もしも3馬鹿常夏トリオが種死に出てたら 格納庫

Dominions Phase3c

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<Phase3c-01>

「さて・・・どうすっか・・・」
オルガは、一人言をもらした。
にしても、ちょっといいか?と思う新刊やらも全部買えるというのは悪くない。
アズラエルのおっさん気前良く給料くれたもんだ、とオルガは思った。
実際には、危険地帯で活動するMS乗りの傭兵に払われる金額は結構な額であり、
6人の場合は更に多額であった。
そのため金銭感覚がちゃんと身についているとは言いがたい彼等に、
それを全額渡すことのリスクをアズラエルは考慮して、 本来払うべき金額を
ほとんど渡さずに、6人名義で銀行に預けたり投資信託にまわしたりしていて
世間並みの給料しか 渡していなかったのだが、そんなことをオルガは知らない。

スティング達との待ち合わせ時間まで、喫茶店にでも入って読み始めても良いのだが、
そんな気にはならなかった。
理由は分かっている、血が猛ったままだからだ。久々の実戦だった。
生と死を分ける一瞬の連続。 敵の撃ってくるビーム・弾を避け、防ぎ、相手を撃破する。
その度に血が熱くなる、あのスリルと快感は 日常ではとても味わえはしない。
仲間と馬鹿をやるのも、小説も好きだが戦場という場所がオルガは好きだった。

オルガは戦場において、相手を殺すことに欠片ほどもためらいをもたない。
戦場という場所に出てくる以上、 そいつはどんな理由があろうが、
「人に殺られるよりは人を殺るほうがマシ」という選択をしたのであって、
生きるか死ぬかは己と相手の技量次第。
出てきた以上、泣き言をぬかすんじゃねえ、オルガはそう考えていた。

これは、ラボで育ったせいか?改造されたせいか?それとも生まれつきか?と
ごくたまに考える時はあったが 実際、戦っていると血が猛ってしょうがないのだから仕方ない。

そんなことを考えて歩いていると、目の前に身なりのよくない奴等が三人立っている。
うぜえなあ・・・と思っていると道をふさいできた。
後ろにも数人の気配、改めて周りを見渡すと裏道である。
考え事をしていたせいで迷い込んでしまったようだ。

ため息がもれる。叩きのめしてもいいが、ナタルやアズラエルに迷惑がかかっても困る。
なので、前の3人の頭を飛び越えてやった。相手の頭の上を飛んで着地。
自分より強い奴にケンカを売る奴はいない。
なので、ナチュラルより遥かに強い、コーディネーターのように
振舞ってやれば襲い掛かってこないだろう、と踏んだのだが・・・。

「コーディーネーターだと・・・。待てオイ!」
「この・・・コーディーがあぁぁあ。」
「この化け物!」
どうやら、逆効果だったらしい。いきなり、ナイフで襲いかかってきた。

普通、どれほど鍛えた人間でも刃物を見れば体が多少硬直するし、
複数で刃物を使ってくる大人数に 対応しきれるような人間などいない。
だが・・・オルガ達の育ったロドニアのラボは 修練によりそういう、
不可能とも思える状況に対応できる力を身につけられた者だけが生き残れる場所。
そしてオルガはそこで生き残った者。

とりあえず一番前の奴の顔に本の入った袋を投げつける。
袋を手で払った相手の顔面にオルガの靴がめり込んだ。
鼻血を吹き出して倒れる前の奴を反射的に支えてしまい、動きの止まった奴の顔面に、左フックを叩き込む。手ごたえ十分。
そのまま回転して、三人目に右の後ろ回し蹴り。
素人相手だけあってやたら鮮やかに決まった。相手が吹き飛ぶ。
残りは4人か・・・。オルガの顔に次第に狂気が宿り始める。

