Q.著作権なんてどうでもよいのでは?
- 創作活動を行っている方でないとあまり意識しないかもしれませんが、著作権の侵害は犯罪です。
- 本件は、簡単にいえば、誰彼となく手を加えた無名の作品を、突然ある人が、多少の改変を加え、自分の創作だと主張して販売したということです。
Q.モナーとのまネコは別物では?
- まず、ご自身でご確認ください。
- 最終的には裁判所が判断することです。エイベックスの判断は、当事者一方の言い分にすぎません。
- ただし、エイベックス・ネットワークス自身も、モナーに「インスパイヤされた」ことを認めています。知らないまま偶然一致したという弁明は、もはや不可能です。
- 著作権法では、原著作物を改変した著作物は二次著作物とされ、原著作者の著作権がいぜんとして保護されます。改変すれば自由に利用できるわけではありません。
Q.モナーの著作者が特定できないのなら、自由に利用しても構わないのでは?
- 無名の著作物でも著作権はあります。権利者が不明なので契約のしようがないだけです。
- しかし、この場合の正当な手続きは、著作権法に定められています。まず、二次利用をしたい者が文化庁に申請し、補償金の供託と引換に、文化庁長官が著作権者の代わりに利用の許諾を与えるという規定です(67条)
- エイベックス・ネットワークおよびゼンは、この手続きをとっていません。
- 無名だから著作権がないとか、自由に利用できるというのは、著作権法の誤解です。
Q.かりに「のまネコ」が剽窃でも、犯罪の予告はもっといけないことでは?
- 典型的な論点のすり替えです。
- 当然ですが、どちらも違法なことです。
- モナーの創作者多数と、犯罪のほのめかしをした人は、おそらく別人でしょう。
- 犯罪の予告は、全体の書き込みのごくごく一部で、詳細はまだ不明です。
- 犯罪を予告されたから、著作権侵害が容認されるわけではありません。そもそも両者は別件です。もちろん、逆もそうです。
Q.「2ちゃんねる」でも過去に著作権法違反は行われてきたのでは?
- これも、典型的な論点のすり替えです。
- 過去のコピペなどによる著作権侵害は、さらに別件ですし、また別人のものでしょう。それぞれ、個別具体的に議論してくださって構いません。
- 一般論として、あるネット掲示板が、ある犯罪のきっかけになったとしても、そこに存在した誰かの権利を侵害してよいものではないでしょう。
Q.そんなに悪いことなら訴えればいいのでは?
- 著作権法違反は親告罪で、著作権者の告訴が必要です。また民事上の損害賠償請求ができるのは著作権者だけです。
- ところが、今回の場合、原著作者は無名の多数の人々で、刑事告訴も損害賠償請求も困難です。
- つまり、権利を侵害しても訴えられる人がいないことにつけ込んだ権利侵害なのです。
- エイベックスが、真の権利者が訴えられないことを見越しているからこそ、なおさら容認しがたいわけです。
- ただし、この著作権の問題は非常に複雑で、例え裁判となっても必ずしも一定の結論が出るとは限らないという類の問題です。
Q.すでにエイベックスなどは権利を主張しなくなったのでは?
- 商標登録の出願は取り下げましたが、著作権表示がそのままの商品は、まだ売られています。販売は完全に中止されていません。
Q.商標と著作権って何が違うの?
- 大まかに言うと、商標とは「これと同じものを販売しないように」と特許庁に登録するものです。
- 著作権とは、あらゆる創作が(こうして書いている文章なども含めて)なされた時点で、その人に発生する権利です。
- 正確に言うと、著作権には著作人格権と著作財産権があり、後者は譲渡・破棄が可能、前者は不可能です。
- 今回、「のまネコ」の商標は取り下げられましたが、著作権の所持は主張しています。
- 今後は「のまネコ」の著作権を以って類似品の販売を規制する方向でいくようです。
- 誤解もあるようなので注記しておきますが「のまネコ」の著作権は認められます。しかし、それが原著作なのか、二次著作なのかが、この問題の争点です。
Q.エイベックスは謝罪したのでは?
- エイベックスの公式な発表である9月30日付の文書に至っても、「反省」という言葉はあっても、一言も謝る文言はありません。
- また、開かれた誰でも見れるインターネット上ではなく、一部の人間しか読むことの出来ない隔絶された空間であるmixiというコミュニティで、エイベックス社長である松浦勝人氏が一個人として、この問題に対して「謝罪」という言葉を使用していますが、何に対しての謝罪かは明確に示されていません。
- 自分たちの行為は依然として正しい、という姿勢は崩さず、犯罪の予告などでこの問題の論点のすり替えようとしているように見受けられます。
Q.どうすれば収束しますか?
- まずは、著作権侵害の疑いを引き起こした者が、事実経過について説明責任を果たし、真摯で誠実な謝罪をすることでしょう。
- 刻々と状況が変わっているので、最終的な収束点がどこになるのかは未だに誰も掴めていないかも知れません。
Q.犯罪のほのめかしは、反社会的で容認できません。
- そういう書き込みはごくごく一部ですし、当然決して容認できません。
- それと同様に、著作権法違反も反社会的で容認できるものではありません。
Q.もっと生産的なことをしてください。
- 違法の可能性のある行為の指摘や抑止は、生産的なことでしょう。
- では、違法の可能性のある行為の黙認や擁護は、生産的なことなのでしょうか。