ナイト・オブ・ゴッド

【映画】
一緒に見ていた父とは、意見の一致を見た。
「しょーもない」。
作った人の気合いは認める。

春休みに見た映画の「ナイト・オブ・ゴッド」。
妙に生々しい(しかもストーリーがしょぼい)中世モノの映画。ちょうどファイアーエムブレムのGBAシリーズに手を出した頃で、「おお、これがファイターか」「騎士にクラスチェンジした!」「死に方呆気な」「首切れた!内臓出てる!引きずってる!」と、筋書きの退屈さに眠りこける父の横で猫と戯れつつ一人で大ウケながら見ていた。

生っぽい。
グリーンディスティニー→英雄、あたりへの変遷に近いなにか。いや、グリーンディスティニーは好きだけど。映像に詩情があるわけでもないぶん、こっちのほうがキツいかもしれない。

被差別者への妙にシビアな扱い(メインキャラクターなのにかなり酷い)、無常観溢れる終わり方(あまりにも報われない)。侮れない。何が面白くなかったのか考えてみたのだが、『お約束』の部分の省略のされかたが日本人にはものすごくわかりにくのだと思う。しかも、リアリティを追及する場所を間違っている……内臓出さなくていいから、もっと登場人物の心情を追及してくれよ、なんでそこはサラっと流されるんだよ……そんな具合。でも、それが妙に面白いのだ。民間伝承をそのまんま映画にしたらこんなんなりました、という感じ。脚本と原作に問題がありすぎる。けれど、こういうどうしようもない物語を経て指輪物語に至ったような、西洋的な「剣と魔法のファンタジー」が変化していく過程っていうのは、結構興味深いものだと思う。

と、言いたい放題書いてみた。

21グラム

【映画】
製作年 : 2003年
製作国 : アメリカ
配給 : ギャガ=ヒューマックス
監督・製作 : アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演 : ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、
ベニチオ・デル・トロ、シャルロット・ゲーンズブール

ともかく人の生き様は軽い。でも人生は続く。
そこにある質量が、21グラム。
……それは重いのか、軽いのか。

質量が濃いというか、面白みもカタルシスも無いんだけど、
これだけ人の心情を画面に描くってのはそれはそれですごい
のだろう。見事なまでにダメ人間ばっか。
ダメな人しかいない。気分転換にはお勧めできない。

ベニチオ・デル・トロ、この人の演技はすごかった。この人がいるだけで、画面の情報量が増えるといった風。ナオミ・ワッツとあと病人役の人、のダメ人間っぷりはいっそ素敵だった。

『アモーレ・ペロス』は見てないけど、『BONGO』はビデオで見た。この、生きることに伴う妙な『軽さ』と、人の宿す一瞬の熱量の対比とがこの監督の持ち味なのかもしれない。("熱量"の表現に使われてたのが『BONGO』における音楽だったんだけど、今回はセックスやら薬やら・・・・・・ではなくて人と人の交わりで描こうとしてたのかな、とか)

最後の妊娠、アレ、一部では評判悪いみたいなんだけど、
あれもまた落としどころとしては必然なんじゃないだろうか。
錯時法使ってこの息苦しさ。時系列にしてたら、
見るに耐えなかったかもしれない。キツくて。

過去に書いた感想文まとめてて思ったんだけど、
なんでこんな息苦しい映画(別名・アカデミー賞系)
ばっかり好んで見てたんだろう……謎。とっても謎。
最終更新:2006年01月16日 08:27