「こ、この化け」
なにやら戦闘中に口を開く馬鹿に、瞬時に間合いを詰めて顔に右フック一発。

(バカがぁ!歯を食いしばるってこともしらねーのか。大口開けやがって)
倒れた奴の後ろの奴がナイフで突いてくる。

(おせぇ!ナイフの製造ナンバーが読めちまうぜ?)
半身でかわして腕を掴みへし折ってやる。悲鳴をが聞こえた。

(何だぁ?喚いてる暇があったら、反撃してみろや!)
そう思いながら前かがみになった相手の顔面に膝を入れる。

残りの二人はなにやら構えていたが・・・。
(ヘッそれで構えてるつもりか?ザァコが!とっとと)

「なあにやってんだよ?オルガ。」
「・・・クロト?」
その声でオルガは頭が冷えるのを感じた。いつの間にか、クロト・ブエルが
残りの二人の後ろに立っている。
とりあえず、クロトの声に振り返った残りの二人の近い方に蹴りを入れて失神させる。
最後の一人は喚きながら、クロトに切りかか・・・る前に、
クロトのとび蹴りを食らって吹き飛んだ。

「オイオイオイ、前歯と鼻が折れたんじゃねえか、今の奴?」
「人のこと言えるのかよ?そこに倒れてるのって前歯が全滅してる奴ばっかりだと
 思うけどねえ。」

「・・・クソがぁ!!死ね化け物ども。てめえらのせいで、親父が、お袋が!
 全部・・・全部てめえらのせいだ!!
 てめえらさえ、てめえらさえ、いなけりゃ。死ね!死ね!死ね!死ね!」
折られた腕の痛みで失神できなかった奴が、口と鼻から血を流しながら喚き散らす。

考えてみれば、死んだプラントの議長の取った政策により多少緩和したとはいえ、
3年前の大戦、そしてユニウス7の落下によりコーディネーターに失わされた物がある人間の恨みが、消えるには速すぎる。
そしてナチュラルの潜在的なコーディーに対する恐怖と憎悪は消えたわけではない。
だが多少理不尽なものを感じ、オルガは無駄と知りつつ言ってしまう。

「俺達はコーディネーターじゃねえ。」
「ふざけんな、化け物!さっさと宇宙に帰りやがれ。消えうせろ!死ね!」
やはり、まったく信じずに怨嗟の声を上げ続ける男に、それ以上何か言う気も失せ、
オルガはクロトとその場を後にした。

<Phase3c-02>

「ったく、何でケンカなんかしてたんだよ?」
「相手が襲いかかってきたんだから仕方ねえだろが。何もしてねーのによ。」
「ふ~ん。相変わらずコーディネーターって嫌われてるよねえ。」
「ああ。」

迷惑なことだ、とオルガは思う。
ああいうコーディネーターに対する憎悪が戦争を生み、コーディネーターと 戦うために
俺達みたいなのが生み出された。ナチュラルのコーディネーターに対する憎悪、嫉妬、
これがある限り俺達みたいなのはまた出るだろうな・・・とオルガは思う。
(化け物か・・・)

「おい、クロト。」
「何?」
「俺達って、何なんだろうな。」
「仲間。」

いや、そういう意味で言ったんじゃねえ・・・と言いかけてオルガはふと思う。
こいつ等と仲間なら何であろうが、別にいいか、と。クロト、シャニ、スティング、
アウル、ステラ、 みんないい奴等だ(こんなこと口が裂けても本人たちには言えないが)
コーディネーターだというだけでナイフで襲って憎悪の言葉を吐き散らす、さっきのような奴等じゃない。

「・・・仲間だな。」
「なんなんだよ?」
「別に、何でもねーよ。もたもたしてんな。オラ行くぞ。」
「何だそりゃあ?そっちが、待ち合わせ場所にこなかったんだろ。
 探してたのはこっちだぜ。」
「・・・そういや、お前と待ち合わせしてたっけな。」
「忘れてたのかよ?」
「うっせーよ。たまには忘れる時ぐらいあらあ。」
「逆・切れ!」
「わーったよ。侘びに何か奢ってやらあ。好きなもんいえよ。」
「おお?、珍しく太っ腹だね。じゃあさ・・」
そんなことを話しながら、2人は通りを歩いていく。

スティング達や一人残ったシャニはどうしてっかな・・・とオルガは思った。
天気は晴れ、涼しい風は心地よく頬をなでていく、そんな午後の出来事であった。

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