな開き直り、その清々しさの元、幕を閉じ……
そして、小説で顛末が語られる。決して本編の完成度が低いわけではない。ちゃんと完結している(裏設定を攻略本で語らないと話が理解できないような手合いではない)。けれど、物語、としての完成度は小説版が高めていると思う。とはいえ、小説単体だとちょっと物足りないんだけど。

以下、小説版読了時の感想。

☆総括
小説の結末は想像に難くないオチだった。でも、悲しくなった。
無謀にポジティブなゲームのラストシーンに続きを容赦なく書いている。
マナブと父親の、『最後の会話』シーンの情景は力作。
イズミやサオリのような、「周囲を無理やりいい方向に動かしてしまう」前向きさの持ち主ではなく、依存傾向が強い、ただの無力な少女だったリサをメインヒロイン据えたあたりがこの物語の方向を決定付けたんだと思う。リサとマナブのふたりの世界。その顛末。(小説版の人物紹介を見て「マナブ『が』リサに依存してたのか!」と改めて気付いた)。救いはどこにもない。

☆洋一の死姦趣味に関して
余談だけど小説版の主人公である洋一(リサの弟)、彼の死姦願望(というより、生身の女性へ欲望できないという嗜好)は、彼が父親と姉の姦通(=リサの虐待現場)を見てしまったことから来たものと推測。性的願望の対象に人間性を認めることへのジレンマ。わかりにくいようで典型的。っていうか、リサやマナブの性格にしても、ある種ステレオタイプなんだけど説得力があった。

☆あとがき
筆者は、あとがきに「自分の生んだ卵を狂ったようにつつく親鳥の話」をわざわざ持ってきた。単純な児童虐待への問題提起、というだけではないのかもしれない。鶏にしても別に悪意を持って卵を食ってるわけではない、ということを理解していたうえで、ゲーム中でのリサの出した「人の悪意や悲しみが連鎖することの、それを背負って生きなければならないこと、それこそがわたしたちの原罪なんだ」という答え、「一体誰が悪かったんだろう?」という疑問、そこへ繋げているんじゃないのか?と。
卵を割って親鳥に与えたのは、飼育小屋においては筆者であり、それは、その場における『神』なのだ。

人に人は救えるのか?という疑問への、一つの答えを示してるように思った。徹頭徹尾、リサが救われるまでの物語で、提示されたのがあの答え。理不尽とか苛烈とかそういう言葉がハマる作品だったと思う。
ゲームも、小説も、オレンジを主にしたポップなデザインでまとめられていて、そこが余計に感傷を誘う。


キララのキ

【コミック】
岩館 真理子 (著)
集英社 全4巻

『迷い込んだ森の、出口にあるもの。』

 人形の森に迷い込んだ十秋が人形になった自分の姿から逃れようと彷徨う場面、その目の前に、木から下りる途中の亘が現れる場面。これまで漫画を読んでいてこんなに不安になったことも、安堵したこともなかった。目眩がするかと思った。ある種の、特に女性はこのお語に間違いなく入り込める筈だ。これは「帰る家」、そして、母と娘の物語。

 十秋は17歳、継母と父親との三人暮らし。小さな閉じられた町で一回も海を見ることなく育ち、母親の言いつけには決して逆らわない娘として平穏に暮らしていた。そんなある日、彼女は一人の少女が部屋に尋ねてくる夢を見る。名前はキララ。お日様の匂いのする、手足がながくて髪が短い、木登りの上手な子。小学校の頃の同級生。彼女は十秋が意地悪をして人形を塔の下に落としたために、それを取ろうとして登った木からおちて死んだのだった。ずっと隠し通してきた昏い記憶に脅かされる十秋。そして、フリーマーケットの店番をしていた彼女に一体の人形が持ち込まれる。キララの家にあった、何でもおねだりする天使の人形。戸惑う十秋の元に、今度は「本物の」キララが尋ねてきた。するするとコンクリートの壁を登って、6階建てのマンションの4階の窓を開けて。「十秋ちゃん、探したんだよ」―――キララを探す兄妹・亘とココロ、そしてただの同級生だった筈のキララと十秋の関係、それを中心に浮かび上がる三人姉妹とその母親と一人の男性をめぐる確執。かたく編みこまれたどこまでも伸びる三つ編みは十秋の幼さと不安、そして過去の謎の象徴。それが解かれたとき・・・・

