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<Dominions Phase4d-01> 「・・・若いな・・女までいるぞ。」 「指揮官まで女か。」 「あれが本当に噂の・・・」 最早慣れてしまった、初対面時に浴びせられる陰口のような言葉や視線を、 どこふく風とばかりに聞き流し、6人とナタル、フレイはレジスタンスのアジトの一つであるビルの一室にいた。 窓には目張りがしてあり、電気も薄暗く陰気な雰囲気である。 その上表にでられない、常に警戒心を持っていなければならない組織の性か 陰気な上にそんなピリピリした雰囲気が漂っていた。 そして、傭兵という金で転ぶ、信用のおけない職業の代名詞である、彼等に対する レジンスタンス構成員達の目は警戒心に満ちている。 こういう雰囲気は6人にはともかく、フレイには少しきついだろうか? とナタルは少し心配になりフレイの方に目をやった。 本来彼女は連れてくる必要がなかったのだが、彼女の美貌は年とともに、 益々磨きがかかっている。 万が一ということもあるため、彼女が重要人物であると、 アピールしておくために連れてきたのだ。 だが、フレイは多少緊張はしているがしっかりとした目で前を見ている。 ナタルはそれに少し驚く。 (逞しくなってきたと思ってはいたが・・・。) だがその一方で、最近フレイは少し頑張りすぎというか、 少し張り詰めたものを感じるのが、気がかりではあった。 軍に身を置いていたとき、訓練規定の射撃訓練をさぼるようなことこそなかったが、 それほど熱心ではなかったと記憶している。 だが、最近毎日積極的に訓練をしていると、スティング達が多少驚いていた。 どうも、オルガに射撃のコツを聞いたりもしているらしい。 フレイの様子が変わったのは、コーカサスに来る前、物資輸送の仕事が終わった時、 くらいだっただろうか? とにかく折を見て一度話してみるか、などとナタルは考えるのだった。 <Dominions Phase4d-02> そのまま待つこと数分、一人の男が入ってきた。茶色い髪のいかつい男である。 「俺が、この<コーカサス解放軍>のリーダー、スマード・アルメタだ。 あんたらかい、DO・・・」 「その通りだ。そして契約内容を今一度思い出していただきたい。」 ナタルがなぜか言葉をさえぎり、その無礼ともいえる行為に一瞬部屋の雰囲気が、 凍りつく。だが、6人はまったくのポーカーフェイスを貫いていた。 そして見るものが見れば、彼等がいつでも立ち上がれるように、 重心を変えたのがわかっただろう。 こういう時の彼等はいつもとは別人であった。 スマードは、落ち着けというようなジェスチャーで、その場にいる人間を落ち着かせ、ナタルに向き直る。 「悪かったな。で、あんた等にはこれから色々やってもらうことになるが・・・。  まずは、感謝を。料金を大分まけてくれたみたいだからな。」 「感謝には及ばない。我々は我々なりにあなた方の目的には共感を持っている。  割引分は、援助する姿勢の表れと思っていただいて結構だ。」 「ほう・・・それは有難いな。」 スマードはそういって笑みを浮かべた。 だが、その視線は鋭くナタルを見つめたままであった。 <Dominions Phase4d-03> 「――――ではそういうことで。」 「ああ。よろしく頼む。」 その後、いくつか細かい点を確認し合い、話は終わった。 ナタル達が立ち上がり部屋から出ようとした時、スマードが声をかけてきた。 「ああ、少し待ってくれ。あんた等に紹介しときたいやつがいるんだ。」 「誰です?」 「俺達のMS部隊の隊長をやっててな。まあ、MSの数は多くないし、旧式だが、 そいつの強さだけは保証するぜ?」 どこか誇らしげにスマードは言い、スティング達の顔にわずかに興味の色が宿る。 やはりMS乗りとしては、どんなヤツか気になる所だ。 「おい、呼んできてくれ。」 スマードのその言葉で、一人の男が出て行き、一人の男を伴って戻ってきた。 若い。男というよりは・・・青年・・・というよりは少年? そしてその少年の顔を見た瞬間、ナタル、フレイそして6人全員が立ち上がって、 驚愕の表情を浮かべる。 その少年は―――黒髪、そして燃えるような深紅の瞳をしている。 「シン・・・・」 ステラの唇が、その少年の名前が自然と紡いでいた・・・。

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