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Dominions  Phase4c」(2005/12/13 (火) 18:01:08) の最新版変更点

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「みんな、お待ちどうさま!」 フレイが土鍋を運んできて、コンロの上に置く。 真っ赤なキムチ汁がほどよいとろみでぐつぐつと煮立ち、 その中にひたった白菜や湯豆腐、豚肉がおいしそうな湯気を立ち昇らせていた。 オルガ「ハッ、ハ~ン目移り・・・するかよぉ!!」 クロト「豚肉・速攻!」 アウル「今日は、もらうぜ。このヤロー!」 ステラ「・・・おさかな・・好き・・・。」 シャニ「うざ~い。人の箸、押さえんなよ・・・。」 クロト「しらないね。ガードしなきゃ食われる。そんだけだろうがぁ!」 オルガ「クロト、てめえもうぜえ!」 シャニ「・・・クッ」 アウル「箸を・・・換装した?」 フレイ「シャニ・・・。箸をさっさと鍋から拾いなさいよね。」 ステラ「・・・お豆腐・・・おいしい・・。」 いつもの様に奪い合いが繰り広げられる中、 今日は冷静なスティングがため息を一つつき、口を開いた。 スティ「おい、たまには騒がずに慎ましく行こうぜ? それにさっきから肉ばっかりじゃねえか。ちゃんとバランスを・・・。」 フレイ(スティング、今日は冷静ね。) オルガ「おらよ。」 クロト「そらぁぁぁ、取り・分け!」 シャニ「・・・ハイ。」 アウル「ほいっと。」 スティ「・・・お前等。取ってくれるのはいいが、何で長ネギ、白菜、豆腐、椎茸なんだ?」 アウル「バランスっていったじゃんか。」 クロト「蛋白・質!美・田民!」 スティ「・・・・。」 オルガ「おお?煮えてるなぁ、あそこの肉も。あれも、もらうぜ!」 シャニ「駄目だよ、あれは。・・・美味いんだぜ?」 スティ「・・・。野菜と豆腐だけで俺の飢えが満たされるわけねぇ――っ。 あの肉は、俺がぁああああああ。」 フレイ(短い忍耐だったわね・・・。) ステラ「おいしい・・・。フレイ・・・料理、上手。」 フレイ「え?・・・ありがとう。(まったく周りにかまわずに食べてるわね・・・。)」 アウル「スティング、バランスはぁ?」 スティ「うるせえ!お前は白菜の芯でも齧ってろ。」 シャニ「・・・妥当だね。」 アウル「ああっとー、手が滑ったぁ!」(バチャ!!) シャニ「・・・・。」(ポタポタ・・) アウル「ご~めんねぇ、言われたとおりに白菜食べようと思ったらさぁ。」 シャニ「・・・気にすんなよ。」 フレイ「シャ、シャニ。顔吹いたほうが・・・」 シャニ「・・・ここにも白菜あるから、これも食べなよ!!」(バチイ!ベチィ!) クロト「うわっ、シャニ!この野郎!」 オルガ「ノーコンの癖して投げんなよ!てめえ。」 アウル「周りに八つ当たり?カッコ悪いってんじゃね?そういうの。」 シャニ「お前!お前!お前ぇ―――――っ」(バクバクバクバク) オルガ「なっ。・・・くっそお!もう肉がねえ。こおの馬鹿シャニ!」 アウル「何、鍋から直に食いまくってんだよ、ボォケェ!」 クロト「ルール違反だ、ぶぁ~か。」 シャニ「・・・フンッ・・・。」 スティ「汁がついたままの顔で、何を勝ち誇ってやがるんだ、お前は!」 フレイ「・・・。ステラ、あいつらの真似だけは、しちゃ駄目よ?」 ステラ「おさかな?」 フレイ「・・・そんな単語、口にした覚えないんだけど。ハイハイ、お魚追加ね?」 ステラ「ウェ~イ!」 フレイ「あんた達も!まだお肉あるから・・・。」 クロト「オヒョー!」 冷蔵庫に向かいながら、フレイはふと、ミリアリアとの会話を思い出してしまい、 顔を暗くする。 (何が、分かるっていうのよ・・・。) ステラ達が、バスケが明日できるかもというだけで、あんなに喜んでいたことを。 こうして普通に鍋を囲んで騒いだりすることを。知りもしないくせに・・・。 (今度は・・・私も・・・。) そうだ、自分にだってステラ達のためにできることはある。 もう、前のベッドで震えていることしかできなかった自分じゃない。力になりたい、少しでも守りたい。 大切な人たちを・・・守りたい。 「フレ~イ!!」 「あ、ごめーん。今いくね!」 開けっ放しになっていた、冷蔵庫からおお慌てで肉と魚、一応野菜も取り出し、 6人の所へ戻る。 既に煮立っているので、すぐにどれも食べごろになった。 そして・・・ クロト「おっしゃあぁぁあ!再・開!」 オルガ「何で、てめえが仕切るんだよ。」 スティ「冗談じゃないぜ、これ以上ドタバタするのは。」 アウル「戦線離脱してくれるっての?」 スティ「誰がするか!」 シャニ「・・・結局、食い意地はってんだね。」 オルガ「てめーが言うな。」 と、魚を一心に食べていたステラが、横にいるフレイの目が少し潤んでいるのに気づく。 「・・・フレイ・・・泣いてる?」 「え、泣いてない、泣いてないわよ。ちょっと煙が目に入って。」 不覚にも、少し泣いてしまったらしい。どうも自分は涙もろくていけない。 フレイは慌てて涙をぬぐう。すると―― スティ「悪かったな。フレイ・・・。俺達ばっかり食べちまって。」 オルガ「考えたら、フレイ全然食ってねえよな。」 クロト「分・配!」 アウル「ワリィ。気がつかなくてさあ。」 シャニ「・・・ハイ。」 ステラ「泣かないで・・・」 たちまち、フレイの取り皿は肉と魚で一杯になる。 「ちょっと何よ!これじゃ私が食い意地張ってるみたいじゃない! もう、バカ! ・・・ばか・・。」 泣いたりなんかしたら、絶対変だ。 そう思うのになぜか涙が出て・・・声がつまる。 ステラ「フレイ~。なか・・・ないで。フレイが泣くと・・・ステラ・・・悲しい。」 スティ「な、なんだ。肉じゃなくて野菜か?それとも・・・。」 クロト「豆・腐?」 オルガ「ひょっとして白・菜じゃねえのか?・・・って、うつったじゃねえか!」 アウル「逆切れしてる場合かっつーのぉ。なあ、フレイ、ひょっとして椎茸?」 フレイ「違う、違うから。もうアンタ達ったらホントに、もう・・・。」 シャニ「・・・泣くか笑うかどっちかにしようよ。」 ステラ「わかめはだまれ!」 心配して、大マジメに肉やら魚やらを取ってくれたり、 何が欲しいのか聞く6人が可笑しくて。だけど暖かくて。 フレイは泣きながら笑い・・・少し祈った。 どうか、みんなとずっと一緒にいられますように・・・と。

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