現在連載中の「アマリリス」のようなほのぼのとした作品とは別に、作者の岩館真理子は"少女"の内面を繊細に、また鋭く抉った作品を描いている。「アリスにおまかせ」、「白いサテンのリボン」、そこにあるのは大人になろうとする少女達の戸惑いや不安、そして可愛らしい衣装の下に隠された闇。そして、その繊細さゆえに呆気なく崩壊してしまう彼女たちの世界。ただ、この作品がそれらとも更に趣を異にしているのは、これが「その後」、少女達の世界が崩壊したあとの世界を舞台としている点だろう。そこでは少女が既に恋人になり、妻になり、母となって生活している。三人の女性は「魔女」の象徴。彼女達はある意味、舞台から降りた過去の人間としても描かれる。そこでは世界が崩壊した代償を、彼女らの子供もまた背負わねばならない。何故なら、その「世界」は子供達にとっての世界でもあるのだから。時折二重写しになる二つの世界を繋ぐのが「森」であり、そこに迷い込んだ子供達はそこから自分達のための世界を目指すことを余儀なくされる。
結論を言ってしまっては面白くないのだが、実はこの寓話はメーテルリンクの「青い鳥」によく似た構造をしている。戻ってきたとき、異化装置としての森を抜け出た十秋が見つけたのは本当の母親と、自分の家。それが永遠のものではないことは壊れてしまった過去の世界によって暗示されているように思えたけれど、それでも、最後の一ページの「家」の扉を開ける小学生の十秋の背中と彼女の台詞が、わたしは心の底から嬉しかった。

「ただいま。」

もう一つ特筆すべきは女の子たちの可愛らしさ!線が細いのは羨ましい限りなのだが、更にベーシックなのに女の子らしい衣装。キララのブラウスにアコーディオンプリーツのスカートに白いソックスにローファーに大きな肩掛けバッグ、という一歩間違えるとただの時代遅れの衣装ですら魅力的だ。


禁じられた約束

【児童文学】
作者: ロバート・ウェストール, 野沢 佳織
徳間書店

話の全ては下の一文に要約される。
これを書くためのこの項目といっても過言ではなく。
名言だと思う。とても。

相手が欲しがっているものを与えるんじゃない、
相手が必要としているものを与えるんだ。
欲しがっているものを与えれば、そいつはお前の皮を剥いで靴を作る。
そして、履き心地が悪いと文句を言うだろう。

お話はというと、戦争文学+幽霊譚+初恋物語。てんこもり。
明るいシーンでさえ、屋根裏と湿った土の匂いがする。


crass†channel

【ADV】
田中ロミオ代表作。そしてループ物の定番。
序盤じつにダラダラした展開が続く。本命は二週目以降。
……ただ、一周目を飛ばして読んでいると後で後悔するかもしれない。

この人の作品でいちばん好きなのは神樹の館だったのだけど
方向性はだいぶ違う。ピアノの音と、青とオレンジの色彩で彩られた教室。
ああ、学校ってこういう場所だった、と思い出す。
そして、「夏、でも蝉は鳴かない」。

心を病んだ、というより、壊れてしまった世界で壊れながら育った子供たち、その中の一人の少年が答えにたどり着くまで、長い長い7日間の物語。

繰り返す一週間ごとに、登場する仲間たちを「攻略」していくことになる。いっちゃあなんだけど、みんなメチャクチャだ。ボーダーとか、そういう戯画化できるレベルではなくて、たとえば強度の依存癖の持ち主であるとある少女は、「自殺未遂が思い余って」とかじゃなくてマジで死ぬ。それも餓死で。普通ならありえない。
完全に壊れていて、それでも笑ったり泣いたりしながら生きている。
間違えるのはしょうがないし、正解を目指すしかないけど、間違えている最中は痛い。でも、止めることもできない。

人と正しく触れ合うにはどうしたらいいのか。
世界と向き合うにはどうしたらいいのか。
そして悶々と繰り返す7日間。届かないハッピーエンド。
生い立ち故に自分自身もマトモな「人」になれない主人公は、それでも人と繋がることを求めて
幾度も間違いを繰り返す。物語で繰り返すのは10回足らずだけれど、それよりももっと沢山の「繰り返し」が行われたことが、作中では暗示される。
街はずれの社の中身が、「ループの存在に気付いたときだけ」主人公の残す日記でいっぱいになる。諦めることは許されない。疲れ果てるにも、諦めるにも、リセットされるまでの七日は中途半端すぎて。

ひっかかった場面を適当に抜き出して〆る。

「死ぬまで一人でいるんだよ」
優しく告げた。
「人は皆、ね」
「でも、誰だって多かれ少なかれ人を好きになる」
じゃあ―――どうやれば、正しく好きになれるの?


『<友情は>見返りを、求めない』

最後の、主人公の幸せそうな寝顔がすこし嬉しい。
見て/読んでいるこっちまで、一仕事終えた気分になれる。
絵柄と色使いが、また、良いんです。うん。



黒ねこサンゴロウ

【児童文学】